MLP 市場アップデート 新しいパラダイムにおける MLP 市場の見通し Paolo Frattaroli シニア・リサーチ・アナリスト, MLP 戦略運用チーム 2017/2/1 昨年 11 月の米国大統領選挙以降、「金融政策から財政政策へ」「低成長・低金利からインフレ・金利上昇へ」 といった金融市場のパラダイム・シフトが投資家の間で議論になっています。こうした中、金利上昇に強く、共 和党新政権の政策的支援が期待できる MLP 市場に注目が集まっています。 共和党新政権によるエネルギー政策 共和党は歴史的にみてエネルギー産業に宥和的な政策スタンスをとることで知られていますが、トランプ政権は歴代政 権と比較しても、エネルギー産業を重視する姿勢を打ち出しています。 2017 年 1 月 20 日の大統領就任式の直後に、トランプ政権はホワイトハウスのホームページ上で「エネルギー」、「外 交」、「雇用」、「国防」、「警察・法務執行機関」、「貿易・通商」といった 6 つの重点分野の政策方針を発表しました。就任 直後のタイミングで、重点取り組み分野として「エネルギー産業の規制緩和」が取り上げられた形であり、新政権のエネ ルギー産業に対する強いコミットメントが示されたといえます。 政権発足後、こうしたエネルギー産業重視の方針は早速実行に移され、1 月 24 日にトランプ大統領は、カナダと米国間 を結ぶキーストーン XL・パイプライン、および米国中西部に建設予定のダコタ・アクセスパイプラインの建設を推進する 大統領令に署名しました。両パイプライン・プロジェクトは、民主党オバマ政権下で環境問題や先住民問題への政治的 配慮から建設が中止に追い込まれていたものです。今回の大統領令を受けて、両プロジェクトとも建設再開に向けて動 き出すことが見込まれています。 パイプライン建設に際しては、関連する州や地域毎に当局からの許認可を取得する必要があります。パイプラインをは じめ中流事業を運営する MLP にとって、規制環境の好転が意味するところは大きく、MLP の事業環境は今後大きく改 善すると見られています。 金利上昇に強い MLP エネルギー価格とインフレは密接な関係を有しており、エネルギー関連資産への投資はインフレ・ヘッジ手段の一つとし て有効であると考えています。特に MLP については、ビジネスモデル自体がインフレや金利上昇に強く、インフレ・ヘッ ジ目的の投資先として優れた特徴を有しています。 一般的に、パイプラインのリース契約にはインフレ調整条項が付されており、インフレが昂進する局面において、MLP の 売上は増加することが多いといえます。一方で、資金調達面では長期・固定負債であることが多く、金利上昇時にも利払 い負担が増え難い構造となっています。インフレ昂進時には売上が増加する一方、利払い負担が増えず、業績の改善 ペースが早まることから、株価にも追い風になると見ています。 米国債との逆相関性が高い MLP 【各資産収益率の相関係数】 MLP MLP US Equity US Equity 1.00 US REIT 0.53 US Treasury 0.33 -0.39 0.75 -0.32 US REIT US Treasury -0.07 1.00 MLP:アレリアン MLP 指数、US Equity: S&P500 指数、US REIT: FTSE NAREIT All Equity REITs 指数、US Treasury: Bloomberg Barclays 米国債指数 データ期間:2007 年 1 月~2016 年 12 月 米ドル建て月次収益率をもとに相関係数を算出。 割安感が残る MLP 市場 MLP 市場の代表的な株価指数であるアレリアン MLP 指数の利回りは 6.8%*であり、依然として割安感が強いといえ ます。今後、共和党新政権下で政策面の追い風が吹く中、インフレ・金利上昇に強い資産クラスとして注目が高まること で、MLP 市場の割安感が解消に向かう可能性は高いと考えています。パラダイム・シフトが進む金融市場における分散 投資先として、MLP は有望な投資先といえるのではないでしょうか。 *2017 年 1 月末時点, Bloomberg ご注意 当資料は当社グループの運用する海外投資信託に投資を行っている国内投資信託に関連し、当社グループの戦略、運用状況、及び市況等に関する情報提 供を目的として作成されたものであり、個別の有価証券の取得の勧誘を目的とするものではありません。 当資料の内容は機密性の高い情報を含むため、取扱いには十分ご注意ください。当資料の全部又は一部の転写・加工・利用を行う場合には、当社グループ の書面による同意が必要です。 当資料に含まれる情報の正確性は保証されるものではなく、今後変更される可能性があります。当資料に記載されたリスク要因は、記載された商品に関する リスクを網羅するものではありません。当資料に記載する特定の経済又は市場に関する情報は第三者の公開情報をもとにしており、当資料の交付時点にお ける最新の情報に更新されていない場合があります。 当社グループは、当資料に記載する情報(第三者からの情報を含む)のいずれについてもその公正性、正確性、信頼性、完全性及び妥当性について、明示 又は黙示を問わず表明又は保証するものではありません。従って、当社グループは当該情報の開示又は利用に関するいかなる責任や債務も負いません。 当資料は、法令、又は、税・会計に関する助言ではありません。業法をはじめとする法的な検討、信用判断、税・会計に関する検討、取引に伴う経済効果に関 する考察その他の判断はすべてご自身の責任で行ってください。 当資料は、作成時点において信頼できると思われる情報に基づき作成されていますが、その正確性及び完全性を保証するものではなく、また、当資料の受領 者又は最終投資家が当資料に含まれる情報に基づきとったいかなる行動に対しても、当社グループは責任を負いません。 当資料に含まれる意見や見通しは作成時点のものであり、今後予告なく変更されることがあります。 当資料に記載する過去の事実以外の情報は、作成時点における予想、見込み、見通し、意見、期待をもとにしています。当該記載事項は既知又は未知のリ スク、不確実性その他の要素を含みますので、その点につき十分にご注意ください。また、当資料は将来の見通しを含んでいることから、実際の発生事実、結 果又はファンドの投資実績が当該見通しに基づくものとは大きく異なることがあります。 ニューバーガー・バーマン株式会社 Neuberger Berman East Asia Limited 〒100-6512 東京都千代田区丸の内一丁目5番1号 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2094 号 加入協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
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