” 地図 “見る ら か へ ” 地図 う 使 “ 進 路 の イ ロ ハ AW 3 D の開 発・営業 では 女 性 社 員が 活躍中! お話を聞いたのは…… 株式会社NTTデータ e -コミュニティ事業部 AW3Dを加工して製品化している市川真弓さんは、大学では都市計画を専攻。 「画 課長 筒井健さん 像処理と都市計画を組み合わせると、社会の問題の解決につながると感じています。 主任 市川真弓さん いずれは自分で事業を企画し、都市問題・環境問題の解決に貢献したい」 。海外営業 担当の篠原由紀さんは、入社5年間はSEとして別の事業の担当でしたが、学生時代 の留学経験から、海外に物を売る仕事をしたいと思い、 いまの部署に異動しました。 全世界の地形や建物の起伏がきめ細やかに再現された3D 地図が登場しています。 世界最先端の高精細 3D 地図を開発している NTT データのみなさんにその特徴や使い方を聞きました。 「AW3Dは新興国からの需要が非常にあります。チームに入ってまだ1年半ですが、 20ヵ国くらい仕事で海外に行きました。世界中に友だちができて楽しいですね」 課長代理 篠原由紀さん NTTデータのAW3D開発プロジェクトチームは約半数が 女性。 「3D地図をつくるには視覚的なアピールが必要なの で、そこに女性ならではのセンスが非常に発揮されていま す」 (筒井さん) text by Chisato Hata / images by courtesy of NT Tデータ たとえば、洪水が起きたときの水の流れ方や携帯電話の通 のでしょうか。 「AW3D ®」全世界デジタル3D地図の 開発でプロジェクトチームリーダーを務めるNTTデータの 信障害エリアの把握など、地図がデジタル3Dになることで 筒井健さんは「地形や建物などがリアルに再現されるのはも になるとのこと。 「水や電波は3次元空間を移動するので、 地 火山の噴火などの自然災害の対策に 活用されています。たとえば、 地震が ちろんですが、私たちの場合は 見る だけでなく、 使える 図も3次元にする必要があるわけです。私たちが開発した3D 多いミャンマーでは、AW3Dを用いて 3D地図を念頭に開発してきました。実際これまで自然災害 地図は、 いまのところ新興国での活用が多いですが、今後は の対策や資源探査、インフラの整備など、さまざまな分野で 私たちの生活に寄与するようなアプリケーションの開発も進 活用されています」 と説明します。 めていきたいと考えています」 と筒井さんは話します。 そ リアルな世界がヴァーチャルにシミュレーションできるよう 地球上の陸地の起伏を 5mの間隔で網羅 グランド キャニオン エベレスト AW3Dは、世界最高水準である5m の解像度で、地球上の陸地の起伏 を再現しています。つまり、5mの 格子間隔でくまなく世界中の陸地 の位置情報を網羅した、グローバ ルかつ高精細な3D地図なのです。 さらに、建物が密集した複雑な起 伏をもつ都市エリアにも適用させ るため、 より解像度を高めた50cm 間隔の3D地図も実現しています。 歩道に植えられている並木の高さ の違いまで識別できるようになる といいます。 東京 エアーズ ロック ※「AW3DⓇ」はNTT データと リモート・センシング技術センター(RESTEC)の 共同提供サービスです。 人工衛星「だいち」が 〝3つの目〝で地形を記録 (上 左)2006年に打ち 上げられた「だいち」。 (上 右)地 球 観 測のイ メージ。 目 の役 割の センサが3つある。 (下) 3D地図化の工程。高さ を表す「数値標高モデ ル」と水 平 位 置を表す 「オルソ画 像」を作 成 し、これらを組み合わ せてつくる。 「AW3D」 は、 主にJAXAの人工衛 星「だいち」 が撮影した衛星画像 データからつくられています。 「『だいち』には 目 が3つあり、 山の陰などの裏側まで見ていま す。宇宙から地球を5m間隔でく まなく撮影し、約300万枚(地球 約8個分!) の衛星画像を撮りた めました。それを使って、 5mの格 子間隔ごとの高さをデジタル化し たデータと、雲や雪などによるノ イズを除去して正確な水平位置 に補正した画像データをつくり、 この2つのデータを組み合わせて 3D地図にしました」 (筒井さん) 36 地震や噴火などの 災害の対策に活用 もそも地図が3Dになることには、 どんな意味がある 画像提供:JAXA 数値標高モデル オルソ画像 3D 地図 活断層を詳細に調査 火山噴火をシミュレーション AW3Dは地震や洪水、 津波、 土砂崩れ、 活断層を調査し、 いままで見つかって いなかった新しい活断層を見つける ことができました。また、 頻繁に噴火 するインドネシアの火山に対しては、 AW3Dを用いて噴火による火砕流の シミュレーションを実施。噴火して 何分後に火砕流がどこに到達するか などを予測することができます。 都市のインフラの シミュレーションに活用 民間企業の人工衛星による50cm解 像度では、都市に密集している建物一 つ一つの形状や高さまでわかります。 携帯電話の電波が届かなくなる通信 障害がどのエリアで起こるかを把握で き、 また、 自動車の交通シミュレーショ ンやカーナビの高度化にも役立てられ ます。 「都市は生き物なので変わって いきますが、この高精細版3D地図に 使っている人工衛星はずっと飛んで いるので、常にアップデートできるの もこのAW3Dの強みです」 (筒井さん) エネルギーや資源の分野で 効率よい計画のために活用 エネルギーや資源の分野でも3D地図 は活かせます。鉱山開発では、 アンデ ス山脈のような険しい場所では現地調 査が困難。そこで、AW3Dを活用する ことにより、有望な鉱山を効率的に選 んだり、調査計画に役立てたりするこ とができます。また、日本の山岳地帯 のように起伏の激しい複雑な地形で は、風が乱れて風力発電の風車に悪影 響をあたえるおそれがあります。有望 な設置場所の選定にもAW3Dを用い たシミュレーションが使われています。 画像提供:Earth Observatory of Singapore 提供:筑波大学 ミャンマー中部に活断層(中央の画像の赤線)が 走っていることを発見できた。これまでの30mの解 像度では活断層が見えなかったが、5mの解像度に なったことで縦に筋が見えるようになった。航空機 での調査より安いため、国全域で3D地図を活用す ることが可能に。 インドネシアのスメル火山が引き起こす火砕流の シミュレーション。噴火の規模による火砕流の到達 時刻や広がる範囲の動的分布を予測できる。2007 年時点の平面地図による予測(右の白黒図版)より も、火砕流のルートが詳細に。規模ごとに到達時間 を計算することもできる。 通信電波の計画を立てる 交通渋滞のない道路を計画 都市部では、建物の高さや配置などから、通信電波 の強度をシミュレーション。電波の弱いエリアに対 して、通信が滞らないよう対策することなどに活か せる。無線による通信が発達する今後、重要性がさ らに増していく。 地形の起伏などから道路ごとの渋滞の起きやすさ などを把握。自動運転車にデータ提供すれば、車ど うしが調整をはかって渋滞ゼロも実現するかも。な お、50cm解像度のデータは米国DigitalGlobe社の 人工衛星によるもの。 風の通り道を計算 鉱脈を効率よく探す 画像提供:Tsubasa Windfarm Design 画像提供:Geoimage Pty Ltd. 風力発電では、AW3Dと風況解析ソフトウェアを組 み合わせて、乱流のリスクを評価。風車の設置候補 地点を効率的に選定する。風の吹き方は地形の微妙 なちがいにより大きく異なってくるため、詳細な地 形データが重要。 資源分野では、オーストラリアの企業が南米アンデ ス山脈の鉱山開発に高精細3D地図を活用。鉱山開 発の初期段階で行う有望地域の選定や調査計画を 効率よく行い、時間節約の優れた効果を得ることが できた。 37
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