CMB偏光観測衛星 LiteBIRDの概要と現状 国立天文台 先端技術センター 長谷部 孝 他LiteBIRDチーム 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 1 CMB偏光観測によるインフレーション宇宙の検証 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 2 Eモード偏光 ESA / Planck CMBの密度揺らぎが作り出すのはEモード偏光のみ Eモード偏光のパワースペクトル はΛ-CDMと良い一致 Planck 2015 result 3 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 原始重力波によるBモード偏光 Modern Cosmology : Scott Dodelson 45度回転した偏光ベクトルも生じる Tensor perturbation in the gravitational metric and 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 4 次世代CMB偏光観測実験 Ground Satellite 次世代観測プロジェクトへアップグレード中 South pole (Future plan) SPT pol BICEP2 LiteBIRD COrE Keck Array PIXIE Atacama, Chile ACT Pol POLARBEAR/Simons Array CMBpol, BPol, PRISM 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 5 CMB偏光観測の現状 l<200で特徴的な2つの山 特に l<10ではprimordial dominant 衛星による全天観測で low lの精密測定が可能 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 6 Inflation model の検証 最もシンプルなモデル single-field slow-roll modelでは 以下の関 係式が成り立つ Lyth relation 60 r 0.002 N m pl 2 D. Baumann r>0.002で見つからなければ large field ( Δφ > mpl ) シナリオ棄却 Lyth relationに従うlarge field modelを95%C.L.で検証するためには δr<0.001の精度が必要 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 7 Inflation model の検証 Lyth relation r>0.002で見つからなければ large field ( Δφ > mpl ) シナリオ棄却 Lyth relationに従うlarge field modelを95%C.L.で検証するためには δr<0.001の精度が必要 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 8 LiteBIRDのミッション成功条件 Lensing B mode Primordial B mode at r=0.01 FULL SUCCESS スカラーテンソル比 r の誤差 δr <0.001での測定 EXTRA SUCCESS 地上観測とのcombined dataで delensing → δrをさらに向上 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 9 LiteBIRDの期待感度 r=0.002でもdelensing無しでreionization bumpを見ることが可能 (r=0.001でもOK) ただし前景放射の分離は必須 Recombination bumpが見たければdelensingが必要 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 10 LiteBIRD観測周波数帯 広帯域観測による正確な前景放射分離 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 11 ニュートリノ質量和への制限 R.Allison et al (2015) R.Allison et al (2015) 再電離までのoptical depth τの精度から ニュートリノ質量和への制限が向上する l<20(reionization 領域)での E偏光(密度揺らぎ)測定が必要 ニュートリノ質量階層 問題の解決へ Y.Oyama (2014) 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 12 LiteBIRD衛星観測装置概要 高周波用望遠鏡 回転式半波長板 低周波用焦点面検出器 低周波用望遠鏡 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 13 回転半波長板 信号アップコンバート f→4f (検出器低周波ノイズの低減) 1検出器による偏光測定(検出器間ゲイン差系統誤差の除去) 半波長板素子(サファイア)表面にモスアイ加工 による反射防止構造 超伝導磁石を用いた回転機構 (長寿命・低発熱) Y.Sakurai, JPS2016 素子多層化によって観測周波数帯をカバー 実機サイズモデルの開発に向けた検証中 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 14 Telescope (LFT and HFT) High Frequency Telescope (HFT) 屈折光学系を検討 Low Frequency Telescope (LFT) 水口ドラゴン型光学系 省スペース・低交差偏波・軽量 GRASPシミュレーションを用いた LFTの多重反射によるサイドローブ計算 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 15 焦点面検出器 Transition-Edge Sensor LFT焦点面検出器アレイ(40-235GHz, 12バンド) sub-K 冷凍機(ADR) LFT焦点面 HFT焦点面 HFT焦点面検出器アレイ(280, 337, 402GHz) 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 SQUIDアンプ 16 冷却系 K.Mitsuda, Bmode from Space (2015) HWP and ミラー 4K, 検出器0.1Kに冷却 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 17 冷却系 JT and ST coolers 冷凍機の構成案 波長板、ミラー 5K 検出器 0.1K 以下に冷却 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 ADR 18 Orbit and Scan Strategy 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 19 Orbit and Scan Strategy S.Uozumi, JPS2016 系統誤差低減のためのスキャン姿勢最適化スタディを進行中 ヒット均一性、姿勢による偏光角の誤差、マップ差し引きによる時間変動成分の除去 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 20 Calibration Item 地上総合較正試験+機上較正による高精度較正計画の検討 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 21 まとめ ・LiteBIRDは原始重力波起因のCMB Bモード偏光の 精密観測によってインフレーション仮説を検証 (インフレーションの実証 or 標準的モデルの棄却) ・δr<0.001達成のため、前景放射分離(観測バンド、 検出器感度)、統計誤差(検出器数)・系統誤差低減 (回転半波長板、スキャン姿勢、キャリブレーション etc)のための観測システムを構築 ・2025年打ち上げを目指し開発・検討・仕様最適化 第5回観測的宇宙論ワークショップ@広島大学 22
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