第50回先進医療会議

第 50回
第50回 先進医療会議
議事次第
(日
時)平 成29年 2月 2日
(場 所 )中 央合 同庁舎第
日時 :平 成 29年 2月 2日 (木 )
16:00∼
0
会場 :中 央合同庁舎第 5号 館
専用第 22会 議室 (18階 )
議
座 席 表
先 進 医 療 会 議
(木
) 16時 00分 ∼
5号 館
専用第 22会 議室 (18階 )
0
座長代理 1
1審
座長
□○
議官
○
題
○
1
分 け (案
(先
傍聴席
先進 医 療 機 器 審 査 調 整 官
事務局席
療 機 器 審 査管 理課 長
O O O 0 0 0 0 0 0 0 0 0
究 開 発振 興課 室 長 補 佐
-3)
進 医 療 専 門官
究 開 発 振 興課 長
療課長
療課 企 画官
療 技 術 評 価推 進 室 長 補 佐
進 ・再 生 医療 迅 速 評 価 専 門 官
療 技 術 評 価推 進 室 長
科 医 療 管 理官
2)
剤 管 理官
Aに 係 る 新 規 技 術 の 科 学 的 評 価 等 に つ い て
平 成 29年 度 先 進 医 療 会議開催予定 (案 )
(先
○
り
)に つ い て
-2)
(別 紙
3
A又 は 先 進 医 療 B今 の 振
1)
先進 医療
(先
受 理 分 )の 先 進 医 療
-1)
(別 紙
2
(1月
新規技術
先進医療会議技術専門委員
先進医療会議構成員 (本 会議)
平成 28年 10月 1日
平成 28年 10月 1日
氏
○ 五十嵐
石川
梅村
役
名
隆
広己
敏
職
国立成育医療研究センター理事長
小児科
公益社団法人
小児科
横浜労災病院
日本医師会
常任理事
院長
国立がん研究セ ンター
柴 田 大朗
分
野
氏
聖路加国際病院
次矢
福田 敬
藤原
安正
広島大学名誉教授
歯科
渥美
義仁
ライ フ・ エクステンシ ョン研究所付属
内分泌・ 代謝
新井
循環器 )
五十嵐 敦之
NTT東 日本関東病院 皮膚科部長
皮膚科
池田 浩治
東北大学病院臨床研究推進セ ンター
臨床開発・薬系
一
医療・福祉サー ビス
企画戦略局長
医療経済
岩中 督
一
埼 玉県立小児医
療 センター病院長
上田 孝文
国立病院機構
脚
がん研究会有明病院
山本
国立循環器病研究センター
横井
香平
◎
座長
○
臨床試験推進
榎本
脇調雷刊面・柵
酬
名古屋大学大学院医学系研究科
嘲
座長代理
斗
大学院循環制御内科学 教授 循環器内科
東京
小児外科
大阪医療セ ンター統括診療部 骨軟部腫瘍
入院診療部長
面・駆創易
消化器 外科
院長
セ ンター 長
呼吸器外科学 教授
光章
隆之
新潟大学大学院医歯学総合研究科
産婦人科学
リウ マ チ内科
名誉教授
山 口 俊晴
晴子
脳神経外科
学長
磯部
部長
東京医科歯科大学
信之
順天堂大学
内科・臨床疫学
酬
◎ 宮坂
糖尿病臨床研究セ ンター長
永寿総合病院
内科 (腎 臓 ・
研究支援 セ ンター 生物統計
院長
国立がん研究センター
康弘
野
開発推進部門長
国立保健医療科学院
研究部
分
職
赤川
生物統計部長
福井
役
名
産婦人科
教授
′ 1‖
郁
慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科教授
耳鼻咽喉科
越智
光夫
広島大学長
整形外科
川村
雅文
帝京大学医学部外科学講座
北川
雄光
慶應義塾大学外科学教授
木下
茂
京都府立医科大学 感覚器未来医療学 特任教授 再生医療・眼科
斎藤
忠則
社会福祉法人 賛育会
1ヽ
主任教授
賛育会病院
呼吸器外科
消化器外科
泌尿器科
泌尿器科部長
坂井
信幸
神戸市立医療 センター中央市民病院
脳神経外科部長
脳血管外科
笹子 三津留
澤
1兵 庫医科大学 集学的腫瘍外科学 特任教授
1消 化器外科
望月 修一
大阪大学大学院医学系研究科 研究科長・医学 1心 臓血管外科
芳樹
特任教授
部長
矢冨
高橋
信一
立正佼成会附属佼成病院
高橋
政代
理化学研究所 多細胞 システム形成研究センター 眼科
裕
消化器内科
副院長
山梨 大学融合 研究臨 床応 用推進 セ ンター 1医 療情報解析
東京大学大学院医学系研究科内科学専攻病態診 1目 謗導査
断医学講座 臨床病態検査医学分野 教授
山口 照英
1再
日本薬科大学・客員教授
網膜再生医療研究開発プロジエク トリーダー
田上
順次
谷川原
辻
祐介
省次
寺本
明
戸山 芳昭
長瀬
隆英
郷
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究 科・ 歯科
山口 芳裕
杏林大学医学部救急医学教授
救急
教授
山田 芳嗣
東京大学大学院医学系研究科外科学専攻
麻酔科
大阪医科大学
竹中 洋
耳鼻咽喉科
名誉教授
薬学
東京大学ゲ ノム 医科学研究機構長
神経内科
東京労災病院
脳神経外科
院長
平形
耕三
慶應義塾大学 常任理事
整形外科
東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻
呼吸器内科
明人
本田 浩
松井
健志
国立障害者 リハ ビリテー シ ヨンセンタニ
駐
・
医 ヨ 寮
前総長
痛斗
杏林大学医学部眼科教授
眼科
野
教授 ¨
九州大学大学院
国立循環器病研究セ ンター 研究開発基盤
生命倫理
センター 医学倫理研究部 倫理研究室・ 室長
薬剤部
教授
松原
和夫
京都大学医学部附属病院
三村
搭
慶應義塾大学
村垣
善浩
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所教授
精神医学講座
主任教授
薬学
精神科
脳神経外科・
医療 工学
村田 満
慶應義塾大学医学部臨床検査医学教授
臨床検査
生体管理医学講座麻酔学
○
慶應義塾大学医学部臨床薬剤学教授
呼吸器内科 教授
中村
生医療・生物
出席者
教授
先 - 1
29.2.2
先進医療の新規届出技術について
(届出状況/1月受理分)
受理
番号
77
技術名
腹膜播種を伴う胃がんに
対するS-1/シスプラチン
+パクリタキセル腹腔内
投与併用療法
適応症等
腹膜播種を
伴う胃癌
申請医療機関
名古屋大学医学部
附属病院
(国家戦略特区)
先進医療
の内容
医薬品・
医療機器
等情報
別紙1-1 別紙1-2
保険給付されない
費用※1※2
(「先進医療に係る費用」)
保険給付される
費用※2
(「保険外併用療養費
に係る保険者負担」)
保険外併用
療養費分に係る
一部負担金
先進医療A
又はB
(事務局案)
受理日
※3
12万8千円
(6コース投与の場合)
145万5千円
(6コース投与
の場合)
63万8千円
(6コース投与
の場合)
先進医療B
H29.1.12
※1 医療機関は患者に自己負担を求めることができる。
※2 典型的な1症例に要する費用として申請医療機関が記載した額。
※3 原則として15日以降に受理した場合は翌月分として処理している。
【備考】
○ 先進医療A
1 未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴わない医療技術(4に掲げるものを除く。)
2 以下のような医療技術であって、当該検査薬等の使用による人体への影響が極めて小さいもの
(1)未承認等の体外診断薬の使用又は体外診断薬の適応外使用を伴う医療技術
(2)未承認等の検査薬の使用又は検査薬の適応外使用を伴う医療技術
○ 先進医療B
3 未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴う医療技術(2に掲げるものを除く。)
4 未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴わない医療技術であって、
当該医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるもの。
1
別紙1-1
様式第5号
先進医療の内容 (概要)
先進医療の名称:
腹膜播種を伴う胃がんに対する S-1/シスプラチン+パクリタキセル腹腔内投与併用療法
適応症:腹膜播種を伴う胃癌
内容:
(先進性)
腹膜播種は胃癌患者の予後を規定する最も重大な因子の一つであるが、腹膜播種症例を対象とし
た化学療法の臨床試験は少なく、十分なエビデンスが得られていないのが現状である。パクリタ
キセル腹腔内投与と S-1+パクリタキセル経静脈投与を併用する新規治療法は、第Ⅰ相試験、第
Ⅱ相試験および高度医療評価制度下の第Ⅱ相試験において、安全性と有効性が確認され、
S-1+CDDP 療法と比較する第Ⅲ相試験(先進医療 B 承認番号 5)において、S-1+パクリタキセル
経静脈・腹腔内併用療法の有効性が示唆され、現在、パクリタキセル腹腔内投与の薬事承認およ
び保険収載に向けて審議が行われている段階である。パクリタキセル腹腔内投与併用化学療法に
より腹膜播種が制御される一方で原発巣や他臓器転移が進行することがあるため、更なる生存期
間延長のためには、より強力な全身化学療法を腹腔内投与と併用するレジメンの開発が急務であ
る。その候補として本邦における標準治療である S-1/シスプラチン併用療法とパクリタキセル
腹腔内投与を併用する治療法を考案し、第Ⅰ相試験により安全性を確認し、推奨投与量を決定し
た。本併用化学療法は、腹膜播種陽性胃癌に対して有効性が期待される新規治療法である。
(概要)
本試験は、腹膜播種陽性の初発胃癌症例を対象として、S-1/シスプラチン+パクリタキセル腹
腔内投与併用療法の有効性と安全性を評価することを目的とする。35 日を 1 コースとして、S-1
80mg/m2 を 21 日間内服、14 日間休薬し、シスプラチン 60mg/m2 を第 8 日目に点滴静注、パク
リタキセル 20mg/m2 を第 1, 8, 22 日目に腹腔内投与する。本療法は腫瘍進行が確認されるか、有
害事象により継続困難となるまで反復する。
主要評価項目は 1 年全生存割合、副次的評価項目は奏効率、腹腔洗浄細胞診陰性化率および安全
性とする。本試験には、先進医療制度下に腹腔内化学療法の臨床試験を実施中の腹腔内化学療法
研究会の 35 施設が参加し、登録症例数は 50 例を予定する。
(効果)
本療法の第Ⅰ相試験には腹膜播種陽性胃癌 9 例(一次治療 2 例、二次治療 7 例)が登録され、S-1
の用量を 80mg/m2、CDDP 経静脈投与の用量を 60mg/m2 に固定し、PTX 腹腔内投与の用量を
15mg/m2 (Level 1) から 20mg/m2 (Level 2) まで増量した。1コース終了時までに用量制限毒性
は出現しなかった。Grade3 以上の有害事象や腹腔内投与に関連した合併症や副作用はみられな
かった。その結果、推奨投与量は Level 2 に決定された。治療前に腹腔洗浄細胞診が陽性であっ
た 7 例中 4 例において 1 コース治療後には陰性化を認め、治療後に二次審査腹腔鏡を施行した 3
例では腹膜播種の縮小が確認された。
1
(先進医療にかかる費用)
本技術に係る総費用は 2,220,590 円である。先進医療に係る費用は、平均的な投与回数である 6
コース投与の場合 127,800 円で、全額自己負担である。なお、投与回数は患者の経過により異な
るが、投与 1 コース当たり 21,300 円、最大で 10 コースまで投与された場合は 213,000 円となる。
2
別紙1-2
様式第3号
先進医療の実施計画先進医療の実施計画
1.先進医療技術の名称
腹膜播種を伴う胃がんに対する S-1/シスプラチン+パクリタキセル腹腔内投与併用療法
2-1.使用する医薬品、医療機器又は再生医療等製品について
①使用する医療機器(未承認又は適応外のものから記載すること。)
医 療
製造販 売業
型
医薬品医療 医薬品医療機器法承認
機器名
者名及 び連
式
機器法承認
又は
絡先
又は
認証上の適応
認証番号
(注1)
(16桁)
医薬品医療
機器法上の
適応外使用
の該当
(注2)
②使用する医療材料(ディスポーザブル)及び医薬品
(未承認又は適応外のものから記載すること。)
品目名
製造販売業者名及び連絡
先
規格
薬事法承認
又は
認証番号
(16桁)
タキソール注
射液
ブリストル・マイヤーズ
株式会社
新宿区西新宿 6-5-1
03-6705-7000
30mg/
5mL
21700AMX
00177000
パクリタキセ
ル注「NK」
日本化薬株式会社 千代
田区富士見 1-11-2
03-3237-5051
30mg/
5mL
21800AMZ
10212
パクリタキセ
ル注射液
「サワイ」
沢井製薬株式会社 大阪
市淀川区宮原 5-2-30
06-6105-5711
30mg/
5mL
21800AMZ
10244000
ティーエスワ
ン配合 OD 錠・
カプセル・顆粒
(一般名 S-1)
大鵬薬品工業株式会社
東京都千代田区神田錦町
1-27
03-3293-2451
OD 錠
20mg
25mg
カプセル
20mg
25mg
顆粒
20mg
25mg
22500AMX
00075000
22500AMX
00076000
22100AMX
00886000
22100AMX
00887000
22100AMX
00111000
22100AMX
00112000
薬事法承認
又は
認証上の適応
薬事法上
の適応外
使用の該
当
卵巣癌,非小細胞肺癌,乳癌,
胃癌,子宮体癌
用法:点滴静注
適応外
1
胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部
癌、非小細胞肺癌、手術不能
又は再発乳癌、膵癌、胆道癌
適応内
ランダ注
日本化薬株式会社 千代
田区富士見 1-11-2
03-3237-5051
10mg/
20mL
25mg/
50mL
50mg/
100mL
22000AMX
01851
22000AMX
01852
22000AMX
01853
ブリプラチン
注
ブリストル・マイヤーズ
株式会社
新宿区西新宿 6-5-1
10mg/
20mL
25mg/
50mL
50mg/
100mL
21900AMX
01258
21900AMX
01259
21900AMX
01260
シスプラチン
点滴静注「マル
コ」
日医工株式会社
富山市総曲輪 1-6-21
10mg/
20mL
25mg/
50mL
50mg/
100mL
22100AMX
0616
22100AMX
0617
22100AMX
0618
シスプラチン
注「日医工」
日医工株式会社
富山市総曲輪 1-6-21
10mg/
20mL
25mg/
50mL
50mg/
100mL
21800AMZ
10126000
21800AMZ
10127000
21800AMZ
10128000
シスプラチン
注「ファイザ
ー」
ファイザー株式会社
東京都渋谷区代々木
3-22-7
10mg/
20mL
25mg/
50mL
50mg/
100mL
22100AMX
00150
22100AMX
00142
22100AMX
00143
シスプラチン
点滴静注液「フ
ァイザー」
ファイザー株式会社
東京都渋谷区代々木
3-22-7
10mg/
20mL
25mg/
50mL
50mg/
100mL
03AM 輸-0333
03AM 輸-0335
03AM 輸-0334
睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿
管腫瘍、前立腺癌、卵巣癌、
頭頸部癌、非小細胞肺癌、食
道癌、子宮頸癌、神経芽細胞
腫、胃癌、小細胞肺癌、骨肉
腫、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵
巣腫瘍、性腺外腫瘍)、悪性胸
膜中皮腫、胆道癌
以下の悪性腫瘍に対する他
の抗悪性腫瘍剤との併用療
法
悪性骨腫瘍、子宮体癌 (術後
化学療法、転移・再発時化学
療法)、再発・難治性悪性リン
パ腫、小児悪性固形腫瘍 (横
紋筋肉腫、神経芽腫、肝芽腫
その他肝原発悪性腫瘍、髄芽
腫等)
③使用する再生医療等製品(未承認又は適応外のものから記載すること。
)
品目名
製造販売業
規
医薬品医療 医薬品医療機器法承認 医薬品 医療
者名及び連
格
機器法承認
又は
機器法 上の
絡先
又は
認証上の適応
適応外 使用
認証番号
(注1)
の該当
(16桁)
(注2)
2
適応内
④医療機器、医療材料、医薬品又は再生医療等製品が医薬品医療機器法上の適応外使用に該当す
る場合の医薬品医療機器法承認一部変更申請状況
医療機器名又は品目名
薬事法承認一部変更申請状況
タキソール注射液
なし
パクリタキセル注「NK」
なし
パクリタキセル注射液「サワイ」
なし
⑤医療機器、医療材料、医薬品又は再生医療等製品が医薬品医療機器法上の未承認又は適応外使
用に該当する場合の使用方法等
35 日を 1 コースとし、S-1 は標準量(80mg/m2)を 21 日間内服し、14 日間休薬する。
シスプラチンは第 8 日目に 60mg/m2 を経静脈投与し、パクリタキセルは第 1, 8, 22
日目に 20mg/m2 を腹腔内投与する。
⑥未承認又は適応外の場合は、□にレと記載する。
☑
当該医薬品・医療機器・再生医療等製品について、薬事承認の申請時及び
取得時において、申請企業から情報提供がなされることとなっている。
注1)医薬品医療機器法承認又は認証上の使用目的、効能及び効果を記入すること。
注2)医薬品医療機器法において適応外使用に該当する場合は「適応外」、医薬品医療機器法で承認された適応
の範囲内の使用の場合は「適応内」と記載すること。
2-2.海外での承認に関する情報
米国での薬事承認の状況
パクリタキセル
適応症 卵巣癌,非小細胞肺癌,乳癌,カポジ肉腫用法
点滴静注
欧州での薬事承認の状況
パクリタキセル
適応症 卵巣癌,非小細胞肺癌,乳癌,カポジ肉腫用法
3
点滴静注
先 - 2
29.2.2
先進医療Aの新規届出技術に対する事前評価結果等について
整理
番号
技術名
糖鎖ナノテクノロジーを用いた
高感度ウイルス検査法による
331
感染症診療および院内感染
対策支援
適応症等
インフルエンザ
事前評価
申請医療機関
保険給付されない
費用※1※2
(「先進医療に係る費用」)
保険給付される
費用※2
(「保険外併用療養費
に係る保険者負担」)
保険外併用
療養費分
に係る一部
負担金
受付日
※3
鹿児島大学病院
5千7百円
(施設負担が3千5百円、
企業負担が2百円であり、
患者負担は2千円)
1万2千円
5千円
H28.12.14
その他
担当
担当
(事務的
構成員 総評 技術委員 総評 対応等)
(敬称略)
(敬称略)
五十嵐
※1 医療機関は患者に自己負担を求めることができる。
※2 典型的な1症例に要する費用として申請医療機関が記載した額。
※3 原則として15日以降の受付の場合は翌月受付分として処理している。
【備考】
○ 先進医療A
1 未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴わない医療技術(4に掲げるものを除く。)
2 以下のような医療技術であって、当該検査薬等の使用による人体への影響が極めて小さいもの
(1)未承認等の体外診断薬の使用又は体外診断薬の適応外使用を伴う医療技術
(2)未承認等の検査薬の使用又は検査薬の適応外使用を伴う医療技術
○ 先進医療B
3 未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴う医療技術(2に掲げるものを除く。)
4 未承認等の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の使用又は医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品の適応外使用を伴わない医療技術であって、
当該医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるもの。
1
適
村田
適
別紙2
別紙
2
先進医療A評価用紙(第1-1号)
評価者
構成員: 五十嵐
隆
技術委員:
先進技術としての適格性
先 進 医 療
の
名
称
糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診療および
院内感染対策支援
適
応
症
A.妥当である。
B.妥当でない。(理由及び修正案:
有
効
性
A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。
B.従来の技術を用いるよりもやや有効。
C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。
安
全
性
A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし)
B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり)
C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり)
技
成
術
熟
的
度
社会的妥当性
(社会的倫理
的 問 題 等 )
現時点での
普
及
性
A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。
B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行
える。
C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を
とっていないと行えない。
A.倫理的問題等はない。
B.倫理的問題等がある。
A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。
B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。
C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。
既に保険導入されている医療技術に比較して、
効
率
性
A.大幅に効率的。
B.やや効率的。
C.効率性は同程度又は劣る。
将来の保険収
載の必要性
A.将来的に保険収載を行うことが妥当。
B.将来的に保険収載を行うべきでない。
総合判定:
総
評
)
適 ・ 条件付き適・ 否
コメント: 別紙にて記載
1
「糖鎖ナノテクノロジーを用いた好感度ウイルス検査法による感染症診断およ
び院内感染対策支援」への評価
成人はインフルエンザ感染症の流行期に発熱、筋肉痛、だるさなどのインフ
ルエンザ感染に起因する症状があれば、インフルエンザ感染症の可能性が高い。
しかしながら、小児では臨床症状からインフルエンザ感染症を診断することは
難しい。そのため、小児では客観的・正確で迅速に結果を得ることのできるイ
ンフルエンザ感染症の検査の必要性が高く、わが国では免疫反応を用いた迅速
診断検査(イムノクロマト法)が広く用いられている。ただし、海外でのイン
フルエンザ迅速診断検査の評価は低く、ほとんど利用されていない。
本先進医療(検査)は発熱が出現してから 12 時間以内のインフルエンザ感染
症疑いの患者の臨床検体(唾液または鼻汁)中のインフルエンザウイルスを、
ウイルスに結合する糖鎖をナノ粒子に固体化した材料に結合させ、磁気を用い
てインフルエンザウイルスを濃縮し、さらに RT-PCR 法(遺伝子増幅)にてイン
フルエンザウイルスの増幅を図る検査である。
本法の特徴は、
1)
臨床検体からのウイルスの捕獲濃縮作業が 3 分以内と極めて短時間で可
能で、検査開始から 20 分以内に検査結果を得られる(以前の RT-PCR を用
いた遺伝子検査では 1-3 時間程度かかった)こと、
2)
患者からの検体採取時に障害を生じさせることの少ない唾液や鼻汁など
を臨床検体として用いる [確かに従来の迅速診断法(イムノクロマト法)
では粘膜を傷つけて得た(鼻腔粘膜スワブ)検体を用いることが多かっ
た。最近では、唾液や鼻汁などを検体として用いる診断キットが出て来
ている。]こと、
3)
迅速診断法(イムノクロマト法)に比べて本法の検出感度が極めて高い
(迅速診断法で陰性と出た検体を対象に本法を用いて検査すると、半数
以上の検体でインフルエンザウイルスが検出できた。)こと、
などから、本法の検出感度は従来の迅速診断法よりも高く、技術的有用性は高
いと判断される。
一般にインフルエンザ感染による発熱出現から 12 時間以内は粘膜へのウイル
2
ス排泄量が少ないため、ウイルス排泄量が増加(103-104 plaque forming unit/mL
以上に)する発熱が見られてから 12 時間以上経過しないと既存の迅速診断法(イ
ムノクロマトグラフィー法)ではウイルスの検出率は低いとされていた。一方、
本法(RT-PCR 法)はより少量のウイルス量であっても陽性と検出できる感度を有
しており、検出感度はイムノクロマトグラフィー法の 1000 倍とされる。そのた
め、インフルエンザウイルス感染による発熱出現から 12 時間以内の患者でもウ
イルスを陽性として検出できる可能性が高い。なお、本法では遺伝子増幅装置
(RT-PCR 測定装置あるいは高速 RT-PCR 測定装置)が必要で、検査実施時には
RT-PCR の経験が不可欠である。
ただし、近年になってイムノクロマトグラフィー法の改良が進み、発熱の出
現から 6 時間以内の患者でもインフルエンザウイルスを検出できる高感度迅速
診断法(高感度イムノクロマトグラフィー法)が発売されている。この方法は、
従来のイムノクロマトグラフィー法の 100 倍の感度を有している。しかも、検
体として鼻汁鼻かみ液をも利用できる様になっている。
<評価>
本先進医療(検査)では、適応症をインフルエンザ感染症の疑い(の患者)
であることから妥当であり、従来の技術(イムノクロマト法はもちろんのこと、
恐らく高感度イムノクロマトグラフィー法も)に比べ陽性率が高い事、発症か
らより早期の患者でも陽性と診断できる可能性が高いこと、安全性には問題が
なく、検査法も簡単な指導にて実施可能であり、倫理的問題もなく、現時点で
はインフルエンザウイルス感染症疑いの患者には実施されていない方法による
検査で、効率も従来の技術よりも高く、将来は保険収載も視野に入れることが
できると判断する。よって、総評としては「適」と判断する。
ただし、届出書には従来の迅速診断法(イムノクロマトグラフィー法)との
検査結果の比較が示されているが、最近発売された高感度迅速診断法(高感度
イムノクロマトグラフィー法)との比較が示されていない。また、本検査では
RT-PCR 測定装置あるいは高速 RT-PCR 測定装置を用いるため、測定装置の購入費
(50-100 万円程度)がかかることも記憶に留めておきたい。
評価者
五十嵐 隆(平成 29 年 1 月 16 日)
3
先進医療A評価用紙(第1-1号)
評価者
構成員:
技術委員: 村田 満
先進技術としての適格性
先 進 医 療
の
名
称
糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診療および
院内感染対策支援
適
応
症
A.妥当である。
B.妥当でない。(理由及び修正案:
有
効
性
A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。
B.従来の技術を用いるよりもやや有効。
C.従来の技術を用いるのと同程度、又は劣る。
性
A.問題なし。(ほとんど副作用、合併症なし)
B.あまり問題なし。(軽い副作用、合併症あり)
C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり)
安
技
成
全
術
熟
的
度
社会的妥当性
(社会的倫理
的 問 題 等 )
現時点での
普
及
性
)
A.当該分野を専門とし経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行える。
B.当該分野を専門とし数多く経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば行
える。
C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制を
とっていないと行えない。
A.倫理的問題等はない。
B.倫理的問題等がある。
A.罹患率、有病率から勘案して、かなり普及している。
B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及している。
C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない。
既に保険導入されている医療技術に比較して、
効
率
性
A.大幅に効率的。
B.やや効率的。
C.効率性は同程度又は劣る。
将来の保険収
載の必要性
A.将来的に保険収載を行うことが妥当。
B.将来的に保険収載を行うべきでない。
総合判定: 適 ・
コメント:
総
評
条件付き適
・
否
• 有効性について:迅速検査と比較して感度が向上するため「大幅に有効」としたが、総合的
な診療アウトカムについては現時点で判断出来ない。また既に保険収載されているA型イン
フルエンザを検出する核酸同定法(LAMP法)との比較がされていない。
• 効率性について:既に保険導入されている迅速検査と比較し、感度は向上するものの、検査
に要する時間が延長すること、また費用もかかることから「やや効率的」とした。
• 将来の保険収載の必要性について:「妥当」としたが、同じ技術を用いた他のウイルスに対
する検査の保険収載がすべて妥当ではない。インフルエンザは罹患率が高いことや感染制御
上重要であることから、将来の保険収載は妥当と判断した。
4
先進医療A評価用紙(第 1-2 号)
当該技術の医療機関の要件(案)
評価者
構成員: 五十嵐 隆
技術委員:
先進医療名及び適応症:糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診療お
よび院内感染対策支援/インフルエンザ
Ⅰ.実施責任医師の要件
診療科
要(
)
・不要
資格
要(
)
・不要
当該診療科の経験年数
要(
)年以上・不要
当該技術の経験年数
要(
当該技術の経験症例数 注 1)
実施者[術者]として (
)年以上・不要
)例以上・不要
[それに加え、助手又は術者として ( )例以上・不要]
その他(上記以外の要件)
RT-PCR 検査の技術・経験は必要である。ただし、経験年数までは
求めない。
Ⅱ.医療機関の要件
診療科
要(
実施診療科の医師数 注 2)
要・不要
他診療科の医師数 注 2)
要・不要
その他医療従事者の配置
要(医師自らが本検査を実施できない場合に、RT-PCR の経験
(薬剤師、臨床工学技士等)
)
・不要
のある臨床検査技師の配置が必要)
・不要
病床数
要(
床以上)・不要
看護配置
要(
)
・不要
当直体制
要(
)
・不要
緊急手術の実施体制
要・不要
院内検査(24 時間実施体制)
要・不要
他の医療機関との連携体制
要・不要
(患者容態急変時等)
連携の具体的内容:
医療機器の保守管理体制
要(RT-PCR 装置の保守点検)・不要
倫理委員会による審査体制
審査開催の条件:倫理審査委員会または医の倫理委員会が設
置されており、必要な場合に事前に開催すること。
医療安全管理委員会の設置
要・不要
医療機関としての当該技術の実施症例数
要(
症例以上)
・不要
その他(上記以外の要件、例;遺伝カウン
セリングの実施体制が必要 等)
Ⅲ.その他の要件
頻回の実績報告
要(
)
・不要
その他(上記以外の要件)
注 1)当該技術の経験症例数について、実施者[術者]としての経験症例を求める場合には、
「実施者[術者]とし
て
(
)例以上・不要」の欄を記載すること。
注 2)医師の資格(学会専門医等)
、経験年数、当該技術の経験年数及び当該技術の経験症例数の観点を含む。例え
ば、
「経験年数○年以上の△科医師が□名以上」
。なお、医師には歯科医師も含まれる。
5
様式第5号
先進医療の内容 (概要)
先進医療の名称:糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診療および
院内感染対策支援
適応症:インフルエンザ
内容:
(先進性)
ウイルスに結合する糖鎖を固定化した、ウイルス粒子よりも小さなナノ粒子を用いて、検体中の微量
なウイルスを捕捉濃縮精製することによって、従来のウイルス遺伝子抽出法よりもはるかに短時間で、
簡単に高感度のウイルス性疾患の高感度検査を行うことができるようになった。高濃度であることか
ら、唾液など、ウイルス数が極端に少ない検体でも検査できる。よって、現在インフルエンザの検査で
一般的な鼻腔粘膜スワブを使用する必要がない。すなわち非侵襲性の検査が可能となる。また、破壊し
たウイルスから遊離した遺伝子(核酸)や蛋白質がいつまでも残り、疾患には無関係となっても、従来
の方法では区別できない場合がある。本方法では、感染性を保ったウイルス粒子のみを捕捉濃縮するた
め、より臨床治療に直結した検査が可能となる。以上のように、先進性は高い。
(概要)
ウイルス(インフルエンザウイルス A 型、B 型)を対象とし、本学理工学研究科の隅田らが開発し
た糖鎖を固定化した磁性金ナノ粒子(SMGNP)(
(株)スディックスバイオテックから研究用試薬として
供給されている。未承認。
)を使用して、遺伝子を定量リアルタイム PCR により測定する。検体(唾
液、または鼻汁、または喀痰)を等張リン酸緩衝液で希釈し、SMGNP を加える。SMGNP は固定化
されている糖鎖を介してウイルスに結合し、磁力により分離する。分離したウイルスとナノ粒子の混合
物に SDS(高性能石けん水)を加えてウイルス粒子を破壊し、遊離してくる遺伝子を定量的リアルタ
イム PCR で検出する。なお、初回診療後 12 時間以上経過後に、同一患者を再診し、発熱の持続など
必要に応じてイムノクロマト法である迅速診断キットを用いて診断する。それらの結果を比較して早期
診断率を検討し、本法の技術的優位性を示す。検査後は、医師と患者(または家族)に以下の項目のア
ンケート調査を行い、近い将来に PMDA への認可申請の際の参考データとする。
医師へのアンケート項目(5 段階評価とする):①診療に役立ったか;②院内感染対策に役立ったか;
③隔離を行ったか;④薬を処方したか;⑤検体採取は容易だったか;⑥検査は迅速だったか;⑦従来法
と比べて有用か
患者(家族)へのアンケート項目(5 段階評価とする)
:①従来法に比べて良い検査法か;②検査費用
は妥当か
(効果)
インフルエンザウイルスの場合には、in vitro 実験では従来の RT-PCR 法に比べて約 1000 倍の感度
上昇を達成している。臨床研究でも、唾液や鼻汁から、従来の鼻腔粘膜スワブを用いた迅速診断キット
の検査では陰性と判断された患者の検体にウイルスが確認されている。
6
(先進医療にかかる費用)
本技術に関する総費用は、様式第 6 号に記載している治療例では、23,890 円となっている。先進医
療に係わる費用は 5,650 円で、このうち研究者負担は 0 円、実施施設負担は 3,500 円、企業負担は 150
円となり、よって患者負担額は 2,000 円である。
7
ウイル
ス結合
糖鎖
非侵襲検体(唾液
または鼻汁)を
バッファーに溶解
させて得られるウ
イルス液
プロトコール
ウイルスの捕捉濃縮精製(
所用時間
糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診療および院内感染対策支援
糖鎖固定化
ナノ粒子で
ウイルスを
捕捉
発熱後12時間以内のインフルエンザ疑い患者
唾液または鼻汁の採取
糖鎖固定化ナノ粒子でウイルスを捕捉濃縮精製
RT-PCR測定装置でウイルス量の定量①
糖鎖固定化
ナノ粒子
ウイルス量、患者の年齢や症状から、医師が必要と
考えた場合抗ウイルス薬を1日分投与(自由診療)
分離(磁気 )
12時間以上経過後再診
・病状継続患者(迅速診断キットによる検査)②
・病状寛解患者③
ウイルスの濃縮
①、②、③から早期診断率を検討し、発熱後12時間以内に
行う本検査診断法の技術的優位性を明らかにする
分)
3
ウイルス粒子の溶
解とRNAの遊離
高速RT-PCR測定機 (測定時間15 分)
0.04
0.03
H4N6
0.02
直接 RT-PCR 測定
(TaqMan法)
インフルエンザウイルスA/Bのコ
ピー数/mLを定量
汎用機(測定時間 90 分)
0.01
0
-0.01
1 6 11 16 21 26 31 36 41 46 51
Cycle number
8
PPT
薬事承認申請までのロードマップ
先行臨床研究
・ 試験名:糖鎖ナノテクノロ
ジーを用いた高感度ウイルス
検査法の臨床応用
・ 前方視的観察研究
・ 期間:2010~2021
・ 被験者数:約2500
・ 今までの結果の概要
① インフルエンザ疑い患者の
鼻腔粘膜スワブを用いて
迅速診断キット検査で陰
性であった患者の唾液の
50%以上から、インフルエ
ンザウイルス(AまたはB
型)が検出された。
② 迅速診断キット陽性患者
の唾液や鼻汁からは超高
濃度(A型:2000万コピー
/mL(N=52)、B型:1100万
コピー/mL(N=40)、同キッ
ト陰性(N=16)でも、A:約60
万、B=約4万コピー/mL以
上のウイルスが検出され、
本方法が早期診断法とし
て有用であることが分かっ
た。
糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検
査法による感染症診療および院内感染対策支援
先進医療
臨床性能試験
・ 試験名:糖鎖ナノテクノロ
ジーを用いた高感度ウイル
ス検査法による感染症診療
および院内感染対策支援
・ 前方視的観察研究
・ 期間:2017~2021
・ 選択基準:インフルエンザ
疑い患者
・ 被験者数:300
・ 予想される有害事象:なし
・ 評価項目
① 主要:発熱後12時間以内
に行う本検査診断法の早
期診断法としての技術優
位性を明らかとする。
② 副次:医師と患者にアン
ケートを行い、本検査法
の許容優位性を明らかと
する。
9
試験名:糖鎖ナノテクノロ
ジーを用いた高感度インフ
ルエンザA/B型ウイルス検
査試験
・ 試験デザイン:2群、A型
200例、B型200例、相関性
試験、感度試験
メーカー
対外診断薬の
キット化
QC/QM
大量生産体制
対外診
断薬の
薬事申
請
対外診断薬
の薬事承認
欧米での現状
薬事承認: 米国(無) 欧州(無)
ガイドライン記載:(無)
進行中の臨床試験(無)
【別添1】
「糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症
診療および院内感染対策支援」の申請医療機関等(申請書類より抜粋)
1.申請医療機関
・鹿児島大学病院
2.協力医療機関
・なし
3.参加予定医療機関
・なし
10
【別添2】
「糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症
診療および院内感染対策支援」の期待される適応症、効能及び効果(申請書類
より抜粋)
3.期待される適応症、効能及び効果
適応症:インフルエンザ
効能及び効果:
現在保険適用されているインフルエンザの検査では、鼻腔粘膜スワブを採取し、イム
ノクロマト法によってウイルスの有無を調べている。イムノクロマト法は感度が十分で
はないため、患者は受診を待機させられる事例が多く見られる。また、侵襲性の高い検
体採取法であることから、患者が検査を拒む事例もある。それらの結果、病状の重篤化
を招き、肺炎など合併症に対する多量の抗菌薬使用につながっている。本先進医療では、
非侵襲的に採取できる検体、すなわち唾液や鼻汁などウイルス量が少なく、また遺伝子
検査の阻害物が多く混合している検体から、迅速簡便にウイルスを濃縮して PCR 法によ
る遺伝子検査を行う。これによって、検体を得てから 20 分以内にウイルスの感染の有無
を調べることも可能となった。
本先進医療の結果、非侵襲性の高感度迅速検査診断が可能になり、ウイルスに感染し
た患者への投薬等適切な治療を迅速に行うことが出来る。また罹患早期に適切な抗ウイ
ルス薬で治療できるため、不必要な抗菌薬を使用する必要がなくなる。また免疫不全者
など早期治療が必要な患者の重症化を防ぐことができる。さらに、医療機関において患
者の隔離など適切な伝播予防策を迅速に行うことが可能となり、発生すると多額の費用
が必要になる院内感染のアウトブレイク防止も可能となる。以上から、本先進医療は、
わが国の医療費削減と医療サービスの向上に貢献するものである。
11
【別添3】
「糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症
診療および院内感染対策支援」の被験者の適格基準及び選定方法(申請書類よ
り抜粋)
5.被験者の適格基準及び選定方法
鹿児島大学病院の外来・入院患者および職員のうち、インフルエンザの疑いがある者(発
熱後 12 時間以内の患者)
、またインフルエンザ患者と接触した付き添い者や医療従事者で
インフルエンザ症状があり(発熱後 12 時間以内)
、かつ承諾を得た者も対象とする。
先進医療対象者に同意を得る方法
すべての対象者に「説明文書」に基づいた説明を行う。説明文書には、先進医療の目的、
検査方法、予測される結果、本先進医療への参加を強制されることがないこと、いつでも
参加を中止できること、プライバシーが保護されること等を記載し、その自由意志による
同意を得る。対象者の同意が得られた場合にのみ同意書の署名を得て保管する。
12
【別添4】「糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診
療および院内感染対策支援」の有効性及び安全性の評価(申請書類より抜粋)
7-1.有効性及び安全性の評価
すでに多くの臨床研究によって、本法の有効性や安全性は証明されている。たとえば、インフルエン
ザウイルスの場合、従来からの検査方法である迅速診断キットを用いた診断が一般的であるが、鼻腔粘
膜スワブという痛みを伴う検体採取を行わねばならない上に、ウイルス感染初期のウイルス量が充分で
ない場合には陰性となるケースがある。先行臨床研究において、インフルエンザが疑われる患者を対象
とした唾液を用いた当該技術と鼻腔粘膜スワブを用いた迅速診断キット検査の同時比較を行った結果、
鼻腔粘膜スワブを用いた迅速診断キットで陰性であった患者の唾液が、当該技術で陽性となるケースが
約半分に確認された(以下の①有効性が確認された事例-1を参照)
。なお、検体は患者の唾液であるこ
とから、粘膜等を傷つけたり痛みを伴うことがなく、安全性にも優れていた。
また、兵庫医科大学病院において、ウイルス力価が確定している実験室株(A/H2N2/Okuda)および臨
床分離株 38 株を用いて行った、現在最も高感度であるとされている製品の迅速キットを用いた臨床研究
では、検出可能な最低ウイルス濃度は平均して 2000 万コピー/mL であることが示されている。また、同
じ会社製品と実験室株(A/H2N2/Okuda)を用いて鹿児島大学大学院理工学研究科で行った PCR との比較
実験でも、同様の結果が観察されている。
さらに、2015-2016 シーズンに行った臨床研究のうち、最流行期と考えられた 2015 年 12 月 16 日から
2016 年 4 月 16 日までに行った唾液、鼻汁、またはそれらの混合物を検体として用いて、本先進医療で
採用する糖鎖固定化ナノ粒子によるウイルスの捕捉濃縮精製をしてから行った定量 PCR の結果と、鼻腔
粘膜スワブを用いて行った迅速診断キット(最も感度が高いといわれているデンカ生研社製のクイック
ナビ Flu を使用)の結果を比較(有効性が確認された事例-2を参照)した。これらから、迅速診断キ
ットで陽性の場合には、検体中に非常に高濃度のウイルスが存在すること、また、迅速診断キットで陰
性の検体や、未測定の検体にもかなりのウイルス量があることが分かった。
①有効性が確認された事例-1
患者
大人
(N = 74)
子供
(15才以下)
(N = 109)
簡易キット
(鼻腔粘膜拭い液)
本先進医療法(唾液)/遠心法
A
B
-
A+
25
25
0
0
B+
3
1
2
0
-
46
24
0
22
A+
56
54
0
2
B+
7
1
4
2
-
46
23
3
20
2011-12 シーズンに、村上こどもクリニックおよび鹿児島大学病院で、インフルエンザ疑い患者の検
査結果の比較をおこなった。患者の鼻腔粘膜拭い液(侵襲性)を用いた迅速診断キット(イムノクロマ
トグラフィー)での検査と、同一患者の唾液(非侵襲性)を用いた糖鎖固定化ナノ粒子によるウイルス
の捕捉濃縮精製とリアルタイム PCR を用いた遺伝子検査とを比較した。簡易キットでの陽性患者は、本
13
方法とほぼ一致していたが、陰性患者の半数以上(大人の患者の 52% 、小児患者(15 才以下)の 57%)
は本法で唾液中のウイルスが確認でき、陽性であることが判明した。
①有効性が確認された事例-2
15M119-15M662
2015.12.16 数
2016.4.16
総数
544
迅速キット陰性
16
(PCRで陽性)
迅速キット A陽性
52
(PCRで陽性)
迅速キット B陽性
40
(PCRで陽性)
迅速キット未測定
110
(PCRで陽性)
唾液+鼻汁(混合) TaqMan µPCR
A
copy/mL
595,000
20,100,000
3,700,000
B
Ct
36.4
30.6
copy/mL
37,300
-
not
11,000,000
detect
33.4
2,740,000
唾液 SYB-G
A
Ct copy/mL
36.4
鼻汁 SYB-G
B
Ct
copy/mL
A
Ct
copy/mL
B
Ct
copy/mL
Ct
25,900
34.8
774 33.9
24,900
34.9
920
33.7
not
182,000
detect
32.0
80 36.0
1,150,000
29.4
83
36.0
29.5
11,600
36.0
3,540 32.5
11,000
36.0
1,410,000
27.0
31.2
37,400
34.3
2,900 32.7
182,000
32.0
38,000
30.3
2015-16 シーズンに、村上こどもクリニックで、インフルエンザ疑い患者の検査結果の比較をおこな
った。唾液と鼻汁を別々に採取して検体とし、オンサイトでウイルスの捕捉濃縮精製を行った。そして、
2 つのウイルスの捕捉濃縮精製液を等量ずつ混合してから、定量的リアルタイム PCR を TaqMan 法で行っ
た。さらに、それぞれの捕捉濃縮精製液を別々に、定量的リアルタイム PCR を SYB-G 法で行い、比較検
討した。サイクル数(Ct)は平均値であり、それぞれの方法でコントロールのプラスミドを用いて作成
したキャリブレーションカーブに基づいてウイルス濃度(copy/mL)を決定している。迅速診断キットで
陽性の場合には、検体中に非常に高濃度のウイルスが存在すること、また、迅速診断キットで陰性の検
体や、未測定の検体にもかなりのウイルス量があることが分かり、ウイルス量に基づく治療が可能であ
ることを示唆した。
②有効性が認められなかった事例、安全上の問題が発生した事例
なし
これらの先行臨床研究の結果に基づき、本先進医療では、以下のように検査と治療を行い、主要評価
項目を設定する。
(1)ウイルス感染初期のため、現存の迅速診断キットではウイルス抗原を検出できない可能性が高い、
発熱後 12 時間以内に、唾液(唾液が採取できない患者の場合は、鼻汁や喀痰など)を採取し、SMGNP に
よりウイルスの捕捉濃縮精製を行って、PCR で定量的検査を行う。定量 PCR の結果と患者の年齢や症状
から、医師が必要と考えた場合抗ウイルス薬を 1 日分投与する(自由診療)
。
(2)初回診療後 12 時間以上経過後(通常は翌日)に、再診を行い、発熱が持続している場合など必要が
あれば迅速診断キットでウイルス抗原の検査を行い、陽性の場合は抗ウイルス薬を投与する(保険診療)。
(3)
(1)の検査時のウイルスコピー数に基づく定量的検査結果と(2)の定性的検査結果とを比較し
て早期診断率を検討し、発熱後 12 時間以内に行う本検査診断法の技術的優位性を明らかにすることを主
たる評価項目とする。また、医師と患者に以下の項目でアンケートを行い、本先進医療における検査法
の許容優位性も明らかにし、PMDA への認可申請時のデータとする。
医師へのアンケート項目(5 段階評価とする)
:①診療に役立ったか;②院内感染対策に役立ったか;③
隔離を行ったか;④薬を処方したか;⑤検体採取は容易だったか;⑥検査は迅速だったか;⑦従来法と
比べて有用か
患者(家族)へのアンケート項目(5 段階評価とする)
:①従来法に比べて良い検査法か;②検査費用は
妥当か
14
【別添5】「糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診
療および院内感染対策支援」の予定の試験期間及び症例数(申請書類より抜粋)
7-2.予定の試験期間及び症例数
予定試験期間:平成28年10月1日~平成33年3月31日
予定試験期間及び予定症例数の設定根拠:従来の臨床研究で 1 年間に 700~1000 例を行って
いる。陽性率は 20%程度であるので、1 年間に診療所でも 200 例は陽性患者が見つかり、的確
な早期治療がなされている。本申請では、入院患者の重症化防止や院内感染の防止のための検
査診断も目的としているため、300 例を予定症例としている。なお、5 年以内に PMDA の認可申
請を計画しているので、試験期間は 5 年以内としている。
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【別添6】「糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診
療および院内感染対策支援」の治療計画(申請書類より抜粋)
6.治療計画
患者の呼吸器検体(唾液または鼻汁や喀痰等)を初回診療時に採取する。唾液は滅菌スピ
ッツに自分で排出する。鼻汁は綿棒を用いて医療従事者が採取する。人工呼吸管理中で、唾
液や喀痰の喀出が出来ない場合は、医療従事者が医療用の吸引チューブ等を用いて採取す
る。検体は直ちに検査部に送られ、同部で糖鎖固定化ナノ粒子と PCR を用いた高感度検査
法によりウイルス遺伝子を定量的に検出する。ウイルス遺伝子が検出されれば、その情報は、
電子カルテで直ちに担当医と感染制御部門医師のもとに送られ、定量されたウイルス量(A
型は 100,000 コピー/mL、B 型は 1000 コピー/mL 以上を目安とする)や患者の年齢等を考
慮のうえ、抗インフルエンザ薬(オセルタミビル、またはリレンザ、またはイナビル、また
は麻黄湯)を 1 日分投与する(自由診療)
。翌日(初回診療後、12 時間以上経過後)再診し、
必要に応じて迅速診断キットでの検査を行い、その結果が陽性の場合は、抗インフルエンザ
薬による治療を行う(保険診療)。
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【別添7】「糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診
療および院内感染対策支援」の先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件とし
て考えられるもの(申請書類より抜粋)
先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるもの
先進医療名及び適応症:糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診療お
よび院内感染対策支援(適応症:インフルエンザ)
Ⅰ.実施責任医師の要件
診療科
要(内科、外科、小児科、または医療環境安全部感染制御部
門)・不要
資格
要(
)
・不要
当該診療科の経験年数
要( 5 )年以上・不要
当該技術の経験年数
要(
当該技術の経験症例数 注 1)
実施者[術者]として (
)年以上・不要
)例以上・不要
[それに加え、助手又は術者として (
その他(上記以外の要件)
)例以上・不要]
なし
Ⅱ.医療機関の要件
診療科
要(小児科、内科、外科、整形外科、産婦人科、脳外科、皮膚科、
泌尿器科、眼科、耳鼻科、放射線科、臨床検査部、救急部、医療
環境安全部のいずれか)
・不要
実施診療科の医師数 注 2)
要・不要
具体的内容:
他診療科の医師数 注 2)
要・不要
具体的内容:
その他医療従事者の配置
要(
)
・不要
病床数
要(
床以上)
・不要
看護配置
要(
対1看護以上)
・不要
当直体制
要(
)
・不要
緊急手術の実施体制
要・不要
院内検査(24 時間実施体制)
要・不要
他の医療機関との連携体制
要・不要
(患者容態急変時等)
連携の具体的内容:
医療機器の保守管理体制
要・不要
(薬剤師、臨床工学技士等)
倫理審査委員会による審査体制
審査開催の条件:自病院もしくは、依頼のうえ他病院で開催し
て審査を受けたのち、自病院で医の倫理委員会を開催する。
医療安全管理委員会の設置
要・不要
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様式第9号
医療機関としての当該技術の実施症例数
その他(上記以外の要件、例;遺伝カウン
要(
症例以上)
・不要
なし
セリングの実施体制が必要 等)
Ⅲ.その他の要件
頻回の実績報告
その他(上記以外の要件)
要(
月間又は
症例までは、毎月報告)
・不要
なし
注 1)当該技術の経験症例数について、実施者[術者]としての経験症例を求める場合には、
「実施者[術者]
として (
)例以上・不要」の欄を記載すること。
注 2)医師の資格(学会専門医等)
、経験年数、当該技術の経験年数及び当該技術の経験症例数の観点を含む。
例えば、
「経験年数○年以上の△科医師が□名以上」
。なお、医師には歯科医師も含まれる。
18
先 - 3
29.2.2
平成 29 年度先進医療会議開催予定(案)
○
開催日程
NO
日
程
備
1
H29.
4.
6(木)16:00~
2
H29.
5.11(木)16:00~
3
H29.
6.
8(木)16:00~
4
H29.
7.
6(木)16:00~
5
H29.
8.
3(木)
6
H29.
9.
7(木)16:00~
7
H29.10.
5(木)16:00~
8
H29.11.
2(木)16:00~
9
H29.12.
7(木)16:00~
予備日
10
H30.
1.11(木)16:00~
11
H30.
2.
1(木)
12
H30.
3.
8(木)16:00~
予備日
1
考