一 般 地 質 学 大気と酸素

2017/1/31
一般地質学
(Physical Geology)
太古累代と原生累代
・初めは「時代」だった
水平な卓状地堆積物
第 14 回
( 不 整 合 )
変成・変形した大陸地殻構成岩類
=大陸地殻の合体・癒合?
理学部地球科学科
おお
とう
大
藤
茂
・現段階では「年代」に…
光 合 成
原生累代の地球
酸素の増加(大酸化事変~)
大きく見て2回の大氷河時代
(全球凍結):22~23 億年前,
6~8 億年前
超大陸の形成
多細胞生物の登場
→また「時代」となる可能性大
縞状鉄鉱層
年縞?
リーゼガング現象?
光合成
二酸化炭素
水
6CO2 + 6H2O 酸素
→ C6H12O6 + 6O2
炭水化物(単純化)
大気と酸素
☆緑色生物の光合成
→二酸化炭素から酸素へ
☆酸素の増加(約24億年前)
→環境変化,縞状鉄鉱層
(大酸化事変:GOE)
☆オゾン層(O3)
→紫外線吸収,陸上生物への舞台
作り
1
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21億年前の多細胞生物
(アフリカ,ガボン)
カンブリア紀へ…
☆バージェス頁岩動物群
☆澄江(Chengjiang)動物群
☆三葉虫など
カンブリ
☆トモチアン動物群
ア時代
☆多くの生痕化石
☆エディアカラ生物群
~全球凍結事件(7~8億年前)~
カンブリア紀
☆カンブリアの大爆発
→固い殻や骨格をもった大型動物が,
急激に大量に(1万種以上!)発生
し,適応放散した…ように見える
炭酸塩:CaCO3
リン酸:P2O5
ケイ酸:SiO2
…とはいえ,5千万年
程のできごと
化 石 の 保 存
・固い殻や骨格など,破壊や腐敗に強い
部位・組織が残りやすい
→化石群集=過去の生物界ではない
・残りやすい化石の例:三葉虫,サンゴ,
アンモナイト…
・化石が保存されやすい環境:還元的環
境→酸素に乏しく,生物遺骸の分解を
防ぐ(水流が弱く閉じた海[sea]底)
適
応
放
散
少数の生物が,様々な環境に最も適し
た生理的ならびに形態的分化を遂げて,
多数の異なった系統に分岐し,時間の経
過とともに分岐の程度が強まること
生態学的地位(ecologic niché)
生物の生物的環境,食物および
敵に関する諸関係。
三
葉
虫
☆カンブリア紀の代表的化石:化石と
して保存がよい
Redlichia cinensis
Paradoxides sp.
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2017/1/31
バージェス頁岩の化石
ア ノ マ ロ カ リ ス
当初は,個々の部
位を別々の化石種
と捉えていた.
口(左)
→クラゲ?
前肢(右)
→エビ?
アノマロカリス
澄江(チェンジャン)動物群
☆鋭い歯と前肢(腕)
をもつ,体長最大
60 cm の生物であ
ることが判明
☆バージェス頁岩の動物群
より,1000 万年ほど古い
☆「カンブリア紀の爆発」
を記録?
Fuxianhuia sp.
Microdictyon sp.
顕生累代の陸上生物界
顕生累代の環境変動(Big 5)
K-Pg
古
新
第
第
三
三
紀
紀
・デボン紀~:両生類が上陸
・哺乳類型爬虫類
-ペルム-三畳紀(P-T)境界-
・小型哺乳類型爬虫類,爬虫類
-三畳-ジュラ紀(T-J)境界-
顕花植物(被子植物)
・大型恐竜
-白亜-古第三紀(K-Pg)境界-
・恐鳥類→哺乳類(霊長類)
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両生類の上陸
肺魚から両生類へ(後期デボン紀)
ユーステノプテロン
(Eusthenopteron)
・成層圏にオゾン層形成
・イアペトゥス海の閉鎖
→棲息場所の拡大
・ヒレが足に進化
ローラッシャの形成
テチス海
の拡大
ローレンシア
バルチカ
アヴァロニア
イクチオステガ
(Ichthyostega)
顕生累代の陸上生物界
・デボン紀~:両生類が上陸
・哺乳類型爬虫類
-ペルム-三畳紀(P-T)境界-
・小型哺乳類型爬虫類,爬虫類
-三畳-ジュラ紀(T-J)境界-
顕花植物(被子植物)
・大型恐竜
-白亜-古第三紀(K-Pg)境界-
・恐鳥類→哺乳類(霊長類)
太古累代と原生累代
・初めは「時代」だった
水平な卓状地堆積物
超大陸形成の歴史
( 不 整 合 )
変成・変形した大陸地殻構成岩類
=大陸地殻の合体・癒合?
・現段階では「年代」に…
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超大陸と超大洋(Superocean)
超大洋形成の周期
→ウィルソン・サイクル
超大陸形成の周期
→Supercontinent cycle
ウィルソン・サイクル
(超大洋形成の周期性)
大陸の分裂(rifting,正断層群)
受動的大陸縁に縁取られた大洋 拡
大
大洋プレートの沈み込み開始
-オフィオライト・オブダクション
-火山弧の火成活動
大陸衝突・大洋消滅
The Wilson cycle Ⅰ
The Wilson cycle Ⅱ
アパラチア-カレドニア造山帯
アパラチア-カレドニア造山帯
縮
小
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2017/1/31
超大陸ロディニア
【約7億年前】
13~10億年
前に形成
Hoffman et al. (1991) を改変
超大陸ロディニアの分裂・解体
7.5~5.4億年:ゴンドワナ形成に
係る火成活動(パン・アフリカ期)
ゴンドワナ
【約5億年前】
20億年前にできた北中国地塊
Hoffman et al. (1991) を改変
アフリカの造山帯
(大陸衝突帯)
【お隣の北中国地塊は,約20億年前に
4つの小地塊が衝突してできた】
Zhao et al.(2005)
富山県とジルコン
ジルコン(ZrSiO4)
U
砕屑性ジルコン:砂粒の一種
日本最古のジルコン
石英,長石などの砂粒は,そ
の起源がわかりにくい。
砕屑性ジルコンは,年代測定
ができる分,情報量が多く,
起源を推定しやすい。
→宇奈月の花崗岩中に含まれるジルコン
→37.5億歳
1 mm
広範囲の温度・圧力条件で安定
U–Th–Pb系の閉鎖温度≒900℃(Cherniak and Watson, 2000)
日本で最も若い黒部川花崗岩(深成岩)中
のジルコン
→80万歳
→変成作用を被っても原岩(ジルコン晶出時)の固結年代を保存する。
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Supercontinents(超大陸)
パンゲア:
280–180 Ma
―ヴァリスカン,ウラル―
過去のプレート運動を読み取る方法
ジルコンには,
大量生産期がある。
(380–280 Ma)
ローラッシャ: 450–300 Ma
―カレドニア,アパラチア― (490–390 Ma)
ゴンドワナ:
540–400 Ma
―パン・アフリカ―
ロディニア:
(750–540 Ma)
1050–750 Ma
―グレンヴィル―
コロンビア:
(1300–1000 Ma)
1800–1500 Ma
―トランス・ハドソン―
ケノール:
ウル:
(2050–1800 Ma)
古地磁気
比較層序
古生物地理
構造地質(特に断層岩の運動像)
砕屑性ジルコンの年代分布
2700–2500 Ma
3100–2800 Ma
《試料採取地点・地質単元》
造山運動≒(超)大陸形成
地質系統
南部北上帯
西部(西列)
北縁~東縁部(中列) 中央部~東部(東列)
宮古層群
(永広ほか,1989)より編図
前期白亜紀花崗岩類:遠野岩体・宮森岩体
白
綾里層・合足層・尾崎層・大船渡層群・鼎浦層・新山層・山鳥層
亜 下部
飛定地層
立神層
系
小細浦層
十三浜層
鮎川層 大船渡層群
群
かつての三大造山運動
中
生
界
アルプス-ヒマラヤ: 50–0 Ma
橋浦層群 荒砥層
ジ
ュ
ラ 中部
荒砥崎層
系
下部
ヴァリスカン:
カレドニア:
パン・アフリカ:
グレンヴィル:
吉浜層
袖ノ浜層
上部
石割峠層
箱根山層
船河原層
牡
鹿
層 荻の浜
群 層
綱木坂層
小鯖層
月の浦
層
志津川層 細浦層
群
韮の浜層
上部 皿貝層群 長の森層
490–390 Ma
伊里前層
稲井層群
下部
皿貝層群
風越層
大沢層
平磯層
伊里前層
稲
井
層
群
風越層
大沢層
平磯層
登米層
上部
ペ
ル 中部 山崎礫岩・薄衣式礫岩
ム
天神ノ木層・東深萱層
系
錦織層・野土層
下部
750–540 Ma
1300–1000 Ma
古
生
界
石 上部
炭
系 下部
デ 上部
ボ 中部
ン
系 下部
基盤岩類
明神前層
新館層
三
畳
系 中部
小原木層
叶倉層
省略
坂本沢層
長岩層
竹沢層
鬼丸層
唐梅館層
日頃市層
鳶ヶ森層
中里層
大野層
小田越層・折壁峠層
シルル系
薬師川層・名目入沢層
大鉢森角閃岩類
川内層・奥火の土層
早池峰複合岩類
氷上花崗岩類
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海 洋 性 島 弧 の 例
ジルコン年代分布のタイプ分け
ゴンドワナ型
舞根層
小々汐層
内の原層
380–280 Ma
トランス・ハドソン: 2050–1800 Ma
(含 南中国,中央アジア)
唐
桑
層
群
北中国型
海洋性島弧型
海
溝
←小笠原-マリアナ
中
単峰型年代分布
1850–2500 Ma の
ジルコンが特徴的
海洋性島弧:大陸から離れた
大洋中の島弧のこと。例とし
て,小笠原-マリアナ諸島。
41
ト
ン
マガ
デ
←ィケ
ッル
ク
央
海
―
700–1500 Ma の
ジルコンが特徴的
嶺
←南サンドウィッチ 42
7
下
部
上
ペ部
ル
ム
系下
部
2017/1/31
60
40
20
60
前 40
下 20
石
石
炭
炭
部
古紀
系期
生 デ
デ
界 ボ
ボ
20
シルル~デボン系
%Pcが高い
その堆積場が先カンブリ
ア時代の基盤岩類をもつ
大陸縁
ン
ン
紀
系
5億 ~ 10億 年 前 のジ
ルコンを含む,多峰
型年代分布
シ
ゴンドワナ大陸由来の地
塊の砕屑性ジルコン年代
分布とピーク位置が共通
シ
ル
ル
ル
ル
ゴンドワナ大陸縁辺の
陸弧-海溝系で形成
系
紀
43
中部ジュラ~
下部白亜系
白
前
亜 期
紀
ジ
ュ
ラ
紀
前
期
ペルム~下部ジュラ系
後
期
ピーク形態が
単峰型-準単峰型
三
対照的
中
畳
期
紀 前
古原生代ジルコンを 80%も
含む韓国のペルム~三畳系
砂岩
(Lee et al., 2012)
火山岩片を相当量含む砂岩
期
ペ
ル
ム
紀
後
期
大陸から離れた
島弧-海溝系で堆積
前
期
44
南部北上古陸の北進
ピーク形態が堆積年代付近と
2100~1600 Maに集中する
二峰型の年代分布
北中国地塊癒合前後
の火成作用の年代
ジ 後
ュ
北中国地塊近辺の
大陸縁に接合した
ラ
紀
(Zhao et al., 2005)
期
中
期
45
46
主にゴンドワナ縁辺由来の海洋性島弧が
順次,北東アジアに癒合したことを示す
南部北上古陸の北進
47
48
8
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シルル紀の大陸配置
シルル紀末の大陸配置
日本列島の
誕 生
★
モンゴル
ローラッシャ大陸
ペリ・ゴンドワナ
アヴァロン弧
両生類の上陸
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
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前期石炭紀の大陸配置
大氷河時代
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
石炭紀末の大陸配置
大氷河時代の終焉
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
ペルム紀末の大陸配置
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
三畳紀末の大陸配置
古テチス海(洋)
←南北中国
地塊の衝突
中テチス海(洋)
超大陸パンゲア
新テチス海(洋)
超大陸パンゲアの形成
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
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2017/1/31
ジュラ紀の大陸配置
白 亜 紀 の 大 陸 配 置
ローラシア(ローレイジア)大陸
テチス海(洋)
大
西
洋
の
拡
大
ゴンドワナ大陸
ゴンドワナ大陸の解体
超大陸パンゲアの解体開始
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
始 新 世 の 大 陸 配 置
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
現在の大陸配置
南極大陸の孤立化→氷河時代の始まり
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
https://www.uwgb.edu/dutchs/platetec/plhist94.htm
超大陸アメイジアの形成 ?
形成期の
リフト
・1億年後:オーストラリアがアジアに衝突
・2億5千万年後:北米・南米も一体化して,
北極付近に超大陸アメイジアができる…?
ユーラシア
豪州
北米
アフリカ
南米
F i
n
10