〈技術編〉 SQUIDを用いた超低磁場MRI計測技術 ∼食品生産ラインへの適用∼ 豊橋技術科学大学 工学研究科 教授 田中三郎、研究員 八田純一 ▶〈関連ページ〉38ページ 狙い 超低磁場MRI装置により食品中の水から低周波のプロトンMRI信号を超伝導SQUID磁気センサーで 高感度に計測して、信号の強度や位相の分布を画像として出力する技術です。永久磁石とコイルによる磁場を組 み合わせて低コスト装置を実現し、食品用生産ラインへの適用を考えている。 成果 図1に示すようなサンプル移動式の超低磁場NMRにおいてSQUID 技術編 磁気センサーで計測してNMR信号を得ることができ、測定磁場に 勾配磁場を重畳させて計測すると一次元投影データが得られコン ピュ ータで画像を再構成できる。図2にSQUIDを用いた超低磁場 MRI装置を示す。図3に画像例を示す。 S Bp > 1.0 T N Bm = 100 μT ① 高磁場で分極 ② 移動 Bp 分極用 永久磁石 磁気シールド ボックス SQUID 磁気センサ サンプル ③ 均一な超低磁場 でNMR計測 Mxy = Ms e-t/T2 Bm 磁気シールドボックス内部 Mz= Mp(1-e-t/T1) サンプル移動用 エアシリンダー 㻺㻹㻾信号 t Mz = Mpe-t/T1 図1. SQUIDを用いた超低磁場NMR計測原理 ×103 6 1.5 5 4 3 試 作 品・製 品 編 MRI用 コイル 図2. SQUIDを用いた超低磁場MRI装置 MRI用 コイル SQUID用 液体窒素容器 セルで分割した円形水サンプル 容器内寸:Φ35×H8 mm 容器内容積:7.7 ml セル肉厚: 1.5 mm セル内径:Φ11 mm 1 35 0 図3. SQUIDを用いた超低磁場MRI装置で得られた画像例 技術的優位性 期待される活用法 人や動物を対象とする医療用MRI装置では、高性能 サンプル中の水から4kHz付近の低周波のプロトン 超伝導磁石が分極用高磁場と測定用均一磁場の役割 NMR信号を高感度に検出して、信号の強度や位相の を兼ねているが、SQUIDを用いた超低磁場MRI装置 分布を画像として出力できるので、水と磁化率の異 では、小型の永久磁石による分極用高磁場とコイル なる物質(非磁性金属、ガラス、プラスチック)の周 による測定用均一磁場を組み合わせることで低コス 辺に発生する磁場の乱れを敏感に捉える位相画像の トの装置を実現できる。SQUID磁気センサー単体に 併用により微小異物検査への適用が期待される。ま 比べ、LC共振器を組み合わせることで磁気感度を向 た信号が低周波なのでアルミ包装食品であっても適 上させ計測範囲を拡大できた。磁気シールドルーム 用できることも期待できる。 に比べ、開口部の小さな磁気シールドボックスを使 うことで環境磁場ノイズを低減した。 ■お問い合わせ/国立大学法人 豊橋技術科学大学 工学研究科 環境・生命工学系 教授 田中三郎 e-mail:[email protected] 電話番号:0532-44-6916 FAX:0532-44-6929 ■特許の有無:無 15 2
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