不動産価格高騰で郊外移転が加速、 新たな

MARKET
不動産価格高騰で郊外移転が加速、
新たなスキームの登場で多様化する
工場立地
丁田 剛
CBRE インベストメントプロパティ
シニアディレクター
本田 あす香
CBRE リサーチ
アソシエイトディレクター
(ARES マスター M 0701297)
日本の不動産投資マーケットは活況な状態が続いている。しかし、オフィスや物流施設では今後予定
される大量供給により、需給バランスの悪化と賃料の下落リスクが意識され始めている。そのような環
境下、安定したキャッシュフローと投資対象の分散化という観点から 、工場のセールス&リースバックに
対する投資家の関心が高まりつつある。本稿では 、大都市圏の周辺エリアにおける工場投資と、その副
産物として注目されるようになった都心の工場跡地への投資について俯瞰し、今後の拡大の可能性につ
いて考えてみたい。
66
生産拠点の海外移転
で不動産価値を失っ
た工業用地
城下町の誕生による、住宅地建設に
ら2000 年代前半には、工場用地を
ともなう地域発展を目指してのこと
買い求める動きはさらに減少し、取
である。そのため、1960 年代の高
引価格は路線価の半値から7割程
度経済成長期には、日本全国に内
度になった。また、工業団地の開発
一般に工場用地と呼ばれるものに
陸型、臨海型、臨空型など、様々な
も鈍化し、すでに造成済みのものも
は、民間企業が独自に生産拠点を建
形態の工業団地が造成され 、重工
長年に渡って買い手がつかず、塩漬
設するものの他に、各地方自治体
業や家電、自動車メーカーなどの誘
けとなるような状況が発生していた。
や、国の行政機関が主導となって開
致が行われてきた。
物流センターへの転
用で大きな転機を迎え
た工場用地
発する工業団地がある。我が国最
しかし1980年代に入ると、国内の
初の工業団地は1934 年頃、東京大
生産工場を人件費の安い海外に移
田区の下丸子に誕生したのが最初だ
す動きが顕著となった。この空洞化
と言われている。行政が主体となっ
の流れにより国内での工場需要は
た理由は、土地の乱開発防止と合理
低下し、工場用地の不動産としての
ところが、工業団地は 2003 年に
的な利用、公害防止とともに、雇用
価値は、徐々に失われていくことに
大きな転換期を迎えることになる。
の創出や税収の増加、さらには企業
なった。その後、1990 年代後半か
その発端となったのが、千葉県:成
ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.35
の工業団地として分譲されたが、プ
ロロジスが物流施設の建設用地とし
て購入し、マルチテナント型物流施
設を開発した。恐らくこれが、我が
180
7
175
6
170
3
155
ロッパーが購入した第一号だと思わ
145
れる。しかも本来、工業団地は工
140
場や物流センターの実需での購入・
資目的・不動産活用を目的とした売
4
160
150
利用を想定したものであるから、投
5
165
国における、工業団地を倉庫デベ
百万㎡
の開発だ。この土地は元々、千葉県
図表1 首都圏 工場の敷地面積と LMT 稼働床面積
百万㎡
田市の工業団地における物流施設
2
1
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
首都圏 事業所敷地面積
0
首都圏 LMT稼働床面積(右軸)
出所:経済産業省「工業統計調査」
、CBRE
事業所は、一般的に工場、製作所、製造所あるいは加工所などと呼ばれているような、一区画を占めて主として
製造又は加工を行っているものをいう。
LMT(= Large Multi-Tenant Properties)
:大型マルチテナント型物流施設
却としても初のケースと言えるだろ
う。これを契機に、関東圏、関西
で、ざっとみても、この期間内で約
港や横 浜港などの港に近いこと。
圏、中部圏および、福岡、仙台など
300万㎡の用地が開発されたと言え
郊外工場の生産品を、都市中心部ま
の主要都市で、次々に工業団地が
よう。
で配送するための時間と輸送コスト
売却され 、大型マルチテナント型
物流施設
( LMT = Large MultiTenant logistics facilities )に 生
まれ変わっていった。元々、工業団
地は雇用の創出や地域の発展を目
の無駄を削減することも、目的と
大都市圏に集中する
物流施設が不動産価
格を押し上げる
なっている。
このような理由を背景に、物流施
設開発デベロッパーによる、都心中
心部での用地確保は、今後も続くと
的に、不動産的な価値が低い土地
物流施設が、首都圏を中心に開
思われる。その流れにともない、か
を中心に造成されたものであるか
発されるのには理由がある。LMT
つては路線価の5 ~ 7 割だった団地
ら、売買価格的には廉価なものが
の主な荷主の一つが通販業者だが、
や工場跡地の土地価格が、今や路
多い点も、購入のしやすさにつな
その注文から配送までの時間はど
線価の倍以上、ものによっては4~
がっていると言える。
んどん短縮されている。かつてのカ
5 倍で取引されるようになっている。
この流れは工業団地にとどまら
タログ販売等の通販では、注文から
そのため、工場建設を目論む実需系
ず、民間の工場跡地にも広がって
商品の到着まで1~ 2 週間かかるこ
の企業には容易に手が出せず、マン
行った。ここ数年の LMT の規模
ともあった。しかし今日、隆盛を極
ション開発デベロッパーと物流施設
拡大は、工業団地および閉鎖工場
めるネット通販では、早ければ即
が競るような工場跡地が増えてい
跡地からの変換がほとんどだ。
日、遅くとも1~ 2日以内に到着する
る。最近、埼玉県のとある駅から徒
図表1 からもわかるとおり、首都
のが当たり前になっている。こうし
歩 7分、約 7,000 坪の、いわゆるマン
圏における工場、製作所などの事業
たサービスレベルの向上を図るに
ション立地の土地が、物流施設開発
所敷地面積は、20 年前から年々、減
は、消費人口が多いエリアの近く
業者に落札された。
少している。一方、物流デベロッ
に、物流施設を確保することが必要
パーが建設した物流施設の、首都
条件となっている。
その背景の1つが建築費の高騰
だ。一般にマンションの建築費は現
圏のストックは、ここ10 数年で 600
さらに言えば、国内工場での生産
在、坪当たり70 ~ 90万円掛かると
万㎡を超えている。物流施設の容
品が減少する一方、海外から完成品
言われている。従って、高額な土地
積率は、そのほとんどが 200%なの
を輸入するケースが多いため、東京
に建設すると、市場の相場観を大き
January-February 2017
67
MARKET
く逸脱した販売価格になりかねな
当面は、こうした郊外への移転が
めて躍進する外資系企業が、都心
い。その点、物流施設は坪当たり30
加速するとみられている。一部に
部での工場建設を目論む動きもあ
~ 40万だから、立地に魅力があれ
は、質の高い日本人技術者と、メイ
る。
ば、土地代金が多少高額でも割に合
ド・イン・ジャパンというブランドを求
うケースがある。物流施設開発業
者が、特にここ2~ 3 年 、強気の開
発ができるのは、こういった事情も
あると思われる。
より効率的な運営を目
指して郊外移転が加
速する生産拠点
図表 2 都道府県別工場投資ランキング
所在地
会社名
内容
1 位 茨城県
投資額
筑西市
ファナック
産業用ロボット工場
55.7 億円
神栖市
日本水産
医薬品原材料工場
80 億円
神栖市
昭和産業
パン生地工場
70 億円
下妻市
岡部
耐震・免震製品
工場
65 億円
つくば市
日本ジェネリック
医薬品工場
172 億円
時期・予定時期
2016 年 6 月
用地取得
2018 年 1 月
稼働予定
2017 年 1 月
稼働予定
2016 年 1 月
稼働
2018 年 3 月
稼働予定
2 位 兵庫県
一方、民間企業の都心部の工場
神戸市
キユーピー
マヨネーズ工場
が撤退するのにも理由がある。その
小野市
日本ハム
ハム工場
1つは、施設の老朽化だ。さらに、
神戸市
三菱重工業
姫路市
ダイハツディーゼル
神戸市
伊藤園
周辺地域が宅地化して騒音や臭い
が問題とされたり、慢性的な道路の
渋滞や交通規制、従業員雇用の難
しさなどがある。つまり、既存の敷
地に工場を新設して、操業を続ける
にはメリットが薄い。
では、閉鎖された工場は機能自体
がなくなってしまうのか、と言うとそ
うではない。その多くが、都心の工
場を売却して郊外へ移転している。
小型ジェット機主翼
工場
大型船舶向け
エンジン組立工場
茶葉加工工場
3 位 群馬県
館林市
ニプロ
注射針工場
伊勢崎市
コーセー
化粧品マザー工場
60 億円
富岡市
稲葉製作所
大型物置製品工場
30 億円
高崎市
銀星社印刷所
食品パッケージ
印刷工場
伊勢崎市
共栄フード
業務用パン粉工場
6 ~ 7 億円
コロワイド
鮮魚食材加工工場
20 億円
掛川市
サンエー化研
ラミネート紙等
梱包素材工場
35 億円
エリアの利便性は向上している。ま
富士宮市
三生医薬
カプセル剤工場
た、土地の取得単価が安いのも郊
浜松市
浜松ホトニクス
半導体工場
外の大きな魅力だ。郊外へ移転し
富士市
ヤンセンファーマ
薬品包装工場
アラインや圏央道などにより、郊外
28 億円
100 億円
益で工場の建設から設備投資まで
弥富市
協立エアテック
ビル空調機工場
12 億円
を賄えているケースもある。
安城市
ニチバン
医薬品工場
60 億円
都道府県別工場投資ランキング
瀬戸市
菊水化学工業
溶剤系塗料工場
でも分かるとおり、茨木・兵
( 図表 2 )
豊田市
富士機械製造
工作機械工場
丹羽郡
オークマ
旋盤・研削盤部品
工場
大都市圏に近いエリアに、年間で 50
以上の工場投資が行われている。
ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.35
2017 年 4 月
稼働予定
2016 年 3 月
稼働
2017 年 10 月
稼働予定
2017 年 4 月
稼働予定
2016 年 12 月
稼働予定
5 位 愛知県
ても、都心の工場跡地を売却した差
庫・群馬・静岡・愛知の各県のように、
2016 年 4 月
稼働
2017 年上期
稼働予定
2016 年 4 月
稼働
2017 年 2 月
稼働予定
2017 年 3 月
操業予定
4 位 静岡県
静岡市
近年の高速道路の延伸、例えばアク
68
122 億円 2017 年春
(関西全体) 稼働予定
2017 年
44.5 億円
稼働予定
2017 年初め
稼働予定
2018 年度
稼働予定
2016 年末
26 億円
稼働
10 数億円
40 ~ 50億円
出所:CBRE
公表、報道情報を元に CBRE で作成
順位は経済産業省 平成26年工場立地動向調査(1月- 12 月)より
100 億円
2017 年
稼働予定
2018 年 1 月
稼働予定
2017 年春
稼働予定
2019 年秋
稼働予定
2017 年 4 月
稼働予定
図表 3 工場立地 敷地面積
図表 4 新設工場の業種別敷地面積割合と期間比較
20%
30
15%
10%
5%
0
5%
10%
15%
20%
食料品
はん用・生産用・業務用機械
輸送用機械
敷地面積 (百万㎡)
25
金属製品
化 学
木材・木製品
20
プラスチック製品
電気機械
窯業・土石
鉄 鋼
15
飲料・たばこ・飼料
電子・デバイス
パルプ・紙加工品
非鉄金属
10
ゴム製品
繊維工業
印刷・同関連
5
その他の製造業
家具・装備品
石油・石炭製品
情報通信機械
0
皮革・同製品
2004 - 2007年
出所:経済産業省「工業立地動向調査」、CBRE
調査対象:製造業、電気業、ガス業、熱供給業の用に供する工場又は研究所を建
設する目的をもって、1,000 平方メートル以上の用地(埋立予定地を含む)を取
得(借地を含む)したもの。グラフは電気業、ガス業、熱供給業を除外して集計
2011 - 2014年
出所:経済産業省「工業立地動向調査」
、CBRE
調査対象:製造業、電気業、ガス業、熱供給業の用に供する工場又は研究所を建
設する目的をもって、1,000 平方メートル以上の用地(埋立予定地を含む)を取
得(借地を含む)したもの。グラフは電気業、ガス業、熱供給業を除外して集計
工場立地における業
界の動向は変化、景
気に直結する業種が
主役
た。コンビニエンススト
工 場 新 設 の 動 向 は、リーマン
設の需要が拡大したと
3 鉄鋼業
鉄鋼業
考えられる。
4 化学工業
食料品製造業
5 食料品製造業
化学工業
6 金属製品製造業
金属製品製造業
7 プラスチック製品製造業
プラスチック製品製造業
8 電気機械器具製造業
電気機械器具製造業
電子部品・デバイス・
電子回路製造業
電子部品・デバイス・
電子回路製造業
ショック前後で大きく変わった
( 図表
ア
( CVS )向けの惣菜や
カット野菜などの小口包
装の加工品の増加を背
景に、設備の更新や新
3)
。経済産業省発表の
「 工場立地
動向調査 」が示す通り、2007年以前
は、円安と北米景気の拡大によって
輸出出荷数が増加したことが、工場
図表 5 業種別の延べ建築面積ランキング
非製造業種へ
の転用も
新設の増加につながった。しかし、
工場として使用される
2008 年のリーマンショックを境に、
施 設 ストックの増減に
輸出に依存していた業種を中心に工
も、業種別の違いがみ
場の新設需要は大きく減少した。
られる。工場の延べ建
2007 年
1 輸送用機械器具製造業
2
9
2014 年
輸送用機械器具製造業
はん用・生産用・業務用 はん用・生産用・業務用
機械器具製造業
機械器具製造業
10 窯業・土石製品製造業
窯業・土石製品製造業
新設された工場の敷地面積につ
築面積の業種別規模
(図
いて業種別割合をみると
( 図表 4 )、
表 5 )とその変 動率
(図
リーマンショック前は「 輸送 用機
表 6 、2007年を基準)
をみると、6つ
「 プラスチック製品」、
「 鉄鋼業」の
械 」などの製造業が上位を占めた
の業種が対 2007年比で増加したこ
4業種は、ストック規模が元々大きい
が、リーマンショック後の4 年間では
とがわかる。なかでも、前述の
「食
上に、さらに面積が拡大した。
「 食料品」が最も大きな割合を占め
料品」のほか、
「 輸送用機械機器」、
出所:経済産業省「工業統計調査」
、CBRE
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MARKET
今年の 6月時点での製造業生産
図表 6 2014 年業種別延べ建築面積変動率 ( 対 2007年)
設備 D.I.
( 図表 7 )によると、風力発
-25%
電用ブレードや自動車用など高機能
-15%
-10%
-5%
0%
5%
10%
食料品製造業
輸送用機械器具製造業
品の需要が増えている
「 繊維 」、電
印刷・同関連業
プラスチック製品製造業
気計測器が好調な
「 業務用機械 」、
鉄鋼業
航空機やバスに対する需要が増加し
非鉄金属製造業
ゴム製品製造業
ている
「 造船、重機・その他輸送用
はん用・生産用・業務用機械器具製造業
機械 」で設備の不足感が高く、
「食
その他の製造業
電気機械器具製造業
料品」と合わせて、今後は設備投資
石油製品・石炭製品製造業
を拡大する可能性が高いと考えられ
化学工業
金属製品製造業
る。
繊維工業
一方、非製造業生産設備 D.I.
(図
電子部品・デバイス・電子回路製造業
パルプ・紙・紙加工品製造業
表8 )
をみると、サービス業を中心に
木材・木製品製造業
(家具を除く)
飲料・たばこ・飼料製造業
10 の業種で、生産設備が不足してお
窯業・土石製品製造業
り、これらの業種が工場跡地に進出
家具・装備品製造業
なめし革・同製品・毛皮製造業
してくる可能性もある。実際の事例
情報通信機械器具製造業
としても、
「 小売業」によるショッピ
出所:経済産業省「工業統計調査」
、CBRE
事業所は、一般的に工場、製作所、製造所あるいは加工所などと呼ばれているような、一区画を占めて主とし
て製造又は加工を行っているものをいう。事業所延べ建築面積は、事業所敷地内にあるすべての建築物の各階
の面積の合計をいう。
ングモールの開発、
「 運輸・郵便業」
による物流配 送センターの開発、
図表 7 製造業 生産・営業用設備 D.I.
図表 8 非製造業 生産・営業用設備 D.I.
不足
-15
-10
-5
過剰
0
5
不足
10
15
繊維
業務用機械
造船・重機、その他輸送用機械
-15
対個人サービス
通信
運輸・郵便
紙・パルプ
その他情報通信
はん用機械
電気機械
宿泊・飲食サービス
建設
鉱業・採石業・砂利採取業
石油・石炭製品
電気・ガス
ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.35
15
卸売
鉄鋼
出所:日本銀行、CBRE
回答企業の生産設備、営業用設備の過不足についての判断(工場の定期修繕など
の一時的な要因を除いた判断)。(「1. 過剰」、「2. 適正」、「3. 不足」の回答から
「1. 過剰」-「3. 不足」で算出、単位は % ポイント)2016 年6月時点
10
物品賃貸
非鉄金属
窯業・土石製品
5
不動産
金属製品
自動車
0
対事業所サービス
木材・木製品
素材業種
-5
小売
化学
加工業種
-10
過剰
情報サービス
食料品
生産用機械
70
-20%
出所:日本銀行、CBRE
回答企業の生産設備、営業用設備の過不足についての判断(工場の定期修繕など
の一時的な要因を除いた判断)
。
(
「1. 過剰」
、
「2. 適正」
、
「3. 不足」の回答から
「1. 過剰」-「3. 不足」で算出、単位は % ポイント)2016 年6月時点
「 不動産業」によるマンションや戸
新たな資金調達を行う手段として、
建て住宅の開発、
「 宿泊・飲食サービ
注目されているのが
「 セール&リース
この方式は、投資家側にとっても
ス業」によるホテル建設など、既に
バック方式 」だ。従来、自社で所有
メリットがある。将来的に物流施設
多く見られている。これまでは製造
していた土地を売却し、それをリー
に過剰感が出て、空室率が上がれ
業という枠の中で工場から別の工場
スバックしてもらう方法である。
ば、賃料も下落することになり、売
に変わるケースが多かったものの、
セール&リースバックを活用するメ
する。
却するにも不安定要素が増す。しか
サービス業もまた、工場跡地の買
リットとしては、
し、土地だけ、あるいは工場設備も
収・賃借の担い手として拡大しつつ
・継続利用したまま資金調達
含めて優良メーカーにリースできれ
ある。
・リースバックによる調達資金で新
ば、コーポレートリスクを負うだけで
規投資・負債削減
( 調達資金によ
済む。従って、不動産マーケットが
る設備増強)
不安定になった場合は、工場リース
都市型工場をサポート
するセール&リースバッ
ク方式
・資産価値の顕在化を通じた企業
バックは、圧倒的に安定した投資物
価値の向上
件となりうるのだ。これまで物流開
などがあげられる。
発を積極的に行ってきた物流ファン
都心の工場を売却して郊外に移
この方式は、もちろん、工場の新
ドも、すでにこの新しいスキームを
転するには、土地の取得から工場建
設の際にも有効で、土地は投資家に
検討しており、今後はこの分野も広
設まで、それなりの準備期間が必要
購入してもらい、長期間のリース契
がりを見せる可能性が高いと言え
になる。そこで、施設を移転せずに
約を結び、その上に工場設備を建設
る。
ちょうだ つよし
ほんだ あすか
1990 年生駒商事(現シービーアールイー)入
社後、日本で初めての物流施設の市況レポート
「Industrial Market Report」の創刊に携わる。物
流施設を中心とした事業用不動産サービス分野の
第一人者として、オーナー、投資家、テナントに
対し、戦略的なソリューションを提供している。
2002 年、生駒データサービスシステム(現シー
ビーアールイー)に入社。オフィスを中心とした
事業用不動産に関するコンサルティング業務に従
事。2012 年からリサーチ部門にて投資市場のレ
ポート執筆、分析業務を担当。社団法人不動産証
券協会認定マスター。
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