資料2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 食品に関するリスクコミュニケーション研究会報告書 13 -消費者庁が実施する食品に関する 14 リスクコミュニケーションの今後の取組方向- 15 (案) 16 17 1 1 はじめに 2 消費者政策においては、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、消費者 3 に対し必要な情報が提供され、消費者の意見が消費者政策に反映されることが重要であ 4 る。 5 また、食品に関するリスクコミュニケーションについては、食品安全基本法において、 6 「食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たっては、関係者相互間の情報及び意見 7 の交換の促進を図るために必要な措置を講じること」が求められている。 8 9 その中で、消費者庁は、消費者庁及び消費者委員会設置法において「食品の安全性の 10 確保に関する関係者相互間の情報交換及び意見の交換に関する関係行政機関の事務の 11 調整」を担うこととされている。また、これらを踏まえて、食品安全基本法第 21 条第 12 1項に規定する基本的事項(平成 24 年6月閣議決定)において、リスクコミュニケー 13 ション全体にかかる総合的マネージメントとして、 14 15 (1)消費者庁は、リスクコミュニケーションについて リスク評価機関及びリスク 管理機関(以下関係行政機関という)の 事務の調整 を担う 16 (2)消費者庁及び関係行政機関は、相互に連携して食品の安全性の確保に関する消 17 費者等との 意見交換会を開催する 等により、政府全体として食品の安全性の確 18 保に関する望ましい リスクコミュニケーションのあり方を検討 する 19 20 21 (3)消費者庁及び関係行政機関は、相互に連携して消費者・事業者・行政関係者等 幅広い関係者を対象とした横断的な リスクコミュニケーションを促進 する こととされている。 22 23 平成 21 年 9 月に設立した消費者庁は、平成 23 年 3 月に発生した、東京電力福島第一 24 原子力発電所事故を原因とする食品の新たなリスクに対応するため、リスクコミュニケ 25 ーションに取組んできたが、本年で事故の発生より 5 年が経過したことから、食品に関 26 するリスクコミュニケーション研究会を設置し、これまで消費者庁が実施したリスクコ 27 ミュニケーションの取組を検証し、課題を整理した上で、消費者庁が今後行うべき食品 28 に関するリスクコミュニケーションの取組方向を検討した。 29 2 1 1 2 (1)平成23年度から平成27年度の消費者庁のリスクコミュニケーションの総合マ 3 ネージメントの取組 4 ① 5 消費者庁が実施した食品に関するリスクコミュニケーションの取組実績 リスクコミュニケーション全体に係る事務の調整 1)リスクコミュニケーション担当者会議 6 意見の交換に関する事務の調整を行うため、消費者庁、食品安全委員会、厚生 7 労働省、農林水産省及び環境省(以下関係府省庁)のリスクコミュニケーション 8 担当者はリスクコミュニケーション担当者会議を隔週で開催している。 9 同会議では、複数の府省庁が連携して実施する意見交換会のテーマや日程、具 10 体的な実施方法等の調整を行い、同会議で実施が決定された意見交換会の事務 11 は、消費者庁が担当している。 12 13 2)食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションを補助する取組 14 平成 23 年度から平成 27 年度にかけて関係府省が連携して行った意見交換会 15 は、食品中の放射性物質に関するものが多かったことから、消費者庁は、リスク 16 コミュニケーションにかかる事務の調整の一環として、食品中の放射性物質に 17 関するリスクコミュニケーションを補助する次の取組を行った。 18 (ア) 「食品と放射能 Q&A」 19 各関係府省の説明を包摂して、放射性物質や食品の安全について Q&A 形 20 式でわかりやすく説明した冊子「食品と放射能 Q&A」を作成した。本冊子 21 は平成 23 年 5 月から関係府省が連携して行った意見交換会で配布された 22 ほか、リスクコミュニケーションを促進するために、地方公共団体が行う 23 意見交換会の場でも配布された。また、福島県内では全戸に配布された。 24 本冊子は、その時々の消費者の関心に応じて内容が改訂され(現在第 10 25 版)、平成 27 年度までに 148,124 部を配布された。また、平成 27 年度に 26 作成した要約版の「食品と放射能 Q&A ミニ」は、14,638 部を配布された。 27 なお、本冊子は消費者庁ホームページに掲載されており、平成 27 年度末 28 までに約 231 万件のアクセスがあった。 29 30 (イ) 「風評被害に関する消費者意識の実態調査」 31 東京電力福島第一原子力発電所の事故による食品中の放射性物質に関 32 する消費者の意識及び行動の実態を把握し、風評被害対策に役立てるため、 33 平成 25 年 2 月から年 2 回、平成 28 年 8 月末までに計 7 回の「風評被害に 34 関する消費者意識の実態調査」を実施し、公表した。 35 36 ② リスクコミュニケーションの実施 3 1 1) 関係府省連携による意見交換会 2 平成 23 年度から平成 27 年度末までに、消費者庁及び関係府省が連携し、食 3 品中の放射性物質(48 回)、健康食品(7回) 、牛海綿状脳症(4回) 、食中毒(4 4 回) 、輸入食品(3回) 、農薬(3回)に関する意見交換会を開催した。 5 これらの意見交換会はシンポジウム方式を基本とし、行政担当者による説明 6 または有識者による基調講演の後、パネルディスカッションや質疑応答を実施 7 した。 8 福島県においては、食品中の放射性物質について 20 名程度の参加者による車 9 座形式による意見交換会も実施した(48 回中3回) 。 10 11 2) 消費者庁による意見交換会等(食品中の放射性物質等) 12 地方公共団体等の依頼を受け、食品中の放射性物質等についての意見交換会の共 13 催、講師派遣、後援等を平成 27 年度末までに 470 回実施した。意見交換会へは、 14 消費者庁職員も行政関係者として参加し、 「食品と放射能 Q&A」や「風評被害に関す 15 る消費者意識の実態調査」の内容の紹介等を行った。 16 消費者庁からの職員派遣は 358 回行い、うち 212 回が福島県への派遣であった。 17 18 19 ③ リスクコミュニケーションの促進 1) 地方公共団体等が行うリスクコミュニケーションの支援 20 地方公共団体等が実施を予定しているリスクコミュニケーションについて、消費 21 者庁との連携を募り、地方公共団体等が食品に関するリスクコミュニケーションを 22 行う際に、職員を講師として派遣するほか、有識者への講師謝金、会場借料及び講 23 師紹介等の協力・支援を行った。また、リスクコミュニケーションに用いる資料と 24 して「食品と放射能 Q&A」の提供も行った。 25 26 2) リスクコミュニケーターの養成 27 消費者庁は、地方公共団体や関係団体と協力して、子育て世代等が参加する意見 28 交換会やミニ集会等で食品中の放射性物質に関する正確な情報提供を行う中心的 29 な役割を担うことを期待し、平成 25 年度に約 3,400 人のリスクコミュニケーター 30 を養成した。これらのリスクコミュニケーターは、例えば養成講習を受けた地方公 31 共団体の職員が、市民等からの問合せに答える役割を果たすなどしたほか、「食品 32 と放射能 Q&A」やリーフレットの配布、ミニ集会や意見交換会の開催を行うなどに 33 より、食品中の放射性物質に関する理解やコミュニケーションの促進に貢献した。 34 (平成 27 年度末時点で 113 件の活動実績報告) 35 4 1 2 2 (1)リスクコミュニケーション全体に係る事務の調整 消費者庁が取組む食品に関するリスクコミュニケーションの評価と取組方向 3 ①リスクコミュニケーション担当者会議 4 (評価) 5 6 リスクコミュニケーション担当者会議は、関係府省庁が連携して意見交換会等を 行う際の調整の場として有効であった。 7 一方で、これまで関係府省庁等がそれぞれ実施する意見交換会等の実施実績(テ 8 ーマ、開催地、講師、資料等)については、関係府省庁間で十分に情報が共有され 9 てこなかった。今後は、リスクコミュニケーション担当者会議において、消費者庁 10 が年度終了後に前年度に関係府省庁等において実施された意見交換会等の実施実績 11 を可能な限りとりまとめて共有し、その情報を活用しつつ関係府省庁が実施するリ 12 スクコミュニケーションがより効果的に展開が図られることが望ましい。 13 14 (取組方向) 15 ・今後も継続して、定期的にリスクコミュニケーション担当者会議を実施する。 16 ・リスクコミュニケーション担当者会議では、4府省庁が連携して実施する意見交 17 換会等の企画・立案を行うほか、これを活用して、関係府省等が実施する意見交 18 換会等の実績を把握し、共有する場とする。 19 20 21 22 ②食品に関する Q&A 1)食品と放射能 Q&A (評価) 23 「食品と放射能 Q&A」は以下のⅰ~ⅳの点について、地方公共団体職員や食 24 品メーカーが消費者からの相談に応じる際にも有効であった等の評価がある。 25 ⅰ.事案の発生直後に作成(初版:平成 23 年5月) 26 ⅱ.各府省庁の所掌内容が1冊にまとまっており、基本的な内容を網羅してい 27 る 28 ⅲ.Q&A 形式で消費者が持つ疑問に対する回答という形式で構成 29 ⅳ.製本され配布が可能 30 31 一方、「食品と放射能 Q&A」のデータは消費者庁ホームページへ掲載され、一 32 定のアクセス数があったが、冊子については意見交換会の会場での配布や、自 33 治体・消費者団体等の求めに応じ提供しており、福島県内への全戸配布以外は 34 系統立てた配布がなされてはいなかった。 35 36 (取組方向) 5 1 ・「食品と放射能 Q&A」は当面の間、最新の知見に基づき改訂する。 2 ・全国の図書館等に「食品と放射能 Q&A」を広く系統的に配布をすること、こ 3 の Q&A の存在を教育関係者等へ周知を図ること等、広く活用される方策を検 4 討する。 5 6 2)その他の分野に関する Q&A 7 (評価) 8 その他の分野に関する Q&A は作成されていないが、 「食品と放射能 Q&A」で評 9 価がされたⅰ~ⅳの点のうち、ⅱ~ⅳの点については健康食品や残留農薬、食 10 品添加物といった他の分野についても応用することで新たな Q&A を作成するこ 11 とができると考えられる。 12 13 (取組方向) 14 ・食品中の放射性物質以外についても、消費者にとって分かりやすく、基本的 15 な内容を網羅し、より専門的な内容については関係府省庁等が作成している 16 資料を紹介する、入門書のような Q&A を作成する。 17 ・その際、消費者庁ならではの視点として、PIO-NET・事故情報データバンクに 18 寄せられる消費者からの相談等や、意見交換会等の場で消費者が表明する問 19 題意識等を踏まえ、より消費者の関心に沿ったものを作成するよう心がけ 20 る。 21 22 ③風評被害に関する消費者意識の実態調査について 23 (評価) 24 風評被害に関する消費者意識の実態調査については、平成 25 年2月から継続的 25 に実施されている数少ない調査であり、その情報は学術的にも活用される貴重な 26 ものとなっている。 27 28 (取組方向) 29 ・風評被害に関する消費者意識の実態調査は、当面の間、継続して実施する。 30 ・なお、現在、被災県(岩手県、宮城県、福島県、茨城県)及び被災県の農産物 31 の主要消費地である首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県) ・中京圏(愛 32 知県) ・関西圏(大阪府、兵庫県)が調査対象地域となっているが、今後被災県 33 の農産物の流通が拡大した場合等には、対象地域の拡充等を検討することが望 34 ましい。 35 36 ・結果の変動が小さくなってきた場合には、調査回数を2回から1回に減ずるこ と等を検討する。 6 1 2 (2)リスクコミュニケーションの実施 3 ①リスクコミュニケーション全体について 4 (評価) 5 関係府省庁が連携して実施してきた意見交換会については、これまで主たるテー 6 マが食品中の放射性物質であったが、これにより、政府が一体となって対応してい 7 ることを示す点で消費者の信頼感を醸成する効果があったと考えられる。 8 その形式は、シンポジウム形式が基本であったが、一度に大人数に対して等しく 9 情報提供が可能なこと、異なる立場の人々の存在を参加者が知ることが可能であっ 10 たことなどから、一定の効果があったと考えられる。 11 一方で、今後は今まで以上に食品中の放射性物質以外のテーマにも取組むことか 12 ら、テーマ選定の考え方を定める必要があること、シンポジウム形式では参加が困 13 難な消費者が参加しやすいリスクコミュニケーションの手法も望ましいこと、より 14 多くの参加者を得るよう消費者の関心をより喚起しつつ実施するリスクコミュニケ 15 ーションも望ましいことなどから、これらの点を検討すべきである。 16 17 (取組方向) 18 ・関係府省庁が連携して行う意見交換会を引き続き実施する。 19 ・意見交換会を実施するために必要な調整は引き続きリスクコミュニケーション担 20 21 22 当者会議で行う。 ・意見交換会のテーマの設定にあたっては、後述する「(2)リスクコミュニケーシ ョンの実施②リスクコミュニケーションのテーマ設定」に沿って対応する。 23 ・消費者がより参加しやすいリスクコミュニケーションの手法については「(2)リ 24 スクコミュニケーションの実施③消費者がより参加しやすいリスクコミュニケー 25 ションの手法」に沿って対応する。 26 ・消費者の関心をより喚起するリスクコミュニケーションについては「(2)リスク 27 コミュニケーションの実施④消費者の関心をより喚起するリスクコミュニケーシ 28 ョンの手法」に沿って対応する。 29 30 ②リスクコミュニケーションのテーマ設定 31 1)テーマの選定 32 (評価) 33 これまで、関係府省庁連携の意見交換会で実施するテーマについては、リスク 34 コミュニケーション担当者会議において決定されてきた。リスク管理機関及びリ 35 スク評価機関は、食品の安全性の確保に関する施策の策定にあたっては、関係者 36 相互間の情報及び意見の交換の促進を図るために必要な措置を講じることが求め 7 1 られていることから、これらのテーマが優先されてきた。しかし、それ以外に実 2 施するテーマを選定するための明確な基準はなかった。 3 食品の安全性の確保に関する施策の策定や変更等がある場合の次に優先される 4 ものとしては、国民の健康の保護が最も重要であるとの考え方から、食品等が持 5 つリスクが高いものを選定することが考えられる。 6 これに加え、以下の理由から、リスクを評価し、適切な範囲で管理するという 7 基本的な考え方を、食品等が持つリスクが低いものを事例としながら紹介するこ 8 とについても、リスクコミュニケーションのテーマとするべきである。 9 10 【理由】 11 消費者は、その食品等が危害や危険をもたらすという情報については量の概念 12 や情報の真偽を考慮せずにリスクを過大に評価する傾向があることから、実際の 13 リスクの大きさと、消費者が考えるリスクの大きさは差があると考えられる。こ 14 れにより、その対策のために過剰なコストが生じたり、根拠がない情報や一部の 15 報道等により消費者が混乱したりしている。 16 消費者の自主的かつ合理的な選択のためには、リスクを評価し、適切な範囲で 17 管理するという基本的な考え方を踏まえ、消費者それぞれが日々の生活におい 18 て、消費行動や情報の取捨選択ができることが必要である。 19 20 21 22 (取組方向) これらの検討を踏まえると、リスクコミュニケーションのテーマを以下の観点 から優先的に選定する。 23 ⅰ.食品の安全性の確保に関する施策の策定や変更等がある場合 24 ⅱ.食品等が持つリスクが高いもの(食中毒、いわゆる健康食品等) 25 ⅲ.リスクを評価し、適切な範囲で管理するという基本的な考え方(リスクが適 26 切に管理され、小さくなっているものを事例として扱う) 27 28 なお、ⅲを実施するにあたり、危害要因間のリスク大小の相対的な比較を分か 29 りやすく表現して示すことが望ましいが、リスクの比較は様々な手法があり、そ 30 の表現には細心の注意が必要であることから、今後十分な検討が必要である。 31 32 2)食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションの取組 33 (評価) 34 風評被害に関する消費者意識の実態調査によると、食品中の放射性物質を理由 35 に、福島県産品の購入をためらう人が一定程度いること、検査が行われているこ 36 とを知らないと回答した人が第1回から増加傾向にあること等、東京電力福島第 8 1 一原子力発電所の事故から5年半が経過し、食品と放射能に関する消費者の関心 2 が低下し、消費者が有する知識や理解の度合いが固定化していることが示唆され 3 ている。また、消費地ではより消費者の関心の低下や有する知識や理解の度合い 4 が固定化の傾向がみられ、その結果として福島県産品を避けていることが示唆さ 5 れている。 6 これまで消費者庁は福島県を中心として被災地での意見交換会に注力してきた 7 が、上記の調査結果を踏まえ、消費者庁が実施する意見交換の開催地について 8 は、消費地へ重心を移すことが必要と考えられる。その際、消費者は、その食品 9 等が危害や危険をもたらすという情報については量の概念や情報の真偽を考慮せ 10 ずにリスクを過大に評価する傾向があることから、リスクを評価し、適切な範囲 11 で管理するという基本的な考え方を消費者等と共有する必要がある。 12 13 (取組方向) 14 ・食品中の放射性物質に関する意見交換会は今後も継続して実施する。 15 ・ただし、今後は意見交換会の開催地について、重心を福島県外の消費地へと移 16 し、実際に福島県産品を購入する消費者と意見交換を行う。 17 ・また、消費地で意見交換会を実施する際には、リスクを評価し、適切な範囲で 18 管理するという食品のリスクに関する基本的な考え方を説明するなど、放射性 19 物質が様々ある食品のリスクのうちの1つであるということも消費者に伝える 20 よう配慮する。 21 22 ③消費者がより参加しやすいリスクコミュニケーションの手法 23 (評価) 24 ①に述べたように、消費者庁がこれまでに実施したリスクコミュニケーションの 25 中心である意見交換会では参加者に消費者の割合が少ない場合が見られた。その要 26 因としては、平日の午後を中心として意見交換会が開催されており、意見交換会へ 27 参加する余裕がないことや、そもそも意見交換会への関心が薄いことが考えられ 28 た。 29 30 (取組方向) 31 ・メールマガジン等を活用し、意見交換会に参加できない方の意見・質問も事前 32 に集め、意見交換会の場で活用し、その結果をフィードバックすることなど、 33 消費者が実際に意見交換会に参加できなくてもリスクコミュニケーションが可 34 能な手法を検討する。 35 ・また、意見交換会の参加比率が低い 20~30 代に対する意見交換会への参加以外 36 のアプローチとして、情報の波及効果が大きいソーシャル・ネットワーキン 9 1 グ・サービス(SNS)を活用して食品安全に関する情報を発信する。 2 ・特に報道等で特定の危害情報等が取り上げられた際などに、適切に SNS により 3 情報提供を行う。その際、誤った情報を発信することによって消費者からの信 4 頼を失う可能性があるため、発信する情報の内容等に十分留意する。 5 ・さらに、意見交換会へ参加が難しい消費者や、消費者が食品安全について疑問 6 を感じた消費者が、閲覧すれば簡単な疑問が解決できるよう、関係府省庁が持 7 つ詳細な情報へのリンクが掲載された内容のホームページを作成する。 8 9 10 ④消費者の関心をより喚起するリスクコミュニケーションの手法 (評価) 11 ①に述べたように、意見交換会はこれまで大会場でシンポジウム形式を基本とし 12 て実施されてきた。シンポジウム形式は一度に大人数に対して等しく情報提供する 13 ことが可能、意見が異なる立場の参加者の存在を知ることが可能といった特徴があ 14 る。一方で、数回開催実績のある車座形式については、参加者が少人数ではある 15 が、参加者の理解が深まる、質疑・意見交換の内容が個別かつ個人の話題となりや 16 すいといった特徴があった。車座とシンポジウムの参加者の理解度と対象人数につ 17 いて検討すると、車座形式での意見交換会ではアンケートによると参加者の理解度 18 がやや高くなるものの大きな差は見られないことから、国が意見交換を実施する際 19 には、シンポジウム形式により一度に大人数に対して等しく情報提供することを優 20 先することが望ましい。 21 22 (取組方向) 23 ・ 意見交換会は、大人数に対して等しく情報提供が可能なこと、異なる立場の 24 人々の存在を知ることが可能を重視して実施することから、引き続きシンポジウ 25 ム形式を基本として実施する。 26 ・ 一方で、意見交換会について消費者の関心が薄く、多くの参加が得にくい状況 27 にあることについて、消費者に正しい情報を伝えることを目的として、以下の対 28 応により様々な主体と連携してリスクコミュニケーションに取組むことを検討す 29 る。 30 31 32 (ア)人が集まる日や場所等でのリスクコミュニケーションの実施・支援 意見交換会には子どもを持つ親世代の参加が少ないという状況があるが、消費 33 者庁が平成 28 年度に関係府省と連携して参加した親子参加型イベントにおいて 34 は、多くの小学生とその親に対して情報提供を実施することができている。この 35 ことから、意見交換会を実施するだけでなく、地方公共団体や学校、事業者等が 36 開催する既存のイベント等におけるリスクコミュニケーションの実施やその支援 10 1 を行うことについて検討する。 2 3 4 (イ)多様な主体・多様な形式のリスクコミュニケーションの実施の支援 消費者が不安に感じる要因の一つとして、食品の製造工程を消費者が詳しく知 5 らないことが考えられる。このため、消費者の理解を増進することを目的とし 6 て、例えば、事業者が実施する消費者向け工場見学等の機会を捉えて、行政担当 7 者や専門家を派遣・紹介し食品衛生等について情報提供を行うことにより、食品 8 安全全体について消費者が理解する取組等について検討する。 9 また、双方のリスクコミュニケーションの取組状況や情報を交換し、協力が可 10 能な点については協力を実施することを目的として、消費者庁はリスクコミュニ 11 ケーションの取組について事業者団体等と意見交換を行う場を設けること等を検 12 討する。 13 14 (ウ)効果的な形式の検討 15 地方公共団体や事業者、学校等の多様な主体による様々な機会を利用したリス 16 クコミュニケーションは、消費者の食品安全に対する理解を増進するためには重 17 要である。このため、消費者庁は地方公共団体による教育機関や消費者団体、事 18 業者団体と連携したリスクコミュニケーションの取組を支援し、促進する。 19 また、各種連携等の取組の効果等については、その分析を行ったうえで全国的 20 に波及させるような取組についても検討すべきである。特に、小学生等の若年層 21 については、意見交換会といった形式ではなく、食品安全に関する情報の共有や 22 科学的な内容を理解するなど、将来的に自ら判断ができるようになるための土台 23 となる知識を伝えることに注目し、対応を検討する必要がある。 24 25 (エ)消費者の状況に応じた伝え方の検討 26 消費者はそれぞれが置かれている状況によって、例えば生産地の消費者や消費 27 地の消費者では同じ情報を提供されても理解の度合いが異なるといったことが起 28 こり得る。これは、消費者の興味関心やもともと持っている情報量に差があるこ 29 とによるものと考えられる。そのため、意見交換会等でのアンケート調査などを 30 活用し、消費者の興味関心等やリスクコミュニケーションの効果の測定を行い、 31 それを踏まえ、その後のリスクコミュニケーションが消費者にとってより理解が 32 進むものとなるよう検討をする。 33 34 35 36 (3)リスクコミュニケーションの促進 ①地方公共団体等が行うリスクコミュニケーションの支援 (評価) 11 1 食品に関するリスクコミュニケーションについて、消費者庁へ協力依頼する地方 2 公共団体がみられることから、リスクコミュニケーションに取組みたい地方公共団 3 体にとって、消費者庁の支援により、実現がスムーズになってきていると考えられ 4 る。一方で、リスクコミュニケーションの取組は地方公共団体によって差があり、 5 具体的な取組方法も様々であるほか、リスクコミュニケーションの十分な実施経験 6 や予算・人員がないことから、リスクコミュニケーションの実施に積極的でない自 7 治体も見受けられる。テーマについては、自治体はそれぞれの管内において、地域 8 性や必要性等から取り扱うテーマを決定し、リスクコミュニケーションに取組んで 9 いる。その結果として、手洗いや食中毒といった各論のテーマとなることがある 10 が、自治体が実施するテーマは消費者庁が実施するものと重複してはならないわけ 11 ではない。 12 13 (取組方向) 14 ・自治体が積極的にリスクコミュニケーションに取組むことを支援するため、これ 15 までの行ってきた、消費者庁職員の派遣、有識者の紹介、会場賃借料等の協力支 16 援に加え、消費者庁がこれまでに実施した意見交換会の運営マニュアル等を提供 17 する。 18 ・また、様々な主体がリスクコミュニケーションに取組む際に活用できるよう、消 19 費者庁が作成した意見交換会用の資料や、食品の安全に関する Q&A を集積し提供 20 するホームページの開設についても検討する。 21 22 ②リスクコミュニケーターの養成(P) 23 (評価) 24 平成 25 年度に消費者庁が実施したリスクコミュニケーターを養成する事業は、自 25 治体職員等が研修を受けて、市民の問合せに対応するなど、一定の機能を果たし 26 た。また、研修を実施した団体によっては、養成されたリスクコミュニケーターか 27 ら知識の伝達ができる形が取れていたと考えられる。 28 29 (取組方向) 30 ・関係府省が行う自治体職員研修や自治体が行う職員研修、団体等が消費者に対応 31 する者に対して行う研修等、リスクコミュニケーターになり得る者に対する研修 32 やそのフォローアップとして実施される研修の機会に協力する。 33 12
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