15~20ページ(PDF形式:336KB)

ます。登録に当たっては、獲得を見込んでいる需要に対して十分な供給力を確保してい
るか否かについて審査を行い、十分な供給力を確保できていない場合には国により登録
申請が拒否されることとなります。また、登録後も十分な供給力が確保されていないと
国が認めた場合には供給力確保命令が下されることになります。したがって、新規参入
のガス小売事業者であっても、御懸念のように十分なガスを仕入れることができない場
合が生じることは容易に想定されません。
なお、ガス供給においては、仮にガス小売事業者が販売する量に応じたガスを調達で
きていない場合であっても、一般ガス導管事業者の供給区域内においては、一般ガス導
管事業者が需給バランスを維持する(一般ガス導管事業者が他のガス小売事業者に指令
してその不足分の補給を行う)ため、あるガス小売事業者が十分なガスを調達できてい
ないことをもって消費者に対する供給が直ちに停止されることはありません。
(2)安定供給と保安の確保 5 問
問26.ガスの小売全面自由化後もガスの安定供給は確保できますか。
答.ガスの小売全面自由化が実現した後は、これまでの事業者の概念が見直され、ライ
センスを受けたガス小売事業者、一般ガス導管事業者等の各主体が新たな制度に従いそ
れぞれの責任を果たすことによって安定供給を確保する仕組みへと移行します。具体的
には、ガス小売事業者に対して需要に応じた供給力を確保する義務を課すと共に、毎年
度、供給計画として、今後の需要想定及び供給力確保に関する計画の届出を求める、ガ
ス製造事業者に対しては、毎年度、ガスの製造等に関する計画の届出を求める、といっ
た仕組みを設けています。
なお、従来の一般ガス事業者のガス導管部門に該当する一般ガス導管事業者に対して
は、ガス小売事業者の破綻などの事態に備え、緊急避難的措置として最終保障供給義務
を課すこととしています。
このように、ガスの安定供給に支障が生じないように、各種の制度を設けています。
問27.旧簡易ガス事業者から小売供給を受けている消費者に対する最終保障供給はどのよ
うに担保されるのですか。
答.他のエネルギーとの競争関係が確保されていない地域の団地(供給地点群)には経
過措置料金規制が課されるため、経過措置料金による小売供給が実質的に最終保障供給
と同様の役割を果たします。経過措置料金規制が解除された後も、団地が一般ガス導管
事業者の供給区域内に含まれる場合は、当該一般ガス導管事業者から最終保障供給を受
けることができます(なお、旧簡易ガス事業者のガス導管部門は、その事業の性質上旧
一般ガス事業者の導管部門と同等の公共性・公益性は認められないため、最終保障供給
義務は課されていません。
)。
15
問28.新しく参入したガス小売事業者からガスを買うと、ガスの品質(火力等)や保安面
への影響があるのでしょうか。
答.同じガス導管から供給されるガスであれば、ガスそのものの品質は変わりません。
LP ガス販売事業者・簡易ガス事業者から切替えの場合、供給されるガスの原料が変わり
ますので(問1参照)
、発熱量などが異なりますが、ガス器具(ガスコンロ、ガス給湯器
等の消費機器)の調整や取替え等を行うことで、これまでと同様に料理をすること、お
風呂を沸かすこと等が可能です。
保安面について、消費者の所有する内管を含めたガス工作物の保安や、ガスの事故等
に際し現場に部隊を出動させ被害拡大を防ぐ緊急時対応は、一般ガス導管事業者が担う
ことになります(※1)。また、消費機器(ガスコンロ、ガス給湯器等)の調査や危険発生防
止の周知等は、ガス小売事業者が担うことになります(※2)。その上で、ガス事業者間にお
いて保安に関し連携・協力する義務が法律上定められており、具体的な連携ルール等が
整備されています(※3)。
(※1)旧簡易ガス事業者から供給を受ける場合など、ガス小売事業者が小売事業の用に
供するガス工作物を維持運用する場合には、一般ガス導管事業者と同様に、ガス小
売事業者に技術基準適合維持や緊急時対応等の保安規制が課せられることになりま
す。
(※2)一般ガス導管事業者から最終保障供給を受ける場合には、ガス小売事業者と同様
に、一般ガス導管事業者に消費機器(ガスコンロ、ガス給湯器等)の安全性調査等
の保安規制が課せられることになります。
(※3)
「ガス事業者間における保安の確保のための連携及び協力に関するガイドライン」
(平成 28 年 7 月 29 日 経済産業省)
問29.2017 年(平成 29 年)4 月 1 日のガスの小売全面自由化後、ガス漏れ等が起きた場
合はどこに問い合わせをすれば良いですか。
答.ガス漏れ等の緊急時対応に関するお問い合わせについては、ガス小売事業者が需要
家に対して供給開始時や定期的に行う消費機器(ガスコンロ、ガス給湯器等)の危険発
生防止の周知を通じてお知らせするお問い合わせ先まで御連絡ください。
問30.2017 年(平成 29 年)4 月 1 日のガスの小売全面自由化後、ガス小売事業者が倒産
した場合や撤退した場合にはガス供給が受けられなくなりませんか。
答.ガスを購入しているガス小売事業者が倒産等により事業を廃止する場合、ガス小売
事業者は契約相手である消費者に対してあらかじめその旨周知しなければならず、消費
者としては当該周知期間内に他のガス小売事業者へ切り替える必要があります(他のガ
ス小売事業者と契約をしなければガスの供給が止まるおそれがあります)
。
なお、現在の一般ガス事業者(小売全面自由化後は一般ガス導管事業者)には、消費
16
者に対するセーフティネットとしてその供給区域内において最終的なガスの供給を実施
すること(最終保障供給)が義務づけられており、例えばそれまで供給していたガス小
売事業者が倒産等により事業を廃止したような場合には、消費者は、他のガス小売事業
者に切り替えるまでの間、一般ガス導管事業者と契約することで最終保障供給を受ける
こともできます。最終保障供給を受けた場合は、消費者は一般ガス導管事業者に当該供
給にかかる料金を支払う必要があります。新たにガス小売事業者と契約を行った後は、
当該ガス小売事業者に対し料金をお支払いいただくことになります。
(3)ガス料金について 4 問
問31.自由化前は、ガス料金はどのように定まっていたのですか。
答.家庭などの消費者に適用されるガス料金は、
「総括原価方式」により、各ガス事業者
が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を設定し、経済産
業大臣によって認可されています(なお、天然ガス・LPG等の価格は日々変動します
ので、これに応じて自動的にガス料金を調整する制度(原料費調整制度)があります。
これについては問 33 参照。
)
。オフィスビルや工場などの大口需要家のガス料金は既に自
由化されており、事業者との自由交渉に基づき決定されます。
問32.自由化後、ガス料金はどのように定まるのですか。安くなるのですか。ガス料金が
高くなることはないのですか。
答.ガスの料金は、資源価格、エネルギー諸税など、様々な要因にも影響を受けますが、
小売全面自由化により、小売供給の地域独占の見直し、コスト競争力やサービス提案力
のある事業者の新規参入、電力など他のサービスとのセット販売も含めた料金の多様化
や低廉化などが図られる可能性があります。自由化後は各ガス小売事業者において自由
な料金メニューの設定が可能になりますので、ガス料金の引き上げが生じてしまうおそ
れもありますが、消費者保護のための経過的な措置として、小売全面自由化後も、ガス
小売事業者間や他のエネルギーとの競争関係が確保されていない地域では、現在の料金
規制も存続させることとしています。
問33.原料費調整制度とは何ですか。
答.現在、家庭などの消費者に適用されるガス料金は、
「総括原価方式」によることとな
っており、
「総原価」=「営業費等」+「事業報酬」-「控除項目」を算定し、総原価と
料金収入が一致するように、料金単価を決定します。営業費のうち原料費(LNG、LPG
等)については、料金改定時に想定された原料構成比の範囲で、原料価格の変動を毎月
自動的に調整し、料金に反映する「原料費調整制度」が適用されています。原料費調整
制度は、原料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営効率化の
成果を明確にし、経済情勢の変化をできる限り迅速に料金に反映させると同時に、事業
17
者の経営環境の安定を図ることを目的とし、1996 年(平成 8 年)1 月に導入されました。
具体的には、調整を行う月の 5 ヶ月前から 3 ヶ月前の期間の貿易統計における平均原料
(LNG、LPG 等)価格の増減幅を小売料金に自動的に反映させるものです。なお、原料
価格が大幅に上昇した際の消費者への大きな影響を和らげるため、調整幅に一定の上限
(基準平均原料価格の1.6倍)を設定していますが、原料価格が下落した場合の制限
は設けておりません。
問34.料金規制が撤廃された事業者の料金に関する原料費調整制度はどうなるのですか。
答.小売が全面自由化され、小売料金の設定が自由化されれば、料金規制のルールとし
て設けられている現行の原料費調整制度を料金算定に設定する必要はなくなります。ただ
し、ガス小売事業者が原料費調整制度に類する契約条件として、例えば原料費の増減に伴
って自動で料金が変動する内容を盛り込むことは妨げられません。
なお、経過措置の対象に指定された場合の料金規制については、今後、省令で詳細を規
定する予定ですが、現行のガス事業法と同様、原料費調整制度を存続させることを予定し
ています。
(4)消費者保護・トラブルについて
13 問
問35.自由化後の消費者保護の取組について教えてください。
答.小売全面自由化により、家庭などの消費者が多種多様な事業者や料金メニューの中
から選択することが可能になる一方、消費者トラブルを未然に防止することが必要にな
ります。そのため、ガス小売事業者に対し、需要家が納得した上で事業者やサービスを
選択できるよう、消費者への契約条件の説明義務や、書面交付義務、消費者からの苦情
や問合せへの対応義務を課し、こうした事業者に対し、電力・ガス取引監視等委員会が
報告徴収や立入検査、業務改善の勧告を行うことができるほか、経済産業大臣が業務改
善命令を行うことができる制度としています。
また、消費者保護のために、ガス小売事業に関するルールをガイドラインの形で広く
周知することを予定しているほか、経過的な措置として、ガスの小売全面自由化後も、
ガス小売事業者間や他のエネルギーとの競争関係が確保されていない地域においては、
小売料金規制の経過措置を課すこととしています。これら様々な措置を講じることで、
自由化後の消費者の保護を図ることとしています。
問36.自由化後にガスを売ると広告している会社がありますが、国の登録を受けたガス小
売事業者なのかどうかは、どうすれば分かりますか。
答.登録を受けた事業者のリストをホームページにおいて公表しています。また、2017
年(平成 29 年)3 月までに、一般ガス事業、簡易ガス事業の許可を受けている事業者に
つきましては、登録を受けたものとみなされる予定です(みなしガス小売事業者)。資源
18
エネルギー庁のホームページにおいて公表を行っていく予定ですので、御確認ください。
ただし、自ら登録を受けていなくても、登録を受けたガス小売事業者(みなしガス小売
事業者を含む)の代理・媒介・取次ぎ業者として勧誘を行うこともありますので、当該
事業者に御確認いただくとともに、場合によってはガス小売事業者にも当該事業者が実
際に代理・媒介・取次ぎ業者であるかを確認することをお勧めします。
(参考 1)資源エネルギー庁 HP 登録ガス小売事業者一覧
(参考 2)資源エネルギー庁 HP 一般ガス事業者の概要
資源エネルギー庁 HP 簡易ガス事業の許可を受けている事業者一覧(準備中)
問37.登録を受けていない会社から勧誘を受けたのですが、どうすれば良いでしょうか。
答.2017 年(平成 29 年)4 月 1 日のガスの小売全面自由化後、ガスの販売を行うために
は、販売開始までにガス小売事業者としての登録を受ける必要があります。登録を受け
ているガス小売事業者又はみなしガス小売事業者との契約を御検討いただくことをおす
すめします。登録を受けた事業者のリストはホームページにおいて公表しています。ま
た、2017 年(平成 29 年)3 月までに、一般ガス事業、簡易ガス事業の許可を受けている
事業者につきましては、登録を受けたものとみなされる予定です(みなしガス小売事業
者)
。資源エネルギー庁のホームページにおいて公表を行っていく予定ですので、御確認
ください。ただし、自ら登録を受けていなくても、登録を受けたガス小売事業者(みな
しガス小売事業者を含む)の代理・媒介・取次ぎ業者として勧誘を行うこともあります
ので、当該事業者に御確認いただくとともに、場合によってはガス小売事業者にも当該
事業者が実際に代理・媒介・取次ぎ業者であるかを確認することをお勧めします。
(参考 1)資源エネルギー庁 HP 登録ガス小売事業者一覧
(参考 2)資源エネルギー庁 HP 一般ガス事業者の概要
資源エネルギー庁 HP 簡易ガス事業の許可を受けている事業者一覧(準備中)
問38.契約締結時に、ガス小売事業者からはどのような事項の説明を受けることができる
のですか。
答.説明義務などの具体的な内容については、経済産業省令において、料金メニューの
内容に加え、導管やガスメーターなどの設備に関する費用負担の内容、割引期間がある
場合にはその期間や割引の具体的な内容、あるいは解約に条件がある場合にはその条件
の内容などを消費者に説明すべき旨を規定しています。
(参考)ガス小売事業の登録の申請等に関する省令
問39.契約締結時に、ガス小売事業者からはどのような書面の交付を受けるのですか。
答.書面交付義務などの具体的な内容については、経済産業省令で定めることとなって
おり、この省令においては、料金メニューの内容に加え、割引期間がある場合には、そ
19
の期間や割引の具体的な内容、あるいは解約に条件がある場合にはその条件の内容など
も、消費者に書面に記載して交付すべき旨を規定しています。なお、消費者の承諾を得
て電子メールなどで送信する方法も可能とされています。
(参考)ガス小売事業の登録の申請等に関する省令
問40.ガス小売事業者の代理店等についてはどのような義務が課せられますか。
答.代理店等についても、ガス事業法によりガス小売事業者と同様に契約条件の説明義
務、書面交付義務が課されることになります。義務に違反している場合においては、代
理店等自身が経済産業大臣による業務改善命令の対象となり得るとともに、代理店等に
委託を行ったガス小売事業者も代理店等に対する適切な指示・監督をしていないことを
理由に電力・ガス取引監視等委員会による業務改善勧告や経済産業大臣による業務改善
命令の対象となり得ます。
問41.ガス小売事業者の変更に当たり、ガスの料金が不透明になることはありませんか。
答.ガスの小売全面自由化に当たり、料金を含む供給条件を事前に消費者に対し説明す
る義務が、ガス小売事業者に課せられています。さらに、消費者が料金水準の適切性を
判断しやすいように、一般消費者向けの定型的なメニューを「標準メニュー」として公
表することを、全てのガス小売事業者にとって「望ましい行為」として今後ガイドライ
ン等で位置付ける予定です。
問42.ガス小売事業者から一方的に契約解除をされることはありますか。また、解約の申
し出に応じなかったり、不当に高額な違約金をとられることはありますか。
答.ガスの小売全面自由化により、多様な事業者の新規参入や、新たなサービスの提供
などが進むことが期待されますが、他方で消費者の利益を無視した事業活動などにより
小売市場が混乱することを避けるために、ガイドラインなどの形でルールを広く周知す
ることを予定しております。ガイドラインの内容については現在検討中ですが、ガス小
売事業者からの契約解除時の手続きや、不当な解約制限に関する事項についても指針を
示す予定です。
問43.切替先のガス小売事業者が信頼できない会社であった場合、トラブルに巻き込まれ
るのではないですか
答.契約をされる前に契約内容や、登録を受けているガス小売事業者であるかなどにつ
いて、よく御確認ください。ガス小売事業者には契約締結時に説明義務、書面交付義務
等が課せられています。交付された書面は大切に保管してください。
問44.ガス小売事業者との間でトラブルが生じた場合、どこに相談すればよいのですか。
20