中高6ヶ年で着実に英語力をつける指導

2012.11
ベネッセコーポレーションGTEC for STUDENTS編集部
GTEC通信 vol.79
広島なぎさ中学校・高等学校
広島なぎさ中学校・高等学校は、まもなく創立50年目を
迎える男女共学の中高一貫校。2008年春に現在の広島
なぎさ中学校・高等学校へと名称を変え、県内屈指の進
学校として積極的に教育改革に取り組み、成功している
学校である。
今回は英語科の森山幸先生、荒木千紗子先生、諸富
隆幸先生、Olen Peterson先生に、中高一貫校である同
校の英語指導の実践についてお話を伺った。
<写真>お話を伺った広島なぎさ中学校・高等学校
Olen Peterson先生(左上)・諸富隆幸先生(右上)
荒木千紗子先生(左下)・森山幸先生(右下)
取り組みの成果
今年度7月に実施されたGTEC中高一貫校中1 GTEC 中高一貫校中1生版 聞く力スコア(12年度7月実施)
人数
平均スコア
生版の「聞く力」(リスニング)のスコアを見てみると、
同校の平均スコアは86.9点(上限スコア130点)と、
今年度生
204
86.9
全国平均を上回るスコアを示している。
また、GTEC for STUDENTSのTotalスコアで見ると、同
校は毎年40点前後のスコアの伸びを示し、今年度・昨年
度とも に 高3 の夏の 時点で学校平均スコアでGrade5
(520~609点・GTEC for STUDENTSの高校卒業時にお
ける推奨グレード)に到達している。
Grade5に
到達
このように年々着実に生徒の英語力を伸ばしていける
指導の秘訣は何か、先生方にお話を伺った。
1
レシテーション・コンテストで
「発音」と「デリバリー」を
意識させる
「グローバルな人」に
するのが目標
ベネッセ
先生
まず、中高6年間を通じて生徒にどの
ような英語力を身につけて欲しいと思わ
れているか、お聞かせいただけますか。
本校では、最終的に生徒たちに「グ
ローバルな人」になってもらうことを目標
としています。これは欧米の人の思考を
理解する、つまり「論理的に考え、論理
的に読み書きができるようになること」が
国際社会に出ていくうえで重要だと考え
ているからです。日本人的な思考ですと、
どうしても考えが堂々巡りになってしまう
ので、中学1年生の段階から論理的に
考えられる力を身につけてもらおうと、英
語力だけでなく、思考の面からアプロー
チをしています。
そのために、本校では6カ年を2年ごと
の3つのステージに区切り、ネイティブ教
員の授業を中学1・2年で「4時間」、中
学3年で「3時間」、高校1年で「2時間」
設定をしています。特に、中学1・2年で
ネイティブ教員の授業数の割合を高くし
て、自然な英語のインプットをできるだけ
多く与えることを心掛けています。
ベネッセ
先生
中学1・2年生では、国語の弁論大会と
合わせて、校内で英語の「レシテーショ
ン・コンテスト」を実施しています。これは、
特に中学の初期段階において、「発音」
と「デリバリー(話し方)」に注意を向けて
欲しいという想いから取り組んでいます。
また、中学3年生と高校1年生では、レ
シテーションからさらに一歩踏み込んで、
スピーチ・コンテストを行っています。
今年度からは外部のレシテーションや
スピーチのコンテストに参加することも推
進しています。
6年間を
3つのステージに分ける
ベネッセ
先生
生徒の中に養いたい力を常に意識しておくために、
英語科職員室の入り口に目標を掲げている。
生徒に目標とする英語力を身につけて
もらうために、学校として何か取り組まれ
ていることはありますか。
中学と高校の先生方同士の連携という
観点で、何か意識的に行われていること
はありますか。
先程もお伝えした通り、本校の場合は
6年間を3つのステージに分けている(詳
細はP.4参照)ため、中学3年生と高校
1年生は同じステージになります。した
がって、この2年についてはほぼ同じ先
生が担当をするようにしています。
また、この2年間で文法の基礎を生徒
には身につけてもらうことを意識しており、
その分、中学1・2年生の間はあまり細か
く文法の誤りなどを指摘せずに、ともかく
英語を書いたり、話したりしてもらうように
しています。
この段階から文法をあまり意識させると、
英語のアウトプット量が減りますし、綴り
や文法のミスは後の学年になってから直
すことも可能です。生徒たちも次第に英
語でアウトプットすることに慣れてくると、
だんだんと英語を書くのが上手になって
いきます。
2
声を出すことで
定着率を高める
ベネッセ
先生
日頃の授業の中で意識的に行われて
いる活動はありますか。
とにかく声を出すことを意識的に行わ
せるようにしています。これは声を出すこ
とで、インプットとアウトプットを繰り返し行
うようになるので、定着率が高くなるから
です。上級学年でも、「発音」と「音読」は
授業の中で徹底させるようにしています。
以前は上級生になればなるほど声が
出ない傾向がありましたが、最近では高
校2年生でも声が出るようになりました。
また、保護者から「家でよくCDを聞い
て、発音の練習をしている」との声や、別
の学年に兄弟のいる方からは「上の子に
比べて、英語の発音がいい」という声を
いただいています。
成績上位者を表彰して
生徒の動機づけを高める
ベネッセ
今回のテスト結果をご覧になられて、
返却時に生徒さんたちにどのような
フィードバックをされますか。
先生
成績優秀者や、聞く力や読む力などの
分野の優秀者に対して、学年掲示板へ
の張り出しや学年集会での発表を行い
ます。もっともこれは日頃からGTECに
限らず、定期考査や各種検定試験につ
いても同様に行っていますが、生徒の動
機づけを高める狙いがあります。
また、今回の結果からリスニングに関し
て課題がいくつか明らかになりました。
例えば、聞く時のポイントや聞きながらメ
モを取るスキルについて、今後の授業で
指導していきたいと考えています。
中1・7月に
受検できるのが魅力
ベネッセ
先生
今 回 、 2012 年 7 月 に リ リ ー ス さ れ た
GTEC中高一貫校中1生版を貴校でご
実施いただきましたが、中1・7月に外部
テストを実施する意義はどのようなものだ
とお考えですか。
中学1年生のこの時期に受験できる外
部の試験が英検以外にはなかったので
すが、テストの難易度を考えると英検で
も早くて第2回(10月実施)からしか受験
ができません。しかし、GTEC中高一貫
校中1生版は、問題の内容を見ても、そ
れより早い時期に受検できるところに魅
力を感じました。
本校ではほとんどの授業をネイティブ
教員が行っているため、中学1年生の1
学期に生徒が家に帰ってよく親に「英語
がわからない」と言っているそうなのです
が、今回のテスト結果を見て、我々も、保
護者の方も、「ああ、ちゃんと英語がわ
かっているんだな」という安心材料になり
ました。
海外大学への進学も
積極的に推進
ベネッセ
最後に、貴校では海外大学への進学
も積極的に推進されているとお伺いしま
した。具体的にどのような取り組みをされ
ているか、教えていただけますか。
先生
本校では2年間、高校の生徒募集を停
止していましたが、来年度再開します。
推薦入試のみですが、その出願資格の
1つが「大学進学後の留学(短期留学も
含む)、または、高校卒業後の海外大学
進学を希望していること」です。今年度
から、国内大学進学を軸にして、海外大
学への進学や将来の留学も視野に入れ
る新進路指導を始めました。来年度から
は、推薦入試入学生を中心に、海外大
学進学も見通した学力を育てる進学指
導を展開します。
中学からのGTECを評価指標とする英
語運用能力育成カリキュラムが、新進路
指導展開のためのコアの1つになるもの
と大いに期待しています。
(取材:GTEC for STUDENTS編集 中島 正剛)
3
【資料】NAGISA METHOD について
英語
生徒の中に養いたい力:「Critical
Thinking」
幅広い分野の英文(読み、聴く)に触れ、英語を通じて多様な知識を身につける。
さらに、クリティカルな視点を持って読み、表現(書く、話す)することを通じて、国際世界で通用す
る思考力(クリティカルシンキング)および英語運用能力を育てる。
意外と思われるかもしれません。英語といえば、読む、聞く、書く、話すの4技能が定番ですが、本
校が根幹として目指しているのは、もっとその奥深いところのものです。
Critical Thinkingとは直訳すれば批判的思考となりますが、実は日本語の中に対応する言葉を見出す
ことが難しい概念です。英語のネイティブの発想で英語を運用できる能力の根幹の力、とでも表現す
るのが近い表現かもしれません。
国内企業ですらすでに上司、同僚、そしてビジネスパートナーが様々な国籍で多様性が増す21世紀
社会において、正しく意思疎通ができるコミュニケーション言語が英語であり、そこで求められる英
語運用能力は、冗長的な日本語運用の思考をベースに器用に読む、聞く、書く、話すのではなく、状
況や文脈をネイティブ発想で捉えて読む、聞く、書く、話すことができる能力です。
◎NAGISA METHOD
この目的を達成するには、6ヵ年という時間だからこそ可能なオリジナルなカリキュラムNAGISA
METHODの開発が不可欠でした。 ※以下2013年度入学生カリキュラム(予定)
ステージⅠ 英語の根幹を育てる基礎期
~ 五感で英語を感じ語感を育てる ~
z
1年 週4時間をネイティブ教員 週2時間を日本人教員
z
2年 週4時間をネイティブ教員 週2時間を日本人教員
ステージⅡ 英語運用能力の育成期
~ 英語4技能をバランスよく育て、積極的に英語を運用する ~
z
3年 週3時間をネイティブ教員 週4時間を日本人教員
z
4年 週2時間をネイティブ教員 週6時間を日本人教員
ステージⅢ 英語運用能力の完成期
~ 国際社会に通用する英語の育成 ~
z
5年 週1時間をネイティブ教員 週6時間を日本人教員
z
6年 週2時間をネイティブ教員 週6-7時間を日本人教員
6年間を2年ごとの3つのステー
ジに区切り、それぞれのステージ
の目的に応じて、ネイティブ教員
と日本人教員の授業時間数を変
えている。
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