配布資料3(内部統制について) (PDF:602KB)

資料3
内部統制について
調達・入札制度の適正化に向けて
― ワイズ・スペンディングの観点から ―
テーマ 豊洲新市場 整備費膨張をめぐる問題(承前)
都 政 改 革 本 部
内部統制プロジェクトチーム/特別顧問
2017年2月1日
構成
Ⅰ.豊洲新市場 整備費膨張の経緯と要因
1. 2011年(H23)から現在に至る豊洲新市場の整備費膨張の主要因
2.豊洲新市場の整備費全体に占める建設費の割合
3.建設費の拡大は、2段階で起きたと考えられる
4.現時点の街区別入札状況・落札率
5 .各主要棟の建築工事費平米当たり単価比較
Ⅱ.建設費の膨張に影響を与えた可能性のある事実・事象
2
Ⅰ. 豊洲新市場 整備費膨張の経緯と要因
1.2011年(H23)から現在に至る豊洲新市場の整備費膨張の主要因
990億円から2,747億円へ膨らんだ建設費
⇒ 前回の第5回本部会議(2016年12月22日)において、
その一端については報告済み。
~
2013年(H25)の主要3棟の第1回入札不調から、
2014年(H26)の第2回入札にかけての建設費膨張
について、次ページの再掲スライド参照
3
豊洲新市場 建設工事 における予定価格及び予算の膨張(再掲)
※ 平成25年12月11日の市場長説明時点の金額・数値で記載・計算
422
その他
管理棟
㋐
予算総額 約1,300億円
1,206*
146
△180
設備
工事
その他
先送り
新
た
に
翌
年
度
の
予
算
措
置
が
必
要
㋐
146
管理棟
422
約1.9倍
建築
工事
422
+
180
+
α
設備工事
+
先送り工事
146
約2,000
+α億円
1,215
*
約1.6倍
1,035
第1回入札で
落札済み
第2回入札
予定価格原案
管理棟
628
第1回入札
予定価格
建築工事
一部の工事
を先送り
設備工事
先送り工事
その他
* この1,215億円に、管理棟や設備、その他の工事分を加えると予算額を超過する。
4
2.豊洲新市場の整備費全体に占める建設費の割合
2011年段階の約25%から、2015年段階の約47%にまで拡大。
(この建設費を含む全体の整備費も、3,926億円から5,884億円へ拡大)
2.78倍
100%= 3,926億円
4,521億円
5,884億円
25.2%
建設費
46.8%
2,752
億円
1倍
土壌汚染 14.9%
対策費
16.4%
9.4%
2.6倍
1.55倍
33.9%
その他関
連工事費
2.60倍
14.4%
990
億円
2,574
億円
1,532
億円
8.6%
用地
取得費
7.2%
50.5%
2011年2月 2013年3月
(H25)
(H23)
2015年3月
(H27)
2017(H29)年1月
(執行見込)
41.1%
31.6%
2011年2月
(H23)
2013年3月
(H25)
2015年3月
(H27)
5
3.建設費の拡大は、2段階で起きたと考えられる
第1段階:2011年から2013年初頭(990億円から1,532億円へ)
2011年段階におけるそもそもの施設計画の甘さ
その後のスコープ拡大(加工パッケージ棟等の取り込み)等
第2段階:2013年初頭から現時点(1,532億円から2,574億円へ)
主要3棟の入札不調後の予定価格1.6倍引き上げ、予定価格引き上げに
伴う予定価格事前開示下の1者入札による落札価格の高止まり
建設工事全体として80%を超える随契・1者入札比率
※ 設計変更・追加工事によるコストアップは236億円にとどまる。
インフレスライド及び消費税率変更は41億円のみ。
以上の結果、主要3棟は平米当たり単価で50万円を超えており(土壌汚染改良
費や関連工事費等すべて除いても)、この単価は、最近竣工した超高層ビル、ある
いは、高級ホテルの建築実績値の2~3割増し、物流センター用途の建物の2倍程
度に上ると推定される。
6
建設費膨張の第1段階としては、主として加工パッケージ棟等の付属施
設追加と要件の変更*
第1段階の膨張 2011-2013
当初計画
施設スコープ
拡大
予定価格算出のた
め設計・数量算出
要件の変更
1,532億円 内訳
(スコープとしては全て含まれている)
100
232
210
104
その他
232
1,532
億円
628
990
億円
422
146
2011年2月
加工パッケー
ジ棟、リサイク
ル棟等もとも
と民間施設の
取り込み
加工パッケージ棟、
駐車場棟等の追加
業界要望対応 災害対応力・
まちづくりへの
対応
* 市場ヒアリング結果(今後内容精査)
3街区
主要3棟
設備工事費
管理施設棟建設費
2013年2月
7
第1回不調以降の予定価格の見直し、高い1者入札・随契比率による
価格高止まりが、最大の整備費膨張要因
第2段階の膨張 2013-2017
2013年度当初
1,532億円
現時点
2,574億円
2,302億円
先送り工事
加工パッケー
ジ棟等
303
236
当初の
〈1.3倍〉
303
設計監理 35
設計変更
その他工事
407
407
付帯施設
〈約2倍〉
加工パッケージ棟 他
その他工事
建築工事
(主要棟)
設備工事
管理施設棟
(1,441億円)
232
104
628
1,034
〈1.6倍〉
本来の建築
工事費として
算定される
べき費用
1,034
再入札にて1.6倍に
422
(12.22都政改革本部)
146
第1回不調以降の予定価格の見直し、高い1者入札・随契比率
による価格高止まり
※数値は単位未満を四捨五入しているため、合計数値と合わない場合がある。
415
143
設計変更、監理に
関するコスト上昇
8
4.現時点の街区別 入札状況・落札率
3街区の主要棟に関して、随契+1者入札比率は80~90%
5街区
6街区
7街区
(億円)
(億円)
73
随契
1者
68
(億円)
32
落札率
2者以上
710
落札率
落札率
688
99.6%
407
99.9%
94
87.1%
533億円
随契+1者割合
躯体JV受注割合
(主要棟)
82%
78%
173
87.0%
98.4%
79
956億円
836億円
82%
78%
91%
77%
※上記の落札金額には、土壌汚染対策工事費やその他関連工事費を含んでいる。
出典:豊洲市場の建設費に係る入札経過調書から作成
81.7%
9
5.各主要棟の建築工事費(注1)平米当たり単価比較
(3街区とも駐車場棟、付属施設を除く。)
3街区とも50万円/㎡(165万円/坪)を超える。
5街区
6街区
対比(注2)
7街区
主要棟
管理棟
超高層
オフィスビル
高級ホテル
大型物流
センター
敷地全体平均値
49.1万円/㎡
52万円
/㎡
50万円
/㎡
53.7万円
/㎡
65.9万円
/㎡
35~40
42~
万円/㎡
万円/㎡
18~25
万円/㎡
注1)建築工事費には、建築、基礎、設備等一式含む。
注2)専門家ヒアリング(施工に詳しいエンジニア)
出典 市場データ、専門家ヒアリングから作成
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Ⅱ.建設費の膨張に影響を与えた可能性のある事実・事象
主要3棟の1回目の入札不調直後のゼネコンJVへのヒアリング(前回報告済)
その後、主要3棟の予定価格が1.6倍に拡大(前回報告済)
1回目の入札で唯一落札された管理棟(7街区)の平米単価66万円(建築工事
+設備工事費)という高値
上記の各事実・事象が、その後の落札価格・随契価格の決定に大きな
影響を与えた可能性がある。
そうした観点からも、あらためて入札制度とその運用(コスト管理、
wise spendingの視点)に重大な欠陥が存在する可能性が示唆され、
更なる検討が求められる。
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