Clinical Research Award

I-28
心房細動患者の心臓 CT における左心耳への造影剤流入パターンは脳梗塞リスクを予見し得る
井上 堯文、高木
筑波記念病院
理央、西
智史、吉本
明浩、藤崎
正之、森住
誠、末松
義弘
心臓血管外科
背景:心房細動患者において左心耳は血栓の主要な生成母地であり、その評価は脳梗塞リスクを予見し得る。
方法:連続 77 例の慢性心房細動患者に対する心臓 CT で、左心耳への造影剤の流入パターンを 3 通り(高、中、
低リスク群)に分類し、脳梗塞既往の有無、CHADS2 スコア、その他因子について検討した。結果:高、中、
低リスク群はそれぞれ 40 例(52%)、16 例(20%)、21 例(28%)であった。脳梗塞既往頻度はそれぞれ、50%, 25%,
10% (p=0.003)であった。CHADS2 スコアで調整後のロジスティック回帰分析においても、高リスク群は OR 4.99
(CI:1.69-14.7, p=0.003)と有意に脳梗塞既往との関連を認めた。考察:心臓 CT による造影剤の左心耳への流
入パターン評価は、新たな脳梗塞リスク評価指標となり得る。
I-29
心エコー図による非侵襲的右房圧推定法:アジア人における下大静脈径の検討
川田 貴之 1)、大門
雅夫 2)、李
久保 健志 4)、馬原
啓太郎 4)、中尾
辺
昌文 1)、小室
公一 1)、澤田
倫子 2)、廣川
直子 1)、Shuo-Ju
愛美 1)、Boqing
Xu2)、加藤
Chiang3)、大
倫子 5)、渡
一成 1)
1)
東京大学医学部附属病院
4)
政哲 1)、木村
臓内科、 榊原記念病院
循環器内科、2)東京大学医学部附属病院
5)
循環器内科、 順天堂医院
検査部、3)台北医学大学
心
心臓血管外科
【目的】右房圧推定のための心エコー図による下大静脈指標の基準値は、現行ガイドラインでは米国に準拠し
ている。これがアジア人に適切かどうかを検討した。【方法】計 3 施設で 120 例を対象に、右心カテーテル検
査と同時に施行した下大静脈エコーの最大径、呼吸性変動値を右房圧と比較した。
【成績】右房圧高値(10mmHg
以上)を検出する最大径、呼吸性変動のカットオフ値はそれぞれ 17mm、40%であり、現行ガイドライン(21mm、
50%)より小さかった。両者を組み合わせると、感度 75%、特異度 94%で右房圧高値を予測できた。一方、
現行ガイドラインに基づき評価すると、感度 42%、特異度 99%となり感度が低下した。【結論】アジア人に
おける右房圧推定のための下大静脈指標は現行ガイドラインと比較して小さく、見直しが必要と考えられた。
I-30
当院における周産期静脈血栓塞栓症の原因、頻度、予後の検討
初瀬
慧、上原
和幸、山本
裕子、山田
臣太郎、山本
渓介、瀧澤
雅隆、魚住
博記、池
ノ内 浩
日本赤十字社医療センター
循環器内科
背景:周産期は生理的に凝固系の異常を来しやすく、静脈血栓塞栓症(VTE)も起こしやすい。目的:当院にお
ける周産期 VTE の詳細を明らかにする。方法と結果:2010 年 1 月から 2016 年 6 月までに VTE で当院に入院し
た全症例を後方視的に検討。そのうち周産期症例は 8 例であり、これらの症例の解析を行った。全出産に占め
る割合は 0.041%であった。平均年齢 36±4 歳、深部静脈血栓症のみ 5 例、肺血栓塞栓症の合併 3 例であった。
診断時の妊娠週数は初期が 3 例、中期が 1 例、後期が 2 例、産褥期が 2 例であった。VTE の原因は、妊娠に加
え、全例で何らかの他の要因(子宮筋腫、血栓素因、不妊治療、帝王切開後)を有していた。結論:妊娠初期
の診断例ほど胎児の予後は良く、また肺血栓塞栓症を合併した症例では胎児の予後は悪い傾向であった。考察
を加えて報告する。
I-31
Electrical storm を呈した患者に対する心臓リハビリテーションの可能性
加藤 穣 1)、黒木
1)
健志 1)、小池
筑波大学附属病院、2)筑波大学
朗 3)、野上
医学医療系
昭彦 2)、青沼
和隆 2)
循環器内科、3)筑波大学
医学医療系
医療科学
【目的】極めて不安定に心室頻拍や心室細動を繰り返す状態を Electrical storm(ES)と呼ぶ。ES を呈した
患者は絶対安静を余儀なくされるが、いつまで離床を制限すべきか、明確なエビデンスはない。ES のために
当院へ紹介となった患者 36 例のうち、心臓リハビリテーション(心リハ)を行った 28 例について報告する。
【結果】心リハ介入期間の心室頻拍再発は 14 例(50%)にみられたが、心リハ実施中の発症は 1 例(3.6%)
であった。最終獲得 ADL は 22 例(79%)で 200m 歩行が達成でき、22 例(79%)が自宅退院可能で、死亡例
はなかった。【考察】ES を呈した患者は薬物的・非薬物的治療を施しても不整脈の再発は少なくないが、厳重
なモニタリング下での心リハ介入は可能と考えられる。
I-32
アゼルニジピンの腎交感神経に対する効果-123I-MIBG による検討後藤 慶大 1)、笠間
1)
伊勢崎市民病院
周 2)、倉林
正彦 2)
循環器内科、2)群馬大学医学部付属病院
循環器内科
高血圧症は腎交感神経活性と関連し、腎臓と心臓の交感神経活性は予後と逆相関していることがわかってい
る。延髄吻側腹外側部の交感神経活性を抑制するアゼルニジピンが腎交感神経活性を抑制するかどうかは不明
である。本研究では腎交感神経活性へのアゼルニジピンの効果を評価した。21 人の心不全患者にアゼルニジ
ピンを投与した。アゼルニジピン投与前と投与後 6 か月で 123I-MIBG シンチグラフィを行い、腎臓と心臓の
Washout Rate(WR)を測定した。アゼルニジピンを半年間投与することで腎臓の WR は 60.3±12.0 から 67.6±
10.9、心臓の WR は 38.2±12.4 から 35.3±12.1 と有意に改善した。アゼルニジピンは心不全患者の心臓だけ
なく腎臓の交感神経活性を抑制した。腎交感神経活性を抑制するアゼルニジピンは治療抵抗性高血圧症の治療
に有効かもしれない。