平成29年1月24日 No.17−017 株式会社 いよぎん地域経済研究センター ―景況感、暮らし向きともに悪化、強まる先行き不安― 株式会社いよぎん地域経済研究センター(略称IRC、社長 重松 栄治)では、このた び、愛媛県内の消費者アンケート結果を取りまとめましたので、下記のとおりお知らせし ます。なお、詳細は 2017 年2月1日発行の「IRC Monthly」2017 年2月号に掲載します。 記 【調査要旨】 ・ 消費者の景況感DIは2年ぶりに悪化した。医療費負担の増大などで 60 歳以上の景況 感が特に悪くなっている。今後の見通しについても、すべての年代で悪化しており、特 に 30 歳代の悪化幅が大きい。 ・ 収入DIは、過去最高だった前回に引き続き高水準だが、伸び悩みがみられる。 ・ 消費支出DIは、調査開始以来最も高くなった。子育て世代の教育費などの負担感が拡 大しており、家計収支の悪化につながっている。 ・ 物価が「上がった」と答えた人は、前回より減少したものの、生鮮野菜の高騰などが影 響して全体の7割超が物価上昇を実感している。多くの消費者が今後の物価上昇を見込 み、身構えている。 ・ 暮らし向きDIは、家計収支の悪化が影響し2年ぶりに悪化した。今後の見通しも厳し く、特に子育て世代の慎重姿勢が鮮明となっている。 ・ 日常生活の節約意識が定着する一方で、うまくやりくりして ハレの日消費 を楽しも うとする消費者が増加している。ボーナスの使い道からも、消費形態は モノ から コ ト への変化がみられる。 以 私たちはチャレンジします。みなさまの笑顔のために。 株式会社 伊予銀行 上 NEWS RELEASE 愛媛県松山市南堀端町 1 番地 〒790-8514 TEL(089) 941-1141 【アンケート概要】 【回答者属性】 単位(%) 時 期:2016 年 11 月下旬∼12 月上旬 対 象:愛媛県内在住の個人 1,600 名 方 法:伊予銀行本支店でアンケート票を配布し、 男性 女性 30 歳未満 17.5 29.3 70.7 郵送で回収。無記名方式。 30 歳代 13.9 33.7 66.3 回答数:667(有効回答率 41.7%) 40 歳代 21.5 28.4 71.6 【DI(Diffusion Index)とは?】 50 歳代 22.8 34.4 65.6 60 歳以上 24.3 33.1 66.9 100.0 31.7 68.3 本レポートでは、 「よくなった(なりそう)」 「変わらない」 「悪く なった(なりそう) 」の中から回答を選んでもらい、 「よくなった (なりそう)」との回答割合(%)から「悪くなった(なりそう) 」 との回答割合(%)を差し引いたものをDIとする。 全体 1.景気・支出・暮らし向きの動向 図表−2 収入DI <1年前と比べた現在、今後の見通し> (%ポイント) 〔景況感DI〕2年ぶりに悪化 (%) 30 30 20 景況感DIは、前回(2015 年調査)を 9.8 ポイン 13.7 13.0 11.2 7.3 10 7.8 8.8 9.0 15.4 17.7 11.2 20 10.6 10 ト下回り、▲21.4 と2年ぶりに悪化した。年代別に 0 みると、医療費負担の増大などで 60 歳以上が際立 0 ▲ 3 .3 ▲ 3 .8 -10 って悪くなっている。今後の見通しはさらに 13.1 -20 18.7 ▲ 1 8.5 -30 ポイント下落し▲34.5 となっており、下落幅を年代 26.9 ▲ 2 3.8▲ 2 4.9 29.7 -40 別にみると 30 歳代が最も大きくなっている(図表 10 ▲ 1 0.0 ▲ 1 1.4 ▲ 1 3.2 ▲ 3 1.6 38.9 ▲ 2 9.8 32.6 23.0 22.6 20 21.5 ▲ 1 9.9 30 30.5 33.9 増えた・増えそう(右軸) 37.6 40 減った・減りそう(右軸) DI(左軸) -50 50 07年 −1) 。 (%ポイント) (%) 図表−1 景況感DI <1年前と比べた現在、今後の見通し> 40 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 見通し 〔消費支出DI〕調査開始以来、最高を記録 40 「支出が増えた(増えそう) 」から 消費支出DIは、 20 13.5 4.0 0.9 2.4 1.7 2.9 20 9.4 9.4 4.8 1.7 「減った(減りそう) 」を差し引いたもので、今回は前 5.3 0 0 回調査を 0.9 ポイント上回る過去最高の 40.0 となっ 20 た。特に子育て世代である 30 歳代・40 歳代の消費 ▲ 1 1.6 ▲ 7 .3 ▲ 2 1.4 -20 20.8 ▲ 3 6.5 21.0 ▲ 2 4.6 26.2 ▲ 3 4.5 34.0 -40 40.5 56.0 よ くなった・なりそう(右軸) 54.8 64.3 07年 77.0 08年 60 悪くなった・なりそう(右軸) ▲ 7 6.1 -80 下の 38.6 となっており、全体としては消費支出を抑 ▲ 4 8.2 49.9 ▲ 6 1.9 -60 支出DIが高い。今後の見通しは、1.4 ポイント低 40 39.8 ▲ 5 4.3▲ 5 1.9 えようとする傾向がみられた(図表−3) 。 DI(左軸) 80 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 見通し 図表−3 消費支出DI <1年前と比べた現在、今後の見通し> (%ポイント) 60 〔収入DI〕先行きに危機感が高まる 50 収入DIは、過去最高を記録した前回を 0.5 ポイ 48.7 47.5 40.3 40 3 4 .7 50.2 46.4 42.7 38.7 3 4 .1 46.1 3 8 .1 3 6 .1 3 9 .3 (%) 60 48.1 47.1 48.4 3 9 .1 4 0 .0 3 8 .6 50 40 2 8 .7 30 ント下回り▲3.8 となった。昨年に引き続き水準は 高いものの、ここにきて伸び悩みがみられる。今後 の見通しは 16.1 ポイント低下し▲19.9 となってお 2 1 .8 30 2 1 .3 20 20 10 10 0 0 -10 り、収入減少を危惧している人が多いようだ(図表 -20 −2) 。 13.4 14.0 18.5 8.0 10.3 14.0 17.4 10.9 7.1 10 9.8 20 減った・減りそう(右軸) DI(左軸) -30 07年 2 9.0 増えた・増えそう(右軸) 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 30 16年 見通し 〔物価〕7割超が物価上昇を実感 2.ボーナスの使いみち 物価が1年前と比べて上昇したと感じている人の ボーナスの支給がある人にボーナスの使いみち 割合は 73.2%と依然として高い水準となっている。 を尋ねたところ、最も多かったのは「貯蓄」 (64.3%) 、 天候不順による生鮮野菜の高騰など、消費者にとっ 次いで「生活費の補てん」 (37.9%)となった(図表 て身近なものの価格の上昇が影響したと考えられる。 −6) 。先行きの不安から「貯蓄」を増やす人は増加 また、1年後の物価については、上昇を見込む割合 傾向にある。一方で、 「衣料品」や「家電製品」など が7割を超えており、消費者が物価の上昇に身構え モノ の購入は控えつつ、 「旅行」などの コト ている様子がうかがえる(図表−4) 。 に積極的に使おうと考える人が増えている。日常生 活で節約した分を ハレの日消費 に回す消費者が 図表−4 物価の騰落 0% 2015年 (n=695) 1年前と比べ た 現在の物価 20% 40% 18.7 60% 80% 100% 16.1 64.5 増えており、その消費形態は モノ から コト 0.1 0.6 へ変わってきていると言える。 図表−6 ボーナスの使いみち(複数回答) 2016年 (n=662) 15.3 25.4 57.9 1.2 0.3 0 20 (%) 40 60 貯蓄 現在と比べた 1年後の物価 (n=659) 11.2 61.9 24.1 64.3 生活費の補てん 2.7 0.0 37.9 ローン返済 かなり上がった(上がりそう) 変化なし かなり下がった(下がりそう) 18.1 衣料品 少し上がった(上がりそう) 少し下がった(下がりそう) 7.0 国内旅行 ※小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。 23.5 家電製品 6.5 海外旅行 〔暮らし向きDI〕 車 家具 暮らし向きはやや悪化、見通しは慎重姿勢 その他 暮らし向きDIは、前回を 2.2 ポイント下回る ▲14.0 となり2年ぶりに悪化した。ここ 10 年でみ 80 6.8 4.5 2.0 3.8 13年(n=416) 14年(n=419) 15年(n=432) 16年(n=443) まとめ れば、過去最高の水準になった昨年に次ぐ水準であ 今回の消費者アンケートでは、景況感、暮らし向 り、暮らし向き自体は悪くはないようだ。今後の見 きともに悪化していることが分かった。ここ 10 年 通しは全年代で悪化し、全体で 14.6 ポイント低下の 間の推移をみると、 各項目の水準自体は高いものの、 ▲28.6 と大幅な悪化となっている(図表−5) 。悪 先行きについては厳しい見方をする消費者が多い。 化幅は子育て世代である 30 歳代、40 歳代が大きい。 収入が伸び悩むなか、消費支出が調査開始以来最高 となったが、生活必需品などへの 不本意支出 が 図表−5 暮らし向きDI <1年前と比べた現在、今後の見通し> (%) (%ポイント) 10 6.4 3.4 4.5 4.3 3.7 4.4 5.1 7.7 5.5 6.3 5.4 0 ▲ 1 1.8 ▲ 1 5.3 -30 そのような先行きの不安感から消費者の節約意 0 -10 -20 家計を圧迫しているものと考えられる。 10 ▲ 2 0.4 ▲ 2 1.9 ▲ 2 5.0 ▲ 2 6.7 28.3 ▲ 3 2.5 35.3 20.3 に興味が移っている消費者の消費意欲をいかに刺激 ▲ 2 8.6 ▲ 2 8.9 25.9 30.4 35.9 -40 ▲ 3 0.8 しもうとする動きもみられた。 モノ から コト 20 19.5 20.4 識は定着しているが、うまくやりくりして余暇を楽 10 ▲ 1 4.0 30 29.4 33.2 よ くなった・なりそう(右軸) していくかが、小売業界やサービス業界の今後の課 34.0 40 悪くなった・なりそう(右軸) DI(左軸) -50 題となるだろう。 50 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 見通し 3 (加藤 あすか)
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