16-D-0906 2017 年 1 月 23 日 株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。 東京センチュリー株式会社 (証券コード:8439) 【据置】 長期発行体格付 格付の見通し 債券格付 MTNプログラム格付 発行登録債予備格付 国内CP格付 A+ 安定的 A+ A+ A+ J−1 日本カーソリューションズ株式会社 【据置】 長期発行体格付 格付の見通し 国内CP格付 富士通リース株式会社 (証券コード:−) A+ 安定的 J−1 (証券コード:−) 【据置】 長期発行体格付 格付の見通し 国内CP格付 A+ 安定的 J−1 ■格付事由 発行体:東京センチュリー株式会社 (1) 総合リース大手の一社で、主要株主はみずほグループ(約 35%)、伊藤忠商事(25%)。格付には、主要 株主との資本、人材、資金調達、営業など各面での関係並びに、当社の収益力などが反映されている。傘 下に、日本カーソリューションズや富士通リースなどを擁し、オート事業、情報通信機器の取扱いに強み を持つ。国内リース市場の環境は引き続き厳しいものの、当社は収益性の改善に向けた施策を講じ、それ が成果にも結びつきつつある。スペシャルティ、国内オート、国際の 3 つの事業分野においては、積極的 に業容を拡大してきており、これらにより収益力が強化されてきた。 (2) 契約実行高を伸ばし、営業資産残高を持続的に積上げたことで、14/3 期以降の資金原価控除前粗利益、 経常利益は増加基調にある。17/3 期上半期の経常利益は 360 億円と前年同期比横ばいであったが、不動 産ファイナンスのエグジット収益が剥落した影響を、賃貸・割賦事業や米 CSI リーシング社の連結子会社 化による寄与などで吸収している。17/3 期通期では経常利益 720 億円(前期比 6%増)を見込んでいる。 当面は比較的収益性の高いスペシャルティ事業分野において、仕掛中の発電設備の完工が続くほか、航空 機ファイナンスなどで残高を積み上げていくとみられる。資産の拡大よりも収益率をより高めていく事業 方針は評価されるが、国内外の事業環境が変化していく中で、その進捗に JCR は注目していく。 (3) 管理先債権の残高は少額に留まっており、資産の質は総じて良好である。海運市況の悪化を主因に船舶フ ァイナンスへの引当を積み増しているものの、船舶ファイナンスのエクスポージャーは大きなものではな い。総じてみると、与信費用は低水準にとどまっており、当面も大幅な増加が生じるとは想定していない。 なお、スペシャルティ事業分野における資産残高の増加によって資産価格の変動リスクの影響を受けやす 1/4 http://www.jcr.co.jp/ くなる可能性があるが、損益並びに資本の厚みに照らしてみると、対応可能な範囲内に収まると JCR は 想定している。 (4) 16 年 9 月末の自己資本比率は 9.3%と前年同期末比で 0.2%ポイント低下している。これは米 CSI リーシ ング社を連結子会社化した影響が大きいが、同社のノンリコースローンを調整してみると自己資本比率へ の影響は軽微である。好調な業績を背景に内部留保が速いペースで蓄積していること、国内リース事業分 野を中心に収益性の低い資産の積み上げを抑制していること、大型の投資案件に際し財務面の規律を重視 するスタンスが堅持されていることから、自己資本比率は徐々に改善していくと JCR はみている。 発行体:日本カーソリューションズ株式会社 (1) 車両管理台数で国内第 3 位の大手オートリース会社。当社の株主は、東京センチュリーが約 60%、NTT が約 40%を出資する構成。当社は東京センチュリーの連結子会社であるとともに、NTT の持分法適用関 連会社である。東京センチュリーとの資本や人材面での結び付きの強さ、東京センチュリーの事業ポート フォリオにおけるオート事業の重要性および当社がその中核を担っている点、当社の収益力の高さと財務 の健全性が格付を支えている。 (2) 低採算案件の抑制などを背景として、足元ではリース粗利益が増加に転じた。また、13 年 10 月の東京オ ートリースとの合併以降、購買コストおよび販管費の削減を持続的に進めてきたことが寄与し経常利益の 増加が続いている。こうした結果、17/3 期上半期の経常利益は、前年同期比 8.2%増益の 56 億円となっ た。他方で、円高や輸出台数の伸び悩みから中古車市況が悪化しており、リース満了車両の売却益は減少 した。中古車の輸出動向および市況については注視していく必要がある。 (3) 16 年 9 月末の自己資本比率は 14.8%と良好な水準にある。資産残高は増加が続いているが、安定した収 益を背景に内部留保が増加し、自己資本比率は徐々に上昇してきている。管理先債権や与信費用が少額に 留まっているなど、営業資産の健全性についても良好である。資金調達は、みずほ銀行をコアとしつつ安 定的に多数の金融機関と取り引きを行っており、またコマーシャルペーパーによる直接調達で調達の多様 化が図られている。 発行体:富士通リース株式会社 (1) 情報通信機器の取扱いに強みを持つリース会社。当社の株主は、東京センチュリーが 80%、富士通が 20%を出資する構成。当社は東京センチュリーの連結子会社であるとともに、富士通の持分法適用関連会 社である。東京センチュリーとの資本や人事面での結び付きの強さ、東京センチュリーの事業ポートフォ リオにおける情報通信機器ビジネスの重要性に加え、当社の財務の健全性などが格付を支えている。当社 は、国内 IT サービス最大手の富士通の製品・サービスのリース案件の取扱においてシェアトップの座に ある。富士通グループの販売金融会社としての役割を担っており、営業面で同グループからのサポートが 期待できることも格付に反映している。 (2) 資金原価の削減やリースアップ品の売却益などが全体の粗利益の増加を牽引してきている。収益性を重視 するスタンスを維持しており契約実行高は伸び悩んでいるものの、リース粗利益の減少には歯止めが掛か りつつある。こうした結果、17/3 期上半期の経常利益は前年同期比 25.5%増益の 16 億円となった。ただ し、収益力の強化は引き続き当社にとって課題であると JCR は考えており、新たに取り組んでいる中古 情報通信機器のリユースによる収益などをどれだけ伸ばしていけるか注目している。 (3) 官公庁および富士通グループなど信用力の高い取引先の残高が大部分を占めることを背景に資産の健全性 は高く、与信費用も低水準で推移している。16 年 9 月末の自己資本比率は 15.6%と、資産内容の健全性 などに照らして資本充実度は問題のない水準にある。資金調達は、みずほ銀行をコアとしつつ安定的に多 数の金融機関と取り引きを行っており、またコマーシャルペーパーによる直接調達で調達の多様化が図ら れている。 (担当)本多 2/4 http://www.jcr.co.jp/ 史裕・大石 剛 ■格付対象 発行体:東京センチュリー株式会社 【据置】 対象 長期発行体格付 対象 第 6 回無担保社債(社債間限定同順 位特約付) 第 7 回無担保社債(社債間限定同順 位特約付) 第 8 回無担保社債(社債間限定同順 位特約付) 第 9 回無担保社債(社債間限定同順 位特約付) 第 10 回無担保社債(社債間限定同 順位特約付) 第 11 回無担保社債(社債間限定同 順位特約付) 第 12 回無担保社債(社債間限定同 順位特約付) 第 13 回無担保社債(社債間限定同 順位特約付) 第 14 回無担保社債(社債間限定同 順位特約付) 第 15 回無担保社債(社債間限定同 順位特約付) 第 16 回無担保社債(社債間限定同 順位特約付) プログラム名 発行限度額 プログラム設定日 ステイタス 信用補完等 特約条項 格 付 対象 発行登録債 格付 見通し A+ 安定的 発行額 発行日 対象 0.439% A+ 300 億円 2014 年 4 月 18 日 2017 年 4 月 18 日 0.206% A+ 100 億円 2014 年 4 月 18 日 2019 年 4 月 18 日 0.329% A+ 100 億円 2014 年 11 月 21 日 2017 年 11 月 21 日 0.151% A+ 100 億円 2014 年 11 月 21 日 2019 年 11 月 21 日 0.298% A+ 100 億円 2015 年 4 月 22 日 2018 年 4 月 20 日 0.140% A+ 150 億円 2015 年 4 月 22 日 2020 年 4 月 22 日 0.307% A+ 200 億円 2015 年 9 月 18 日 2018 年 9 月 18 日 0.165% A+ 100 億円 2015 年 9 月 18 日 2020 年 9 月 18 日 0.336% A+ 300 億円 2016 年 4 月 14 日 2019 年 4 月 12 日 0.110% A+ 200 億円 2016 年 4 月 14 日 2021 年 4 月 14 日 0.200% A+ Euro Medium Term Note Programme 20 億米ドル相当額 2003 年 11 月 7 日 無条件・非劣後・無担保の債務で、他の無条件・非劣後・無担保の債務と同順位 なし ネガティブ・プレッジ条項、クロス・デフォルト条項 A+ 発行予定額 発行予定期間 予備格付 2016 年 2 月 14 日から 2 年間 A+ 発行限度額 格付 6,500 億円 J-1 【据置】 対象 対象 コマーシャルペーパー 格付 見通し A+ 安定的 発行限度額 格付 J-1 1,400 億円 発行体:富士通リース株式会社 【据置】 対象 長期発行体格付 対象 コマーシャルペーパー 格付 2018 年 4 月 19 日 発行体:日本カーソリューションズ株式会社 長期発行体格付 利率 100 億円 2013 年 4 月 19 日 2,000 億円 コマーシャルペーパー 償還期日 格付 見通し A+ 安定的 発行限度額 格付 750 億円 J-1 3/4 http://www.jcr.co.jp/ 格付提供方針に基づくその他開示事項 1. 信用格付を付与した年月日:2017 年 1 月 18 日 2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:松村 主任格付アナリスト:本多 史裕 省三 3. 評価の前提・等級基準: 評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に「信用格付の 種類と記号の定義」 (2014 年 1 月 6 日)として掲載している。 4. 信用格付の付与にかかる方法の概要: 本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp/)の「格付関連情報」に、 「コーポレート等の信用格付方法」 (2014 年 11 月 7 日)、 「リース」 (2013 年 7 月 1 日) 、 「親子関係にある子会社の 格付け」 (2007 年 12 月 14 日)として掲載している。 5. 格付関係者: (発行体・債務者等) 東京センチュリー株式会社 日本カーソリューションズ株式会社 富士通リース株式会社 6. 本件信用格付の前提・意義・限界: 本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。 本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性 の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外 の事項は含まれない。 本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入 手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。 7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者: ・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表 ・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明 8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要: JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、 独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、 当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。 9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし ■留意事項 本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、 的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、 金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因 のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として 発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。 ■用語解説 予備格付:予備格付とは、格付対象の重要な発行条件が確定していない段階で予備的な評価として付与する格付です。発行条件が確定した場合には 当該条件を確認し改めて格付を付与しますが、発行条件の内容等によっては、当該格付の水準は予備格付の水準と異なることがあります。 MTN プログラム格付:プログラム格付はプログラムに対する信用格付です。個別のノートの信用力はプログラム格付と同等と判断されるケースも ありますが、クレジット・リンク・ノートやエクスチェンジャブル・ノートなど、元利支払いが第三者の信用状況に依存するノートなどではプログ ラム格付と異なると判断されることもあります。JCR では、発行体から依頼がある場合などを除き、通常、プログラムに基づき発行される個別のノ ートに対する信用格付は行っていません。 ■NRSRO 登録状況 JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラス に登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g-7(a) 項に基づく開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。 ■本件に関するお問い合わせ先 情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026 4/4 http://www.jcr.co.jp/
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