【相談】消毒液の入った万能ビンの交換期間について 近年、ディスポタイプ消毒液の使用が勧められていることは承知しているが、コストの面で 導入できていない。 ・オートクレーブ滅菌された万能ビンを使用 ・消毒液(イソジン、0.05%ヒビテン、アクリノール)を使用 ・綿球ガーゼは、1日毎に浸し使用し、万能ビンに残したままにしていない ・使用(間)頻度 数回~20回/日 ・消毒液継ぎ足しをしています ・週に1~2回 万能ビン交換 以上の状況での使用している万能ビンでの交換タイミングと、今後改善しなければならな い点を教えてください。 【回答】 万能つぼ(びん)は現在多くの施設で使用されなくなってきています。その理由として、万 能つぼの汚染と管理の手間があげられます。週に 1~2 回の洗浄・滅菌に要する費用やそれ を担う人件費がかかります。 万能つぼに入れた綿球は創部の処置に使用する場合がほとんどであり、クリティカル器 材に分類され滅菌が推奨されています。万能つぼは空気中の落下菌や、綿球等に付着した菌 による汚染も考えられます。継ぎ足しによる使用で週 1~2 回の交換では、消毒薬に耐性の 菌が付着し、増殖する可能性があります。塩化ベンザルコニウム(逆性石けん) 、クロルヘ キシジン(ヒビテン) 、両性界面活性剤、アクリノール(アルコールよりも低水準)などの 抗菌スペクトルの狭い消毒薬では、使用中の細菌汚染に注意しなければなりません。消毒薬 の種類、希釈濃度、保管温度などにもよりますが、万能つぼに入れてこれらの消毒薬の綿球 やガーゼを長期間くり返し使用した場合、緑膿菌、セパシア菌、セラチア菌などの汚染が起 こってきます。また、近年これらの細菌による院内感染事例の報告がみられています。した がって、これらの綿球やガーゼは 24 時間以内に廃棄することが望ましいとされています。 (尾家重治:滅菌・消毒・洗浄、4 生体消毒薬とその使用法、ICD テキストープラクティ カルな病院感染制御(ICD 制度協議会監修)、メディカ出版、2004, p106-109) また綿球をとる際に不潔操作があれば万能ビン自体の汚染も考えられ、0.05%クロルヘキ シジン液では特に汚染があった場合、室温で 48 時間後には 10 万個レベルまで菌が繁殖し たともあります(消毒と滅菌のガイドライン) 。そのため、綿球だけでなく万能つぼも十分 乾燥または滅菌済みのものを用い、1 日 1 回の交換が推奨されます。 ポビドンヨードやアクリノールに関する記載はないものの、万能つぼを使用する場合は、 汚染した場合は直ちに、汚染していない場合でも 24 時間以内の交換が奨められます。 現在、ディスポの消毒液付きスワブスティックや、個包装の綿球の入った材料などもあり、 価格的にも下がってきております。ぜひご検討をおねがいします。
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