2017年度 須磨学園中学校入学試験 理 科 第 3 回 (注 意) 解答用紙は、この問題冊子の中央にはさんであります。まず、解答用紙を取り出して、 受験番号と氏名を記入しなさい。 1.すべての問題を解答しなさい。 2.解答はすべて解答用紙に記入しなさい。 3.試験終了後、解答用紙のみ提出し、問題冊子は持ち帰りなさい。 ※この紙は再生紙・大豆インクを使用しています。 1 次の文を読んで、あとの問いに答えなさい。 ヒトの体には、食べたものを細かく分解してから吸収するしくみがあります。 こう そ このようなしくみを「消化」といい、食物中の大きな物質を分解する消化酵 素 が はたらいています。例えば、白飯の主成分は炭水化物ですが、炭水化物の一種である 4 4 4 4 ふく 4 デンプンは、だ液 やすい液(すい臓からでる消化液)の中に含 まれる( 1 )と ばく が とう いう消化酵素によって分解されて麦芽糖(マルトース)という小さな物質となり、 続いて小腸でマルターゼという消化酵素によって分解されてブドウ糖(グルコース) というさらに小さな物質になって、体内に吸収されます。肉や魚の主成分である タンパク質は、胃液に含まれるペプシンやすい液に含まれるトリプシンなどの消化酵素 のはたらきで、( 2 )という小さな物質にまで分解されて、体内に吸収されます。 し ぼう サラダ油の主成分である脂 肪 は、すい液に含まれるリパーゼという消化酵素に さん よって、脂肪酸と( 3 )という小さな物質に分解されて、体内に吸収されます。 このように、ヒトの体では物質を分解したり合成したりするさまざまな化学反応が 行われているのですが、不思議なことにこれらの反応は実験室で観察するような化学 反応とはちがい、火で熱したり、酸やアルカリを加えたりしなくても起こります。それ はヒトの体が作り出す「酵素」という物質が、化学反応を手助けするからなのです。 酵素はタンパク質でできている物質で、化学反応を手助けするだけですから、化学 反応が起こっても自分自身は変化しません。このように、化学反応を手助けしそれ しょくばい 自身は変化しない物質を「触媒」と呼び、このような物質が反応を手助けすることを 「触媒する」といいます。これに対して、触媒される物質(実際に化学反応を起こす 物質)を「基質」とよび、反応の結果生じた物質を「生成物」といいます。また、 酵素だけでなく、金属も化学反応を触媒することがあります。 化学反応は原則として、低い温度ではほとんど起こらず、温度が上がるにつれて 起こりやすくなります。この特ちょうは、酵素によって触媒される化学反応でも、 金属によって触媒される化学反応でも同じです。しかし、タンパク質でできている 酵素は、高温にするとこわれてしまい、正しくはたらくことができなくなることが 知られています。そのため、酵素によって触媒される化学反応は、温度がある程度 以上高くなると急速に起こりにくくなり、高くなりすぎるとまったく起こらなくなり ます。結果として酵素は、ある温度でもっともよくはたらくことになり、この温度の さい てき ことを最 適温度といいます。一方、金属は熱に強く、高温でこわれてしまうことは ないので、温度が高ければ高いほど化学反応が起こりやすくなります。 ─1─ 問1 空らん( 1 )〜( 3 )に当てはまる語句をそれぞれ答えなさい。 問2 次のヒトの体の各部分①〜④の中で、タンパク質を主要な成分とするものをすべて 選び、記号で答えなさい。ただし、水は除いて考えなさい。 ① 皮ふ ② かみの毛 ③ 筋肉 ④ つめ 問3 文章を参考にして、あとの(1)、(2)それぞれについて、温度と化学反応の か 起こりやすさの関係を表すグラフを描きなさい。例えば、温度が上がっても、化学 反応の起こりやすさに変化がない場合は(例)のようなグラフになります。 (例) 化学反応の起こりやすさ 温度 こう そ (1) 酵素によって触媒される化学反応の起こりやすさ (2) 金属によって触媒される化学反応の起こりやすさ ─2─ ばく が とう こう そ たくさんの基質(例えば麦芽糖)が入ったビーカーに、酵素(例えばマルターゼ) を入れると、酵素による反応によって生成物(この例の場合はブドウ糖)ができます。 酵素自身は化学反応の前後で変化しないため、反応を終えた酵素は、またすぐに次の 反応を行うことになり、ビーカー内の生成物は時間とともにどんどん増えていくこと になります。この変化をグラフで表したものが(図1)です。(図1)を見ると、 時間がたつにつれてグラフが水平になっていくのが分かります。これは、ビーカー内 の基質が時間とともに減少し、酵素が基質と出会いにくくなるために、酵素による反応 がだんだんと進みにくくなることが原因です。また、さらに時間がたつと生成物の量 が変わらなくなります。これは( 4 )ためです。 生成物の量 100 50 0 10 20 反応開始からの時間(分) (図1) 問4 空らん( 4 )に入る文としてもっとも適切なものを、次の①〜④より1つ選び、 記号で答えなさい。 ① 化学反応によって酵素が消費されていくことで、反応が進まなくなる ② 生成物が再び基質にもどる反応(逆向きの化学反応)が同時に起こる ③ 反応が進むことによって熱が発生し、酵素が次々にこわれていく ④ すべての基質が反応を終え、生成物になった 問5 (図1)について、期間A(反応開始1分後から3分後の間)にできた生成物の量と、 期間B(反応開始5分後から11分後の間)にできた生成物の量を、もっとも簡単な 整数の比で答えなさい。 ─3─ 問6 (図1)に示された酵素による反応について、以下の(1)、(2)のように条件 を変えると、「反応開始からの時間」と「生成物の量」の関係はどのように変化 するでしょうか。もっとも適切なものを(図2)の曲線①〜⑤よりそれぞれ1つ ずつ選び、記号で答えなさい。なお、(図2)中の太線は、(図1)のグラフと同じ ものを示しています。 (1) 他の条件は変えずに、酵素の量だけを2倍にして反応を開始したとき (2) 他の条件は変えずに、基質の量だけを2倍にして反応を開始したとき ② 生成物の量 ① ③ ④ ⑤ 反応開始からの時間 (図2) ─4─ こう そ かく にん これまでに説明したような酵素の性質は、次のような【実験】によって確認する ことができます。 【実験】 (図3)のように、1mLの水を入れた4つの試験管を用意し、それぞれ かん ぞう に(A)ニ酸化マンガン(金属の一種)、(B)ウシの肝 臓 を小さく切った へん ふつ に 、 (C)しゃ沸した(試験管を火にかけて煮立たせた)二酸化 もの(レバー片) マンガン、 (D)しゃ沸したレバー片を入れておきます。試験管(A)と(B) すいようえき にオキシドールを加えると、水溶液中にあわが見られ、気体の発生が観察され ふく ます。これは、二酸化マンガンや、レバー片に含 まれるカタラーゼという と しょくばい 酵素が、オキシドールに溶けている過酸化水素の分解反応を触媒したことに よります。 (A) (B) (C) (D) 二酸化マンガン レバー片 しゃ沸した 二酸化マンガン しゃ沸した レバー片 (図3) ─5─ せんこう 問7 【実験】で発生した気体を試験管に集め、火のついた線香をその中に入れたところ、 ほのお 線香が炎を上げて燃えました。【実験】で発生した気体は何ですか。 問8 【実験】で用意した試験管(C)と(D)にオキシドールを加えた場合、あわの 発生は観察されますか。文章の説明を参考にして、もっとも適切なものを次の①〜④ より1つ選び、記号で答えなさい。 ① 試験管(C)と(D)の両方で、あわの発生が観察された。 ② 試験管(C)ではあわの発生が観察されたが、試験管(D)では観察されなかった。 ③ 試験管(C)ではあわの発生が観察されなかったが、試験管(D)では観察された。 ④ 試験管(C)と(D)の両方で、あわの発生が観察されなかった。 問9 【実験】において、(A)〜(D)のすべての試験管にオキシドールを加えた後、 30分以上観察を続けていると、すべての試験管であわの発生が見られない状態に なりました。この状態の試験管(A)〜(D)のそれぞれに何かを追加することに よってあわを再び発生させたいと思います。それぞれ何を加えれば、あわが発生 しますか。次の①〜⑤より1つずつ選び、それぞれ記号で答えなさい。ただし、 同じ記号を何度答えてもよいものとします。 ① 二酸化マンガン ② しゃ沸したレバー片 ③ オキシドール ④ 水 ⑤ 何を加えても再びあわが発生することはない ─6─ 2 次の文を読んで、あとの問いに答えなさい。 せん たく もの 洗濯物を外に干して時間がたつと、洗濯物の水が水蒸気となって出ていき、洗濯物は かわ 乾きます。このように、液体が気体となる変化を、蒸発といいます。 水の蒸発に関して、以下の【実験1〜4】を行いました。 【実験1】 (図1)のような、材質は同じで形状の異なる2つの密閉容器(容器ア、 容器イ)を用意しました。容器アと容器イに水を入れ、液体以外の空間の 体積を同じにすると、水面の面積は容器イの方が大きくなりました。これら の容器を、同じ温度で十分に放置したところ、どちらの容器にも液体の 水は存在しており、容器内の空間に存在する水蒸気の質量を測定すると、 容器アも容器イも同じ質量の水蒸気が存在していました。 水 容器ア 水 容器イ (図1) ─7─ 問1 蒸発ではない現象を、次の①〜⑥よりすべて選び、記号で答えなさい。 ① ドライアイスを室内に放置しておくと、無くなった。 じょきん あら ② 除菌用アルコールで手を洗うと、すぐに乾いた。 すいてき ③ よく冷えた水をコップに入れると、コップの外側に水滴がついた。 れいとう こ ④ 冷凍庫に氷を入れて長時間放置しておくと、氷の量が減少していた。 と ⑤ 氷に塩をかけると、氷が溶けた。 ちっ そ ⑥ 液体窒素を室温で放置すると、液体は減っていった。 問2 【実験1】より、容器の形状が異なっても、水を入れたあとの空間の体積と温度 が同じであれば、十分に放置すると、空間内に存在する水蒸気の質量は同じである じょうきょう ことがわかります。ただし、このような状況になるのは十分に放置したときの場合 とうたつ であり、容器アと容器イでは、水蒸気が容器内の空間に存在できる限界の質量に到達 するまでの時間が異なります。容器内の空間に存在できる水蒸気の限界の質量を1g としたとき、容器アの空間内に存在する水蒸気の質量と時間の関係をグラフに表すと、 次の(図2)のようになりました。これを参考にして、容器イの空間内に存在する か 水蒸気の質量と時間の関係を表したグラフを描きなさい。ただし、測定をはじめた ときの容器アとイに存在している水蒸気の質量は同じものとします。 質量(g) 1g 0 時間 (図2) ─8─ 次の表は、0.83Lの空間に存在できる限界の水蒸気の質量と温度の関係を表した ものです。このデータをもとにして、あとの問いに答えなさい。ただし、水の蒸発に む し よる液体の水の体積変化は無視できるものとします。 温度 (℃) 30 質量(g) 0.030 40 50 60 70 80 90 100 0.046 0.067 0.108 0.163 0.250 0.347 0.483 問3 温度が30℃のとき、体積が1.66Lの空間に存在できる水蒸気の質量は最大何g ですか。 問4 1.66Lの密閉された容器に水蒸気が0.10g入っています。この容器の温度をだん だん下げていくと、ある温度で液体の水ができはじめました。液体の水ができ はん い はじめた温度の範 囲 としてもっとも適切なものを、次の①〜⑦より1つ選び、 記号で答えなさい。 ① 30〜40℃ ② 40〜50℃ ③ 50〜60℃ ④ 60〜70℃ ⑤ 70〜80℃ ⑥ 80〜90℃ ⑦ 90〜100℃ ─9─ 【実験2】 (図3)の容器1、容器2はともに体積が1.66Lで、ガラス管でつながれて せん います。ガラス管はコックという栓で仕切られており、コックを閉じると 気体の移動ができなくなります。はじめ、コックは閉じた状態で、容器1 には水が入っていますが、容器2には水蒸気や液体の水は存在していません。 十分に時間がたってから容器1の水の体積を測定すると0.83Lでした。容器内 の温度は70℃に保たれているものとし、容器1と容器2をつなぐガラス管 の体積は無視できるものとします。 ガラス管 コック 容器1 容器2 (図3) 問5 コックを開いて十分に放置しました。その後コックを閉めたとき、容器2に存在 する水蒸気の質量は何gですか。 問6 問5の状態になってから、コックを閉めた状態のまま、容器2の温度を下げて いくと、ある温度で0.11gの液体の水が生じていました。このときの容器2の温度 は何℃ですか。 ─ 10 ─ 【実験3】 (図4)のように容器3、容器4、容器5を、コックがついているガラス管 でつなぎました。はじめ、コック1、2は両方とも閉じた状態で、容器4 と5には水蒸気や液体の水は存在していません。容器3には水が入っており、 容器内の空間の体積は0.83Lでした。容器4は1.66Lの容器です。容器5は ピストンを動かすことによって、容器の体積を変化させることができるよう かんそうざい になっており、はじめの体積は1.66Lでした。また、容器5の中には乾燥剤 が入っており、水蒸気を吸収する性質をもっています。 コック1 コック2 乾燥剤 容器 3 ピストン 容器 5 容器 4 (図4) 問7 すべての容器内の温度を70℃に保ち、十分に時間がたったあとにコック1を開き、 十分に放置しました。その後、コック1を閉じてコック2を開きました。十分に お 時間がたったあとにコック2を閉じて、容器5のピストンを押 して体積を小さく していきました。すると、容器5の体積が0.415Lとなったとき、容器5内に液体の 水ができはじめました。このとき、乾燥剤が吸収した水蒸気は何gですか。ただし、 実験中の容器内の温度は70℃で一定であるとし、ガラス管の体積と容器5に入って いる乾燥剤の体積は無視できるものとします。また、乾燥剤が吸収できる水蒸気の えいきょう 量には限界があり、限界の量は容器の体積変化に影響を受けないものとします。 ─ 11 ─ 【実験4】 (図5)のように、点火装置のついた密閉容器(容器6)を用意して、水素 と酸素を混合した気体を燃焼させる実験をしました。水素を燃やすと水が 生じます。このとき、水素と酸素は1:8の質量の比で反応することが わかっています。ただし、はじめ容器6には水蒸気や液体の水は存在して いません。 点火装置 問8 容器6の温度を60℃に保ち、水素0.12gと酸素1.2gを入れ、 点火装置を用いて点火させ、水素をすべて燃やしました。 点火後に容器内に液体の水は存在していませんでしたが、 しゅん かん 60℃に保っていた温度を下げはじめた瞬 間 に液体の水が できはじめました。この容器6の体積は何Lですか。ただし、 点火装置の体積は無視できるものとします。 ─ 12 ─ 容器6 (図5) 3 次の会話文を読んで、あとの問いに答えなさい。 なべ すまお: 「家族で旅行に行ったとき、夕食のお鍋 が紙の鍋でした。固形燃料に火を つけたとき、燃えてしまわないか心配でした。先生、どうして紙の鍋が燃えず に料理ができるのですか。」 先 生: 「おもしろいことに気がつきましたね。紙鍋セットが買えたので、実験して みましょう。」 すまお: 「やはり燃えません。不思議です。紙鍋にはアクを吸い取る力もあるらしい ふ つう です。先生、紙鍋の紙は普通の紙ではなく、もともと燃えない素材の紙では ないのですか。」 先 生: 「では、紙鍋の紙に、直接火をつけてみましょう。」 じる すまお: 「普通の紙みたいに燃えてしまいました。先生、紙が燃えずにだし汁や具材 があたたかくなるのはどういう仕組みですか。」 ふっ とう 先 生: 「それは、熱の伝わり方にヒントがあります。ところで、水は何℃で沸 騰 しますか。」 すまお: 「前に水をあたためる実験をしましたが、水は100℃で気体の水蒸気に なって、水の温度は100℃より上がりませんでした。それって、熱が伝わる からですか。」 先 生: 「水の温度が100℃より上がらないのは、液体の水が気体の水蒸気になるのに 熱が使われるからです。固形燃料の火によって熱せられた( ア )ので、 じょう しょう 熱はすぐに紙鍋の中のだし汁の温度上 昇 に使われます。熱の伝わり方の うち、紙鍋からだし汁へは( イ )という熱の伝わり方によってすぐに 伝わるわけです。」 ふっ てん 先 生: 「一方、沸 点(沸騰する温度)は気圧によっても異なりますが、水の沸点 は1気圧で100℃です。水が沸騰している間は、水の温度が100℃以上に ならないので、水に接している紙は、ほぼ100℃以上にはならないのです。」 すまお: 「ということは、熱が伝わるから紙は燃える温度にならないということですね。 」 じか び 先 生: 「そのとおり。紙鍋を直 火 にかけても燃えないのは、水の沸点と紙の燃え はじめる温度に関係があります。300℃ぐらいで燃えはじめる紙は、沸騰 しても100℃までしかならない水に( ウ )、燃えはじめる温度にはなら ないのです。その結果、紙は燃えることはないのですよ。」 すまお: 「じゃあ、100℃で燃えないものなら何でもお鍋にできるのですね。キャベツ うす や たまご や薄焼き卵でもできますか。」 も 先 生: 「水が漏れなければ、実際にやってみるとできると思いますよ。」 ─ 13 ─ 下線部について、熱の伝わり方は3種類あります。それぞれの熱の伝わり方の 特ちょうを(図1)のA〜Cで表しました。 A B C 高温 高温 低温 低温 赤外線 熱の流れ 下降 吸収 熱の流れ 熱の流れ 上昇 せっしょくめん 接触面 高温 低温 (図1) 問1 空らん( ア )に当てはまる文として正しいものを次の①〜④より1つ選び、 記号で答えなさい。 なべ うす ① 紙鍋の紙は、金属より熱を伝えやすく、薄い ② 紙鍋の紙は、金属より熱を伝えやすく、厚い ③ 紙鍋の紙は、金属より熱を伝えにくいが、薄い ④ 紙鍋の紙は、金属より熱を伝えにくいが、厚い 問2 空らん( イ )のような熱の伝わり方を(図1)のA〜Cより1つ選び、記号 で答えなさい。また、このような熱の伝わり方を何といいますか。 問3 次の(1)〜(3)の料理では、主にどのような熱の伝わり方を利用してあたためて いますか。(図1)のA〜Cよりそれぞれ1つずつ選び、記号で答えなさい。ただし、 同じ記号を2度使用してはいけません。 ほのお (1) 炎が出なくなった赤い炭火で焼く、焼き鳥 (2) 熱した鉄板の上において焼く、お好み焼き (3) 蒸し器で蒸す、肉まん 問4 空らん( ウ )の中に入る文を、10文字以内で書きなさい。 ─ 14 ─ あたたかい飲み物を入れるものに「まほうびん」 ふた というものがあります。 「まほうびん」のつくりは、 (図2)のようになっています。「まほうびん」は、 二重の容器 中に入れたあたたかい飲み物を冷めにくくする すき間 ために、次の(1)〜(3)のような外に熱が く ふう 伝わりにくい工夫がされています。これについて、 外側 あとの問いに答えなさい。 (1)二重の容器にはすき間がある。 (2)二重の容器の内側は、鏡のようになって いる。 まほうびんのつくり (断面図) (図2) (3)ふたはプラスチックでできている。 問5 (1)を利用して飲み物をより冷めにくくするには、すき間にどのような工夫を すればよいですか。もっとも適切なものを次の①〜⑤より1つ選び、記号で答えな さい。 ① 水を入れる。 ② 空気を入れる。 ③ アルコールを入れる。 ④ 二酸化炭素を入れる。 ぬ ⑤ 空気を抜いて真空にする。 問6 (2)の工夫で飲み物が冷めにくくなる理由を書きなさい。 ─ 15 ─ ( 続 く ) ─ 16 ─ 物質1gの温度を1℃上昇させるために必要な熱量を比熱といいます。水1g の温度を1℃上昇させるために必要な熱量は1cal(カロリー)と表します。 あた 固形燃料を燃やすと、1分間で2000calの熱を与えることができ、その熱はすべて じる だし汁 に伝わるものとします。また、だし汁と水の比熱は同じで、固形燃料は燃え つきないものとします。これについて、あとの問いに答えなさい。ただし、答えが割り 切れない場合は小数第1位を四捨五入し、整数で答えなさい。 問7 固形燃料を燃やし加熱して、20℃のだし汁150gを60℃にするには何分間加熱 する必要がありますか。 問8 比熱が小さい物質の性質としてもっとも適切なものを、次の①〜④より1つ選び、 記号で答えなさい。 ① あたたまりにくく、冷めにくい。 ② あたたまりにくく、冷めやすい。 ③ あたたまりやすく、冷めにくい。 ④ あたたまりやすく、冷めやすい。 ─ 17 ─ なべ じる た 問9 紙鍋にだし汁を入れて加熱しました。時間が経った後、だし汁を取り出して飲もう としましたが熱すぎて飲めませんでした。このときだし汁は100gで90℃だったと すると、だし汁の温度を60℃にするためには20℃のだし汁を何g加えればよいですか。 以下の実験とその結果を参考に考えなさい。 すいとう 【実験】 (図3)のように熱を伝えにくい水筒に20℃の水250gが入っています。その 中に90℃の湯100gが入った試験管を入れて、よくかき混ぜながら水筒の 中の水と試験管の中の湯の温度変化をそれぞれ測定しました。実験結果は下 の(図4)のようになりました。 温度 温度計 試験管 90 ア [℃] 水筒 40 イ 20 5 0 ア 10 イ (図3) 15 時間[分] (図4) 問10 上の【実験】の条件を少し変えて測定を行うと、測定結果は(図5)のようなグラフ になりました。 (図5)のような結果になった実験は、条件をどのように変えて 行いましたか。もっとも適切なものを、次の①〜⑥より1つ選び、記号で答えなさい。 湯の量を増やした。 温度 ① 試験管の中の湯の温度はそのままで、 90 ア ② 試験管の中の湯の量はそのままで、湯の [℃] 温度を高くした。 ③ 水筒の中の水の温度はそのままで、水の 量を増やした。 ④ 水筒の中の水の温度はそのままで、水の 40 イ 20 量を減らした。 ⑤ 試験管を入れる位置を高くした。 ⑥ 試験管を入れる位置を低くした。 ─ 18 ─ 0 5 10 15 時間[分] (図5) なべ じる 問11 紙鍋 に20℃で400gのだし汁 を入れました。固形燃料を燃やしてだし汁を加熱 とう ふ していきました。加熱を始めて5分後に、10℃の豆腐100gをだし汁へ入れました。 さらに5分間加熱すると、だし汁の温度は何℃になりますか。ただし、豆腐とだし汁 の比熱は同じであるとし、豆腐とだし汁の温度は同じになるものとします。 ─ 19 ─ ( 続 く ) ─ 20 ─ 4 次の文は、ある日の天気予報と、それを聞いた生徒と先生の会話です。これを読み、 あとの問いに答えなさい。 えいきょう あ 「北海道は台風6号の影響で、東部では昼前まで荒れた天気でしょう。東北から九州 しめ み こ し だい はん い にかけても上空の寒気や湿った空気の影響を受ける見込みです。次第に広い範囲で大気 らい う の状態が不安定になります。午後はところどころで雨や雷雨があるでしょう。関東 こうしん きん き らくらい とっぷう 甲信と近畿では局地的に激しく降る見込みです。急な激しい雨や落雷、突風にご注意 下さい。 」 50 低 低 1012 高 1002 40 高 30 低 ON S 6 CON 台 160 a 985hP 1002 1006 HU 20 NT 7 CHA 台 160 a 994hP 120 150 130 140 気象庁のデータより作成 1606=2016年の台風6号を表す (図1) ─ 21 ─ 14日09時 すまお: 「2016年の台風6号は、日本の東のほうを北上して、北海道の東部に上陸 しそうですね。」 ひ がい 先 生: 「そうですね。神戸には直接的な被害がなかったけれど、これから上陸する 北海道の人たちは台風対策で大変かもしれませんね。」 すまお: 「ところで、天気予報でよく『大気の状態が不安定』と聞くのですが、これは どういう意味ですか?」 くわ 先 生: 「それでは、今日は大気について少し詳しく考えてみましょう。大気とは、 すなわち『身のまわりの空気』のことですが、あなたのまわりの空気には ふく どのような成分がどれくらい含まれているか知っていますね?」 すまお: 「たしか、多い順に( ア )が含まれていたはずです。」 先 生: 「そうですね。このうち、二酸化炭素はその量が増えすぎて(a)地球温暖化 が急速に進行するかもしれないと心配されていますね。その他にも、 ( イ ) かんきょう による環境問題も知られていますね。」 は かい すまお: 「 ( イ )によって、上空にあるオゾン層が破 壊 されてしまうんですね。 えいきょう でも、オゾン層が破壊されると、私たちの生活にはどのような影響があるの ですか?」 先 生: 「オゾン層は、(図2)のように地表面の上空およそ20〜30km付近にあり、 宇宙から降り注ぐ( ウ )を吸収してくれるはたらきがあります。( ウ ) は日焼けの原因となりますが、当たりすぎると健康にも影響が出てきます。です から、オゾン層がうすくなっている部分である( エ )ができてしまうと、 」 (b)生物に大きな影響が出ると考えられています。 高度 〔km〕 けん 熱圏 80 中間圏 50 成層圏 オゾン層 10 0 対流圏 (図2) ─ 22 ─ すまお: 「オゾン層はすごく高いところにあるのですね。その高さだと、どんな雲が できるのですか?」 じょう しょう 先 生: 「実は、ほとんどの雲はこの高さまで上昇することはできません。雲がどの ようにできるかは知っていますか?」 すいてき つぶ すまお: 「地表にある水蒸気が上昇気流に乗って持ち上げられ、上空で水滴や氷の粒 になることでできます。」 ぼうちょう 先 生: 「そうですね。上空は気圧が低くなっていますから、空気は膨張します。膨張 すると気温が低くなるので、そのせいで水蒸気は水滴になるのです。」 すまお: 「それなら、もっと高いところまで水滴や氷の粒が上がれるのではないですか?」 ふ 先 生: 「地表から吹く上昇気流がその高さまでしか届かないと言われているので、 実際にできるほとんどの雲は10〜20kmくらいまでしか上がれないのです。 ふ だん ですから、普 段 見ているような雨雲などはおおよそこれよりも低い位置に あるのですよ。」 あ すまお: 「そういえば、『大気の状態が不安定』なときにも、天気が荒れると天気予報 でも言っていました。雲のでき方と関係があるのですか?」 先 生: 「そうですね。いろいろな条件がそろうと、地表面の空気のかたまりが上昇 します。上昇した空気のかたまりはだんだん温度が低くなり、雲をつくります。 しかし、ここで上空の大気がそれよりも高い温度になっていると、温度が 高い大気の方が軽いですから、上昇した空気のかたまりはそれ以上の高さに 達することができずに降りてきてしまいます。このとき、空気の温度が 上がってしまい、雲ができていてもなくなってしまうので、多少の雨は降る かもしれませんが、天気が大きく荒れることはありません。」 すまお: 「わかりました。そこで、『上空の寒気』が重要になってくるのですね。上空 の大気が低い温度であれば、上昇する空気のかたまりを止めることができず、 どんどんと高いところまで上ることができるんですね。」 先 生: 「そうです。その状態を『大気の状態が不安定』というのです。ちなみに、 冬の日本では、北西方向にある( オ )気団からもたらされる寒気が 上空に入りこんでくることがあります。いろいろな基準がありますが、上空 1500mの高さのところに −(マイナス)6℃の寒気が入りこむと、神戸などの 標高が低い地域でも雪が降る一つの目安になると言われているのですよ。」 ─ 23 ─ 問1 空らん( ア )に当てはまる大気の成分の順番として正しいものを、次の①〜⑥ より1つ選び、記号で答えなさい。 ちっ そ ① 酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素 ② 酸素、二酸化炭素、アルゴン、窒素 ③ 窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素 ④ 窒素、二酸化炭素、アルゴン、酸素 ⑤ 二酸化炭素、窒素、アルゴン、酸素 ⑥ 二酸化炭素、酸素、アルゴン、窒素 問2 下線部(a)について、あとの問いに答えなさい。 あ さん か (1) 地球温暖化をもたらす気体として、二酸化炭素以外にも亜酸 化 窒素などの そうしょう 気体もありますが、このような気体を総称して何といいますか。 さく げん さい たく (2) (1)の気体の削減を目標とした、1997年12月に日本で採択され、2005年に わく ぐみ かい さい 効力が発生した気候変動枠 組 条約に関する議定書のことを、会議の開催 地名 から何と呼びますか。 かん きょう (3) もし(1)の気体が地球上からすべて取り除かれると、地球の環境はどのように 変化すると考えられますか。15字以内で説明しなさい。 問3 空らん( イ )に当てはまる物質として正しいものを、次の①〜④より1つ選び、 記号で答えなさい。 ① エチレンガス ② フロンガス ③ メタンガス ④ プロパンガス 問4 空らん( ウ )に当てはまる語句として正しいものを、次の①〜④より1つ選び、 記号で答えなさい。 し がいせん ① 紫外線 ② 赤外線 ③ 遠赤外線 ④ 可視光線 問5 空らん( エ )に当てはまる語句を、カタカナ6文字で答えなさい。 ─ 24 ─ 問6 ( エ )は、南半球でできやすく、北半球にはあまりできないと言われています。 これは、( エ )は気温が低い方ができやすいと考えられているからですが、 その理由としてもっとも適切なものを、次の①〜④より1つ選び、記号で答えなさい。 ① 南半球は、北半球に比べて大規模な山脈が多いから。 ② 南半球は、北半球に比べて大規模な山脈が少ないから。 ③ 南半球は、北半球に比べて太陽光が当たりやすいから。 ④ 南半球は、北半球に比べて太陽光が当たりにくいから。 問7 下線部(b)について、( エ )ができることによって起こりやすくなると 考えられている病気を1つ挙げて答えなさい。 けん 問8 大気圧は、高度が5500m高くなると、およそ半分になります。対流圏および成層圏 における大気圧の変化はこの条件にしたがうものとします。 ヘクトパスカル 地表面(高度0m)の大気圧が1008hPaだったとすると、上空22kmでの大気圧は 何hPaになりますか。ただし、答えが割り切れない場合は小数第1位を四捨五入し、 整数で答えなさい。 ─ 25 ─ じょうしょう 問9 気体は、上昇すると、温度が下がります。雲ができていない状態の気体が上昇する ときは、100m上昇するごとに1℃ずつ下がります。しかし、水蒸気などが多く ふく しめ 含まれ、雲ができている状態の湿った気体が上昇するときは、雲ができ始めてから は100m上昇するごとに0.5℃ずつ下がります。 すい てき 空気中に含まれる水蒸気(気体の水)が水滴(液体の水)に変わる現象を何と いいますか。また、雲ができている状態の気体が上昇するとき、雲ができていない 状態の気体に比べて温度の変化率が小さいのはなぜですか。正しく組み合わせて いるものを、次の①〜④より1つ選び、記号で答えなさい。 ぎょうけつ ① 水蒸気が水滴に変わる現象を凝結といい、水蒸気が水滴に変化するときに熱を 吸収するから。 ② 水蒸気が水滴に変わる現象を凝結といい、水蒸気が水滴に変化するときに熱を 発生させるから。 しょう か ③ 水蒸気が水滴に変わる現象を昇華といい、水蒸気が水滴に変化するときに熱を 吸収するから。 ④ 水蒸気が水滴に変わる現象を昇華といい、水蒸気が水滴に変化するときに熱を 発生させるから。 じょう きょう 問10 会話文から考えて、雲ができやすい状況にはいくつかの条件があることが分かり ます。雲ができやすい状況に当てはまらないものを、次の①〜④より1つ選び、 記号で答えなさい。 しつ ど ぼん ち ① 地表があたためられ、湿度も非常に高くなりやすい夏の日の午後の盆地の上空 ふ かわ ② 山から風が吹き下ろし、平野部に向かって乾いた強風が吹く冬の日の午後の、 平野部の上空 ③ 暖流が流れこみ、水温が非常に高くなった海面の上空 ④ 寒冷前線によって冷たい空気が温かい空気の下にもぐり込んだ前線の上空 ─ 26 ─ 問11 空らん( オ )に当てはまる語句を、次の①〜④より1つ選び、記号で答え なさい。 ちょうこう よう す こう お がさわら ① シベリア ② オホーツク海 ③ 長江(揚子江) ④ 小笠原 ふく 問12 実際の大気においては、高度による温度の変化率は大気に含まれる水蒸気の量に じょうしょう よって決まります。また、上昇する空気のかたまりは、問9の温度変化にしたがって 温度が下がっていくものとします。この数値をもとに、次のような考察を行いました。 空らん( カ )〜( ケ )に当てはまる数をそれぞれ求めなさい。ただし、 すべての数は整数で答えるものとします。なお、「大気」とはそれぞれの高度に ある気体、「空気」とは地表から上昇する気体のかたまりを指すものとします。 高度0mでの大気の温度が10℃で、このときの大気は高度が100m高くなるごと に0.8℃ずつ下がり、高度およそ10000m(10km)まで変化率は常に一定であったと します。するとこの大気は、高度500mで( カ )℃になっていることがわかり ます。 この大気の中を、地表面(高度0m)から空気のかたまりが上昇気流によって 持ち上げられ、雲をつくりながら上昇していくことを考えます。空気のかたまりも 高度0mでは10℃ですが、高度500mでは( キ )℃になっています。この空気 のかたまりはさらに上昇し、高度600mで雲ができ始めたとすると、大気とは高度 ( ク )mで同じ( ケ )℃になることがわかります。 問13 問12の文を参考にして、高度0mから( ク )mまでの高度の変化に対して、 (1)大気の温度と高度の関係、(2)空気のかたまりの温度と高度の関係を表す か グラフをそれぞれ描 きなさい。ただし、2つのグラフを同じ解答らんに描き、 (1) 、 (2)を書いて区別できるようにしなさい。 ─ 27 ─ ( 余 白 ) ─ 28 ─ ( 余 白 ) ─ 29 ─ ( 余 白 ) ─ 30 ─ 受 験 番 号 氏名 2017年度 須磨学園中学校 第3回入学試験解答用紙 理科 問1 問2 1 (※の欄には、何も記入してはいけません) 1 2 問3 (2) A B (1) (2) C D g 問2 g 質量(g) 問4 問6 問8 g 1g ℃ ※ 0 L 時間 問2 記号 語句 (2) (3) 問5 問 分間 問8 問 問1 問3 問4 問6 問7 問 (1) 10 g 9 問2 問1 (1) (2) 問6 問8 ク 〔m〕 500 hPa 問 問 問5 問7 問9 問 キ 高度 問 問4 問3 問2 1000 13 0 11 10 カ ※ ℃ 11 (3) 12 温度 : ※ 問1 問3 問5 問7 4 問9 温度 問8 3 問4 問5 問6 問7 化学反応の起こりやすさ ︵金属が触媒するとき︶ 化学反応の起こりやすさ ︵酵素が触媒するとき︶ (1) 2 3 5 ケ 10 温度〔℃〕 ※ ※
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