Economic Indicators_ 定例経済指標レポート

Economic Indicators
指標名:企業物価指数(2016年12月)
定例経済指標レポート
発表日2017年1月16日(月)
~前月比+0.6%と2014年4月以来の上昇幅~
第一生命経済研究所 経済調査部
担当 エコノミスト 伊藤 佑隼
TEL:03-5221-4524
国内企業物価
2016
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
前期比
▲ 1.0
▲ 0.3
▲ 0.1
▲ 0.4
0.1
▲ 0.1
▲ 0.2
▲ 0.3
0.0
0.1
0.4
0.6
前年比
▲ 3.3
▲ 3.5
▲ 3.9
▲ 4.3
▲ 4.4
▲ 4.3
▲ 3.9
▲ 3.6
▲ 3.1
▲ 2.7
▲ 2.2
▲ 1.2
国内企業物価
輸出物価
輸入物価
最終消費財
(連鎖指数)
(円ベース)
(円ベース)
(国内品)
前期比
前年比
前期比
前年比
前期比
前年比
前期比
前年比
▲ 1.0
▲ 0.4
▲ 1.3
▲ 3.6
▲ 2.8
▲ 6.8
▲ 5.8
▲ 18.3
0.0
▲ 0.5
▲ 0.3
▲ 3.8
▲ 2.1
▲ 7.9
▲ 5.1
▲ 17.7
▲ 0.1
▲ 1.1
▲ 0.1
▲ 4.1
▲ 0.7
▲ 9.1
▲ 1.3
▲ 20.5
▲ 0.1
▲ 1.5
▲ 0.4
▲ 4.5
▲ 1.3
▲ 9.7
▲ 1.3
▲ 19.9
0.0
▲ 1.8
0.1
▲ 4.7
▲ 0.4
▲ 11.1
▲ 0.1
▲ 20.3
0.3
▲ 1.6
▲ 0.1
▲ 4.6
▲ 2.3
▲ 14.5
▲ 0.8
▲ 23.4
▲ 0.4
▲ 1.9
▲ 0.2
▲ 4.2
▲ 0.9
▲ 14.1
0.3
▲ 21.8
▲ 0.1
▲ 1.8
▲ 0.3
▲ 3.9
▲ 1.3
▲ 14.6
▲ 2.4
▲ 22.1
0.1
▲ 1.4
▲ 0.1
▲ 3.5
0.6
▲ 11.6
1.1
▲ 17.6
0.4
▲ 1.2
0.2
▲ 3.0
1.1
▲ 9.8
2.6
▲ 14.3
0.2
▲ 0.9
0.5
▲ 2.4
3.1
▲ 7.8
5.6
▲ 10.0
0.4
▲ 0.3
0.8
▲ 1.2
5.3
▲ 1.8
4.9
▲ 2.8
(出所)日本銀行「企業物価指数」
(注) 国内企業物価及び国内企業物価(連鎖指数)は夏季電力料金調整後の値。
○12 月の国内企業物価は前月比+0.6%
日本銀行より発表された 2016 年 12 月の国内企業物価指数は前年比▲1.2%(コンセンサス:同▲1.4%、
レンジ:同▲1.9%~▲1.0%)、前月比では+0.6%(コンセンサス:同+0.4%、レンジ:同▲0.1%~+
0.6%)とコンセンサスを上回る結果となった。12 月の円ドル相場(月中平均)は 116.04 円/ドルと 11 月
(108.57 円/ドル)から8円近く円安が進んでおり、円安の急進が 12 月の国内企業物価が高い伸びとなった
主因とみられ、ほぼ全ての分類が前月比プラスとなった。
夏季電力料金調整後の前月比の内訳をみると、プラスに寄与したのは石油・石炭製品(前月比:+5.3%、
前月比寄与度:+0.27%ポイント)、非鉄金属(同:+5.0%、同寄与度:+0.13%ポイント)、化学製品
(同:+0.8%、同寄与度+0.07%ポイント)などであった。これらの業種では円安に加えて、国際商品市
況が堅調な推移をしたことも国内企業物価を押し上げた。
石油・石炭製品では、原油産出国の協調減産合意による需給改善への期待感などを背景に、原油価格が国
際商品市況で堅調に推移した。非鉄金属については、中国及び米国のインフラ需要への期待から国際商品市
況において銅価格が堅調に推移した。また、化学製品については、市況においてベンゼンの価格が上昇した。
円安の急進や堅調に推移した国際商品市況などを背景に、12 月の国内企業物価は前月比+0.6%と 2014 年
4月以来の高い伸びとなった。
○円ベースの輸入物価は円安の進展などを背景に4ヶ月連続の上昇
12 月の輸入物価をみると、契約通貨ベースでは、石油・石炭・天然ガスの下落を要因に、前月比▲0.2%
となった。円ベースについては前月比+4.6%と4ヶ月連続のプラスとなった。先述したように、12 月の円
ドル相場は円安が急進しており、これが円ベースの輸入物価を押し上げる方向に作用した。足元では円安の
急進は一服していることから、12 月のような上昇は望み難いものの、堅調な国際商品市況などが下支えとな
り、円ベースの輸入物価は先行きも上昇基調を維持することが見込まれる。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
○消費財の国内品は前月比+0.4%、前年比▲0.3%
需要段階別指数(国内+輸入)をみると、素原材料は前月比+3.5%(前年比▲3.1%)、中間財は同+
1.6%(同▲2.6%)、最終財は同+1.1%(同▲1.3%)となった。消費者物価と関連の深い消費財の国内品
は、前月比+0.4%(前年比▲0.3%)となった。原油価格の上昇や円安の進展などを背景に素原材料は前月
比で高い伸びを続けている。最終財についても4ヶ月連続前月比プラスとなるなど、川上から川下への物価
上昇圧力が徐々に波及し始めていることが窺える。
○先行きは上昇基調が続くことが見込まれる
このように 12 月の国内企業物価は、円安の急進などを背景に前月比では+0.6%と 2014 年4月以来の上
昇幅となった。
先行きを展望すると、足元では円安の急進は一服しており、12 月のような高い伸びが続くことはないだろ
う。一方で、①足元でも原油価格が堅調に推移していること、②国内景気持ち直しによる需給の改善が見込
まれることなどが国内企業物価の押し上げ要因となり、上昇基調は続くと予想する。ただし、原油価格につ
いては、石油産出国の動向に対して不安的な見方も多く、減産協定が順守されなかった場合、軟調な動きと
なる可能性がある。また、為替についても、トランプ次期大統領の発言次第では為替が円高傾向に転じるリ
スクがあり、今後も市況や為替の動向には注意が必要だ。
国内企業物価前年比寄与度分解(%)
国内企業物価前月比寄与度分解(%)
6.0
その他
非鉄金属
素材(その他)
機械類
4.0
電・ガス・水道
石油・石炭製品
鉄鋼・建材関連
総平均
1.50
その他
非鉄金属
素材(その他)
機械類
1.00
2.0
0.50
0.0
0.00
電・ガス・水道
石油・石炭製品
鉄鋼・建材関連
総平均
-0.50
-2.0
-1.00
-4.0
-1.50
14
-6.0
14
15
15
16
(出所)日本銀行「企業物価指数」
(注)夏季電力料金調整後の数値。
16
(出所)日本銀行「企業物価指数」
需要段階別指数前年比(国内品、%)
15.0
素原材料
中間財
最終財
10.0
5.0
0.0
-5.0
-10.0
-15.0
10
11
12
13
(出所)日本銀行「企業物価指数」
14
15
16
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。