中山総領事より新年のご挨拶 - 在トロント日本国総領事館

中山泰則在トロント日本国総領事より新年のご挨拶
皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
私は在トロント日本国総領事として3度目の新年を迎えました。皆様のお力添えをもちまして、日本と
カナダの関係が大変良好なものとなっておりますことを非常に嬉しく思っております。この機会に、昨
年中の日本・カナダ/オンタリオ州関係のハイライトをいくつかご報告させていただきたいと思います。
安部晋三内閣総理大臣と
安部昭恵総理夫人と
ジャスティン・トルドーカナダ首相
ソフィー・グレゴワール・トルドー首相夫人
伊勢志摩で開催された G7サミットに先立ち、5月24日に安倍晋三内閣総理大臣は、ジャスティ
ン・トルドー・カナダ首相と会談しました。両首脳は、安全保障、TPP 交渉の前進、気候変動に関す
るパリ協定の早期発効・実施等の分野で協力していくことに合意しました。また、安倍総理大臣は、
日加間の相互理解促進のため、カナダの大学での日本研究を支援したい旨を述べ、トルドー首相か
らは日本研究支援を歓迎する旨の発言がありました。
この日本訪問の際に、トルドー首相がソフィー夫人とともに結婚記念日を祝い、楽しいひとときを
過ごされたことを大変嬉しく思いました。
岸田文雄外務大臣と
G7 外相による平和記念資料館訪問
ステファン・ディオン・カナダ外務大臣
及び原爆死没者慰霊碑献花
岸田文雄外務大臣とステファン・ディオン・カナダ外務大臣は、昨年は2回会談を行いました。1
回目は2月のオタワにて、2回目は G7広島外相会議での会談でした。広島は岸田外務大臣の故郷
であり、岸田外相が G7の外相とともに広島の平和記念公園を訪問したことは、非常に感動的な出
来事でもありました。
(左より)マイケル・チャン州国際貿易大臣、キャサリン・
ウィン州首相、 松井一郎大阪府知事と
(松井一郎大阪府知事のトロント訪問時)
(左より)ウィン首相、ドゥグイッド経済開発成長大臣と
(ウィン州首相訪日同行経済ミッション立ち上げ式にて)
オンタリオ州政府においては、キャサリン・ウィン首相が、11月末に経済ミッションを率いて日本
を訪問し、多くの日本企業関係者と会合を行い、オンタリオ州に170の雇用をもたらす1億20
00万カナダドル相当もの新たな事業の合意に達するという成果を上げました。ウィン首相は小池
百合子東京都都知事とも会談し、東京都とオンタリオ州の共通の課題である低炭素経済への移行、
インフラの整備・メンテナンス、技術革新の促進等の分野での協力について議論しました。この訪
問に先立ち、私はこの経済ミッションの参加者の皆様に対して、オンタリオ州における日本企業の
活動について説明させて頂くと共に、今がオンタリオ州の企業が日本で経済活動を行う好機である
ことを申し上げました。
9月には松井一郎大阪府知事がここトロントでウィン首相と会談するとともに、大阪府への投資や
企業進出を促進するために、大阪産業セミナーを主催しました。
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フランク・スカーピティ・マーカム市市長と
ジョン・トーリー・トロント市市長と
トロント市のジョン・トーリー市長が4月に日本を訪問、マーカム市のフランク・スカーピティ市長
は今年の春にやはり経済ミッションを率いて訪日を予定しています。この訪日に先立って、マーカ
ム市の企業関係者の皆様に対し、日本とオンタリオ州との経済関係についてプレゼンテーションを
させて頂きました。
ミシサガ・ジャパン・フェスティバルにて
ボニー・クロンビー・ミシサガ市市長
ボニー・クロンビー・ミシサガ市市長も、4月に投資ミッションを率いて日本を訪問しました。ミシ
サガのセレブレーション・スクエアでは、7月に大規模な日本祭りが開催され、約4万人が集まり、
大変大きな成功を収めました。この日本祭りが今後も毎年夏に行われることとなったことは、非常
に喜ばしいことです。
ここオンタリオ州において活動する日系企業も、昨年は節目の年を迎えたところがいくつもありま
した。
4月には、ミシサガ市に所在するMHIカナダ・エアロスペース社が創立10周年記念式典を行い
ました。日野自動車カナダも、ウッドストック工場の創立10周年を祝いました。9月にはオンタ
リオ州・ケンブリッジ市及びウッドストック市に工場を持つトヨタモーターマニュファクチャリン
グ・カナダ社が創立30周年記念式典を行いました。10月には、トロントに本店を置く、三井物
産カナダ社が創立60周年を祝いました。
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日野自動車カナダ
創立 10 周年記念式典にて
MHIカナダ・エアロスペース社
創立 10 周年記念式典にて
三井物産カナダ社
創立60周年記念式典にて
トヨタモーターマニュファクチャリング・カナダ
創立30周年記念式典にて
また、昨年は新たなスタートのお祝いの年でもありました。カナダのユニクロファンにとって
長年の夢だったユニクロの第1店が、9月にトロントのイートンセンターにオープンしました。
MUJI カナダもヨークデール・ショッピングセンターに3つめの店舗をオープンしました。どち
らも多くの注目を集め、オープニングには長い行列ができました。
ユニクロ・カナダ1号店のグランド・
無印良品カナダ第3号店グランド・
オープニングにて
オープニングにて
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トロント国際映画祭・ジャパンフィルムナイトに
て、是枝浩和監督(左から 2 人目)、黒沢清監督
(左から 3 人目)、深田晃司監督(右から 3 人目)
トロント日本映画祭にて
文化の分野においては、まず、今年のトロント国際映画祭で6本の日本関連の映画が上映され、
上の写真の3名の監督を含む4名の監督が日本からお越しになりました。
それに加え、毎年日系文化会館にて開催されているトロント日本映画祭にて、今年も素晴らし
い日本映画を鑑賞することができ非常に嬉しく思います。今年は映画祭の期間中24本もの優
れた日本映画が上映されました。
着物部門リーダー、クリスティーナ・ストッパさんへの
ドナルド・シモンズ氏への総領事表彰状手交
特別賞手交
ポップカルチャーの分野では、アニメ・ノースが今年も会場満員の3万人もの参加を得て開催さ
れました。日本総領事館は、アニメノースの創立20周年を祝い、少女漫画のポスター展覧会
や、ラーメンについてのパネルディスカッションを行いました。また、私からコスプレイ・フ
ァッション・ショーの着物部門への特別賞を授与するとともに、アニメノースの創始者である
ドナルド・シモンズ氏に対して、日本理解の促進と日加友好関係の深化に貢献したことを称え、
総領事表彰状を手交いたしました。
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伝統木版画家
堅田新十郎氏(中央)、堅田昌宏氏(左)、望月瑞紀氏(右)
ディビッド・ブル氏
によるお囃子の演奏
伝統的な日本文化の面では、3月に王立オンタリオ博物館で開催された「江戸の日」において、
多くの来場者の皆様に様々な江戸文化を楽しんで頂きました。特に、歌舞伎囃子演奏家である
堅田新十郎社中を日本からお招きすることができ、本物のお囃子の演奏を聴かせて頂いたこと、
また、東京在住の著名な木版画家であるディビッド・ブル氏をお招きし、実演をして頂いたこ
とも大変喜ばしいことでした。
王立オンタリオ博物館は、昨年大規模な浮世絵の展覧会を開催し、大変好評を博しました。博
物館の日本美術コレクションはおよそ1万点にも及びますが、それらの美術品を整理し展示す
るための専門の学芸員が必要となっています。王立オンタリオ博物館は、日本美術専門の学芸
員を置くための募金活動を行っているところですが、皆様の温かいご支援をいただけましたら
幸いです。
茶道裏千家淡交会トロント協会による
茶道デモンストレーションを楽しむゲスト
茶道のデモンストレーション
5月には、総領事公邸にて「春を祝う会」を行い、庭での茶道のお点前を行いました。州内の
市長、政財界、有識者、文化関係者等が出席され、トロントの遅い春の到来をお祝いしました。
開花を心待ちにしていたにもかかわらず、昨春は残念ながらトロントでは桜が咲きませんでし
たが、この春には満開の桜が春の訪れを共に祝ってくれることを願っております。
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上段左より、岡本行夫元内閣総理大臣補佐官、西原正平和・安全保障研究所理事長;
中央: 高田創みずほ総合研究所常務執行役員兼チーフエコノミスト ;
下段左より、田所昌幸慶應大学法学部教授、西村清彦東京大学大学院経済学研究科教授(前日銀副総裁)
トロント大学マンク国際問題研究所と平成27年から共催で実施している「JAPAN NOW」講演会
シリーズにおいても、引き続き優れた有識者や専門家の皆様をお招きすることができ、大変嬉
しく思っております。
「JAPAN NOW」講演会シリーズは、カナダにとって極めて重要なパートナーである現在の日本に
ついて、より学術的な面での関心と理解を深めることを目指しています。日本とカナダは国際
政治や安全保障、経済の面で重要なパートナーであるのみならず、環境や移民政策、技術や高
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齢化社会など、お互いに学び合える分野が多くあります。この講演会シリーズを通して、相互
の意見交換を更に活発にしていきたいと考えております。
日本とカナダが相互の利益のために、また国際社会全体のために共に手を携えていくためには、
両国の若者がお互いを良く理解することが必要不可欠です。その意味で若者の交流プログラム
は極めて重要となっております。
3月には、トロント大学のマンク国際問題研究所の学生が、カケハシ・プロジェクトで訪日、
日本からは政策研究大学院大学の学生がトロントを訪問しました。5月には経済関係に焦点を
当てたカケハシ・プロジェクトが実施され、トロント大学、ヨーク大学、ウィルフリッド・ロ
ーリエ大学でビジネスや政策を学ぶ大学院生が日本を訪問しました。
3月に実施されたカケハシ・プロジェクト参加者(トロント
大学マンク国際問題研究所、政策大学院大学の学生達)
5月に実施されたとカケハシ・プロジェクト参加者(トロント大
学、ヨーク大学、ウィルフリッド・ローリエ大学の学生達)
もちろん JET プログラムは昨年も実施されました。7月にはトロントから75名の新たな JET
プログラム参加者が日本へ出発しました。この75名を含め、昨年はカナダ全国から194名
が JET プログラムに参加しました。
カケハシ・プロジェクト参加者及びサポーターの方々
2016年のオンタリオ州(オタワを
除く)からの JET プログラム参加者と
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日本とカナダの友好・親善の重要性は言うまでもありませんが、この場をお借りして再度強調
させて頂ければと思います。
皆様ご記憶にあるかと思いますが、4月には2度の地震が九州の熊本地方を襲いました。カナ
ダの皆様はすぐさま温かい支援の手をさしのべ、総領事館を通じての14000カナダドルを
越える寄付をはじめ、様々な形で震災に遭われた方々へのご支援を頂きました。皆様のご厚意
に篤く御礼を申し上げます。
熊本地震で被災された方々をお見舞いされる天皇皇后両陛下
最後になりましたが、日本とカナダ/オンタリオ州の関係が実りあるものとなっておりますのは、
ひとえに皆様の多大なご尽力によるものと、改めて感謝を申し上げます。今後も皆様とともに
より一層の努力を続けて参りますので、何卒よろしくお願いいたします。
本年が皆様にとって素晴らしい年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
在トロント日本国総領事
中山 泰則
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