第5章 空家等対策の実現に向けて 5-1.空家等対策の実施体制 1.実施体制の基本的な考え方 空家等の対策を効果的かつ効率的に推進するためには、所有者等、地域、行政、関係団 体等の役割分担を明確にし、本計画に即して地域社会全体で取り組むことが必要です。 また、市民等から寄せられる空家等の問題や相談に対して、的確かつ迅速に対応するた め、庁内関係部局が連携して対応できる体制を構築するとともに、特措法第 7 条に規定す る協議会を組織し、地域等との連携を強化します。 2.具体的な実施体制 (1)地域、関係団体、行政、所有者等、各主体の役割 空家等対策は所有者等だけの問題ではなく、地域のまちづくりの課題でもあることか ら、町内会等の地域、建築や不動産に関わる関係団体、行政が連携し、空き家の解消と 適正管理などの対策に取り組む必要があります。 図 5-1 福島市 空き家対策の役割分担 34 福島市空家等対策計画 (2)庁内組織体制 空家等対策は多岐にわたることから、関係部署と連携して対策を推進するため、相談 窓口となる開発建築指導課空き家対策係を事務局とする「福島市空き家等対策庁内検討 委員会」を設置して情報の共有化や各施策の実施等の取り組みを進めます。 福島市庁内組織 (事務局:開発建築指導課) ◎福島市空き家等対策庁内検討委員会 ≪委 員≫●副市長 福島市空家等対策計画策定 ◎基本目標 ●政策統括監 ●関係部長(総務、財務、商工観光、市民安全、環境、建設、 都市政策、消防、水道) ≪幹 事≫ ●都市政策部次長 ●関係課長 ●道路保全課 ●開発建築指導課 空家等発生予防 ●財政課 ●生活課 ●商業労政課 ●観光コンベンション推進室 ●定住交流課 ●建築住宅課 ●清掃管理課 ●路政課 空き家の把握と 連携体制構築 ●開発建築指導課 ●財政課 ●資産税課 ●納税課 ●生活課 ●市民課 ●危機管理室 ●環境課 ●清掃管理課 ●道路保全課 ●都市計画課 管理不全の 空家等への対策 ●開発建築指導課 ●予防課 ●水道総務課 ●総務企画課 ●財政課 ●資産税課 ●納税課 ●危機管理室 ●清掃管理課 ●路政課 ●予防課 ●開発建築指導課 空き家の利活用の促進 ●財政課 ●商業労政課 ●観光コンベンション推進室 ●定住交流課 ●建築住宅課 ●都市計画課 図 5-2 福島市庁内組織体制 福島市空家等対策計画 35 (3)福島市空家等対策協議会 空家等対策には、専門的な知識や地域との連携が不可欠であることから、特措法第 7 条に基づく協議会を設置し、本計画策定の他、施策の立案及び実施などについて様々な 視点からの意見を求め、多角的な協議を実施していきます。 福島市空家等対策協議会 ◎協議会(地域連携) ≪委 員≫ ●市長(会長) ◎所掌事務 ●有識者(法務、不動産、建築、都市・地域政策) ○空家等対策計画の作成・変更・実施に 関する事項 ●住民自治 ●行政 ≪委員詳細≫ ○特定空家等に関する措置に関する事項 【有識者】 ●法務(福島県弁護士会、福島県司法書士会、福島 県行政書士会) ●不動産(福島県土地家屋調査士会、福島県不動産 ○特定空家等判定審査会の開催 鑑定士協会、福島県宅地建物取引業協会、全日本不 動産協会福島県本部) ●建築(福島県建築士会) ●都市・地域政策(福島大学行政政策学類) ○特定空家等に該当するか否かの判断に 【住民自治】 関する意見の聴取 ●福島市自治振興協議会連合会 ●福島市町内会連合会 【行政】 ○その他空家等対策の実施に関し必要な事項 ●福島地方法務局 ●福島市 図 5-3 福島市空家等対策協議会体制 36 福島市空家等対策計画 5-2.空家等に対する措置のフロー 1.空家等に対する措置のフロー 空家等の確知 (情報提供、空家等調査等) 所有者等の調査 (法第 9 条第 1 項) 所有者等による適正な管理依頼 (法第 3 条及び第 12 条) 解決しない場合 特定空家等の立入調査 空家等の状況把握 (法第 9 条第 2 項) 特定空家等に対する措置 所有者等が確知できない場合 助言又は指導 (法第 14 条第 1 項) 所有者等による 改善 完了 勧告 (法第 14 条第 2 項) 命令 (法第 14 条第 3 項) 行政代執行法による対応 代執行 略式代執行 (法第 14 条第 9 項) (法第 14 条第 10 項) 費用の徴収 図 5-4 空家等に対する措置のフロー 福島市空家等対策計画 37 5-3.特定空家等に対する措置のフロー 1.助言・指導 ○庁内委員会及び協議会に意見等を求めた上で、所有者等が自らの責任において実施するよう必 要な事項や方法について助言・指導を行います。 ○危険な状態が喫緊している場合は、庁内委員会や協議会の意見を参考に、既存法による緊急対 応を検討します。 意見聴取 事務局(開発建築指導課) 意見 庁内委員会(関係部署) 空家等対策協議会 危険な状態が喫緊している場合 所有者等への 助言・指導 ○助言・指導書の送付 ○措置の履行確認 他法令による 状態が改善されない場合 ○危険な状態に変化なし ○危険な状態が進行するおそれ 2.勧告へ 図 5-5 助言・指導の措置フロー 38 福島市空家等対策計画 措置の検討 2.勧告 ○助言・指導を行ったにも関わらず状態が改善しない場合、庁内委員会及び協議会に意見等を求 めた上で、再度、必要な措置を講ずるように相当の猶予期間を付けて勧告を行います。 ○所有者等が勧告を受けることにより、地方税法の規定に基づき固定資産税の住宅用地特例の対 象から除外されることから、税務部局と情報共有等連携を密にし、必要な手続きを進めます。 意見聴取 事務局(開発建築指導課) 意見 庁内委員会(関係部署) 空家等対策協議会 所有者等への 固定資産税等の住宅 勧告 用地特例適用除外へ ○勧告書の送付 ○措置の履行確認 財務部資産税課 正当な理由がなく勧告に係る 措置をとらなかった場合 措置が履行された場合 3.命令へ 固定資産税等の住宅 用地特例再適用へ 図 5-6 勧告の措置フロー 福島市空家等対策計画 39 3.命令 ○履行期限までに正当な理由がなくてその勧告した措置をとらなかった場合、相当の猶予期限を つけて命令を行います。 なお、命令を受けたものは、意見書の提出や公開による意見の聴取を請求する機会が与えられ ます。 情報共有 情報共有 事務局(開発建築指導課) 事務局(開発建築指導課) 庁内委員会(関係部署) 庁内委員会(関係部署) 空家等対策協議会 空家等対策協議会 S 通知書の送付 意見書の提出 (命令の予告) 公開による意見の聴取 所有者等への 命令 ○命令書の送付 ○標識の設置及び公示 ○措置の履行確認 命令した措置が、 ・履行されない場合 過料 ・履行しても十分でない場合 ・履行しても期限内に完了する見込みがない場合 4.代執行へ 図 5-7 命令の措置フロー 40 福島市空家等対策計画 4.代執行 ○履行期限までに命令した措置が履行されない場合等は、行政代執行法第 3 条第 1 項に基づき、 戒告を行います。 ○期限までに戒告した措置が履行されない場合は、再戒告を実施した上、代執行を行います。 ○代執行の完了後、行政執行法第 5 条、第 6 条により代執行に要した一切の費用は、命令をし た所有者等から徴収します。仮に支払いに応じない場合は、国税滞納処分の例による行政上の 強制執行を行います。 情報共有 事務局(開発建築指導課) 庁内委員会(関係部署) 空家等対策協議会 所有者等確知できる 所有者等確知できない 所有者等への 公告 戒告 ○必要な措置を行うこと ○必要な措置の期限 ○代執行を行うこと ○戒告書の送付 ○措置の履行確認 所有者等への 略式代執行 再戒告 ○再戒告書の送付 ○措置の履行確認 代執行 ○代執行令書による通知 ○代執行業務の整理 (市 もしくは 業務委託) ○関係機関等との調整 (電気、ガス、水道、必要に 応じて道路管理者など) ○代執行の実行 ○納付命令書等の発行 ○費用の徴収 ○代執行令書による通知 ○代執行業務の整理 (市 もしくは 業務委託) ○関係機関等との調整 (電気、ガス、水道、必要に 応じて道路管理者など) ○代執行の実行 ○納付命令書等の発行 ○費用の徴収 家財等がある場合 ○家財等の移設等の通知 ○家財等の一時保管 ○費用の徴収 図 5-8 代執行の措置フロー 福島市空家等対策計画 41 5-4.各種業務のフロー 1.空家等に関するデータベースの運用フロー ○空家等に関する情報を集約し、データベース化して一元管理を行います。 ○データベースは、 「空家等実態調査」や情報提供などに基づき随時更新します。 ○データベースには、以下の内容を記録します。 建物状況、所有者等、権利関係、対応経過、所有者意向調査結果等の情報等 ○データベースは、空き家バンク等の利活用や各種施策の企画立案に利用します。 空家等に関する情報 【空家等実態調査結果】 【他部署等からの情報】 【市民等からの情報提供】 財務部、消防本部、 都市政策部 窓口・電話等 水道局等 一元化 情報共有 事務局 関係部局 (開発建築指導課) ○空家等に関するデータベースの作成・管理 (特措法第 11 条) ・必要に応じて詳細情報の調査確認 空家等情報データベースの活用 ・所有者等による適切な管理の促進 (特定空家等の解消、緊急時の対応) ・利活用の検討(空き家バンク) ・将来的な施策の検討 図 5-9 空家等に関するデータベースの運用フロー 42 福島市空家等対策計画 2.即時対応を要する際の他法令による措置フロー ○市民等からの情報提供により、空家等の危険な状態が急迫し、緊急時の管理行為が必要なこと が判明した場合は、庁内委員会や必要に応じて協議会に意見等を求めた上で、他法令による措 置を関係部署と連携して行います。 市民等 情報提供 (報告) 事務局(開発建築指導課) 及び必要に応じた関係部署 意見聴取 庁内委員会 意見 必要に応じて意見聴取 空家等対策協議会 意見 合同で現場確認 他法令による措置の要請 ・開発建築指導課 建築基準法(第 10 条 保安上危険な建築物に対する措置) ・路政課、道路保全課 道路法 (第 42 条 道路の維持又は修繕(道路上の支障物撤去)) (第 43 条 道路に関する禁止行為(道路上の支障物撤去命令)) ・清掃管理課 廃棄物処理法(第 19 条の 7 生活環境の保全上の支障の除去等の措置) ・消防本部予防課 消防法(第 3 条 屋外における火災予防又は障害除去のための措置命令等) ・危機管理室 災害対策基本法(第 64 条 応急公用負担等) 図 5-10 即時対応を要する際の他法令による措置フロー 福島市空家等対策計画 43
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