米国:ISM景況指数(2016年12月) MRI Daily Economic Points ー製造業でも景況感の改善が鮮明にー 図表1 65 January 10, 2017 総合指数 評価ポイント (%) 今回の結果 拡大 12月のISM製造業景況指数(総合、1/3日公表)は、54.7と前月(53.2)から 上昇。2014年12月以来の高い水準となった。 項目別にみると、新規受注(60.2)、生産(60.3)が大幅に上昇。ともに約2 年ぶりに60を超える高水準となり、全体を押し上げた。15年半ば以降、弱い 動きが続いていた雇用(53.1)も小幅上昇。3ヶ月連続で拡大・縮小の分岐 点である50を上回った。業種別では、18業種のうち11業種が50を上回り、 幅広い業種で活動が拡大した。 12月のISM非製造業景況指数(総合、1/5日公表)は、57.2と前月から変わ らず、高い水準での推移。業種別では、50を上回った業種は12業種と、幅 広い業種で拡大が続いている。 60 55 50 製造業 45 非製造業 縮小 40 11 12 13 14 15 16 図表2 世界の経済政策に関する不確実性 図表3 実効為替レート (指数) (指数) 350 リーマン ショック 300 米国大統領選挙 105 欧州債務危機 ブレグジット 100 250 欧州難民 流入 200 95 基調判断と今後の流れ 製造業は、 ①海外経済の持ち直しや、②2014~15年にかけて進行したド ル高の輸出押し下げ圧力の一巡などを背景に、世界的に不確実性が高い 状況が続いている中でも(図表2)、景況感が持ち直しつつある。非製造業 は、内需の堅調さを背景に良好な景況感が続いている。 先行きも、堅調な内需に支えられ、企業活動の拡大基調が続くと予想する。 企業活動の先行指標である新規受注の改善のほか、トランプ新政権の経 済政策への期待も、企業の景況感を下支えするだろう。 下振れ要因は、①17年に重要な選挙を控える欧州の政治情勢などを中心 に、世界的に不確実性が一段と高まる場合や、②関税の引き上げや工場 立地に関する企業への批判などトランプ新政権が保護主義化を強める場 合、③ドル高が一段と進行し(図表3) 、輸出の下押し圧力となる場合に、製 造業を中心に企業マインドが悪化することが挙げられる。 90 150 85 100 50 世界の経済政策不確実性指数 実効為替レート 80 1 3 5 7 9111 3 5 7 9111 3 5 7 911 0 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 2014 2015 注:各国の経済政策不確実性指数をPPP調整後の各国GDPでウェイト付けして算出された指数。 資料:米供給管理協会、Economic Policy Uncertainty、FRB Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc. 2016 担当: 政策・経済研究センター 田中康就 TEL 03-6705-6087
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