「企業 IT 動向調査 2017」(IT 予算の速報値)を発表

プレスリリース
報道関係者各位
2017 年 1 月 12 日
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
「企業 IT 動向調査 2017」(IT 予算の速報値)を発表
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(略称:JUAS)は、企業の IT 投資・IT 戦略などの
動向を調べる「企業 IT 動向調査 2017」を実施しました。IT 戦略立案や予算策定の一助となるために
IT 予算に関する速報値を発表します。なお、最終集計・分析結果は 2017 年 4 月上旬に発表予定です。
今回発表の速報値と若干のズレが生じる可能性があることをご了承ください。
企業 IT 動向調査の対象は、東証一部上場企業およびそれに準ずる企業です。本調査における「IT 予
算」とは、当該年度に支出予定の金額(キャッシュベース)を基本としています。金銭的な支出を伴
わない費用(償却費等)は除外しています。調査概要はリリース最終ページをご参照ください。
■2017 年度も積極的な IT 投資が続く
ユーザー各社は 2017 年度も積極的な IT 投資を行いそうです。2017 年度 IT 予算の増減予測(2016
年度比)を調査したところ、34.0%が「増加」、49.7%が「不変(前年度並み)」と回答しました。IT
予算を「増やす」割合から「減らす」割合を差し引いて求めた DI(ディフュージョン・インデックス)
は 17.7 ポイントです。
前回調査と比べると IT 予算を増やす企業の割合は減少していますが、その分「不変」が増えていま
す。そのため全体で見ると、前年度並み、またはそれ以上の予算が 2017 年に投じられるようです。世
界経済の先行きは不透明ですが、ビジネスのデジタル化の波が押し寄せていることもあり、「攻めの
IT 投資を継続して企業競争力を高めておこう」とする企業姿勢があるようです。
図 1●2017 年度 IT 予算の増減 (2016 年度比の増減予測)
0%
2017年予測(n=668)
*1
2016年予測(n=665)
*2
20%
13.6
18.7
10%以上増加
40%
60%
20.4
49.7
24.9
不変
100%
10.8
38.4
10%未満増加
80%
10%未満減少
10.4
5.5
7.6
DI値
17.7
25.6
10%以上減少
*1 今回調査(2016 年 10 月時点での 2017 年度予算の予測) *2 前回調査(2015 年 10 月時点での 2016 年度予算の予測)
■中堅企業での IT 投資が活発に
売上高別に IT 予算の増減を集計した結果を図 2 に示します。DI が最も高いのは売上高 100 億円以
上 1000 億円未満の層で 20.7 ポイントです。これに売上高 100 億円未満の層(DI は 18.6 ポイント)が
-1-
続きます。2017 年度は中堅企業での IT 投資が活発化しそうです。一方、売上高 1 兆円以上の DI が 6.1
ポイントと小さくなっています。前年より IT 予算を減らす企業も約 3 割と弱含みです。
前年調査(2016
年度予測)での DI が 16.7 ポイントと高かったため、その反動減とみられます。
図 2●売上高別 2017 年度 IT 予算の増減 (2016 年度比)
0%
20%
100億円未満
(n=140)
14.3
100億円以上1000億円未満
(n=344)
15.1
40%
60%
14.3
80%
100%
61.4
20.1
1000億円以上1兆円未満
(n=132)
9.8
25.8
1兆円以上(n=33 )
9.1
27.3
50.3
8.4
42.4
15.2
33.3
10%以上増加
10%未満増加
6.1
20.7
6.8
13.6
27.3
不変
DI値
18.6
5.7 4.3
10%未満減少
3.0
6.1
10%以上減少
■「建築・土木」グループが IT 投資に積極的
2017 年度における IT 予算の増減予測を業種グループ別に集計した結果を図 3 に示します。DI が最
も高かったのが、「建築・土木」グループです。2017 年度の IT 予算 DI は 39.5 ポイントで、前年調査
よりも 26.6 ポイントも上昇しました。首都圏を中心に不動産市場の好況が続いているほか、2020 年の
東京オリンピック・パラリンピックの開催も投資を増やせる背景にあると考えられます。一方、「金
融」グループの DI はマイナス 21.1 ポイントと大きく減りました。前年調査では 47.1 ポイントと全業
種グループで最も DI が高かった状況からの反動減等とみられます。
図 3●業種グループ別 2017 年度 IT 予算の増減予測 (2016 年度比)
0%
20%
建築・土木(n=53)
13.2
素材製造(n=143)
13.3
機械器具製造(n=168)
商社・流通(n=112)
金融(n=33) 0.0
60%
35.8
48.3
16.7
17.9
18.8
49.1
48.5
22.0
10%以上増加
100%
5.7 3.8
DI値
39.5
13.3
3.5
18.2
8.9
4.8
14.3
58.3
15.2
13.8
80%
41.5
21.7
11.3
社会インフラ(n=50)
サービス(n=109)
40%
8.0
24.2
20.0
40.0
20.2
47.7
10%未満増加
-2-
不変
12.1
14.0
10.1
10%未満減少
6.3
▲21.1
4.0
8.3
10%以上減少
22.4
24.0
15.6
■業務の効率化、経営の見える化が IT 投資の目的
どのような分野に IT 活用の期待があるのでしょうか。「IT 投資で解決したい中期的な経営課題」
を優先度の高い 1 位から 3 位まで回答した結果を図 4 に示します。
あらかじめ用意した 15 個の選択肢の中で、群を抜いて回答が多かったのは「業務プロセスの効率化
(省力化、業務コスト削減)」と、「迅速な業績把握、情報把握(リアルタイム経営)」でした。い
ずれも回答企業の約 2 割が、IT 投資で解決したい中期的な経営課題の 1 位として挙げています。過去
の調査でもこれらの二つの課題はトップに位置づけられており、経営における永遠の課題といえそう
です。
本年度注目したいことは、これらの課題を解決する手段として、IoT やビッグデータなどの手法を
取り入れ、革新を起こそうという企業が増えているようにみえることです。
図 4●IT 投資で解決したい中期的な経営課題(1 位~3 位)・1 位の降順
0
10
業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)
20
30
22.0
迅速な業績把握、情報把握(リアルタイム経営)
16.7
20.2
営業力の強化
8.7
9.9
9.1
IT開発・運用のコスト削減
6.4
5.8
グローバル化への対応
6.4
5.9
ビジネスモデルの変革
6.2
4.2
5.1
顧客重視の経営
5.7
4.7
2.2
企業としての社会的責任の履行
(セキュリティ確保、個人情報の保護等)
5.0
5.9
業務プロセスの質・精度の向上(ミス、欠品削減等)
3.9
9.0
商品・サービスの差別化・高付加価値化
3.6
社内コミュニケーションの強化
3.5
業務プロセスのスピードアップ(リードタイム短縮等)
3.2
5.9
企業間(グループ、業界、取引先間)の情報連携 2.2 3.8 3.8
50
11.4
9.1
8.4
9.0
5.5
8.7
7.8
4.4
8.7
6.7
40
8.6
5.5
1位(n=1013)
2位(n=1013)
BCP(事業継続計画)の見直し 1.3 3.2
経営の透明性の確保(内部統制、システム監査への対応等)
1.7
2.8
0.5
-3-
7.8
3位(n=1013)
60
(%)
■調査概要
「企業 IT 動向調査」は、IT ユーザー企業の IT 動向を把握することを目的に、1994 年度から実施し
ている調査です。経済産業省商務情報政策局の監修を受け、一般社団法人日本情報システム・ユーザ
ー協会(略称:JUAS)が行っています。
「企業 IT 動向調査 2017」の調査期間は 2016 年 9 月 30 日から 10 月 18 日。調査対象は、東証一部
上場企業とそれに準じる企業の 4000 社で、各社の IT 部門長に調査票を郵送して回答を得ました。調
査の有効回答社数は 1071 社。本リリースの IT 予算に関する有効回答数は 668 社、IT 投資で解決した
い経営課題に関する有効回答は 1013 社です。
本リリースは、調査結果をいち早くユーザー企業の皆様にお役立ていただくために「速報値」とし
て公開するものです。正式なデータや分析結果については、ダイジェスト版を 2017 年 4 月上旬に、詳
細な分析結果を掲載した報告書は同年 5 月に発行する予定です。
■JUAS ライブラリーのご紹介
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(略称:JUAS)は、「企業 IT 動向調査」をはじめ
とした様々な調査の報告書を紹介する「JUAS ライブラリー」を Web サイト上に開設しています。有
償販売している報告書についても、発売から 2 年以上が経過したものは無償で公開しています。
調査報告書には、日本における IT 活用の歴史と先達の経験が詰まっており、調査実施から年数が経
っても、今後の IT 活用の方向性を見極めるために有用であると考えました。幅広い分野の皆様の調
査・研究に役立てていただければ幸いです。詳しくは以下の Web サイトをご覧ください。
JUAS ライブラリーの URL はこちら→
http://www.juas.or.jp/servey/library/
なお、直近 2 回分の調査結果に関しては、「企業 IT 動向調査報告書 2015」および「企業 IT 動向調
査報告書 2016」として有償で販売しております。詳しくは以下の Web サイトをご覧ください。
企業 IT 動向調査報告書 2016 の URL はこちら→
http://www.juas.or.jp/servey/it16/
■本リリースに関するお問い合わせ先
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会 担当:赤塚、各務(カガミ)
〒103-0012 東京都中央区日本橋堀留町 2-4-3 ユニゾ堀留町二丁目ビル
電話:03-3249-4101
電子メール:[email protected]
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