ベテラン教職員からのメッセージ 得意なことを仕事に生かす あら い かおる 春日部市立武里中学校 事務主幹 新井 薫 1 初任者の頃 私が採用された昭和54年は、すべてがアナログ の時代。旅費の請求書は時刻表から運賃を計算し、 カーボン紙を挟んで作成。給与はタクシーで銀行 まで取りに行き、現金で支給するといった時間と 手間の掛かる時代でした。高校卒業後、中途採用 の私が、初めて赴任したのは、中規模の小学校、 職員室の片隅で仕事に追われる毎日でした。その 学校は職員室の後ろに倉庫があり、休み時間にな ると教員が何かを探しに来ていました。「先生一 緒に遊ぼう。早くしないと休み時間が終わっちゃ うよ。」廊下から児童の声が。こんな光景を幾度 となく見ているうちに、教育現場の中にいる事務 職員として、何をやるべきかが見えてきたのです。 それは、教員の無駄な時間を減らし、児童生徒と かかわる時間を増やしてあげるということでし た。例えば、授業で使う物をいつでも使えるよう に準備をしておくことや、提出書類に記入例をつ け、調べる手間を無くすといったことです。些細 なことかもしれませんが、積み重ねることによっ て、1分、2分と教員が児童生徒とかかわる時間 を増やすことができると考えたのです。これらを 行うためには、自分の仕事に余裕を持つことが大 切。余裕を作るために、間違えにくい仕事の流れ を意識するようになりました。 4 共同実施を活用する 県費事務システムが稼動し、毎月行われていた 検収会が無くなりました。同時に審査までの時間 を利用した情報交換や、仕事のやり方を学ぶ機会 も無くなりました。それに変わるものが共同実施 だと思います。各市町村で形は違いますが、集ま る機会があると思います。これを活用し、先輩事 務職員から仕事のノウハウを学び、レベルアップ に繋げてください。そして、自分が仕事に生かし ている得意なことを互いに共有し合い、事務の効 率化を図ってください。それが個々の資質向上に 繋がり、やがて全体に広がって行くと考えていま す。世代交代の波が押し寄せています。今のうち に学校事務という仕事をしっかりととらえ、学校 教育に貢献してくれることを期待しています。 教職員からの メッセージ 2 ルーチンワークを身に付ける 毎朝、配達された新聞を各クラスのポストに入 れ、印刷室の用紙を補充し席に着きます。受信メー ルを確認し、保護者からの電話対応。午前中は出 勤簿整理と旅費請求書の作成、午後は調査書類や 予算執行が仕事の流れです。一か月の仕事、年間 の仕事も同様、やりなれた手順で進めて行くので、 間違えることなく終わらせることができます。こ の流れが変わると妙な気持ちになります。この流 れがいつの間にか私のルーチンワークになってい たようです。初任の頃は、この流れが掴めないの で、あっという間に時間が過ぎ、仕事に追われる 毎日でした。このような経験から、初任者には、 日々の仕事を、ノートに記録することを勧めてい ます。その日にどのような仕事を行ったのか、行 事では何が必要になったのかなど、細かくノート に書き留めるのです。一年が終わり、新たな年と なった時、そのノートが、仕事の流れを教えてく れる手引きとなり、経験を重ねていくうちに、間 違えにくい、自分のルーチンワークができるので す。このルーチンワークをより早く身に付けるこ とが、ゆとりのある仕事へと繋がり、自分の仕事 が児童生徒に生かされると考えています。 3 得意なことを仕事に生かす 採用から4年目の頃、絵を描くことが得意な私 は、イラストを描く感覚で、事務便りを書き始め ました。教員に沢山の情報を提供し、安心して教 育活動に専念してもらうためです。給与明細書の 見方や手当に関する情報は、言葉で伝えるよりも わかりやすく伝わるので、月に一度、給料日に発 行しました。事務便りイコール給料日だと気付か せる意図もあったのです(給料を取りに来ない人 が多かった)。わかりにくい内容は、資料などで 調べ、わかりやすい言葉にして書きました。今で は知らせたい情報がある時は、給料日以外でも発 行しています(「今日、給料日だっけ」と言われ る時がある)。事務便りを作ることが自己研修と なり、私自身の資質向上に繋がっていると思いま す。この事務便りづくりは、どんなに忙しくても 負担に感じたことはありません。なぜなら、事務 便りを作ることは、私の得意なことだからです。 皆さんも、得意なことを仕事に生かしてみてくだ さい。どんなことでもかまいません。教育活動の 手助けになることであれば、児童生徒に生かされ ると思います。例えば、細々した物を整理するこ とが得意な人は、消耗品などをわかりやすく表示 することで、教員が物を探すという無駄な時間が なくなり、児童生徒とかかわる時間を増やすこと に繋がるのではないでしょうか。 本文中の「事務便り」は、 こちらから御覧いただけます。 45
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