Page 1 45 ベテラン教職員からのメッセージ 1 初任者の頃 私が採用され

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ベテラン教職員からのメッセージ
得意なことを仕事に生かす
あら い
かおる
春日部市立武里中学校 事務主幹 新井 薫 1 初任者の頃
私が採用された昭和54年は、すべてがアナログ
の時代。旅費の請求書は時刻表から運賃を計算し、
カーボン紙を挟んで作成。給与はタクシーで銀行
まで取りに行き、現金で支給するといった時間と
手間の掛かる時代でした。高校卒業後、中途採用
の私が、初めて赴任したのは、中規模の小学校、
職員室の片隅で仕事に追われる毎日でした。その
学校は職員室の後ろに倉庫があり、休み時間にな
ると教員が何かを探しに来ていました。「先生一
緒に遊ぼう。早くしないと休み時間が終わっちゃ
うよ。」廊下から児童の声が。こんな光景を幾度
となく見ているうちに、教育現場の中にいる事務
職員として、何をやるべきかが見えてきたのです。
それは、教員の無駄な時間を減らし、児童生徒と
かかわる時間を増やしてあげるということでし
た。例えば、授業で使う物をいつでも使えるよう
に準備をしておくことや、提出書類に記入例をつ
け、調べる手間を無くすといったことです。些細
なことかもしれませんが、積み重ねることによっ
て、1分、2分と教員が児童生徒とかかわる時間
を増やすことができると考えたのです。これらを
行うためには、自分の仕事に余裕を持つことが大
切。余裕を作るために、間違えにくい仕事の流れ
を意識するようになりました。
4 共同実施を活用する
県費事務システムが稼動し、毎月行われていた
検収会が無くなりました。同時に審査までの時間
を利用した情報交換や、仕事のやり方を学ぶ機会
も無くなりました。それに変わるものが共同実施
だと思います。各市町村で形は違いますが、集ま
る機会があると思います。これを活用し、先輩事
務職員から仕事のノウハウを学び、レベルアップ
に繋げてください。そして、自分が仕事に生かし
ている得意なことを互いに共有し合い、事務の効
率化を図ってください。それが個々の資質向上に
繋がり、やがて全体に広がって行くと考えていま
す。世代交代の波が押し寄せています。今のうち
に学校事務という仕事をしっかりととらえ、学校
教育に貢献してくれることを期待しています。
教職員からの
メッセージ
2 ルーチンワークを身に付ける
毎朝、配達された新聞を各クラスのポストに入
れ、印刷室の用紙を補充し席に着きます。受信メー
ルを確認し、保護者からの電話対応。午前中は出
勤簿整理と旅費請求書の作成、午後は調査書類や
予算執行が仕事の流れです。一か月の仕事、年間
の仕事も同様、やりなれた手順で進めて行くので、
間違えることなく終わらせることができます。こ
の流れが変わると妙な気持ちになります。この流
れがいつの間にか私のルーチンワークになってい
たようです。初任の頃は、この流れが掴めないの
で、あっという間に時間が過ぎ、仕事に追われる
毎日でした。このような経験から、初任者には、
日々の仕事を、ノートに記録することを勧めてい
ます。その日にどのような仕事を行ったのか、行
事では何が必要になったのかなど、細かくノート
に書き留めるのです。一年が終わり、新たな年と
なった時、そのノートが、仕事の流れを教えてく
れる手引きとなり、経験を重ねていくうちに、間
違えにくい、自分のルーチンワークができるので
す。このルーチンワークをより早く身に付けるこ
とが、ゆとりのある仕事へと繋がり、自分の仕事
が児童生徒に生かされると考えています。
3 得意なことを仕事に生かす
採用から4年目の頃、絵を描くことが得意な私
は、イラストを描く感覚で、事務便りを書き始め
ました。教員に沢山の情報を提供し、安心して教
育活動に専念してもらうためです。給与明細書の
見方や手当に関する情報は、言葉で伝えるよりも
わかりやすく伝わるので、月に一度、給料日に発
行しました。事務便りイコール給料日だと気付か
せる意図もあったのです(給料を取りに来ない人
が多かった)。わかりにくい内容は、資料などで
調べ、わかりやすい言葉にして書きました。今で
は知らせたい情報がある時は、給料日以外でも発
行しています(「今日、給料日だっけ」と言われ
る時がある)。事務便りを作ることが自己研修と
なり、私自身の資質向上に繋がっていると思いま
す。この事務便りづくりは、どんなに忙しくても
負担に感じたことはありません。なぜなら、事務
便りを作ることは、私の得意なことだからです。
皆さんも、得意なことを仕事に生かしてみてくだ
さい。どんなことでもかまいません。教育活動の
手助けになることであれば、児童生徒に生かされ
ると思います。例えば、細々した物を整理するこ
とが得意な人は、消耗品などをわかりやすく表示
することで、教員が物を探すという無駄な時間が
なくなり、児童生徒とかかわる時間を増やすこと
に繋がるのではないでしょうか。
本文中の「事務便り」は、
こちらから御覧いただけます。
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