限られた人的リソースでシステムの安定稼動を支えるべく、ハ

株式会社エイアンドティー
ソリューション概要
○プロファイル
臨床検査情報システムや検体検査自動化システム、検
体検査装置、臨床検査試薬など、臨床検査にかかわる
ソリューションを展開する株式会社エイアンドティー。
同社は、医療向けの「インテグレーテッド・ソリューショ
ン・プロバイダ」として、医療に役立つしくみづくりや
検査室改善のコンサルティングを行っています。
○導入製品とサービス
・Microsoft Azure
・Microsoft Operations Management Suite
・Power BI
○パートナー企業
エクイニクス・ジャパン株式会社
○導入メリット
・Microsoft Azure を採ったハイブリッド クラウ
ド環境を構築したことで、ハードウェアの管理
工数が大きく削減できた
・そこに 割り当て て い たリソースを Microsoft
Operations ManagementSuite のもと有効活用
し、システム稼動の安定性を大幅に向上
・障害リスクのレベルを含む稼働状況の見える化
によって、先手の対応を打ち出せるようになり、
システム管理の工数が最適化できるようになった
・見える化が生む気付きにより、システム管理の
高次元化が期待できる
○ユーザー コメント
「よりビジュアル化されたデータのもとでシステム
を管理すべく、Power BI と連携して OMS を利用
しています。このように見える化を重要視してい
る理由は、それが『気付きのきっかけを生む』こ
とにあります。現在、定例会議は OMS と Power
BI の画面をベースに進めていますが、そこでは先
の気付きをきっかけに、
『Azure Automation を活
用してバッチ処理を自動化できないか』といった
新たなアイデアが数多く生まれています。先に目
的があってそこへの方法を検討するというプロセ
スも当然重要ですが、見える化から生まれるもの
の中には、目的ありきでは発生しないようなアイ
デアもあるのです。これは、システム管理の高次
元化を目指すうえで非常に重要だと感じています」
株式会社エイアンドティー
経営管理本部
IT マネジメントグループ
リーダー
千葉 信行 氏
限られた人的リソースでシステムの安定稼動を支えるべく、ハ
イブリット クラウドを採った新たな IT 基盤を構築。Microsoft
Operations Management Suite により稼働状況が高度に見える
化されたことで、先手を打ったシステム管理とその高次元化を実現
インテグレーテッド・ソリューション・プロバイダとして、臨床検査にかかわるすべての分野へ向け
たソリューションを展開する、株式会社エイアンドティー。
「医療の質の向上と、医療コストの削減
に貢献する」という使命のもと事業を展開する同社は、医療業界へ向けたソリューション提供の継
続性を向上すべく、2016 年に IT 基盤の刷新を実施しました。
限られた人的リソースでシステムの安定稼動を支えるためには、各システムの障害リスクを迅速に
優先順位付けし対応することが求められます。ハイブリット クラウドを採った新たな IT 基盤では、
Microsoft Operations Management Suite によって、その障害リスクの見える化を実現。事業継続
を支えるための「安定したシステム稼動」に大きく貢献しています。
導入の背景とねらい
限られた人的リソースでシステムの安定稼動を支えるべく、IT 基盤の刷新を検討
臨床検査にかかわる C・A・C・L (Chemicals、Analyzers、Computers、Lab-Logistics) すべ
ての分野を対象とした医療向けソリューションを展開する、株式会社エイアンドティー ( 以下、
A&T)。「医療の質の向上と、医療コストの削減に貢献する」という使命のもと事業を展開する
同社は、ハードウェアとソフトウェアの両面から、検査現場にある課題の解消を支援しています。
医療費の増大が社会問題となっている昨今、A&T が掲げる使命は非常に大きな意義を持つとい
えるでしょう。その遂行を継続すべく、同社は 2016 年に、IT 基盤の大幅な刷新を実施しました。
これまで同社は、仮想化サーバーで構築した IT 基盤をオンプレミス環境で運用していました。
株式会社エイアンドティー 経営管理本部 IT マネジメントグループ リーダー 千葉 信行 氏は、同
基盤を刷新した背景について、次のように説明します。
「ICT の発展は、従業員の業務効率やビジネス スピードに大きな好影響をもたらしました。しか
し一方で、業務のほとんどがシステムに依存するという状況も引き起こしています。システム障
害におけるビジネス リスクは増大の一途をたどっており、安定に稼動させねばならないという
プレッシャーも増すばかりでした。本来であれば監視用のシステムを設け、正常値と稼働状況
のリアルタイム比較やエラー予測のもと安定稼動を維持する必要がありますが、当社ではわず
か 5 名のシステム部門で 500 名規模のクライアント サーバー環境を管理せねばならず、これま
での IT 基盤ではリソース上で限界があったのです。結果として、
『何か問題が発生したら対応する』
という後手対応の体制にならざるを得ず、それが事業の継続性を阻害するリスクとなっていまし
た」( 千葉 氏 )。
同社のシステム部門では、インフラ、基幹系システム、顧客向けシステ
ム、セキュリティの 4 つの領域を各担当者に振り分ける形でシステム管
理を行っています。システムの安定稼動には、たとえば基幹系システム
領域であれば DB をはじめとする各システムの稼動状況や性能、アベイ
ラビリティなどの常時把握が必要です。また、セキュリティ領域であれば、
脅威の発生源や攻撃数、脅威レベルの傾向などの把握が必要であり、こ
れらの情報が常時見える化されたしくみのもと、各領域の担当者が先手
株式会社エイアンドティー
株式会社エイアンドティー
もう 1 つの視点は、IT 基盤全体の運用状況を、
の対応を講じることが求められます。
統合的かつ多角的に「見える化」するしくみの構
千葉 氏は、こうした稼動状況の見える化と、そ
築です。移行先の検討においてはクラウドの採用
れに基づいた先手の対応の重要性について、次
も視野に入っており、そこではシステムの置き場
のように説明します。
が複数にまたがることも推測されます。これらを
統合的に管理でき、かつ各領域の担当者ごとで必
「 当 然 な がら、 障 害 が 発 生した後 の 対応には
要となる情報を多角的に見える化できるしくみが
膨大な工数を必要とします。よく『先手の対応
やその検討は、システム部門の業務増になる』
という話を耳にしますが、障害 発 生の 絶 対数
が 抑 制できる点を考慮すれば、むしろ運 用工
数の最適化に寄与するといえるでしょう。こう
求められました。
株式会社エイアンドティー
経営管理本部
IT マネジメントグループ
リーダー
千葉 信行 氏
この 2 つの視点のもと、A&T は、同社の IT 構
築と運用を支援してきたエクイニクス・ジャパン
株式会社 ( 以下、エクイニクス・ジャパン ) ととも
エクイニクス・ジャパン株式
会社
営業本部
セールスエンジニアリング部
テクニカルマネジャー
橋本 利一 氏
した 新たな 運 用フローの 組み込 みは、システ
に、次期 IT 基盤の検討を進行。2015 年 10 月に、
ム構成自体に大きくメスを入れる必要があり、高いモチベーションが
Microsoft Azure を採用したハイブリット クラウド
必 要となります。しかし当社では、先んじた 対 策 が、結 果 的には先
環境と、Microsoft Operations Management Suite ( 以下、OMS) による統合
に触れたリソース最適化とビジネスの安定供給につながると考え、 IT
管理環境の構築を決定しました。
基盤の根本的な見直しを検討することにしたのです」 ( 千葉 氏 )。
同ソリューションを採用した理由について、エクイニクス・ジャパン株式会社
システム概要と導入の経緯、構築
営業本部 セールスエンジニアリング部 テクニカルマネジャー 橋本 利一 氏
信頼ある情報に基づくリスク レベルの見える化が、先手を打っ
たシステム管理に有効だった
は、次のように説明します。
「限られた人的リソースを最大限活かすうえで、ハードウェア面の管理工数が
2015 年 6 月より A&T が実施した IT 基盤の見直しは、主に 2 つの視点から
削減できるパブリック クラウドの採用は必須だと考えました。しかし、シス
推し進められました。1 つは、これまでデータセンターにあった物理環境か
テムの中にはどうしてもオンプレミスで運用を続けなければならないものが
らのシステム移行です。仮想化サーバーで構築した従来の IT 基盤では、同一
存在するため、すべてをクラウドへ移行することは困難だったのです。マイ
ハードウェア上に複数システムが稼動しており、システム障害におけるビジ
クロソフトが提供する OMS は、クラウド、オンプレミスの両環境を統合的
ネス リスクがどうしても大きくなります。また、ハードウェアの管理に多くの
に管理でき、優れた UI のもとでの高度な見える化が実現できます。さらに、
工数を要する従来環境のままでは、先手の対応へ向けたリソース確保も難し
OMS が備える Azure Site Recovery とハイブリッド クラウド ストレージであ
かったのです。
る StorSimple を利用することで、オンプレミスに残すシステムの DR 対策も
可能です。管理性の高いハイブリッド クラウド環境を目指すうえで、OMS と
データセンター
A&T Corporation
インフラ全体の正常性
セキュリティ傾向
ユーザー動向
OMS agent
File Server
(StorSimple)
DFS
Japan East
Alert Mail
OMS agent
File Server
DHCP
AD
Replication
Japan West
・Eventlog
・Performance data
・Network protocol data
OMS
- Replication Monitor
- Network latency
AD
・Custom log
担当者別にダッシュ
ボードをカスタマイズ
インフラ &
ヘルプデスク担当
カスタマー &
セキュリティ
・インフラ全般のパフォーマンス データ
・ユーザーの行動に関する情報
・インフラ障害情報
・社内サイトの利用状況
・社内サイトのセキュリティ状況
・ユーザーのレスポンス タイム可視化
・基幹システムのパフォーマンス データ
・月次処理のジョブ正常性監視
・SQL のバックアップ状況
基幹システム担当
Microsoft
System Center
Configuration Manager
- Service Monitor
PowerBI
グループ リーダー
PowerBI アプリによって
スマートフォンにてデータ確認ができる
OMS agent
DHCP
Azure Backup
全体的な傾向を報告
ExpressRoute
Microsoft Azure
基幹系
・Eventlog
・Performance data
・Network protocol data
Infra access data
SCCM
(2017Spring soon)
Azure Automation
新たな IT 基盤上では、Azure Virtual Machine をベースに 60 インスタンス以上のシステムが稼動している。IT 基盤の稼働状況はオンプレミス上のファイル サーバーも含めて、OMS によって統合的、
かつ多角的に見える化され、管理されている
株式会社エイアンドティー
Azure の組み合わせは最適だと考えました」( 橋本 氏 )。
続けて千葉 氏は、検討過程で行われたシステム検証で感じた OMS への印象
について、次のように振り返ります。
「システム管理においては、各システムの障害リスクを『いかに速やかに優先
順位付けできるか』が重要になります。単に各システムの稼動状況が数値化
されるだけでは、管理者自身がその数値の意味することを読み解き、対応
策やその順序を検討せねばなりません。そこでは時間的なロスが生まれる
でしょう。OMS ではポータル画面上から各システムの稼動状況が一覧でき、
リスクのレベルについてもシステムごとに異なった観点からグラフィカルに
OMS を利用した定例会議のようす。ここでは、見える化された情報が「気
付き」をもたらすことで、運用計画の新たなアイデアが日々生まれている
表示されます。たとえばセキュリティであれば、マイクロソフト サイバー セ
キュリティ センターに蓄積された情報に基づいて、攻撃の危険度やその発
できます。また、収集済みのログ データを活用することで、稼働状況
生源が見える化できるのです。同様に、DB であれば性能や可用性が、ネッ
をリアルタイムで監視するだけでなく、過去と比較した課題の検討も可
トワークであればパケット ロスやレイテンシなどが、信頼ある情報に基づく
能です。IT 基盤を刷新するまで、この規模のシステムをわずか 5 名で安
リスクのレベルと併せて即時に把握できます。OMS は、管理上の意思決定
定稼動し続けるのは難しいと考えていました。今まさにそれが実現でき
を迅速化し、先手を打ったシステム管理を実践するうえで非常に有効だと感
ているのは、導入の大きな効果だと考えています」( 千葉 氏 )。
じ、採用を決定しました」( 千葉 氏 )。
少人数のシステム部門でシステムの安定稼動が担保できるようになった
A&T は、2016 年 1 月から 6 月にかけて、一部のファイル サーバーを除く全
点に加え、今後、より高レベルなシステム管理が目指せるようになった
システムを対象として Azure 上でのシステム構築とデータ移行を実施。同年
ことも、OMS を導入した大きな効果だと、千葉 氏は続けます。
7 月より、クラウドとオンプレミスの統合管理を実現した新たな IT 基盤の運
用を開始しました。
「よりビジュアル化されたデータのもとでシステムを管理すべく、Power
BI と連携して OMS を利用しています。このように見える化を重要視し
導入の効果
ている理由は、それが『気付きのきっかけを生む』ことにあります。現在、
人的リソースの最適化により、システムの安定稼動を実現。
見える化が生む気付きにより、システム管理の高次元化へ
も期待
定例会議は OMS と Power BI の画面をベースに進めていますが、そこ
では先の気付きをきっかけに、
『Azure Automation を活用してバッチ
ハイブリッド クラウドを採った新たな IT 基盤ではまず、ハードウェアの
重要ですが、見える化から生まれるものの中には、目的ありきでは発生
管理工数が大きく削減されました。千葉 氏は、これまでそこに割り当て
しないようなアイデアもあるのです。これは、システム管理の高次元化
ていたリソースを OMS のもと有効活用することで、システム稼動の安
を目指すうえで非常に重要だと感じています」( 千葉 氏 )。
処理を自動化できないか』といった新たなアイデアが数多く生まれてい
ます。先に目的があってそこへの方法を検討するというプロセスも当然
定性が大幅に向上できたと笑顔で語ります。
今後の展望
「稼働状況はリスクのレベルとともに見える化されるため、インフラ、基
幹系システム、顧客向けシステム、セキュリティ各領域の担当者は、そ
れぞれが把握すべきシステムの稼働状況を 1 つの画面上で容易に管理
運用工数の最適化、柔軟性の向上など、あらゆる視点か
ら IT 基盤の発展を目指す
IT 基盤の刷新により、事業継続を支える「安定したシステム稼動」を実
現した、A&T。千葉 氏が語ったシステム管理の高次元化へ向け、同社
はまず、IaaS ベースで稼動している現システムへの PaaS 採用を計画し
ています。
「運用工数を最適化する余地は、まだまだ残っていると考えています。
たとえば認証基盤や DB、Web サーバーといったシステムは、Azure
Active Directory、Azure SQL Database といった PaaS へ置き換える
OMS では、デバイスを問わずあらゆる場所から稼動状況のモニタリングが可能。インフラ領域であれ
ば OS とシステムのアップデート状況やネットワーク パフォーマンス、プロトコル解析などが基幹系シ
ステム領域であれば DB をはじめとした各システムの性能や冗長性、バッチ処理のジョブ状況などが色
付けされたリスク状況とともに 1 つの画面上で把握でき、ドリル ダウンしていくことでより詳細な情報
も確認できる
ことも可能でしょう。そうすることで、仮 想マシンの管理工数を削減
することが可能です。OMS で現環境の状況を把握し、その結果から
PaaS への置き換えが本当に可能かどうかを見定め、こういった取り組
株式会社エイアンドティー
みを進めていきたいと考えています」( 千葉 氏 )。
したいです」( 橋本 氏 )。
A&T は現在、デプロイ モデルにクラシック環境 (ASM: Azure Service
インテグレーテッド・ソリューション・プロバイダという立場から、医療
Management) を利用しています。これを、NIC や IP アドレスも個々
サービスの品質向上に貢献し続ける A&T。同社のソリューションは今後、
の独立したリソースとして扱うことができるリソース マネージャー環境
マイクロソフトのプラットフォームのもと、医療現場へ向けてより安定的
(ARM: Azure Resource Manager) へ移行することで、システムの柔軟
に供給され続けていきます。
性についてもさらなる向上が期待できます。運用工数の最適化だけでな
く、柔軟性を含むあらゆる視点から IT 基盤の発展を目指していくこと
を、同社は構想しています。
橋本 氏は終わりに、A&T の構想を支援する立場から、OMS へ向けた
期待を述べます。
「OMS のポータル上では、管理対象の稼働状況を見える化するための
ツールが順次追加されています。既に現在のポータル画面上にあるも
ので十分に網羅されているように感じるのですが、新たなツールが拡充
されるたび、
『ああ、この視点も必要だった』と驚いています。これは、
運用管理をさらに高いレベルへと押し上げるきっかけになっており、マ
イクロソフトへは今後もこうした新たな気付きを生むための支援に期待
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