2016夏季研究集会を振り返って 家教連会長 知識明子 第 51 回家教連夏季研究集会は、100 名を超える参加者で大きく成功しました。 100 名を超える仲間の皆さんが、全国から奈良につどい、2 日間にわたって、 「今こそ ひろげよう 家 庭科の魅力と可能性――子どもの生活をまん中に」の集会テーマをもとに交流し、討議を深めていきま した。 今年の夏季研究集会は、昨年 9 月 19 日に安保法制が「成立」し、7 月の参議院選挙後にいっきに改憲 の動きが強まる中での開催となりました。 6 人に 1 人という状況です。子どもの親、保護者たちも長時間過密労働で極限まで追い詰められていま 子どもたちの生活に目を向ければ、毎日の食事にもことかくような貧困に苦しめられている子どもが す。早い時間に家に帰り、家の台所で、子どもとことばをかわしながら食事をつくることや、そのあと家 族で食卓を囲んでゆっくり食事を楽しむことなどは、夢のようなことになってしまっています。 学校では、子ども自身の意思とは無関係に押しつけられる「スタンダード」が横行し、子どもの苦しみ を増加させています。子どもたちが「できた」 「わかった」と実感できるような学習場面は、やせ細るば かりです。教職員にとっても同じように、決められた「型」が要求され、長時間過密労働による身体的疲 労に加え、精神的疲労も増す一方です。 このような厳しい現実に、私たちは、どう立ち向かえばいいのかという課題は、夏季集会参加者の皆さ んはじめ多くの方々が持っているものではないでしょうか。 今年の夏季集会では、その課題に応える内容が確かにあったと言えるでしょう。 伊藤千尋さんによる記念講演「憲法をいかして子どもが輝ける社会を――世界の現場から」からは、た くさんの勇気と希望をいただきました。コスタリカの小学生が最初に習うのは「誰もが愛される権利を 持っている」ことだという事実をはじめ、世界各地での取り組み、たたかいに励まされ、できることから やってみようと勇気がわいてきました。 また、テーマ別分科会の講師の方々からも、それぞれの専門の立場から貴重な提言をいただくことがで きました。 「知らなかったことに、はじめて目を開かされた」などの声が寄せられています。 そして学校種別分科会では、ありのままの子どもの生活をつかみ、子どもの生活をまん中にした家庭科 の授業実践報告をもとに、熱心な討議がくりひろげられました。子ども主体の授業をどうつくり、どう進 めるか、18 歳選挙権を機に、主権者教育をどう進めるか、主権者としての生活者をどう育てるか、子ど もの人権や命の尊厳をどう守り、子どもの成長・発達をどう保障していくかなどの討議の中で、あらため て家庭科の魅力と可能性について確認しあいました。 このように参加者一人ひとりの課題に応え、勇気と希望をもたらす夏季研究集会になりました。
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