登録業者に経験者等設置と重説義務

ながれ
みち
こ
流 通 子 の 不 動 産 奮 闘 日 記
第 18 回
賃貸住宅管理業者登録制度改正、登録業者に経験者等設置と重説義務
国土交通省の「賃貸住宅管理業者登録制度」が改正され、9月から施行されました。賃貸住宅管理業者登録制度の概要
と改正内容のポイントを見てみましょう。
賃 貸 住 宅 管 理 業 者 登 録 制 度 は ど う 変 わ る ?
実務経験者か賃貸不動産経営管理士の設置を義務化
記名押印が求められます。
賃貸住宅管理業者登録制度は、賃貸住宅の管理業務の
そのほかにも、管理実績や財産の分別管理状況など国への
適正化を図るため、国土交通省が平成23年12月に創設した、
報告事項の項目を削減・簡素化を図るとともに、登録更新申請時
任意の制度です。登録した管理業者に対し、賃貸住宅管理業
において、前事業年度の業務状況の報告などを行った場合に、
務に関する一定のルールを設けることで、借主と貸主の利益保
一部書類の添付を省略可能とするなどの改正が行われました。
護を図ることを目的としています。
また、登録事業者は登録簿で一
賃貸住宅管理業者登録制度は任意の制度であることに注意
般に公開されていますので、消費者が管理業者や物件を選択
今回の改正で注目されているのが、賃貸不動産経営管理士
する際の判断材料として活用することができます。登録業者数は
です。管理士は、家主との賃貸管理業務の受託契約から建物
年々増加しており、平成27年12月現在で3757社となっています。
の維持管理、原状回復工事など、
さまざまな業務に対応する、賃
国交省は今年8月、賃貸住宅管理業者登録制度の登録規
貸不動産管理業務のスペシャリスト。管理士の設置義務化は、
定と業務処理準則を改正し、今年9月から施行しました。
経過措置期間が置かれ、
「平成30年6月30日まで」
とされているこ
主な改正事項として、賃貸管理事業者の登録に関し、事務
とから、
資格取得を急ぐ動きが活発化していると見られています。
所ごとに「管理事務に関し6年以上の実務経験者」または「同
ただし、賃貸住宅管理業者登録制度はあくまでも任意の制度
程度の実務経験者」の設置を義務化したことが挙げられます。
こ
であり、設置義務は登録業者のみに限られ、管理士資格取得も
の「同程度の実務経験者」
とは「賃貸不動産経営管理士」のこ
義務ではありません。一方で、全日本不動産協会も構成団体とし
とです。
て参加している
(一社)賃貸不動産経営管理士協議会は、
「国
さらに、貸主に対する管理受託契約に関する重要事項、およ
交省が掲げる『フローからストック重視の住宅政策への転換の
び転貸の場合の貸主に対する賃貸借契約に関する重要事項
時代』において、賃貸不動産管理の重要性が高まってきている
の説明と契約成立時の書面交付について、前述した実務経験
中、社会的に必要とされる資格」だと強調しています。
また、個人
者または管理士が行うよう義務化されます。実務経験者または
のスキルアップという点でも、メリットのある資格だといえるのではな
管理士であることを示す書面の提示に加え、交付した書面への
いでしょうか。
国土交通省「賃貸住宅管理業者登録制度」
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/tintai/