「極限状態」を知る

特別講演
「極限状態」を知る
高エネルギー加速器研究機構(KEK)理論センター
板倉数記 氏
1 月 20 日(金)15:10-16:50
世田谷キャンパス 1 号館 3 階 13K 教室
学生、院生、教職員、どなたでも聴講を歓迎します。
講師の先生のご紹介:
板倉先生のご専門は、原子核物理学や素粒子物理学と呼ばれる
分野で、特に高エネルギー重イオン衝突や高エネルギーのハドロ
ン散乱などの極限的な状況の物理現象を精力的に研究されてい
ます。また、ご専門に関連して、ひろく非平衡物理や量子統計の
物理なども研究対象とする理論物理学者です。今回の講演では、
最先端の研究の内容を分かりやすく説明して頂きます。
講演要旨
あなたは「極限状態」という言葉で何を想像しますか?極寒の北極の地?いや液体窒素
ならもっと温度が低い。逆に超高温の溶鉱炉の中はどうか?なら太陽に突っ込んだらもっ
と熱いね!深海に行くと半端じゃない水圧が何もかも押しつぶす。それより高い圧力なら
最も硬いダイヤモンドを使えば作れるかな。。。そうですね。身近な現象からの延長として
考えるなら、これらが低温・高温・高圧(高密度)の例として相応しいでしょう。しかし
地球上に限らず、目を宇宙の遠くやずっと過去に向けると、遥かに高温の状態、遥かに高
密度の状態が存在することが分かります。この講義では、宇宙誕生直後の超高温状態にあ
る世界や、宇宙の遥か彼方にある超高密度の小さな天体で起こり得る、信じられないよう
な現象をいくつも紹介します。これらが、物質の真の極限状態と呼べるものなのです。
このような極限状態にある物質の性質が、最近の実験・観測と理論によって少しずつ明
らかになってきました。そして、極限状態の物質の性質を理解することは、我々の知的好
奇心を満たすだけでなく、我々がどのようにしてこの世に存在できるようになったかを知
るための手掛かりにもなっているということもお話ししようと思います。
(※)この講演は「自然と数理」
「量子力学特論Ⅱ」の合同企画です。
問い合わせ:物理学教室
長田(内線 2394)/ 自然科学科 堀越(内線 2404)