新年ご挨拶 - 農林中金総合研究所

新 年 ご 挨 拶(2017)
年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、規制改革推進会議が 11 月に公表した「農協改革に関
する意見」の性急かつ厳しい内容を巡り大きな議論を呼び、また米国トランプ
次期大統領が就任当日には離脱するとしている環太平洋経済連携協定(TPP)と
関連法案が国会で可決されるなど、今後の農林水産業や系統に大きな影響を及
ぼすような大きな波が押し寄せました。
2017 年は、TPP については発効する可能性は低いとは言うものの、EU との経
済連携協定(EPA)交渉や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など貿易の自由
化を巡る交渉が矢継ぎ早に行われることが予想されており、日本の農林水産業
への影響についてあらためて丁寧な議論が求められるところです。
経済金融では、トランプ新大統領就任後の米国の経済運営、サウジアラビア・
米国・ロシアなどによる原油価格を巡る駆け引き、新たな政治体制に向かう中
での習近平政権による中国経済運営、極右勢力の台頭等もあり不安定さを増し
ている欧州の政治経済情勢など世界情勢に影響を及ぼしかねない論点が満載と
なっています。
日本の農業は世代交代の移行期にあり、農地も人も経営も集約化、流動化が
起きつつあります。地域ごとに異なる条件において誰がどう引き継ぐか、地域
でどうまとめるか、新規就農の支援をどうするか、経営と営農両面を見る金融
をどう行うか等々、まさに地域の総力戦が求められています。
政策の果たすべき役割も重要です。インフラ整備や経営所得の下支え、新規
就農促進と農業者教育・普及制度。これらには国の枠組みと同時に農協等の民
間地域団体と連携した地域自治体の役割も欠かせません。
このような問題意識を持ちながら、当総研は現場調査や海外政策研究などを
踏まえた政策提言や、世代交代途上の生産者にとって必要な施策、これをサポ
ートすべき系統の事業組織にとっての実践的な提言を行っていきたいと考えて
います。
農林中金総合研究所
http://www.nochuri.co.jp/
農林水産業、協同組合、経済金融の各分野において、事実分析の目と、グロ
ーバルな視点からの広角・客観的な分析とを心がけます。活動面では内外の研
究機関や大学とも連携、ネットワークを維持拡大し、系統組織・事業に対し、
あるいは広く対外的に成果を発信していきたいと思っています。
より健全な社会発展のためには、多様な視点からの議論が必要です。当総研
がその一翼を担えるよう努力してまいりますので、引き続きご支援を賜ります
よう、よろしくお願いいたします。
2017年1月
株式会社 農林中金総合研究所
代表取締役社長 齋藤 真一
農林中金総合研究所
http://www.nochuri.co.jp/