もしマリスビリーがさらに一歩踏み込んだ外道だったら ハナネット ︻注意事項︼ このＰＤＦファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にＰ ＤＦ化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でＰＤＦファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ マシュ以外にもマリスビリーの被害者がいてもいいのではない でしょうかと思います。 目 次 もしマリスビリーがさらに一歩踏み込んだ外道だったら ││││││││││││││││││││││││││││ 1 もしマリスビリーがさらに一歩踏み込んだ外道だっ たら 私、ぐだ子こと熊沢多美香は廊下で寝ていた所をここ、人理保障継 続機関カルデアの職員の少女、マシュ・キリエライトさんに助け起こ され案内されていた。その途中、前方を歩く人影を見とめるとキリエ ライトさん、 ︵いや彼女の提案通りでマシュと呼ぼう︶、マシュは少し ﹂ 躊躇した仕草を見せたあと意を決したように声をかけた。 ﹁えっと、こっこんにちは﹃姉さん﹄ 私はマシュが呼び掛けた相手を見ると、そこにはマシュよ けど姉さんじゃなくて名前の方で呼びなさい﹂ってことかな 子で返してきた。えっと、要するに﹁こんにちは、お元気そうですね。 マシュそっくりのその女性は小難しい言葉を早口に抑揚のない調 します。﹂ す。ミッション時の混乱を招く恐れがあります。呼称の変更を提案 長、またはドクターロマニ・アーキマンの承認により与えられていま エライト００５番﹄、または﹃ファイブ﹄のコードがマリスビリー前所 い状態であると思われます。それと、私は﹃姉さん﹄ではなく﹃キリ 中・・・バイタル正常値を確認。ミッションに臨むにあたって望まし ﹁こんにちは、マシュ・キリエライトＡ班隊員。身体情報の解析を実行 空気のあるこの場所にまるでそぐわない雰囲気なんだけど・・・。 れまたゴツいハンドガンらしきものを装着している。研究所じみた しており、戦場で着るようなゴツい戦闘服を纏い、右太もも部分にこ る女性の姿があった。髪はマシュより長くお下げにして肩から垂ら りも頭一つ分長身の彼女が成長したらこうなるだろうと思わせられ 姉さん ! ださっている警備部主任の﹃ファイブ﹄さんです。少々難解な言葉遣 が遅れました。こちらはここカルデアでの警備全般を引き受けてく が姉妹らしくていいと言ってましたので。あ、すみません先輩、紹介 ﹁で、でも・・・私よりも年上ですし、私はもちろんドクターもその方 ? 1 ? いで慣れない内は話しづらいかもしれないですが、本当はやさしい方 なんですよ﹂ 勇気を振り絞るようなマシュの言葉に何か感じたのか、ファイブ さんは鉄面皮を少し崩し、困ったような顔で物わかりの悪い生徒を諭 すように言葉を返した。 ﹁訂正を提案します、マシュ、私とあなたは姉妹ではない。現所長のオ ルガマリー・アニムスフィアの権限によりあなたはカルデア所属の ﹃人間﹄として再定義されており、キリエライトシリーズの登録ナン バーから抹消されています。我々は︽あの︾プロジェクトの為に選別 されたサンプルのあなたとは違い、カルデアの﹃道具﹄です。それと、 私はやさしいのではありません。ミッションでの損失を抑える為に 無駄を無くすよう尽力しているだけです。では、他の部署に配属され たナンバーズの監督がありますのでこれで失礼します。﹂ そう言って、ファイブさんは私たちから離れて行った。私たちも再 2 び歩き出したのだけど、意気消沈し悲しそうなマシュの様子が気にな る。あの人は何であんな頑なにマシュを認めようとしないの た。 ﹁えっと、説明会の会場ってとこまであとどれくらいなのかな ﹁入る前に、先輩は驚いて・・・いえ、驚き過ぎて会場の空気を壊して なさそうに私に言った。 マシュはそう言って扉を開けようとしたところで、振り返り申し訳 ﹁あっ、すみませんでした、先輩。この扉を開けた先です﹂ ﹂ 様子が見ていられず、空気を変えるために別の話題を振ることにし ここまで見てきた彼女らしくないどんよりとした恨みのこもった に・・・﹂ を開示してくれさえしていればこんなことにはならなかったの とても大切に思ってくれている﹃人﹄なんです。前所長が解除コード 分のことを﹃人間﹄として認識出来ないだけで、職員の皆さんや私を 姉さんのことを誤解しないであげてください。あの人は、訳あって自 ばかりの先輩に詳しく話す権限が私にはありません。ですが、どうか ﹁・・・私たちのことはカルデアが触れてほしくない案件なので、来た ? ? しまいそうなので先に言っておきます。姉さん以外にも私の姉妹が いると思いますが、あまり気にしないでくださいね﹂ マシュが扉を開けた。そこは予想以上に広々とした空間に巨大な 地球儀のようなものとそれを囲う金属製の三重のリングのモニュメ ント、顔に苛立ちを隠せない壇上に立つ白髪の女性、その正面に座る 私と同じ参加者の人達、そしてその後ろには・・・・ 先ほどのファイブさん同様物々しい恰好で銃やらナイフやら刀や ! 騒ぐ二人の横で扉前で番をしていたキリエライト２５５番、通称 ﹁ニココ﹂は呆れた調子で呟いた。 ・キリエライトシリーズ デミサーヴァント計画前にマリスビリーがカルデアの実験体、防衛 を担当する人員の安価な生産、育成、配置を実行する為にマシュ・キ 3 らを装備したおそらく総勢１００名いるであろう﹁マシュ達﹂が休め ﹂ ほら、所長がすごい顔で睨んできてますか !? の姿勢でずらりと並んでいる光景が広がっていた。 声大きいです ﹁・・・・マシュのお母さんって頑張り過ぎじゃないかな ﹂ ﹁せ、先輩 ら ! ﹁いいからはよ座れ、遅刻組﹂ !! リエライトを生み出した元の遺伝子情報から生み出した大量生産型 の人工生命。人工の孵卵器内で用途ごとの年代まで成長を促進、体が 出来たところで学習装置を用い必要な知識や遵守する命令、制約、生 存目的をインプリティングされた後、先に製造されたナンバーズの指 導の下肉体改造が行われ、実用に耐えうると判断された個体から各用 途へと選別、使用される。オートメーション化した生体プラントシス テムによって﹁製造される﹂マリスビリーにとっての木偶人形。マリ スビリーの自殺、マシュの解放に次いで秘匿されていた生産プラント の存在を発見したロマンとダ・ヴィンチによってプロジェクトは中止 され、生み出されたキリエライトシリーズも解放されたが、マリスビ リーが設定した感情抑制、命令遵守の制約からは解放出来ず、他の生 き方を選べない彼らは製造目的に従いカルデア警備部としての役職 を得て施設を守る人員として配置された。 制約処置によって表情には出せないが、全個体に個性は存在する。 全員にドクターロマンによるニックネームあり。全員その名に納得 していないもののマリスビリーの設定した上位権限所有者にロマン もリストに挙がっているため拒否出来ないクソな仕様となっている のだが、ロマンはそのことに気づいていないのだった。︵上位者権限 所有は上からマリスビリー﹀ロマニ﹀オルガマリー︶ ・ファイブ︵キリエライト００５番︶ シリーズ初期製造個体の中で戦闘用個体として正式に実用が確定 した初の個体︵それ以前の個体は実験用として使い潰されている︶。 シリーズの中で最も古株であることから警備部主任としての役職を 与えられている。部下への気遣いがよく周りからの評判はいいが、本 人は﹁無駄を減らしたいだけ﹂と言って聞かない。周囲のことにはよ く 気 が 付 く が 自 分 の こ と を 周 り よ り も 分 か っ て い な い 朴 念 仁。マ シュに﹁姉さん﹂と言われて満更でもないのだが、彼女が﹃道具﹄で ある自分と同一であると認めることは失礼だと無意識に感じており 素直に聞いてあげられない女性。ファーストオーダーの時点で残り 寿命があと半年持つかどうかの状態。イメージは初登場時のシオン・ エルトナム・アトラシア、戦闘服はＳＦ漫画家の弐瓶先生の代表作﹁Ｂ 4 ＬＡＭＥ ﹂の主人公、霧亥の服。 ! 5
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