第192回臨時国会の動き

第 ■
92回
臨 時 国 会
概 況
3月 の リオ五 輪 にお い て 、わが国は歴 代最多 の メダル を獲得 し、諦 めず にJL戦
長す る選 しい精神 力 に 日本 中が感 動 に包 まれ た。 ソオ 五 輪
す る勇気 、困難 を克月
開催 の 直前 に発 足 した第 二 次安倍 第 二 次 改造 内閣は、誰 も が能力 を存 分 に発揮
で きる社会 をEllり 、世界 の真 ん 中で 日本 が輝 け るよ う、果 敢 に挑戦 を続 ける「未
来 チ ャ レンジ 内 閣」 で あ る。 先 の参議 院選 挙勝申1に よる安 定 した議会基盤 の も
と、 わが 国 を取 り巻 く様 々 な課題 に対 し、着 実 に結 果 を出 して 国民 の負託 に応
えるべ く、安倍 内閣は 9月 26日 に 国会 を召集 した。 当初 66日 間 の ところ再延
長 を含 む 17日 間会期 を延 長 し、衆参与党結東 して多 くの重要法案 を成立に導 く
こ とがで きた。 以 下 に概 況 を記す。
速や 一億 総活躍 、災害復
安倍 総 理 は所信表 明演説 に薄 い て 、 アベ ノ ミクスカロ
口
、働 き方改革 な どにつ き具体
│ヨ 復興 、 地方 fll生 、外交 安保 を柱 に 、デ ア レ脱 去
/Ak務
に 関す る有識者議論 の深
的かつ 力強 い 決意 を示す とと もに 、天皇陛 下 の御
化や 両院憲 法審査 会 の議 論促 進 に も言及 した。 代表質 問 に立 った 民進 党 の野 田
幹事長 は 、 わが 党 の憲法 改 正 草案撤 回 を求 めた が 、改 正 草案撤 回 が な けれ ば議
論 がで きな い との 主張 は 、各 党間 の合 意形成 を頭 か ら否 定す るもので 、民進 党
が掲 げ る国民 目線 の提案 型 野党 が 羊頭 狗 内で あ る こ とをみず か ら示 して みせ た。
野 田幹事長 は TPPや 消費税 、議員定数 な どについて も批半1を 繰 り広 げ たが 、安
倍総理 は民主党政権 時 とlL較 しなが ら 「決 断す べ き ときに決 断 しきれ な い過 去
の轍 は踏 まない よ う全力 を尽 くす」 と鋭 く切 り返 した。
両院 にお け る代表 質 問 を終 える と、特 31J会 計 を含 む歳 出規模 4メ L5221億 円の
「28年 度 2次 補 正予 算 Jの 審査 に入 つ た。 この補 正予算 は、 一億総活躍社会 を
加速 し、21世 紀型 のイ ンフ ラを整 備 し、 申小 企 業・ 小規 模事業者や地方 を支 援
ヒす るもので あ る。衆議院 では 9月 30
し、熊本や東 日本大震災 の 災害復興 を強イ
日に基本 的 質疑 がは じま り、 10月 4日 に与 党 と維新 の賛成 で通過 、翌 日か ら参
議院 での審査 がは じま り、 10月 11日 に成 立 させ るこ とがで きた。
継続 とな つてい た「TPP協 定Jと 関連法案 は、10月 14日 か ら審 査 に入 つた。
自由貿易 を推進 し巨大 市場 をtlIる この 協定 は、 ア ジア大 平洋 地域 の活力 を取 り
込む経 済的意義 のみ な らず、地域 の安 定化 を図 る戦略的意 義 を も併 せ 持 つ もの
であるが 、野党 は内容 の議論 よ りも和 訳 の誤 りや交渉過程 開示 の追求 を優先 し、
論点 を掘 り下 lず よ うとは しなか つ た。 また農 水 大 臣発言 を巡 って 日程協議 が難
航 し、 与 党 と維 新 だ け で の 地方 /Ak聴 会議 決 (後 に議運委員 長斡 旋 で 実施 口変 更)
や 、参考人質疑 開催 な どの混乱 はあ つたが 、審 査 時間 を積 み 上 げて 、 11月 4目
に採決 を行 つた。 採 決 時 には民進 党 と共産 党 が委 員長席 に詰 め寄 り、プ ラカー
ドを掲 げ て議事進行 を妨 害 した。前 の 国会 を含 め、総 審 査 は 70時 間 46分 。 こ
の協定 は 11月 8日 の本会議 に上 程 され たが、動議 に よ り日程 を延期 し、 11月
10日 印本会議 にお い て 山本農水 大 臣不信任案 を否決 した後 に可決 され 、衆議 院
を通過 した。本 会議 にお いて 、民進・ 自由・社 民は討論終了後 に退席 して い る。
参議 院 お いては、翌 11日 の本会議 で趣 旨説 明を行 い 、連 日精力 的な審査 を続
′
け、会期延長後 の 12月 9日 に委員 会 で可決 され 、同 国の本会議 にお いて承認 さ
れ た。、
参議院 での総審査 は 62時 間 37分 で ある。
世代 間 の公 平 を図 り、将来 の年金水 準 を確保 す るために、マ ク ロ経済 ス テイ
ドを強化す る「国民年金改革法」の成 立は待 ったな しの状況 で あ つた。与党 は、
受給資格期 間を 10年 に短縮す る 「国民年金法」 を優先処理 した後 、改革 法 を委
員会 可決 した。 民進 党 と共産 党 は採決 時 に委 員長席 に詰 め寄 り、プ ラカ ー ドを
掲 lず て議 事進行 を妨害 した うえ、丹 羽厚 労委員長解任案 と塩崎厚 労大 臣不信任
案 を提 出 したが 、11月 29日 の本会議 にお い て 両決議案 は多数 で否決 され 、法案
の衆議 院通過 を果 た した。 民進 ・ 自由・ 社 民は採決 の 際 に退 席 して い る.参 議
院 にお いて は 12月 13日 に諄満 に委員会 可決 し、翌 14日 に成 立 の運 び とな った。
なお新 聞各紙 にお い ては 、「痛 み を分 け合 つて制度 の持続性 を高 めて い く しか
な い 」、「政争 の具 にせ ず建設 的議論 をJ、 「つ けを回 さない た めのや む を得 な い
内容 とい える」、な ど改革法 の意義 に賛 同す る社説 が 多 々見 られ た。
上記以外 に成 立 した主 な法案 は 、消費税率 10%引 上 げを平成 31年 10月 まで
2年 半延期す る「消 費税 再延期法」、地球温暖化 の 国際ル ール とな る「パ リ協定 J、
適 正 な技能習得 と実習生 の保護 を図 る 「外国人技能実習法」、軽井沢 ス キー バ ス
事 故 を踏 まえた 「道路運選法ゴ、 リエ ア新幹線 の整備 を促進す る 「鉄道建設機構
法」、 カ ー ドの不 正 利 用 を防止 す る 「割賦販 売法 J、 教員 の資質 向 上 を図 る 「学
校教育法』、特定複合観 光施設 区域 の整備 を促す 「IR法 」、SNSも 規制対象 とす
る Fス トー ヵ― 規制法 J、 企業 に患者 の雇用継続 の配慮 を求 める 「がん対策基本
法」、民間 あ つせ ん機 関 の適正 な運 営 を確保 す る 「養子縁組法 Jな どで ある。新
規提 出閣法 の成 立率 は 94.7%で あ つた。
レール を見直す な ど 120年 振 りの
主な継続議案 と して 、企業や 消費者 の契約 ノ
改正 を図 る 「民法 J、 自衛 隊 と米軍 で物 資 を相 互 融通 で きる 「 日米物 品相互役務
協定 J、 時間でな く成 果 に賃金 を払 う脱 時間給制度 を膚J設 す る 「労働 基準法」な
どが ある.
会期 中に行われた党首討論 (QT)は 12月 7日 の 1回 のみである。民進党の
蓮肪代表 にとつて初 の機会であつたが、国家の基本政策を競 うことなく、総理
が扱いを決める立場 にない議会運営のあ り方を取 り上げ、挙句 は有効求人倍 率
に関す る事実誤認 も露呈 し、骨大 の建設的な討論 とは程遠 い結果 となつた。蓮
肪代表は総理 に対 し、嘘 をつ くとまで言 い募 り、いわれなき批判を一方的に展
開 したが、みずか らの国籍問題 を巡 り発言が二転三転 したことに対する説明責
任は棚上げにしたままである。
今国会 においても野党間の足並みは大きく乱れた。「IR法 Jを 巡 つては、民進
党が廃案 に追 い込む との方針 を示 しなが ら参議院で修正案 の採決に応 じ、その
ちぐはぐな対応 に他 の野党か ら批判 の声が上がつた。会期末 にあた り、参議院
では伊達議長不信任案 と総理問責案が提 出され、議長不信任案は粛々 と否襲 し
たが、民進党が単独 で提 出 した総理問責案 に他 の野党が同調することはなく、
本会議 に上程 しないことになった。
衆議 院 で は、 内 閣不信 fI案 、議長 不信任 案 、議運委員 長解任案 、 内閣委員長
解任案 が 提 出 され たが 、4決 議案 の うち 2件 は他 野党 の理 解 を得 られ ず、民進 単
独 の提 出 とな ってい る。 また議長 、議運委員長 、 内 閣委員長 の議事運営 に瑕疵
はな く、 これ らの決議案 は本会議 の議題 と しな い こ とを議運委員会 にお いて決
した。 法案 の成 立 を確 実 な もの とす るため、与党 は 3日 間 の再延長 を議決 し、
内閣不信 任案 を多数 で否 決 した うえで所 期 の 目的 を達成 し、大 きな成果 を上 げ
る こ とが で きた。
議会運営以外 の話題 と しては 、北朝鮮 の 5度 目の核実験 に抗議す る決議 が召
集 日に両院 で採択 され た。 11月 8日 に、 中央 アジアでは初 となるカザ フス タ ン
のナザ ル バエ ア大統領 国会演説 が 開催 された。
会期 中 に執行 され た 二つ の補欠選挙 (東京 10区 、福 岡 6区 )に お い て 、わが
党 は勝利 を収 め、党勢 に いつ そ う弾み をつ けた。
地球儀 を備 離す る積極 的 な外交 を進 め る安倍 総理 は 、米露 を含む多 くの 首脳
と会談 した ほか 、他 国 に先駆 けて トラ ンプ次期 米大統領 とも会談 した。