資料 1 希少疾患(希少がん)専門部会の方向性について 希少な疾患においては、患者数が多い疾患のような無作為化比較試験に基づ く統計学的な評価が困難であり、その臨床評価においては様々な工夫が行われ てきた。 一方、悪性腫瘍の臨床評価においては、これまで発生臓器・病理形態分類に基 づいて、全生存期間(OS; Overall Survival)などの time-to event を主要な指 標とした臨床評価が行われてきた。近年、次世代シークエンサの普及により、 様々ながんの遺伝子レベルでの解析が可能となった結果、悪性腫瘍は様々な異 なる遺伝子変異に基づいて分類され、特定のドライバー遺伝子変異に対して作 用する治療薬の開発が進んでいる。また、一人の患者の中でも、がん細胞の不均 一性、進行に伴う遺伝子変異の付加が見出され、それに対応した治療には、多種 多様な治療薬が必要とされる。ドライバー遺伝子異常の多くは希少な頻度であ り、その結果、対象患者数が非常に少なく、これまでの臨床評価手法の適用が困 難な場合も見受けられる。さらに、臨床背景と相関する遺伝子変異的特徴(シグ ネチャー)が同定されるなど、ゲノム情報によってがんの分子分類という可能性 が開かれた。正に、最近の precision medicine の提唱や究極のがん免疫療法も personal medicine の方向性が出されようとしている。このような医療の展開の 中で希少疾患の捉え方そのものに従来の臓器疾患名から脱却した考え方の導入 も必要と思われる。 希少疾患の臨床評価のあり方を視野に入れつつ、論点を絞るため、希少がんを とりあげ、次世代シークエンサによる遺伝子解析結果を踏まえた悪性腫瘍の臨 床評価の現状と今後の臨床評価手法を検討する予定である。
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