ひと・しごと輝きプラン

熊本県産業人材の確保・育成及び
県民の活躍支援に関する計画
「ひと・しごと輝きプラン」
∼平成 28 年熊本地震からの復旧・復興に向けて∼
平成28年12月
熊
本
県
熊本地震を克服し 働く場所として選ばれ
誰もが輝き 夢あふれる熊本の実現に向けて
本年4月に発生した熊本地震は、二度にわたり立て続けに震度7の地震が襲い、私達が
かつて経験したことのない災害となりました。この地震への対応は複雑かつ困難を極めま
したが、県民一体となって、全力で復旧・復興に取り組んで参りました。
このような中、私は、蒲島県政3期目の基本方針となる「熊本復旧・復興4カ年戦略」
を策定しました。この戦略は、本年8月に策定した「平成 28 年熊本地震からの復旧・復興
プラン」を基本として、全国をリードしてきた地方創生の取組みなど、熊本の将来の礎を
築く取組みを中心に取りまとめたものです。
この4カ年戦略のもと、県民の総力を結集し、熊本地震からの復旧・復興を第一に、災
害に強く、誇れる資産(たから)を次代につなぎ、夢にあふれる新たな熊本を創造して参
ります。
この「熊本県産業人材の確保・育成及び県民の活躍支援に関する計画」は、
「熊本復旧・
復興4カ年戦略」における労働・人材育成分野の計画として、今後の施策の基本方向と重
点施策をお示しするものです。
熊本地震発生以前から、少子高齢化や若者の県外流出等に伴う産業人材不足は重要な課
題として取組みを進めて参りましたが、熊本地震を機に、産業人材不足は更に深刻化する
ことが懸念されます。そのため、これまでの取組みを更に加速化させるとともに、復興人
材の確保など地震により新たに発生した課題に対応し、熊本地震からの復旧・復興につな
げて参ります。
施策の推進に当たっては、国や市町村をはじめとした関係機関や企業、団体など、様々
な皆さまと連携し、着実に取り組んで参りますので、県民の皆さまの一層のご理解・ご協
力をいただきますようお願いいたします。
最後に、この計画の策定に当たり、貴重なご意見を賜りました「熊本県労働審議会」の
委員の皆さまをはじめ、関係の皆さまに心から感謝申し上げます。
平成28年12月
熊本県知事
目
次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1 策定の趣旨
2 計画の期間 平成 28(2016)年度から平成 31(2019)年度まで
第1章 労働・産業人材育成行政を取り巻く情勢・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1 平成 28 年熊本地震による影響
2 雇用情勢等の動向
3 労働・産業人材育成行政を巡る動向
第2章「熊本県労働・人材育成計画」
(前計画)の成果と課題・・・・・・・・・・・・14
1 前計画の成果
2 今後の課題
3 課題の整理
第3章 基本目標と施策の基本方向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
1 基本目標の設定
2 施策の基本方向
第4章 計画推進の取組みについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
1 産業・復興人材の確保
2 県外からの還流促進
3 活躍支援・魅力ある職場づくりの推進
4 産業・復興人材の育成
第5章 計画の着実な推進に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
1 国の機関との連携・協力
2 計画期間中の施策の進め方
3 計画の進行管理
は
じ め
に
1
策定の趣旨
平成 28 年 4 月、二度にわたり震度7の地震が熊本を襲い、熊本都市圏及び阿蘇地方
をはじめ広範な地域に甚大な被害をもたらしました。県内企業も大きな打撃を受け、
休業等を余儀なくされたところもあり、雇用面においても休業者や離職者が発生する
など大きな影響を受けました。また、今回の震災を機に、若者を中心に県内産業を支
える人材の県外流出の加速が懸念されます。
地震発生以前から、今後進行が懸念される少子高齢化や人口減少に対応するため、
地方創生に向けた国と地方の取組みが本格化するとともに、政府により一億総活躍社
会の実現に向けた対策が発表されるなど、労働・人材育成行政を取り巻く環境は、前
計画を策定した4年前とは大きく様変わりしています。
本計画は、「平成 28 年熊本地震からの復旧・復興プラン」及び県政運営の基本方針
である「熊本復旧・復興4カ年戦略」を踏まえ、労働・人材育成分野の計画として、
重点的に推進する取組みを明らかにしたものです。
今後4年間は、熊本地震からの復旧・復興に向けて、企業の雇用維持支援や震災離
職者等の就労支援を行うとともに、県内の産業を支える人材の確保・育成を図る必要
があります。
この基本的な考え方を表すため、本計画の名称を「熊本県産業人材の確保・育成及
び県民の活躍支援に関する計画(愛称:ひと・しごと輝きプラン)∼平成 28 年熊本地
震からの復旧・復興に向けて∼」として、各種施策に取り組んで参ります。
2
計画の期間
平成 28(2016)年度から平成 31(2019)年度までの4年間とします。
1
第1章 労働・産業人材育成行政を取り巻く情勢
1
1
平成 28 年熊本地震による影響
平成 28 年熊本地震は、本県の産業に甚大な被害をもたらしました。
自動車関連企業や半導体関連企業をはじめ本県の経済を支える主要産業の多くで、
工場等の施設や製造設備の破損等が確認されました。県内部品メーカーの操業停止に
よって生じたサプライチェーン1の寸断は、本県のみならず全国の企業活動にも影響を
及ぼしました。
また、商業・サービス業では、健軍商店街でアーケードが損壊するなど、熊本都市
圏や阿蘇地域を中心に、商店街や共同店舗をはじめ多くの店舗や事業所が被災し、営
業の休止や縮小を余儀なくされました。
観光業においては、少なくとも 529 施設の旅館・ホテル等の被害が確認されている
ほか、温泉の枯渇や湯量減少等も確認されました。直接的な被害が発生していない地
域においても風評被害が発生し、県内の宿泊キャンセル数は発生後約1カ月間で少な
くとも 33 万人に達するなど、県内全域に影響が及びました。
県内企業が受けたこれらの被害は、従業員の雇用にも大きな影響を及ぼしました。
地震発生直後から、熊本労働局には、熊本地震に関する相談(雇用保険や雇用調整
助成金など)が多数寄せられました(H28.10.31 までに延べ 27,983 件)。また、企業
の休業等に伴い、休業者や離職者が発生しました。
原料の段階から製品やサービス等が消費者の手に届くまでの全プロセスのつながりのこと。特に複雑な工程を要する製造業分野に
おいては、一つの企業で全ての生産工程を担うことは少なく、災害等で、ある企業が被災し操業停止した影響で、被災していない関
連企業も操業できなくなることを、サプライチェーンの寸断という。
2
2 雇用情勢等の動向
(1)県内の雇用情勢
①有効求人倍率の上昇
有効求人倍率が 1.0 倍以上となる月が平成 26 年 7 月以降、2年以上続いています。
熊本地震発生直後の平成 28 年 5 月の有効求人倍率は、1.30 倍と過去最高(当時)
を記録しました。その後も、有効求人倍率は上昇傾向にあり、平成 28 年 10 月の有
効求人倍率は、1.46 倍となり、全国の有効求人倍率を 0.06 ポイント上回りました。
また、正社員における有効求人倍率2(原数値)は 0.92 倍(前年同月比 0.26 ポイン
ト増)となりました。
資料:くまもと職業安定業務月報(熊本労働局)
②人材不足の進行
人員不足を感じている事業所の割合
平成 24 年 25.1% ⇒ 平成 27 年
50.9%
平成 24 年に実施した県の調査結果では、「人員が不足している」と感じている事
業所は 25.1%であったのに対し、平成 27 年の調査結果では 50.9%と倍近い数値と
なっています。
「人員が不足している」と感じている事業所が多い業種は、
「建設業」
「製造業」「卸売・小売業」「医療・福祉業」です。
熊本地震発生後、主要産業別の新規求人数を前年同月と比較すると、平成 28 年 5
月は製造業のみで減少し、他の産業においては増加しました。以降の月も、多くの
産業で新規求人数は前年同月と比較して増加しています。特に建設業においては増
加率が高くなっており、復旧・復興工事の増加により更なる人材不足が懸念されま
す。
2
正社員における有効求人倍率は正社員の月間有効求人数をパートタイムを除く常用の月間有効求職者数で除して算出しているが、パートタイム
を除く常用の有効求職者には派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれるため、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値とな
る。
3
主要産業における新規求人数(対前年同月比)の推移
H28.4
H28.5
H28.6
H28.7
H28.8
H28.9
H28.10
建設業
1.5%
64.5%
33.2%
19.6%
60.1%
49.2%
28.3%
製造業
▲ 10.4%
▲ 21.5%
12.2%
▲ 4.0%
▲ 0.3%
27.9%
13.4%
運輸業、郵便業
▲ 16.0%
19.3%
▲ 3.0%
0.2%
25.1%
16.4%
9.5%
卸売業、小売業
▲ 17.1%
14.0%
8.1%
0.6%
17.3%
2.4%
10.2%
宿泊業、飲食サービス業
▲ 4.9%
23.6%
40.1%
▲ 1.9%
16.4%
▲0.2%
▲3.5%
医療、福祉
▲ 7.6%
12.9%
14.8%
▲ 3.8%
18.1%
3.7%
5.9%
サービス業(他に分類されないもの)
▲ 5.5%
17.4%
13.0%
26.7%
▲ 6.9%
51.1%
4.7%
資料:くまもと職業安定業務月報(熊本労働局)
③雇用情勢の地域間格差
平成 27 年度の県内の有効求人倍率(原数値)をハローワーク別に見ると、最も有
効求人倍率が高いのは菊池の 1.45 倍で、次いで宇城の 1.21 倍でした。一方、有効
求人倍率が最も低いのは上益城の 0.84 倍、次いで天草の 0.85 倍でした。
また、熊本地震により大きな影響を受けた上益城や阿蘇においては、地震発生直
後、平成 28 年 5 月の有効求人倍率が 1.0 倍を切りましたが、同年 8 月には 1.0 倍を
超えました。今後も、熊本地震の影響を含めて、雇用情勢の地域間格差に注視して
いく必要があります。
県内ハローワーク別の有効求人倍率(原数値)
年度
熊本
宇城
玉名
菊池
阿蘇
上益城
八代
水俣
球磨
天草
県
九州
全国
H27
1.18
1.21
0.97
1.45
1.09
0.84
1.12
1.13
0.91
0.85
1.14
1.05
1.23
H28.5
1.24
1.28
0.97
1.22
0.97
0.95
1.14
1.05
1.01
0.78
1.14
H28.8
1.46
1.49
1.06
1.43
1.04
1.04
1.17
1.19
1.02
0.81
1.29
H28.10
1.65
1.74
1.23
1.85
1.16
1.32
1.49
1.25
1.12
0.97
1.52
資料:くまもと職業安定業務月報(熊本労働局)
(2)年齢3区分別人口の推移
生産年齢人口の減少及び老年人口の増加
年少人口(0∼14 歳)及び生産年齢人口(15∼64 歳)は減少しており、老年人口
(65 歳以上)は増加しています。
国立社会保障・人口問題研究所推計では、2040 年には年少人口が 16.5 万人(2014
年比 7.9 万人減)、年少人口割合が 11.2%(同 2.4 ポイント減)、生産年齢人口が
76.8 万人(同 27.8 万人減)、生産年齢人口割合が 52.4%(同 5.9 ポイント減)、
老年人口が 53.4 万人(同 3 万人増)、老年人口割合が 36.4%(同 8.3 ポイント増)
となり、生産年齢人口の減少とともに少子高齢化が進み、約3人に1人が高齢者と
なるとされています。
4
資料:2014 年までは、国勢調査、人口推計(総務省)
2015 年以降は、日本の地域別将来推計人口(社人研)
(3)若者の就職状況等
①若者(15∼29 歳)の県外転出超過
3,586 人(平成 24 年) ⇒ 4,669 人(平成 27 年)
若者(15∼29 歳)の人口移動状況をみると、転入者より転出者が多く、転出超過
数は年々増加しています。若者の転出超過の要因として、進学・就職等を理由に県
外へ転出する人が多いことなどが考えられます。
また、熊本地震発生以降、平成 28 年 5 月から 10 月までのうち、7 月を除く全て
の月で転出超過となっており、5 月から 8 月までの各月において転出超過数は前年
同月と比べると多くなっています。今後も若者の県外流出が続く懸念があり、生徒・
学生の動きを注視していく必要があります。
5
熊本地震発生後の若者の県外転出超過数
転出超過数
前年同月
H28.5
522 人
216 人
H28.6
311 人
86 人
H28.7
△129 人
H28.8
222 人
125 人
H28.9
235 人
341 人
H28.10
44 人
142 人
△332 人 ※転入超過
資料:住民基本台帳人口移動報告(総務省)
②新規高卒者の高い県外就職率
40.0%(平成 25 年 3 月卒)
⇒
42.1%(平成 28 年 3 月卒:全国 5 位)
平成 28 年 3 月卒業者の県外就職率 42.1%は全国 5 位となっており、他県と比較
して県外に就職する生徒の割合が高くなっています。
資料:平成 28 年 3 月高校卒業者の就職状況調査(文部科学省)
平成 27 年に県が実施した高校生職業意識調査によると、県外に就職(進学)した
い理由として最も多かったのは、「県外に住みたいから」(47.5%)で、次いで「県
内に希望する仕事・求人がないから」(39.0%)となっています。
また、県内企業の認知度については、
「知っている」と回答したのは 14.9%、
「自
分が興味のある分野の企業はだいたい知っている」は 33.0%、「あまり知らない」
は 47.2%という結果でした。
③新規学卒者の高い早期離職率(就職後 3 年以内)
*[ ]:全国
平成 24 年 3 月卒 高卒 45.5%[40.0%]、大卒 37.2%[32.3%]
本県の新規学卒者の就職後 3 年以内の離職率を見ると、高卒、大卒いずれも全国
平均より高くなっています。
資料:厚生労働省職業安定局労働市場センター業務室調べ
6
(4)非正規労働者の状況
非正規労働者数の増加
平成 19 年 234 千人(165 千人)
⇒
*( ):内数で女性
平成 24 年 258 千人(181 千人)
平成 24 年 10 月実施の就業構造基本調査によると、本県の非正規労働者数は
257,700 人で、平成 19 年より 10.2%増加し、全雇用者(役員を除く)の 36.8%と
なっています。
非正規労働者は総じて所得が低く、年齢が上がっても所得が上昇しない傾向にあ
るため、生涯賃金においても正規労働者と大きな開きが生じる状況となっています。
また、非正規労働者には多様な働き方を求めて自ら選択した人もいる一方、正規
雇用を希望しながらやむを得ず派遣社員や請負業務等に就いている人も多く、格差
問題として語られる場合、後者の「やむを得ず型(=不本意非正規)」が特に問題
とされています。
※「やむを得ず型」が全非正規労働者に占める割合 18.1%
特に 25∼34 歳では 28.4%と他の年代を大きく上回る(平成 26 年労働力調査)
雇用形態別の労働者数
熊本県(平成24年)
雇用総数(役員除く)
全国(平成24年)
699,600人
100.0%
53,538千人
100.0%
正規雇用
441,900人
63.2%
33,110千人
61.8%
非正規雇用
257,700人
36.8%
20,427千人
38.2%
123,700人
17.7%
9,561千人
17.9%
内 アルバイト
45,100人
6.4%
4,392千人
8.2%
派遣労働者
10,800人
1.5%
1,187千人
2.2%
訳 契約社員
38,400人
5.5%
2,909千人
5.4%
嘱託
18,400人
2.6%
1,193千人
2.2%
その他
21,300人
3.0%
1,185千人
2.2%
パート
資料:平成 24 年就業構造基本調査(総務省)
(5)女性の就業状況
①全国平均より高い女性労働力率
*[ ]
:全国
平成 17 年 49.4%[47.8%]⇒ 平成 22 年 50.5%[49.6%]
平成 22 年国勢調査によると、本県の女性の労働力率は 50.5%と5割を超えてい
ますが、女性労働者のうち約半数は非正規雇用です。また、平成 22 年の本県の労働
力率を昭和 60 年と比較すると、20 代後半以降、いずれの年齢層においても上昇し
ており、女性特有といわれるM字型は見られるものの、その形は徐々に崩れてきて
います。これは、結婚・出産後も女性が働き続けることができる環境の整備が進ん
でいることや、未婚・晩婚化等が影響していると考えられます。
少子高齢社会への懸念から、今後も、男女共同参画の視点による女性の活躍支援
や、働きやすい環境づくり等に対応していく必要があります。
7
女性の就労状況等データ一覧
熊本県
国
50.5%
(15 位)
49.6%
平成 22 年国勢調査
働く人に占める女性
の割合
46.4%
(3 位)
43.0%
平成 24 年就業構造基本調査
女性の就業率
(25∼44 歳)
75.8%
69.5%
県:平成 24 年就業構造基本調査
国:平成 25 年労働力調査
女性労働者に占める
非正規雇用の割合
51.6%
57.5%
平成 24 年就業構造基本調査
女性の労働力率
資料
年齢階級別労働力率(熊本県)
資料:国勢調査(総務省)
資料:国勢調査(総務省)
②給与及び労働時間の男女差
平成 27 年賃金構造基本統計調査によると、10∼20 代にかけては男性所定内給与
に対する女性所定内給与の割合は9割以上ですが、年代が上がるにつれて差は広が
り、55∼59 歳においては男性の6割程度となっています。
また、平成 27 年の女性の総実労働時間(月平均)は、男性より約 23 時間短くな
っています。
8
資料:平成 27 年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)
資料:毎月勤労統計調査(厚生労働省)
9
(6)高齢者の就業状況
①60 歳以上の常用労働者の増加
60 歳以上の常用労働者数・割合(企業規模 31 人以上)
*[ ]:割合
平成 24 年 22,574 人[9.5%] ⇒ 平成 28 年 30,352 人[12.5%]
平成 28 年「高年齢者の雇用状況」集計結果によると、31 人以上規模企業におけ
る常用労働者数(約 24.2 万人)のうち、60 歳以上の常用労働者数は 30,352 人で、
12.5%を占めています。また、60 歳以上の常用労働者数及び割合ともに年々増加(上
昇)しています。
60 歳以上の常用労働者数とその割合の推移(熊本県・企業規模 31 人以上)
資料:
「高年齢者の雇用状況」集計結果(熊本労働局)
②高年齢者雇用確保措置の実施状況等の改善
県内企業における高年齢者雇用確保措置の実施状況
平成 25 年 86.7% ⇒ 平成 28 年 99.0%
高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現に向
け、
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では 65 歳までの安定した雇用を確
保するため、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」
のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付けています。
平成 28 年「高年齢者の雇用状況」集計結果によると、高年齢者雇用確保措置を実
施済みの企業の割合は 99.0%となっています。
また、希望者全員が 65 歳以上まで働ける企業の割合は同集計結果によると 74.2%
ですが、従業員数が 301 人以上の大企業においては、48.7%となっています。少子
高齢社会への懸念から、高齢者が本人の希望や能力を活かしながら社会の担い手と
して活躍できるような社会づくりが求められています。
資料:
「高年齢者の雇用状況」集計結果(熊本労働局)
10
(7)障がい者の就業状況
全国平均より高い民間企業における法定雇用率達成企業の割合
民間企業における法定雇用率達成企業の割合 *[ ]:全国
平成 25 年 51.5%[42.7%]⇒ 平成 28 年 57.4%[48.8%]
平成 25 年 4 月 1 日に障がい者の法定雇用率が引上げられ、民間企業の法定雇用率
は 2.0%となりました。
平成 28 年障害者雇用状況の集計結果によると、本県の法定雇用率達成企業の割合
は 57.4%と全国平均に比べると高いものの、約半数の企業が未達成の状況です。
また、民間企業における障がい者実雇用率は同集計結果によると 2.19%となって
います。
平成 30 年 4 月 1 日から、法定雇用率の算定基礎の対象に新たに精神障がい者が追
加されることにより法定雇用率が上がることが想定され、障がい者の雇用を更に推
進していく必要があります。
資料:障害者雇用状況の集計結果(熊本労働局)
(8)長時間労働等の労働状況
年間労働時間の推移
*年間総実労働時間3、[ ]:全国
平成 24 年 1,864 時間[1,808 時間] ⇒ 平成 27 年 1,825 時間[1,784 時間]
毎月勤労統計調査によると、本県の平成 27 年の年間総実労働時間は 1,825 時間で、
うち所定内労働時間4が 1,696 時間、所定外労働時間5が 129 時間となっています。全
国と比べると、総実労働時間は長いですが、所定外労働時間は短くなっています。
3
4
5
総実労働時間=所定内労働時間+所定外労働時間
事業所の就業規則で定められた正規の始業時刻と終業時刻との間の実労働時間。
早出、残業、臨時の呼び出し、休日出勤等で働いた実際の労働時間。
11
資料:毎月勤労統計調査(厚生労働省)
(9)外国人労働者の状況
外国人労働者の増加
*[ ]:全国
平成 24 年 3,535 人[682,450 人] ⇒
平成 27 年 5,159 人[907,896 人]
平成 27 年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果によると、本県の外国人労働者
数は 5,159 人となり、平成 19 年に届出が義務化されて以来、過去最高を更新しまし
た。
国籍別では、中国が外国人労働者全体の 45.3%と最も多く、次いでベトナム、フ
ィリピンの順となっています。
資料:
「外国人雇用状況」の届出状況集計結果(熊本労働局)
3 労働・産業人材育成行政を巡る動向
(1)県内経済の動向
熊本地震発生前は、一部に弱さがみられるものの、景気は緩やかに回復しつつあ
りました。
熊本地震により県内経済は一時急速に悪化し、今もなお地震の影響が残るものの、
復旧需要や挽回生産等を背景に全体としては緩やかに回復しつつあります。先行き
については、各種政策効果もあって復旧・復興の動きが進み、地震の影響からの回
復が着実に進んでいくことが期待されますが、弱さの残る観光などについては引き
続き十分留意する必要があるほか、海外経済の下振れなど県内経済を下押しするリ
スクにも留意する必要があります。
資料:熊本県内経済情勢報告 平成 28 年 10 月(九州財務局)
(2)県内企業の状況
中小企業白書 2014 によると、本県の中小企業は、県内企業数の 99.9%(うち小
規模企業687%)、常用雇用者数では 88%(うち小規模企業 25%)を占めています。
6
常用雇用者 20 人以下(卸売業、小売業、飲食店、サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)は 5 人以下)の会社。
12
中小企業の約9割を占める小規模企業は、人口減少、高齢化、海外との競争の激
化等経済の構造的変化に直面する中、近年、企業数・雇用者数ともに大幅に減少し
ています。このため、小規模企業の事業活動の活性化や持続的な発展の観点から、
平成 25 年に中小企業基本法が改正され、平成 26 年には小規模企業振興基本法が制
定されました。本県では、平成 26 年 12 月に熊本県中小企業振興基本条例を改正し、
小規模企業振興に関する基本方針などを新たに盛り込み、小規模企業への支援の強
化を図っています。
また、同方針には、
「誰もが安心して働き、活躍することができる雇用環境の整備」
も新たに追加し、中小企業が行う雇用環境整備への更なる支援に取り組んでいます。
(3)地方創生の動き
人口急減・超高齢化という課題に対し、
「まち・ひと・しごと創生法」
(平成 26 年
11 月)の制定等を踏まえ、
「熊本県人口ビジョン」及び「熊本県まち・ ひと・しご
と創生総合戦略」を策定しました(平成 27 年 10 月)。
さらに、平成 28 年 12 月には、
「平成 28 年熊本地震からの復旧・復興プラン」
(平
成 28 年 8 月策定。同年 10 月改訂)の「概ね4年間の取組み」に、地方創生に関す
る施策など、平成 31 年度までに取り組む必要があるものを加えた「熊本復旧・復興
4カ年戦略」を策定しました。「熊本復旧・復興4カ年戦略」では、「安心で希望に
満ちた暮らしの創造」「未来へつなぐ資産の創造」「次代を担う力強い地域産業の創
造」
「世界とつながる新たな熊本の創造」の4つの取組みの方向性により施策を展開
することとしています。
なお、
「熊本県まち・ ひと・しごと創生総合戦略」は、
「熊本復旧・復興4カ年戦
略」に一本化されました。
(4)「一億総活躍社会」の実現に向けた動き
「一億総活躍社会」とは、女性も男性も、若者も高齢者も、一度失敗を経験した
方も、障がいや難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが
活躍できる、いわば全員参加型の社会のことです。
政府は、我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、
「希望を生み
出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新・三
本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」に向けて、平成 28 年 6 月に「ニッ
ポン一億総活躍プラン」を閣議決定し、施策を推進しています。
13
第2章 「熊本県労働・人材育成計画」(前計画)の成果と課題
前の熊本県労働・人材育成計画「人と仕事いきいきプラン」(計画期間:平成 24 年度∼
平成 27 年度)では、「人が輝く、働きたい、安心して働ける熊本づくり」を基本目標に、
3つの基本方向「産業人材の育成」、「就労支援」、「労働環境の整備」に沿って5つの重点
プロジェクトを掲げ、労働・人材育成分野の施策を推進してきました。前計画の成果と今
後の課題は次のとおりです。
1 前計画の成果(重点プロジェクト毎に記載)
(1)キャリア教育の充実(基本方向1:産業人材の育成)
・ 一人ひとりの勤労観・職業観を育てるため、産官学が連携し、職業講話や様々な
職場体験、インターンシップなどを行うとともに、専門高校生に対して専門的知識
や技能の習得の場を提供するなど、児童生徒、学生の発達段階に応じたキャリア教
育を行いました。小中学校のキャリア教育に関する校内研修の実施率は 99.2%(H27)、
高校生のインターンシップ体験率は 68.2%(H27)となりました。また、ものづく
りチャレンジ事業・高校生の就業支援等プロジェクトの受講児童生徒数は 1,704 人
(H27)となり、目標(1,700 人/年)を達成しました。
・ ものづくり教育として「ジュニアマイスター等倍増による就業支援プロジェクト」
等に取り組み、工業高校生のジュニアマイスター認定者数が平成 27 年度は 776 人で、
4 年連続全国 1 位となりました。
・ 子どもや若者の勤労観・職業観をはぐくむ「キャリア教育」を支援する「キャリ
ア教育応援団登録事業所」は、1,784 件(H27)となりました。
(2)地域産業や企業を支える人材の育成等(基本方向1:産業人材の育成)
・ 産業人材強化戦略に基づき、
「産業人材強化支援センター」にコーディネーターを
配置し、ものづくり分野を中心に、企業等のニーズやそれに対応する情報の把握と
マッチング、相談対応、指導者の派遣等を行いました。また、ポータルサイト「ジ
ョブチャンネルくまもと」を設置し、人材育成に関する講座や各種助成制度など、
情報を一元化し提供しました。併せて、教育機関や職業訓練機関、経済団体、業界
団体からなる「産業人材強化ネットワーク推進会議」において、課題の検討、情報
交換等を行い、人材強化に向けた連携を強化しました。これらの取組みの結果、製
造業を中心とした県内中小企業の人材育成の重要性に対する認識や在職者の技術力
向上につながりました。
・ 各種公共職業訓練・教育機関等において、目的や対象者(学卒者、在職者、離職
者、障がい者、ひとり親等特別な支援を必要とする人等)に応じ、技術の習得、資
格取得のための訓練・講習を実施しました。
・ 県の職業能力開発施設である高等技術専門校及び技術短期大学校においては、企
業ニーズや時代の変化に応えるべく、学科再編やカリキュラムの見直しを行いまし
た。地域産業から求められる技術・技能を習得した人材を輩出し、平成 25∼27 年度
の卒業生の就職率は 100%となりました。
・ 技能向上、技能の継承、さらには技能士の処遇や社会における地位向上を図るた
14
め、
「技能士資格取得者数」50,000 人を目標に講習会開催等の資格取得支援を行い、
目標を達成しました。
・ 今後成長が見込まれる介護・福祉、医療、情報通信等の分野について委託訓練等
も活用した公共職業訓練を実施し、人材育成に取り組みました。
(3)多様な就労ニーズに対応した就労支援(基本方向2:就労支援)
・ 若者サポートステーションを利用した若年無業者の進路決定数は 491 人(H27)
と目標の 400 人を達成しました。
・ 就職環境の厳しい若者の県内企業への就職を促進するため、「ジョブカフェくま
もと」や「ジョブカフェ・ブランチ」においてマッチング支援等の就職支援や職業
講話等のキャリア教育支援を総合的に実施し、1,800 人(H27)の就職が決定しまし
た。
・ 障害者就業・生活支援センターの支援等により、障がい者の就職件数は 2,159 件
(H27)となりました。
・ 「しごと相談・支援センター」において、出産・子育て等を理由に退職し、再就
職を希望する女性への就労を支援するとともに、働く女性を対象としたキャリアア
ップ支援を行いました。
・ シルバー人材センターへの支援を通じた就業機会の提供や、各広域本部・地域振
興局に「高齢者能力活用推進員」を配置し、高齢者の就労促進を図るとともに、企
業等を対象に高齢者の新たな働き方について考えるセミナーを開催しました。
(4)雇用の創出(基本方向2:就労支援)
・ 計画期間中の企業立地件数は累計で 137 件(H24∼H27)となり、拠点性の向上が
進みました。
・ 介護職については、その魅力や必要性のPRのほか、関係機関等からなる「熊本
県介護人材確保対策推進協議会」を開催し、現状、課題、取組み等について意見交
換等を行い、連携を強化しました。
(5)生活から就労までの総合支援(基本方向3:労働環境の整備)
・ 「しごと相談・支援センター」においては、平成 25 年度から、職業紹介等を行
うハローワークと一体となって、就労支援等のための相談業務を実施しています。
利用者にとっては、1か所で複数のサービスを受けることが可能になり、利便性が
向上しました。
・ 企業における男女共同参画の推進に積極的に取り組む事業者表彰、専門家派遣に
よる事業所等のポジティブ・アクション(男女間格差の積極的是正措置)の取組み
に対する支援、働く女性を対象としたキャリアアップ研修等、総合的支援を行った
結果、民間企業における管理職(係長以上)に占める女性の割合が 22.1%(H27)
となりました。
・ 民間事業所におけるワーク・ライフ・バランスの認知度は、経営者等を対象とし
た啓発セミナーの開催等により、48.5%(H27)に上昇しました。
15
2
今後の課題(重点プロジェクト毎に記載)
(1)キャリア教育の充実(基本方向1:産業人材の育成)
・ 若者の県外流出超過や少子化等により産業人材の確保が困難な中、将来の熊本を
担う人材を育成・確保するためには、児童生徒、学生を対象としたキャリア教育を
充実させ勤労観や職業観を育むとともに、幼少期から地元への愛着を深めておくこ
とが重要です。また、インターンシップについては受け入れる企業側に負担感が大
きいため、企業、学生双方にとって有益なものにする必要があります。
・ 熊本地震の発生によって新規学卒者等の更なる県外流出が懸念されるところであ
り、復興を担う人材を育成・確保するためには、キャリア教育やインターンシップ
等の更なる充実が必要です。
(2)地域産業や企業を支える人材の育成等(基本方向1:産業人材の育成)
・ IT、BPO・コールセンターなど成長が見込まれる分野や、医療、福祉、建設、
ものづくりなど人材不足が深刻な分野等において、地域の産業ニーズに応じた人材
を育成する必要があります
・ 地元の企業や大学との連携を強化して職業訓練を実施するとともに、これまで職
業訓練を受ける機会がなかった若者等に対しても訓練の場を提供するなど、県内就
職につながるような職業訓練を実施する必要があります。また、在職者訓練を強化
することにより、企業の人材育成を支援する必要があります。
・ 熊本地震の発生により人材不足問題の深刻化が懸念されており、本県の産業を支
える人材の育成は重要な課題です。特に、建設分野においては、復旧・復興工事の
増加等により更なる人材不足が懸念されており、復興を担う人材等を育成すること
が急務です。
(3)多様な就労ニーズに対応した就労支援(基本方向2:就労支援)
・ 多様な個人の能力の発揮による労働参加率向上等を目指して、女性が活躍できる
環境づくりや、若者、高齢者、障がい者等の就労による活躍を支援する必要があり
ます。
・ 熊本地震発生に伴う人材の県外流出等により更なる産業人材不足が懸念されると
ころであり、労働参加率を向上させるとともに、働く人が自らの意欲と能力に応じ
て十分に活躍できるよう支援する必要があります。
(4)雇用の創出(基本方向2:就労支援)
・ 新規学卒者の県内就職や県外の若者の還流を促進するためには雇用の場の創出が
必要ですが、熊本地震により県内の企業は大きな被害を受けたため、まずは企業の
雇用維持を支援する必要があります。また、地域産業を再生させるためには、復興
にあたる企業の人材確保や更なる成長等を支援する必要があります。
(5)生活から就労までの総合支援(基本方向3:労働環境の整備)
・ 熊本地震により更に拍車のかかることになった産業人材不足の解消を図るために
は、魅力ある職場づくりを推進するとともに、県内企業の情報を発信していく必要
があります。また、働き方改革の推進等により多様な働き方ができるような環境を
16
整備するとともに、働く人が自らの意欲と能力に応じて十分に活躍できるよう支援
し、労働参加率の向上や県民の結婚・出産・子育ての希望の実現等につなげていく
必要があります。
3
課題の整理
平成 27 年 10 月に策定した「熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、
労働・人材育成分野においては、少子高齢化や若者の県外流出等に伴う産業人材不足
等に対応するため、産業ニーズに応じた人材の確保・育成や、女性の社会参画の加速
化、若者・高齢者・障がい者の活躍促進等に取り組んできました。
そのような中、平成 28 年 4 月に発生した熊本地震の影響を受け、県外に流出する若
者の更なる増加及び復旧工事や被災企業の復興に伴う求人数の増加等により、産業人
材不足は更に深刻化すると考えられます。また、地震による被害を受け、休業等を余
儀なくされた企業もあり、被災企業等の雇用維持支援や震災離職者等の就労支援とい
った新たな課題も生じています。
今後は、地震発生以前から進めていた地方創生に向けた取組みを加速化させるとと
もに、地震により新たに発生した課題に対応していく必要があります。
地方創生に向けた
取組みの加速化
+
地震により発生した
新たな課題への対応
熊本地震の影響や前計画の課題、雇用情勢等の動向、労働・産業人材育成行政を巡
る動向を踏まえると、今後の課題は次のように整理されます。
(1)地方創生に向けた取組みの加速化
①産業人材の確保
・県外への流出抑制・県内定着促進
・県外からの還流促進
・誰もが活躍できる社会の実現
・魅力ある職場づくりの推進
②産業人材の育成
(2)地震により新たに発生した課題への対応
①復興人材の確保
・被災企業等の雇用維持支援
・震災離職者等の就労支援
等
②復興人材の育成
17
第3章 基本目標と施策の基本方向
1
基本目標の設定
前章で整理した課題及び「平成 28 年熊本地震からの復旧・復興プラン」、県政運営
の基本方針である「熊本復旧・復興4カ年戦略」を踏まえ、本計画の基本目標を次の
とおり定めます。
熊本地震を克服し
働く場所として選ばれ
誰もが輝き 夢あふれる熊本の実現
熊本地震からの復旧・復興に向けて、地震による影響を受けた企業等の雇用維持を
支援するとともに、震災離職者等の就職を支援します。
また、県内の産業を支える人材の確保を図るため、若者等の県外への流出抑制や県
外からの還流促進に向けた取組みを加速化させます。
さらに、働く意欲のある人が自らの能力や希望に応じて活躍できるように支援する
とともに、熊本の復興や将来を担う人材を育成し、次代にわたり夢あふれる熊本を目
指します。
2
施策の基本方向
基本目標の実現に向け、次の4つの基本方向に沿って、労働・人材育成に関する施
策を展開していきます。
◆産業・復興人材の確保
∼雇用の維持を図るとともに、県内就職を促進し、熊本の復興や地方創生につなげます∼
◆県外からの還流促進
∼県外から人材を呼び込み、熊本の復興や地方創生につなげます∼
◆活躍支援・魅力ある職場づくりの推進
∼誰もが活躍でき、安心して働ける労働環境を整備し、
熊本の復興や地方創生に向けた人材確保等につなげます∼
◆産業・復興人材の育成
∼熊本の復興及び将来を担う人材を育てます∼
18
第4章 計画推進の取組みについて
1 産業・復興人材の確保
∼雇用の維持を図るとともに、県内就職を促進し、熊本の復興や地方創生につなげます∼
(1)企業の雇用維持支援、震災離職者等の県内就職の促進
(2)新規学卒者の県内就職の促進、職場定着の支援
(3)人手不足分野等における人材の確保等
(4)雇用の場の創出
(5)留学生の県内就職の推進
2 県外からの還流促進
∼県外から人材を呼び込み、熊本の復興や地方創生につなげます∼
(1)都市圏若年者等の県内就職の促進
(2)高度プロフェッショナル人材確保の支援
3 活躍支援・魅力ある職場づくりの推進
∼誰もが活躍でき、安心して働ける労働環境を整備し、
熊本の復興や地方創生に向けた人材確保等につなげます∼
(1)女性が輝き、男女が共に支える社会づくり
(2)若者・高齢者・障がい者等の活躍支援
(3)様々な労働問題への対応
(4)働き方改革の推進
(5)従業員の処遇改善に向けた取組み
4 産業・復興人材の育成
∼熊本の復興及び将来を担う人材を育てます∼
(1)地域の産業ニーズを踏まえた人材の育成
(2)公的職業訓練及び事業主等が行う職業能力開発の促進
(3)技能振興及びキャリア教育・職業教育の充実、強化
(4)産学官が連携した人材育成の推進
19
1 産業・復興人材の確保
∼雇用の維持を図るとともに、県内就職を促進し、熊本の復興や地方創生につなげます∼
熊本地震による影響を受けた企業等の雇用維持支援及び震災離職者等への就職支援に早
急に取り組みます。
また、震災を機に若者の更なる県外流出が懸念される中、復興を担う人材など本県の産
業を支える人材を確保するために、高校や大学など関係機関との連携により新規学卒者の
県内就職を促進するとともに、企業誘致の推進等により雇用の場の創出を図ります。
さらに、震災復旧・復興工事の増加により更なる人手不足が懸念される建設分野をはじ
め、従前から人手不足である医療・福祉分野、さらには地震の影響を受けた中小企業の人
材確保・定着に取り組みます。
≪施策体系≫
(1)企業の雇用維持支援、震災離職者等の県内就職の促進
産業・復興人材の確保
(2)新規学卒者の県内就職の促進、職場定着の支援
(3)人手不足分野等における人材の確保等
(4)雇用の場の創出
(5)留学生の県内就職の推進
20
(1)企業の雇用維持支援、震災離職者等の県内就職の促進
①熊本地震による影響を受けた企業等の雇用維持支援
被災事業所等へアドバイザーを派遣し、雇用調整助成金7など各種制度の活用を支
援することで、労働者の雇用維持を図ります。
また、被災により休業を余儀なくされている事業所等と従業員が不足する事業所
との出向に関するニーズを掘り起し、それぞれに人材情報を提供するとともにマッ
チングを行うなど、関係団体と連携し、従業員の他の事業所への一時的な出向を支
援し、雇用を維持します。
②震災離職者等の就職支援
広域本部・地域振興局に設置する就労支援窓口「ジョブカフェ・ブランチ」にお
いて、
「ジョブカフェ・サテライト員」が、地域の求職者に対する雇用関連サービス
をワンストップで提供します。また、
「若者しごとカウンセラー」によるキャリアコ
8
ンサルティング や、
「しごと開拓員」による就職困難者向けの求人開拓等を通して、
きめ細やかな支援を行います。
県とハローワークの業務を一体的に実施する「くまジョブ9」において、カウンセ
リングから職業紹介、就職後のフォローアップまでのサービスをワンストップで提
供します。
公共職業訓練の枠組みでは実施できない4分野(IT、BPO10・コールセンター、
介護、建設)において、関係機関と一体となって人材育成カリキュラムの開発及び
養成を行い、震災離職者等の雇用を支援します。
(2)新規学卒者の県内就職の促進、職場定着の支援
①高等学校における就職支援の推進
県立高校に配置する就職推進員(キャリアサポーター11、しごとコーディネーター
12
)により、就職希望者の就職支援や県内就職の促進、就職者の早期離職防止を図り
ます。
また、産業界との連携により就職担当教職員の県内企業の認知度を向上させ、生
徒や保護者の県内企業への理解促進を図ります。
さらに、地域のハローワーク、自治体、経済団体等と連携し、地域の実情に応じ
た就職支援を行い、地元への就職を促進します。
②新卒者等就職・採用応援本部の取組みの推進
新卒者等就職・採用応援本部は、熊本労働局、熊本県、熊本市、九州経済産業局、
経営者団体、労働者団体、教育機関等の構成により、平成 22 年 10 月に設置されま
した。当該本部において新卒者の就職状況や支援の実施状況等の情報を共有し、構
7
8
9
10
11
12
経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業等により雇用の維持を図った場合に、休業手当等の一部が助成される
制度。(熊本地震の発生に伴い助成率の引上げや支給日数の延長等の特例措置が実施された)
労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと。
県(
「しごと相談・支援センター」)による就労支援業務と、ハローワークによる職業紹介業務を同じフロアで一体的に実施。
ビジネス・プロセス・アウトソーシングは、企業が自社の経営やマネジメントにより集中的に人的資源を投下し、その他の人事、経理、情
報システム、カスタマーセンター、コールセンター、営業などの業務を外部の専門企業に委託して、人件費等の固定費を削減するために行わ
れる経営手法。
高校生の就職支援を行うとともに、就職する生徒の社会生活への円滑な移行、就職後の早期離職防止の支援等を行う者。
県内企業の求人開拓を行うとともに、企業情報を生徒・教職員へ提供し、工業高校生の県内企業への就職支援を行う者。
21
成機関が協力して就職支援を行っています。また、合同企業説明会の開催や、新規
高卒予定者に係る求人確保・採用枠拡大の要請を県内の経済団体等に行うなど、引
き続き関係機関と協力して取組みを実施します。
③県内企業の魅力発信
企業における労働環境や処遇の向上の取組みを支援するとともに、これらに積極
的に取り組む「ブライト企業13」の認定や、ウェブサイトの活用及びガイドブックの
配布等による普及啓発・情報発信を通じて企業の魅力づくりを推進し、若者等の県
内企業への就職促進を図ります。
④公正な採用選考の推進
同和問題をはじめとする様々な人権問題に対する正しい理解と認識のもとに、差
別のない公正な採用選考が行われるよう啓発等を行います。
⑤技術短期大学校における就職支援の推進
技術短期大学校では、県内企業への就職を促進するため、県内企業の開拓やマッ
チングの充実を図ります。
⑥若者の職場定着の支援
(公財)熊本県雇用環境整備協会と連携し、ジョブカフェくまもとにおいて、学
卒就職予定者(内定者)等に、就職に当たっての心構え、職業生活に必要な行動能
力の習得等を目指したセミナー等を実施し、職業生活への円滑な移行と早期離職の
防止を図ります。また、若手社員に対する継続的な就業を促進するセミナー等を実
施し、若者の職場定着支援を図ります。
⑦若者の地方定着の促進
県内企業と県内外の学生とのマッチングやインターンシップ、地元就職の利点や
地元企業の魅力のPR等の取組みを推進するとともに、学卒者の県内就職を後押し
する奨学金返還等に係る給付制度など、熊本の次代を担う人材を確保する取組みを
進めます。
(3)人手不足分野等における人材の確保等
①医療・福祉・建設分野等人材が不足している分野における人材の確保等
ア 医療分野における人材の確保
医学生・看護学生などを対象にした修学資金の貸与制度の充実、教育機関との
連携等により、地域において必要な医療提供体制を支える医師、看護師等の確保
を進めます。
また、魅力ある職場づくりを推進するため、勤務環境改善に取り組む医療機関
の支援体制を構築するとともに、病院内保育所等の施設整備・運営費用に対する
助成等を行います。
13
熊本県の造語で、ブラック企業と対極の企業をイメージするもの。働く人が元気でいきいきと輝き、安心して働き続けられる企業
として県が認定した企業のこと。
22
さらに、人材を確保するため、離職者の再就業支援等に取り組みます。
イ
福祉分野における人材の確保
教育機関等と連携した福祉業務の魅力の発信や学生などを対象とした修学資金
の貸与制度の充実、離職者の再就業支援等に取り組み、福祉サービスを支える介
護職員、保育士など福祉職員の確保を進めます。
また、県内のハローワーク、福祉施設・事業所等での巡回相談や求人開拓によ
り、求人ニーズや求職者の適性を把握してマッチング機能を強化させるとともに、
就業後のフォローアップも行います。
さらに、福祉職員の県内定着を図るため、福祉職員の正規雇用化などの処遇改
善、技術・資格の取得支援などに取り組みます。また、介護については、
“介護従
事者の離職ゼロ”を目指し、介護職員の負担軽減に資する設備や介護ロボットの
導入を推進します。
ウ
建設分野等における人材の確保等
建設業界や教育機関と連携し、求人・求職情報の共有や建設産業への理解の促
進、魅力発信を行い、県内建設産業への就職を促進するとともに、建設業者が行
う就労環境の整備や女性の入職支援等を行います。
また、本県産業を支えるトラックやバスのドライバー不足・高齢化に対応する
ため、関係団体と連携して若手や女性ドライバーの確保・育成を進めます。
エ
農林水産分野における「担い手」の確保
親元就農や、新規参入など農業を志す若者が円滑に就農・定着するよう、相談
から就農後の定着までをトータルして支援する「熊本型農業者育成」の仕組みを
構築するとともに、教育機関と連携した人材の確保に取り組みます。
また、遊休農地や畜舎、引退した先導農家など地域内にある資源・人材の活用、
技術支援の専門家の確保等により、就農環境の向上を図ります。
さらに、企業の新たなアグリビジネス展開の支援や農業法人の広域事業展開を
支援することで、多様な担い手の確保を図ります。
林業や水産業では、担い手の確保のため、関係団体や市町村、教育機関等と連
携した就業支援体制を整備するとともに、就労環境改善などに取り組みます。
②中小企業の人材確保
優秀な人材の県内中小・小規模企業への就職や女性・高齢者等の就労を促進する
ため、県内中小企業の認知度向上や職場環境の整備を推進する(参照:3−(5)
−①誰もが働きやすい環境の整備)とともに、女性・高齢者等に対する就労支援や
求職者向けの求人開拓等を行います。
また、中小・小規模企業者が自ら実施する成長戦略を支援するため、プロフェッ
ショナル人材戦略拠点14を活用して県内外の人材の獲得を支援するなど、経営の視点
14
地域の中小企業が持つ潜在的成長力への目覚めを喚起し、
「攻めの経営」への転換を促進し、その実現に必要なプロフェッショナル
人材のマッチングをサポートする。
23
からの人材強化を図ります。
さらに、地域雇用開発奨励金15など新規雇用等に対する助成制度の活用を被災事業
所等に促すことにより、採用意欲を高め、被災者をはじめとする県内外の復興を担
う人材の確保を支援します。
(4) 雇用の場の創出
① 地域産業の再生等による雇用の創出
産業活力の復活のため、リーディング企業16の創出やプロフェッショナル人材戦略
拠点の活用を図るとともに、震災の影響を受けた企業等に対して、新商品開発、海
外展開及び研修の支援や、求職者に対するマッチング等の支援を行うことで、安定
かつ良質な雇用を創出します。
② 企業誘致の推進による雇用の創出
熊本地震によるマイナスイメージを払しょくし、国内外から「選ばれる熊本」を
目指し、アジアに近い地理的優位性、半導体・自動車関連産業の集積、優秀な人材、
災害時にもサプライチェーンを堅持した対応力の高い協力企業群の存在等の本県の
強みや熊本地震の経験を活かして、半導体・自動車関連産業に加え、医療・食品関
連等の成長分野の企業誘致を推進し、産業集積により雇用の創出、地域経済の発展
を図ります。
また、更なる「知」の集積を目指し、企業の研究開発部門の誘致を促進するとと
もに、企業の本社機能の移転や東アジアで展開するグローバル企業の誘致等に取り
組みます。
③ 新たな事業の創出と起業の促進
本県の自然環境や資源を最大限に活かした「自然共生型産業(アグリ・バイオ・
ヘルスケア・食品加工・環境・水等)」などの成長産業の創出につながる起業者やベ
ンチャー等の取組みを支援します。
また、起業・創業を目指す者が相談しやすい体制を構築するとともに、起業教育、
インキュベーション施設17の運営、ベンチャーマーケットの開催、株式引き受けによ
る投資、ビジネスコンテストの開催など、各段階に応じた起業支援を行います。
さらに、水俣・芦北地域雇用創造協議会の活動等、各地域が取り組む主体的な活
動を促進するため、商談会等出展による販路開拓や農建連携による担い手確保、地
域資源ブランド化などを行う取組みを支援します。
(5)留学生の県内就職の推進
九州各県等との連携による支援
九州各県及び外国人留学生の就職に携わる関係機関と連携して、留学生と企業の
人材マッチング専用サイトの製作・運用などにより、県内の海外展開企業やインバ
15
16
17
雇用機会が不足している地域などにおいて、事業所の設置・整備を行うとともに求職者を雇い入れた事業主に対して支給する奨励金。
(熊本地震の発生に伴い対象となる設置・整備費用の範囲拡大、対象労働者の範囲拡大、支給額の引上げといった特例措置が実施さ
れた)
1 年間の事業活動により産み出す付加価値額が 10 億円以上の企業。
創業や新分野進出の初期段階でのアイデアを具体化し、事業化への発展をサポートする施設。
24
ウンド関連企業等への留学生の就職を促進します。
◎指標
現状(H27)
目標(H31)
新規学卒就職者(県内高等学校)の県内就職率
57.9%
70.0%
新規学卒就職者(県内大学)の県内就職率
44.7%
54.4%
39 社/年
200 社/5 年
1,800 人/年
7,200 人/4 年
328 人
353 人
29,440 人
32,516 人
154 人
(H28.3 卒)
900 人/5 年
ブライト企業認定数
ジョブカフェ利用者における就職決定数
自治体病院における常勤医師数
介護職員数
新卒(中学・高校)者の建設業就業者数
173 人(H27.3 卒)
農林水産業における新規就業者数
((新規就農者+雇用就農者)+新規林業就業者+新規漁業就業者)
リーディング育成企業等支援数
634 人/年
660 人/年
64 社
90 社
35 件/年
企業立地件数
(H26)35 件/年
1,012 人/年
企業立地による新規雇用予定者数
(H26)1,050 人/年
雇用保険適用事業所における開業率(事業所数に占める新規
開業率 5.1%
成立事業所数の割合)と廃業率(事業所数に占める消滅事業
廃業率 3.5%
所数の割合)の差
(H26)
25
125 件/5 年
6,250 人/5 年
開業率≧廃業率
2 県外からの還流促進
∼県外から人材を呼び込み、熊本の復興や地方創生につなげます∼
地方創生の動きや地震をきっかけとした熊本への関心の高まりを踏まえて、UIJター
ン就職希望者の県内就職を促進し、復興を担う人材を含め本県の産業を支える人材の確保
を図ります。
都市圏若年者等に対し本県の魅力を発信し県内就職を促進するとともに、県外大学との
連携(就職支援協定による取組み等)による県内企業の情報発信、インターンシップや合
同会社説明会等を実施します。
また、プロフェッショナル人材戦略拠点を活用するとともに、本県に縁のある人材ネッ
トワークを構築し、復興を担う人材等の確保を支援します。
≪施策体系≫
県外からの還流促進
(1)都市圏若年者等の県内就職の促進
(2)高度プロフェッショナル人材確保の支援
26
(1)都市圏若年者等の県内就職の促進
①復興を担う人材等UIJターン18就職希望者への支援
地方創生の動きや地震をきっかけとした熊本への関心の高まりを踏まえて、UI
Jターン就職の希望が顕在化していない都市圏の若年者層をはじめ、豊かな経験や
実績を持つ復興を担う人材等への積極的な働きかけにより県内企業における受入れ
を促進するため、東京及び熊本に「熊本県UIJターン就職支援センター」を設置
するとともに、高校・大学及びその同窓会等への働きかけにより同センターへの登
録を促し、本県への人材の還流を促進します。
主に、UIJターン就職希望者と県内企業のマッチング支援や、移住相談窓口と
の連携により移住定住と就職支援をワンストップで行います。
②県外の大学等と連携した就職支援
主に本県出身者が一定数(概ね50名以上)在籍する県外の大学との就職協定を
通して、学生の県内企業への就職を支援します。
③ 九州・山口との連携による就職支援
九州・山口の地域の魅力や企業情報を東京圏の大学等に進学した学生やUIJタ
ーン就職希望者に直接提供するため、九州・山口8県共同で地元企業におけるイン
ターンシップ及び東京都内においての合同会社説明会、面接会を実施します。
(2)高度プロフェッショナル人材確保の支援
①プロフェッショナル人材戦略拠点を活用した人材の確保
プロフェッショナル人材戦略拠点を活用して、企業において事業企画・運営等に
実績のある人材のUIJターン等を促進します。
②本県に縁のある人材ネットワークの構築
本県に縁のある人材のネットワーク化を進めるとともに、これを活用して復興を
担う人材を含めた産業人材の確保を図ります。
③九州・山口との連携による就職支援【再掲】
九州・山口の地域の魅力や企業情報を東京圏の大学等に進学した学生やUIJタ
ーン就職希望者に直接提供し、東京圏から若者人材の還流を促進し、地元企業への
定着を図るため、九州・山口8県共同で地元企業におけるインターンシップ及び東
京都内においての合同会社説明会、面接会を実施します。
◎指標
熊本県UIJターン就職支援センター登録者におけるUIJターン
就職者数
18
大都市圏の居住者が地方に移住する動きの総称。
27
現状(H27)
目標(H31)
−
300 人/4 年
3 活躍支援・魅力ある職場づくりの推進
∼誰もが活躍でき、安心して働ける労働環境を整備し、
熊本の復興や地方創生に向けた人材確保等につなげます∼
熊本の復興に向けて、多様な個人の能力の発揮による労働参加率向上等を目指し、女性
が活躍できる環境づくりや、若者、高齢者、障がい者等の就労による活躍支援等を推進し
ます。
また、働く人が元気でいきいきと輝き、安心して働き続けられる企業をブライト企業と
して認定・表彰し、その普及拡大等により魅力ある職場づくりを推進します。
さらに、労使、国との連携による多様な働き方の促進等、働き方改革・処遇改善の推進
等に取り組み、安心で希望に満ちた暮らしを創造することにより、産業を支える人材を確
保し、地震からの復興を推進するとともに、県民の結婚・出産・子育ての希望の実現等に
つなげます。
≪施策体系≫
(1)女性が輝き、男女が共に支える社会づくり
活躍支援・魅力ある
職場づくりの推進
(2)若者・高齢者・障がい者等の活躍支援
(3)様々な労働問題への対応
(4)働き方改革の推進
(5)従業員の処遇改善に向けた取組み
28
(1)女性が輝き、男女が共に支える社会づくり
①女性の社会参画の加速化
熊本県女性の社会参画加速化戦略における企業等の自主宣言の促進や、女性活躍
推進法に基づく一般事業主行動計画の策定を促進するとともに、意識改革のための
各種セミナーの開催や役員候補の女性管理職を対象にした女性経営参画塾の開催、
専門家派遣による企業のポジティブ・アクション(男女間格差の積極的是正措置)
の取組みへの支援等に取り組みます。
また、女性活躍加速化助成金の活用を促し、企業における女性の採用・職域拡大、
管理職登用等、女性の活躍推進を図ります。
②女性の就労・キャリアアップ支援
「しごと相談・支援センター」において、キャリアカウンセリングや保育等に関
する情報提供を行うとともに、子育て中の女性を対象とした再就職支援セミナー等
を実施します。
また、男女共同参画センター等における働く女性のキャリアアップ研修や、起業
を目指す女性を対象とした起業支援セミナーの開催など、女性の多様な働き方に応
じた支援に取り組みます。
③働きやすい環境の整備
ア 仕事と家庭の両立支援
仕事と家庭(子育て・介護等)の両立を図るための職場環境整備に取り組む企
業への支援を行います。
また、改正育児・介護休業法及び改正男女雇用機会均等法の施行(ともに平成
29 年 1 月 1 日施行)により、介護をしながら働く人や有期契約労働者が介護休業・
育児休業を取得しやすくなる制度が設けられるとともに、マタハラ19・パタハラ20
防止が事業主へ義務付けられることを広く周知・啓発します。
さらに、仕事と家庭の両立支援の機運の醸成を図るため、子育て支援や仕事と
家庭の両立支援に取り組む企業、店舗等を「子育て応援団」として募集・登録し、
その活動を広報・支援する取組みを推進します。
イ
19
20
21
子育て支援体制の整備
保育所等利用待機児童ゼロを目指し、保育所や認定こども園における保育のほ
か、小規模保育や家庭的保育といった地域型保育など、ニーズを踏まえた多様な
保育の充実を図ります。
また、ファミリー・サポート・センター21、病児保育、障がい児保育、放課後児
童クラブの充実を図るため、事業の実施主体である市町村において取組みが推進
されるよう支援します。
さらに、父親の家事・育児への意識向上や、子育てを社会全体で支える機運の
醸成を図るため、パパ手帳の配布、情報発信、講演会等を実施します。
マタニティハラスメントの略。妊娠や出産を理由に職場で不当な扱いや嫌がらせをする行為。
パタニティハラスメントの略。男性が育児休業や子育てのための短時間勤務を取得することを妨げるなどの行為。
地域で子育ての支援をするために、育児の援助を受けたい人(依頼会員)と育児の援助を行いたい人(協力会員)がセンターを橋
渡しにして会員登録をし、協力会員が依頼会員に対して援助活動(有償)を行う会員組織。
29
ウ
働き方改革の推進
在宅勤務など多様な働き方を推進し、働きやすい環境の整備を促進します。
(参
照:3−(4)働き方改革の推進)
(2)若者・高齢者・障がい者等の活躍支援
①若者等の就労支援
ア 「ジョブカフェくまもと」及び「ジョブカフェ・ブランチ」の運営
「ジョブカフェくまもと」において、概ね35歳未満の若者等を対象に、就職
支援情報、カウンセリング、就職支援セミナー、職業紹介等の就職支援サービス
を一体的に提供します。また、
「若者しごとカウンセラー」によるキャリアカウン
セリングの実施や、若者と県内中小企業の雇用のミスマッチ解消に向けて、若者
に県内企業の魅力を伝えるための情報提供や説明会を開催します。
広域本部・地域振興局に設置する「ジョブカフェ・ブランチ」において、
「ジョ
ブカフェ・サテライト員」が、地域の求職者に対する雇用関連サービスをワンス
トップで提供します。また、
「若者しごとカウンセラー」によるキャリアカウンセ
リングや、
「しごと開拓員」による就職困難者向けの求人開拓等を通して、きめ細
やかな支援を行います。
イ
ニート(若年無業者)の自立支援の推進
「地域若者サポートステーション(愛称:サポステ)」において、サポステ利用
者の職業意識やコミュニケーション能力の向上を図るためのセミナーを開催する
とともに、専門相談員によるカウンセリングや家族向けセミナーの開催など、一
人ひとりの状況に応じた支援を行います。また、継続的支援や支援の在り方を検
討するため、各若者支援機関、民間支援団体等のネットワークを強化します。
ウ
フリーター等の常用雇用化のための能力開発支援、情報提供の推進
「ジョブカフェくまもと」において、職業に関する情報提供のほか、資格取得
支援、自己PRや面接技術等に関するアドバイス、企業採用担当者と気軽な質疑
応答ができるミニ企業説明会の開催等の支援に取り組みます。また、民間教育訓
練機関等への委託により、座学と企業実習を組み合わせたデュアル型職業訓練を
推進します。
②高齢者の多様な就労や社会参加の推進
ア シルバー人材センターによる就労支援
高齢者が本人の希望や能力を活かしながら社会の担い手として活躍できるよう、
熊本県シルバー人材センター連合会22の運営や受注窓口の集約化等を支援するこ
とで、各シルバー人材センターの活動を促進し、高齢者の就労を支援します。
22
会員:公益社団法人シルバー人材センター(16 市町)、一般社団法人シルバー人材センター(4 市町村)、小規模シルバー人材センター(21 町村)
事業内容:センター間での業務調整、指導相談、無料職業相談、就業開拓、研修、講習、技能訓練等の実施等
30
イ
高齢者無料職業紹介所の実施
高齢者無料職業紹介所((一財)熊本さわやか長寿財団内)及び各広域本部・地
域振興局に配置する推進員により、高齢者に対する職業相談や職業紹介、事業所
等に対する求人開拓を行います。
ウ
九州各県連携による就労促進
平成 27 年に設立された「九州・山口 70 歳現役社会推進協議会」を中心に、高
齢者雇用に係る優良企業表彰や高齢者雇用事例を紹介するパンフレットの作成等
各県が連携した取組みを行い、高齢者が元気で活躍できる社会の実現を目指しま
す。
エ
産業活動や地域社会の担い手としての社会参加の促進
高齢者のこれまでの経験を活かす形で、コミュニティビジネスやボランティア
活動の活性化、起業を含めた第二の人生のキャリア形成支援を充実し、高齢者の
社会参加を促進します。
③障がい者の就労支援、職場定着支援
ア 法定雇用率未達成企業への働きかけの強化
法定雇用率未達成企業等における障がい者雇用を促進するため、企業が障がい
者を雇用する際に利用できる各種支援制度や助成金の周知を図ります。
イ
障がい者に対する総合的な就労支援体制の構築
行政・学校・福祉団体・民間企業などが連携し、
「一人ひとりのライフステージ
に応じた総合的な就労支援」を行う体制を構築します。
ウ
障害者就業・生活支援センターの設置・運営
障がい者の職業生活における自立を図るため、
「障害者就業・生活支援センター」
(H28.4.1 現在 県内6カ所を指定)において、雇用・保健・福祉・教育等の関
係機関と連携し、就業に関する相談、職場定着に向けた支援、日常生活への助言
など、就業面と生活面の一体的な支援を行うとともに、コーディネート機能の強
化を図ります。
エ
障がい者に対する職業訓練事業の実施
高等技術専門校では、知的障がい者を対象とした施設内訓練や、民間の教育訓
練機関等への委託による身体障がい者等を対象とした職業訓練を実施します。
また、障がい者の特性や多様なニーズに応じたよりきめ細かな職業訓練の充実
を図るとともに、事業所現場を活用した実践的なオーダーメイド型訓練を導入し
ます。
さらに、関係機関との連携による支援体制の構築、コーディネート機能の強化
により障がい者の雇用率の向上を図ります。
31
オ
障がい者技能競技大会等の実施及び支援
熊本県障がい者技能競技大会(アビリンピック熊本大会)を実施するとともに、
全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)、世界大会への派遣等を通じて障
がい者の職業能力に対する社会の理解と認識を高めるための意識啓発を実施しま
す。
カ
福祉と農業の連携による就労支援
障害者就労施設を運営する社会福祉法人等の農業参入や農家への施設外就労、
障がい者の農業法人等への一般就労を促進するための仕組みづくりを行い、福祉
と農業の連携による就労支援に取り組みます。
キ
障害者就労施設等からの優先調達推進
毎年度、優先調達に係る目標を設定し、障害者就労施設等からの物品等の積極
的な調達を進めます。併せて、市町村にも働きかけを行い、全県的な優先調達の
推進に取り組みます。
ク
特別支援学校における就職支援・定着支援
特別支援学校に就職推進員(「キャリアサポーター」)を配置し、実習先の確保
や求人の開拓など、就職を希望する生徒の支援を行います。
また、関係機関との連携強化を通し、障がいのある生徒についての理解啓発を
図るとともに、特別支援学校における職業教育の充実に取り組みます。
④難病及びがん患者の就労支援
熊本県難病相談・支援センターにおいて難病患者の就労支援等を実施します。
また、
「がん患者等就労支援ネットワーク会議」を設置し、がん患者の就労に関す
る総合支援を実施します。
⑤生活困窮者等の就労支援
生活保護受給者、住居確保給付金受給者及び生活困窮者自立支援法に基づく自立
相談支援による支援を受けている生活困窮者等の支援対象者の状況を総合的に把握
し、就労意欲の喚起や就労支援、その他必要な支援等を行います。
⑥ひとり親等の就労支援
総合的な支援を行う「母子家庭等就業・自立支援センター」において、就労相談
や求人開拓等を行うとともに、就労に有利な資格や技能習得のための支援を行いま
す。
また、高等技術専門校において、就労経験のない、または就労経験に乏しいひと
り親等を対象として、安定した職業に就くことができるように、就職への意識啓発
を目的とした準備講習付き訓練を組み合わせたパソコン実務等、経理事務等の就業
に求められる能力を身につけることができる職業訓練を民間教育訓練機関等に委託
して実施します。
32
(3)様々な労働問題への対応
①しごと相談・支援センターにおける労働相談への対応
解雇、労働条件、賃金や職場でのトラブルなどの様々な問題を解決するため、
「し
ごと相談・支援センター」に、社会保険労務士や弁護士など専門の相談員を配置し、
様々な相談に対応します。
②労働委員会等による紛争解決
個別労働紛争のあっせんを行う県労働委員会や熊本労働局など関係機関と連携し、
労使紛争の解決を図ります。
③法令遵守の取組み推進
国においては、企業に対する「労働時間の適正把握による賃金不払残業の解消」
「育児・介護のための両立支援制度を利用しやすい環境整備」
「派遣・請負求人等に
対する的確な斡旋及び指導監査等の強化」
「不安定な雇用形態に対する支援対策」
「若
者の使い捨てが疑われる企業への対応」等に取り組んでおり、県としても、労働相
談の現場や各種セミナー等により普及啓発を図っていきます。
④外国人技能実習制度の適正な実施
外国人や県内企業に対し、在留管理制度の理解を促進するとともに、技能実習の
適正な実施に務めます。
労働局や入国管理局と連携しながら「外国人雇用管理セミナー」等を開催して、
企業への外国人雇用の基本ルールの理解と適正な運用を推進します。
また、外国人の技能実習における技能の適正な取得を確保するため、熊本県職業
能力開発協会と連携して技能検定制度を適切に実施します。
(4)働き方改革の推進
①働き方改革の推進
労働局を中心に、県や熊本市、労使団体が参加する「働き方改革推進熊本地方協
議会」において、ワーク・ライフ・バランスの実現や長時間労働対策・年次有給休
暇取得促進施策等の働き方の見直し、非正規労働者の正社員転換・待遇改善等を推
進します。
②ワーク・ライフ・バランス23の推進
九州・山口の各県と連携し、毎年10月をワーク・ライフ・バランス推進月間と
して、各県共通の広報コンテンツを活用した普及啓発等を実施します。また、仕事
だけでなく、家庭や地域の生活も大切にする「熊本男ディ」を増やし、男性の意識
改革に取り組みます。
23
「仕事と生活の調和」と一般的に訳され、誰もが、仕事と、家庭生活、地域社会、個人の自己啓発等、様々な活動に自ら希望する
バランスで展開できる状態。
33
(5)従業員の処遇改善に向けた取組み
①誰もが働きやすい環境の整備
企業における労働環境や処遇の向上の取組みを支援するとともに、これらに積極
的に取り組む「ブライト企業」の認定や普及啓発・情報発信を通じて企業の魅力づ
くりを推進します。
②健康経営への取組み支援
従業員の効率的な働き方や健康増進を図るため、企業側へ普及啓発を行うなど理
解促進を図り、企業と従業員の相互理解のもとで健康経営に向けた取組みを推進し
ます。
③職場環境改善の取組み支援
快適な職場環境づくりを支援するため、企業等がメンタルヘルスやセクハラ・パ
ワハラ防止等をテーマとして実施するセミナーに対して講師派遣を行います。
また、ワーク・ライフ・バランスなど職場環境の整備に積極的に取り組む企業等
へアドバイザーを派遣します。
④非正規労働者の処遇改善等の推進
労働局を中心に、県や熊本市、労使団体が参加する「働き方改革推進熊本地方協
議会」において、非正規労働者の正社員転換・待遇改善等を推進します。
また、熊本労働局等関係機関と連携しながら、高等技術専門校での就業訓練、技
術講習、ジョブカフェでの若年求職者への正社員求人情報の提供、就職相談等を通
して、正規雇用希望者への支援を行います。
さらに、
「しごと・相談支援センター」において、賃金や労働時間等処遇に関する
相談に対応するとともに、キャリアカウンセリングの機会を提供し、正社員への転
換や就労などを支援します。
34
◎指標
現状(H27)
目標(H31)
152 団体
300 団体
233 人
0人
(H28.4.1)
(H32.4.1)
ファミリー・サポート・センター事業実施市町村数
27 市町村
31 市町村
住民が病児保育のサービスを利用できる市町村数
31 市町村
42 市町村
放課後児童クラブ実施市町村数
41 市町村
42 市町村
1,800 人/年
7,200 人/4 年
高齢者無料職業紹介所を通じた就職者数
434 人/年
650 人/年
障害者就業・生活支援センター利用者の一般事業所への就職件数
235 人/年
1,054 人/4 年
59%
83%
(H25)
(H30)
39 社/年
200 社/5 年
48.5%
70.0%
女性の社会参画加速化自主宣言または女性活躍推進法に
基づく一般事業主行動計画策定を行った事業所・団体数
保育所等利用待機児童数
ジョブカフェ利用者における就職決定数【再掲】
母子家庭等就業・自立支援センター事業による求職登録者数
のうち就業者数の割合
ブライト企業認定数【再掲】
民間事業所におけるワーク・ライフ・バランスの認知度
35
4 産業・復興人材の育成
∼熊本の復興及び将来を担う人材を育てます∼
復興に向けて特に必要とされる建設分野をはじめ、医療、福祉、ものづくりなど人材が
不足している分野や、新たな情報技術や成長分野など地域の産業ニーズに応じて、熊本地
震からの復興や本県の産業を担う人材の育成に取り組みます。
また、勤労観・職業観の醸成や必要な能力の習得等、幼年期からのキャリア教育を推進
するとともに、企業、学生双方にとって有益となるようなインターンシップ等を実施し、
将来の熊本を担う人材を育成します。
≪施策体系≫
(1)地域の産業ニーズを踏まえた人材の育成
産業・復興人材の育成
(2)公的職業訓練及び事業主等が行う職業能力開発の促進
(3)技能振興及びキャリア教育 ・職業教育の充実、強化
(4)産学官が連携した人材育成の推進
36
(1)地域の産業ニーズを踏まえた人材の育成
①新たな情報技術(IoT、AI 等)や成長分野・ものづくり分野等に対応した人材の育成
IoT(インターネットオブシングス)24、AI(人工知能)
・ロボット技術、ビッ
グデータ等の社会への普及を見据え、IT、ソフトウェア、システム技術に関する
人材の育成を促進します。
また、「熊本県産業振興ビジョン2011」の重点成長5分野25や地域創生人材育
成事業を活用した人材育成等を推進します。
24
25
ア
新たな情報技術(IoT、AI 等)に対応した人材の育成
IoTに関するコーディネーターの配置や人材育成を進め、IoT等の戦略的
活用による産業技術の高度化を図ります。
また、技術短期大学校(電子・情報系学科)では、電子・情報系の幅広い分野
で活躍できる技術者を育成するとともに、企業のニーズに応じ、ITに関連した
在職者訓練を実施します。
さらに、地域創生人材育成事業(厚生労働省からの受託事業)により、県内I
T関連企業・団体と連携し、県内の離職者や首都圏を中心としたUIJターン希
望者、在職者及び学卒者を対象にスキルアップを見据えた研修と雇用型の現場実
習を併用した訓練を行います。
イ
重点成長5分野を支える人材の育成
「セミコンダクタ関連分野」では、実践的な研修講座の開設や、優秀な理工系
学生の県内就職促進に向けた地域企業の認知度向上に取り組みます。また、製品
開発力やマーケティング力の向上に向け、設計から販売までをトータルでコーデ
ィネートできる中核技術者の育成を支援します。
「モビリティ関連分野」では、生産現場の工程改善や品質管理技術に関する研
修の実施等による人材育成を推進するとともに、大手自動車産業の退職者等の再
就職を促進します。
「クリーン関連分野」では、水素エネルギーの活用及び産業化に向けた人材育
成並びに有機エレクトロニクス関連分野の人材育成を推進します。
「フード&ライフ関連分野」では、製品開発力やマーケティング力の向上に向
け、設計から販売までをトータルでコーディネートできる中核技術者の育成を支
援します。
「社会・システム関連分野」では、IoT、AI・ロボット技術、ビッグデー
タの活用等の普及を見据え、IT、ソフトウェア、システム技術に関する人材の
育成を促進します。
ウ
地域創生人材育成事業(厚生労働省からの受託事業)における取組み
若者の流出抑制、還流促進につながるIT分野や、女性の活躍の場を広げるB
コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中の様々な製品(モノ)に情報通信機能を持たせ、インターネットや相互通
信による自動認識、自動制御、遠隔計測などを行うもの。
「熊本県産業振興ビジョン2011」
(平成 22 年 12 月策定)の中の重点戦略の1つとして、今後成長が期待できる「セミコンダク
タ関連分野」
、「モビリティ関連分野」
、「クリーン関連分野」
、「フード&ライフ関連分野」、
「社会・システム関連分野」の5分野を重
点成長分野として設定。
37
PO・コールセンター分野、人手不足が深刻となっている介護分野、建設分野に
おいて関係機関と一体となって人材育成カリキュラムの開発及び人材の育成に
取り組みます。
また、当該業種における新規労働者の増加及び非正規労働者の正規雇用への転
換を図ります。
エ
ものづくり人材の育成
熊本県職業能力開発協会と連携して企業や専門高校等の若年技能者を育成する
ため、ものづくりマイスターを派遣して実技指導を行い、技能の継承および後継
者の育成を図ります。
また、高度な技能を有する技能士の育成を図るため、技能向上につながる資格
取得や技能競技大会出場について支援します。
②医療・福祉・建設分野等人材が不足している分野における人材育成
ア 医療分野における人材育成
新人看護職員研修を実施する医療機関への補助や、専門性の高い看護職員の養
成支援等を行うことで、看護職員の人材育成を図ります。
また、医師の研修体制の整備、指導医の養成等により、医師の人材育成を図り
ます。
イ
福祉分野における人材育成
現任の介護職員、保育士等に対して新任研修や専門研修等を実施する団体への
補助等を通して、人材育成を図ります。
ウ
建設分野における人材育成
人材育成機関の設置の検討や教育機関等への支援、資格取得の支援等により、
技術者・技能者等の育成を推進します。
また、建設事業に携わる若年者の在職者を対象に、複数の専門工事業に係る知
識・技能の習得による「多能工」の育成を、躯体工事業種から先行して実施し、
そのノウハウを他業種にも波及させます。
エ
農林水産業の「担い手」となる人材育成
親元就農や、新規参入など農業を志す若者が円滑に就農・定着するよう、相談
から就農後の定着までをトータルして支援する「熊本型農業者育成」の仕組みを
構築するとともに、研修を行うJAなどの関係機関の取組みの支援等を行います。
また、林業や水産業では、担い手の確保のため、関係団体や市町村、教育機関
等と連携した就業支援体制を整備するとともに、就労環境改善などに取り組みま
す。
38
③中小企業の人材育成
ア 創業、事業承継、経営革新等の支援
生産性向上や高付加価値化等を図るため、商工団体等と連携し、事業者向けの
セミナー等の開催や専門家の派遣等により、事業者の創業、事業承継、経営革新
等を支援します。
イ
中小企業のものづくり人材育成の支援
県産業技術センターにおいて、中小企業技術者等の技術力向上を図るため、情
報デザイン、生産・電子、材料開発、食品加工等の講習会や講演会等を実施しま
す。
ウ
企業内人材育成の促進
熊本職業能力開発サービスセンターと連携し、企業内において人材育成を中心
的に担う職業能力開発推進者の選任を奨励するとともに、労働者の職業能力の開
発及び向上を段階的かつ体系的に行うための事業内職業能力開発計画の策定を支
援します。施策の推進にあたっては、キャリア形成促進助成金等人材育成に係る
各種助成金の活用を促し、実効性の確保に努めます。
また、職業人生の節目において、これまで培った能力を客観的に見つめ直すキ
ャリアコンサルティングを推進するとともに、生涯を通じたキャリア・プランニ
ング及び職業能力証明のツールとしての機能を担うジョブ・カードの普及を促進
します。
(2)公的職業訓練及び事業主等が行う職業能力開発の促進
①公的職業訓練の推進
現在、公的職業訓練については、国は、全国規模で必要とされるものづくり分野
等の職業訓練を、都道府県は、地域の産業における人材ニーズに応じた職業訓練を、
民間教育訓練機関は、介護分野や情報通信分野などの職業訓練を役割分担の下に実
施しています。
県の職業能力開発施設である技術短期大学校(高度職業訓練)及び高等技術専門
校(普通職業訓練)では、本県の地域産業や企業を支える人材育成の中核施設とし
て次の方向で公共職業訓練を推進するとともに、各校に関する情報発信等により入
学者の確保に努めます。
ア
学卒者訓練の充実
【技術短期大学校における企業ニーズに応じた人材の育成】
地域産業の高度化、高付加価値化に対応できる高度な技能及び知識を備えた実
践技術者育成を図るため、企業ニーズに応じたカリキュラムの見直しや、接続教
育の強化、専門基礎科目及び実技科目の拡充に向けた教育環境の整備を図ります。
また、地域自治体と包括連携協定を締結し、人材育成や教育、産業振興、地域
づくりなどの様々な分野において、互いに協力することとしています。
39
技術短期大学校の学科と訓練概要
学科名
訓練概要
定員
訓練期間
精密機械技術科
機械設計基礎をベースにして、機械加工、組立の実技経験
を高め、その応用として、さらに高度なCAD/CAM技術を
駆使できる精密機械設計製作技術を習得し、自動車部品、
金属製品、プラスチック製品などの製造に携わる人材の育成
を目指します。
25名
2年
機械システム技術科
機械設計基礎をベースにして、機械加工・組立の基礎実技
を身に付けたうえで、機械の制御技術を含めたメカトロニクス
機械装置の設計製作にかかわる技術全般を習得し、機械、
電気・電子部品、食料などの自動化製造装置の製作に携わ
る人材の育成を目指します。
25名
2年
電子システム技術科
自動車、家電、スマートフォンなどの組み込みシステム開発
技術、マイコン、パワー半導体などのデバイス製造技術な
ど、ハードウェアをベースに、ソフトウェアと一体となったエレ
クトロニクスシステム技術を習得し、電子回路・基板設計、電
子デバイス製造、家電・電子機器など、電子技術応用製品の
製作に携わる人材の育成を目指します。
25名
2年
情報システム技術科
電気・電子のハードウェア技術をベースに、スマートグリッ
ド、クラウドコンピューティングなどの情報社会インフラ関連
技術、情報セキュリティ技術などのソフトウェア技術を習得
し、情報システム設計・構築、ソフトウェア開発などの情報処
理分野から、電子部品、機器製造および化学製品製造など
幅広い分野で情報システム構築に携われる人材の育成を目
指します。
25名
2年
【高等技術専門校における地域ニーズや技術革新に応じた人材の育成】
地域産業から求められる技術・技能のニーズに対応した即戦力となる中堅技術
者・技能者を育成するため、中卒者及び高卒者を対象とした学卒者訓練において、
さまざまな材料・工具・機械を活用した訓練や関連資格の取得支援等を行い、訓
練内容を充実させます。
高等技術専門校の学科と訓練概要
学科名
訓練概要
定員
訓練期間
自動車車体整備科
ガソリン、ジーゼル、ハイブリッド及びEV車両の全般
的な整備技術とボデー修正・板金・溶接・塗装等の一
連の車体整備の技術訓練を行い、総合的な自動車整
備技術者を育成します。
15名
3年
電気配管システム科
電気設備の施工技術や制御技術等、空調設備や給
排水設備・ガス設備等の施工技術の訓練を行い、電気
及び配管工事の建築設備技術者を育成します。
20名
2年
総合建築科
木造建築を中心に、木材加工・組立等の技術訓練を
行い、木造建築技術者を育成します。
15名
2年
販売実務科
知的障がいのある方に対して、職業に関する基本的
な知識・技能の習得と労働に耐えうる体力づくり、あい
さつなどの社会生活に必要なマナーの訓練を行い、就
労につなげます。
40
13名
3名
1年(4月開始)
1年(10月開始)
イ
在職者訓練推進体制の強化
技術短期大学校及び高等技術専門校では、企業における職業能力開発への支援
強化として、個々の中小企業では難しい在職者の技能向上を目的とした在職者訓
練を実施します。
また、熊本職業能力開発促進センターや中小企業大学校、
(公財)くまもと産業
支援財団、大学、高専等で実施されている在職者を対象とした職業訓練等事業に
ついて、互いに連携を図りながら、オーダーメイド型の訓練や訓練指導員の企業
への派遣等を含めた在職者訓練を実施します。
ウ
多様な求職者に対する訓練の充実
高等技術専門校では、地域産業のニーズや今後成長・雇用が見込まれる分野の
離職者訓練を充実させます。
また、熊本職業能力開発促進センターが実施する離職者訓練や、民間教育訓練
機関が実施する求職者支援訓練と連携し、多様化する求職者の訓練ニーズに対応
します。
エ
障がい者、ひとり親等特別な支援を必要とする人への職業訓練の実施
高等技術専門校で実施する障がい者訓練やひとり親等特別な支援を必要とする
人への職業訓練については、企業ニーズ、就労ニーズを把握のうえ、ハローワー
ク等との連携のもと就労につながるよう取組みを推進します。
②公共職業訓練及び求職者支援訓練に係る総合的な計画の策定
離職者等がそれぞれのニーズ・状況に応じて多様な訓練機会を得ることができる
ように、県が策定していた公共職業訓練の実施に関する計画と国により策定されて
いた求職者支援訓練の実施に関する計画を一体化した総合的な計画を策定するとと
もに、労働局の「地方人材育成対策担当官」と連携のうえ効果的に実施します。
③地域コンソーシアムによる観光・農業分野等の人材育成
地域の関係機関が協働(地域レベルのコンソーシアム)で、地域の企業ニーズを
踏まえた職業訓練コースの開発及び検証並びに普及等を行います。
・ 観光分野と農業分野に関する離職者向け職業訓練コースを開発し、普及します。
・ 電気系分野の在職者向け職業訓練コースを開発し、職業能力開発施設において実
施します。
④職業能力開発校の集約化
技術短期大学校(菊池郡菊陽町)と高等技術専門校(熊本市南区)について、連
携強化や各校の取組みの充実を図るための集約化を検討します。
⑤認定職業訓練事業の推進
中小企業の事業主やその団体等が実施する認定職業訓練は、事業主等のニーズに
応じた訓練が可能であるため、関係団体と連携して、引き続き支援を行います。
なお、H28.12.1 現在、知事の認定を受けて職業訓練を実施している認定職業訓練
41
校は、単独施設で7校、共同施設で19校です。
(3)技能振興及びキャリア教育26・職業教育の充実、強化
①技能の振興・継承
ア 技能尊重気運の醸成
技能五輪大会、障がい者技能競技大会、若年者ものづくり競技大会、技能グラ
ンプリ等各種技能競技大会への出場を奨励・支援し、技能者等の技能向上を図る
とともに、知事表彰等を通して技能の重要性や必要性を広く県民に周知し、技能
尊重気運の醸成を図ります。
また、熟練技能士等による作品の展示、製作実演、ものづくり体験教室等の技
能イベント(くまもと技能祭、匠の技展等)を通じて、若者をはじめとした県民
に、ものづくりの楽しさや大切さを発信し、技能継承、後継者育成・確保を図り
ます。
イ
優秀技能者等の表彰
優秀技能者、技能尊重推進功労者、認定職業訓練関係功労者及び認定職業訓練
関係優良職員等の知事表彰を実施します。
また、叙勲・褒章、職業能力開発関係及び卓越した技能者に対する厚生労働大
臣表彰に積極的に候補者を推薦します。
さらに、職業能力開発促進月間(11 月)に合わせて熊本県職業能力開発促進大
会を開催し、優秀技能者や技能功労者の知事表彰に加え、熊本県職業能力開発協
会長表彰、(一社)熊本県技能士会連合会長表彰を行います。
ウ
職業能力評価の推進
労働者の職業能力を適正に評価し、技能士の社会における地位の向上や処遇改
善を促進するため、熊本県職業能力開発協会等と連携して、技能検定制度の更な
る普及に取り組みます。
②技能士等を活用したものづくり教育の推進
ア ものづくり教育の推進
ものづくりに触れる機会を増やし、ものづくりの重要性や魅力を広く県民に理
解してもらうことにより、若年者のものづくり離れの解消や後継者育成を推進し
ます。
・ 熟練技能士等による作品の展示、製作実演、ものづくり体験教室等の技能イベ
ント(くまもと技能祭、匠の技展等)を通じて、若者をはじめとした県民に、も
のづくりの楽しさや大切さを発信します。
・ 技術短期大学校及び高等技術専門校では、オープンキャンパスにおけるものづ
くり体験教室の開催や科学の祭典等の技能関係イベントへの参加等を通じて、も
のづくり教育を推進します。
・ 熊本県職業能力開発協会と連携して、ものづくりマイスターを活用したものづ
26
一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育
42
くりの魅力を発信するためのイベント開催や、小中学校等の児童生徒を対象とし
たものづくり体験等の取組みを推進します。
イ
若者が技能者を目指す取組みの推進
熊本県職業能力開発協会と連携して企業や専門高校等の若年技能者を育成する
ため、ものづくりマイスターを派遣して実技指導を行い、技能の継承および後継
者の育成を図ります。
③キャリア教育の推進
ア 発達段階に応じたキャリア教育の推進
幼児、児童生徒一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、発達段階に応じて必
要な基盤となる能力や態度を育てることを通してキャリア発達を促します。
また、実践的指導力の向上を図るため、キャリア教育研修会を開催します。
27
イ
「子どもたちの夢を育む教育」の推進
知事自らの体験を通じて、
「夢を持つことの大切さ」を児童生徒に直接伝えるこ
とにより、児童生徒が夢を実現するために意欲的に学校生活に取り組む態度を養
います。
また、スポーツや芸術、ビジネスやものづくりの分野など、各界における第一
人者を招き、講話等を行うことにより、児童生徒の人生観や職業観を養い、意欲
や自主性の向上を図ります。
ウ
高校生インターンシップの推進
高等学校において産業界と連携したインターンシップを実施することにより、
生徒の勤労観や職業観を醸成し、自己の職業選択や将来設計について主体的に考
える力を育成します。
エ
理工系技術者の育成
理科教育や工業の先端技術等に興味を持つ高校生を東京大学に派遣するととも
に、東京大学から講師を招聘し、理工学系の特別授業を行うことで、将来を担う
理工系技術者を育成します。
オ
大学生インターンシップの推進
キャリア教育の更なる充実のため、「大学コンソーシアム熊本27」が行うインタ
ーンシップなど、県内大学生のインターンシップの推進を図るための支援を行い
ます。
カ
若者の創造能力とベンチャー精神の育成
大学生等の若者からビジネスプランを募集し、優れたプランについて支援する
ことにより、若者の創造能力とベンチャー精神の育成を図ります。
熊本県内にある大学・高専等が協力して、高等教育機関の教育・研究の充実を図ることにより、地域の行政や産業界と連携しながら
地域社会の教育・文化の向上・発展に貢献し、あわせて熊本の教育環境の向上に寄与することを目的とした組織。
43
キ
行政・産業界が行うキャリア教育応援システムの推進
本県においては、学校が行うキャリア教育を支援するため、平成 19 年度からキ
ャリア教育に無償で協力する事業所(「くまもとキャリア教育応援団」という。)
を登録し、ホームページを通じて学校へ情報提供を行っています。
今後とも、キャリア教育における外部人材の活用等、学校のニーズにしっかり
と対応できるように、行政・産業界のキャリア教育応援システムを構築し、学校
と企業との関わりを強化し、キャリア教育の一層の充実を図ります。
④多様なインターンシップの推進
ア インターンシップの更なる推進
県内企業と学生が相互理解を深める機会を提供し、県内企業への就職につなげ
ることにより、県内企業の人材確保を支援するとともに、学生の早期離職を防止
するため、合同企業見学会や春季インターンシップを行い、雇用のミスマッチ解
消を図ります。
イ
産業界から教育界への情報発信の強化
若者の採用やインターンシップ等による若者の人材育成に積極的な企業の情報
発信を強化し、地域中小企業の魅力を県内の若者へ伝える取組みを推進します。
また、産業界からの情報発信がメーンとなるインターンシップの実施を促進し
ます。
ウ
広域インターンシップの推進
経済活動が県域を越えて行われている中、九州地域の大学等で学ぶ学生がイン
ターンシップの体験先を地元企業だけでなく九州広域で選択できる体制を整備す
ることにより、将来の九州地域を担う人材を九州広域で協力して育成します。
(4)産学官が連携した人材育成の推進
①熊本県地域訓練協議会による公的職業訓練の推進
県内の有識者、労使団体その他産業界関係者、福祉関係、教育・教育訓練機関及
び行政機関で構成する「熊本県地域訓練協議会」により、熊本県における公共職業
訓練と求職者支援訓練(公的職業訓練)について、地域における求職者の動向や訓
練ニーズに対応した訓練実施分野及び規模の設定について協議するとともに、訓練
実施機関の開拓や地域の関係機関の連携方策等について企画・検討を行います。ま
た、公的職業訓練に係る総合的な計画の検討の場として活用していきます。
②地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)の推進
熊本大学をはじめとした参加大学、業界団体及び企業等と連携し、
「“オール熊本”
で取り組む熊本産業創生と雇用創出のための教育プログラム」
(地(知)の拠点大学
による地方創生推進事業(COC+))に取り組みます。この事業では、雇用の創出を
目的として、県の主要産業である製造業と農林水産業の振興、及びその施策に絡め
た人材育成教育を行います。
44
③九州・山口が一体となった「産業人財育成プロジェクト」の推進
高校・大学等教育機関、産業界、行政機関等が連携してデュアルシステムや長期
インターンシップ等の人材育成に取り組み、九州・山口のネットワーク内で優良事
例等の横展開を図ることで、九州・山口地域の若者の人材定着を図ります。
④地域創生人材育成事業(厚生労働省からの受託事業)における取組み【再掲】
若者の流出抑制、還流促進につながるIT分野や、女性の活躍の場を広げるBP
O・コールセンター分野、人手不足が深刻となっている介護分野、建設分野におい
て関係機関と一体となって人材育成カリキュラムの開発及び人材の育成に取り組み
ます。
また、当該業種における新規労働者の増加及び非正規労働者の正規雇用への転換
を図ります。
⑤地域に根差したグローバル人材の育成
産学官が連携して、大学生等に対し、インターンシップを組み合わせた実践的な
海外留学を支援し、地域に根差したグローバル人材の育成に取り組みます。
◎指標
現状(H27)
目標(H31)
高等技術専門校及び技術短期大学校の就職率
100%
100%
離職者委託訓練就職率
80%
80%
45.2%
60%
1,471 人/年
5,900 人/4 年
68.2%
70%
障がい者委託訓練就職率
県職業能力開発協会が行う技能検定の合格者数
インターンシップを体験した県立高校生(全日制)の割合
45
第5章 計画の着実な推進に向けて
1
国の機関との連携・協力
県ではこれまでも国の労働行政機関である熊本労働局やその出先機関であるハロー
ワークなどと連携し、様々な労働政策に取組んできました。
平成25年度からは、
「熊本県しごと相談・支援センター」を水道町ハローワークと
同じフロアで運営(愛称:くまジョブ)することにより、県が実施する就労支援業務
と、ハローワークによる職業紹介業務を一体的に実施し、求職者に対するサービスを
ワンストップで提供しています。
また、平成28年1月には、熊本労働局、県、県教育委員会の三者で「熊本県雇用
対策協定」を締結しました。これにより、全国ネットワークで雇用対策等を行う国と、
地域の実情に応じた労働政策等を行う県、将来を担う人材を育てる県教育委員会がそ
れぞれの強みを活かして、密接な連携のもと、効果的・一体的に施策を実施すること
により、県経済の発展と県民のくらしの向上を図ることとしています。
さらに、同年5月に成立した第6次地方分権一括法により職業安定法・雇用対策法
が改正されたことで、国と地方との連携を抜本的に拡充した新たな雇用対策の仕組み
が構築されました。
2
計画期間中の施策の進め方
前回のプランでは、
「産業人材の育成」
「就労支援」
「労働環境の整備」の3つを施策
の基本方向として取り組んできました。
今回の計画期間中は、熊本地震からの復旧・復興と、少子高齢化や県内若者の流出
により県内の労働力が不足している状況に対応するため、「平成 28 年熊本地震からの
復旧・復興プラン」及び「熊本復旧・復興4カ年戦略」を踏まえた取組みを進めると
ともに、関連する分野の県の個別計画と連携して施策を推進します。
なお、施策の推進にあたっては、国や県、市町村の関係機関及び教育機関はもとよ
り、経済団体、労働団体、企業、NPO法人等関係者の主体的な取組みや協力が不可
欠です。県としては、各関係者に求められる役割を念頭に置き、密接に連携しながら
施策の推進にあたります。
3
計画の進行管理
本計画の推進に当たっては、毎年度、計画に掲げた取組み施策の実施状況、指標の
達成状況等の進行管理を行います。
また、労使及び学識経験者で構成する「熊本県労働審議会」に諮り、取組に対する
意見や提案をいただきながらフォローアップを行い、更なる施策の充実、展開につな
げます。
46
熊本県労働審議会委員(H28.7.1∼H30.6.30)
氏
名
井寺
美穂
今野
学識経験 者
中内
えり子
林
哲
早田
前田
役
熊本県立大学総合管理学部講師
熊本県有明障害者就業・生活支援センター長
熊本大学法学部教授
裕
熊本学園大学商学部教授
京子
熊本県フラワー装飾技能士会長
克
熊本日日新聞社論説委員
事業主代 表
松永
涼子
熊本労働局雇用環境・均等室長
岩永
一宏
熊本県建設業協会副会長
加島
裕士
熊本県経営者協会専務理事
田中
稔彦
熊本県工業連合会幹事長
西村
まりこ
職
株式会社辰グループ専務取締役
労働者代 表
児玉
智勝
日本労働組合総連合会熊本県連合会副事務局長
七種
健一
雇用支援機構労働組合熊本支部長
境
森田
徳幸
操
自治労熊本県本部執行委員長
日本労働組合総連合会熊本県連合会女性委員長
47