ナミビア月報 (2016年11月) 在ナミビア日本国大使館 【内政】 ●干ばつ非常事態宣言は年度末まで継続 ●土地法案撤回 ●国民議会休会 【外交】 ●トランプ氏に祝意 ●ガインゴブ大統領、仏及び英へ公式訪問 ●歴代3大統領、カストロ・キューバ前国家評議会議長葬儀に参列 【経済】 ●ガソリン価格据え置き ●海底リン酸塩(phosphate)採掘許可問題、法廷闘争へ。環境・観光省ひとまず許可を撤回 ●民間テレビ会社「One Africa」 、報道番組制作から撤退 ●ナミビア中央銀行、2016年の経済成長率を2.5%へ大幅下方修正 ●ナミビア初の投資誘致会議(Invest in Namibia)開催 ●10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比 7.3% ●ニューカッスル病により死んだ鶏の数 4000 羽以上に 【社会】 ●ナミビアの在留中国人は約10万人 ●ナミビアの貧困率は18% 1.内政 ●干ばつ非常事態宣言は年度末まで継続 24日、クーゴンゲルワ=アマディーラ首相は、議会において、6月にガインゴブ大統 領によって発出された干ばつに関する非常事態宣言は、本年度末まで4ヶ月間延長される と述べた。 ●土地法案撤回 24日、ヌヨマ土地改革大臣は、先に議会に提出した土地改革法案の撤回を表明し、再 検討の上、来年再度提出する旨述べた。11月半ばに議会に提出された同法案には、農地 1 の外国人所有を禁じる等機微な事項を含んでいるが、それ以外にも多くの問題点が議会で の審議で明らかになり、ヌヨマ大臣としても再考を余儀なくされたもの。 ●国民議会休会 24日、国民議会第6次議会第4会期終了。次期会期開催は明年2月。 2.外交 ●トランプ氏に祝意 9日、前日の米国大統領選挙で勝利したトランプ氏について、ナンディ=ンダイトワ副 首相兼国際関係・協力大臣はその勝利を祝すと共に、米国大統領が民主・共和どちらの党 の人物がなろうとナミビア・米間の堅固な二国間関係は揺るがないと述べた。 ●ガインゴブ大統領、仏及び英へ公式訪問 27日、ガインゴブ大統領は、ナンディ=ンダイトワ国際関係・協力大臣、シュレット ヴァイン蔵相、ムトルワ農業・水・森林大臣他を伴い、仏及び英への公式訪問に出発した。 仏滞在は29日まで。英国滞在は1日まで。 ●歴代3大統領、カストロ・キューバ前国家評議会議長葬儀に参列 29日にハバナで執り行われたカストロ・キューバ前国家評議会議長葬儀に、仏訪問中 のガインゴブ大統領は現地日程を切り上げて参加。また、本国からもヌヨマ初代大統領、 ポハンバ第2代大統領及びムブンバSWAPO幹事長が葬儀に参列。ガインゴブ大統領は その弔辞において、ナミビアの独立闘争に私心なく支援してくれた偉大なる功績者として カストロを讃えた。ヌヨマ、ポハンバ両元大統領もキューバにおいて軍事訓練を受けた経 験がある。 3.経済 ●ガソリン価格据え置き 鉱山・エネルギー省は、11月のガソリン価格を10月に続き据え置くと発表。無鉛ガ ソリンは N$10.48/l、また、ディーゼルは N$10.28/l(Diesel 500pm)及び N$10.33/l(50ppm) のまま。 ●海底リン酸塩(phosphate)採掘許可問題、法廷闘争へ。環境・観光省ひとまず許可を撤回。 先月顕在化した本件問題に関し、1日、水産関連業界3団体及び民間水産会社1社は環 境・観光省を相手取り、9月にオマーン関連会社に発出された環境クリアランスの無効及 び撤回を求める訴えを高等裁判所に提出した。 2日、シフェタ環境・観光大臣は、9月5日に発出した環境クリアランスを一旦撤回し、 向こう6ヶ月間改めて関係業界等とのコンサルテーションを実施する旨発表。これにより、 先月大統領の裁断で7日に予定された特別閣議は中止となった。 2 3日付ナミビアン紙は、開催中の与党SWAPO政策会議の場において、ヌヨマ初代大 統領がエサウ漁業・海洋資源大臣を支持し、海底リン酸塩採掘問題に反対する意を示した と報道。前日のシフェタ大臣の環境クリアランス撤回等の背景にはヌヨマ元大統領の強い 影響力があることを示唆した。 ●民間テレビ会社「One Africa」 、報道番組制作から撤退 2日、ナミビアで最初で唯一の民間テレビ局「One Africa」は、経費削減の観点から、 14年間継続してきた報道番組自社制作から撤退すると発表。これにより、報道部員12 名が解雇に。 ●ナミビア中央銀行、2016年の経済成長率を2.5%へ大幅下方修正 3日、ナミビア中央銀行はメディアリリースを発出し、2016年の経済見通しを7月 に発表した4.4%から2.5%へ大幅に下方修正した。ダイヤモンド、建設、水関連分 野の停滞、政府支出削減等を経済鈍化の主要原因と分析する一方、2017年は4.0% に回復するとの見通し。 ●ナミビア初の投資誘致会議(Invest in Namibia)開催 8~9日の二日間、ウィントフック市内ホテルにおいて、「Invest in Namibia」と題す る大型投資誘致会議が開催された。ガインゴブ大統領以下殆どの経済閣僚が出席するなか、 独、英、仏、米、トルコ等欧州諸国、中、印、マレーシア等アジア諸国などの企業関係者 を含む国内外 1000 名を越える参加者を得て大々的に行われた会議では、具体的にいくつか のMOUが締結されるなど、ナミビア政府は大成功と評価。ただし、来年以降も継続する か否かは未定。 ●10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比 7.3% 10日に国家統計局(NSA)が公表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比 7.3% で、前月より 0.4%ポイント上昇。 ●ニューカッスル病により死んだ鶏の数 4000 羽以上に 15日、カシータ農業・水・森林省次官代理は、8月に北部3州(オムサティ、オハン グウェナ、オシコト)で発生したニューカッスル病で死んだ鶏が 4000 羽を越えたと発表。 上記 3 州を対象に生きた鳥類(鶏、鴨、ほろほろ鳥、鳩等)及びそれらの生卵等の異動を 禁ずる措置は継続中。 4. 社会 ●ナミビアの在留中国人は約10万人 18日付ウィントフック・オブザーバー紙は、内務省スポークスマンの話として、ナミ ビアの在留中国人は約10万人であると伝えた。同スポークスマンによれば、その多くが 3 建設関係の事業ため労働査証を得て入国し、その多くが既に永住権を得ている。また、労 働査証はナミビア人が有しない特殊技能を持った者に対して正式な手続きで発給されてお り何ら問題ないとの見解。これに対して野党関係者は10万人全員がナミビアにない特殊 技能を有しているとは到底考えられないとして、政府の入国管理制度を批判した。 ●ナミビアの貧困率は18% 24日、ナミビア国家統計局(NSA)は、5年毎に実施している家庭収入・支出調査 (Naibia Household Income and Expenditure Survey:NHIE)の2015/2016年度調査 に関し、ナミビアの貧困率に関する速報値を公表し、過去5年で貧困率が28.7%から 18%へ大幅に減少。また、同じくジニ係数は0.597から0.572へ、やや改善。 なお、最終報告書は来年2月にまとめられる予定。 (貧困率速報値)(カッコ内は2009/2010年調査時の数字) 貧しい(poor):18%(28.7%) うち、非常に貧しい(severely poor):11%(15.3%) うち、極めて貧しい(extremely poor):5.8%(7.3%) (注1)NSAによる定義 Poor:基礎的食糧・生活必需品を購入できる月収入が520.80ナミビアドル未満 Peverely poor:同389.3ナミビアドル未満 Extremely poor:同293.1ナミビアドル未満(293.1ナミビアドルは一日に摂取必要な 2100カロリーの食糧を購入することができる金額) (注2)1米ドル=約14ナミビアドル これに対し、12月5日付当地ナミビアン紙は、首都ウィントフックでは基礎的食糧等 を購入するには月収10,000ドルは必要でありNSAの定義は現実を反映していない、昨年 FAO/WFPが公表したナミビアの飢餓率は43%であり、わずか「人口の18%が貧 しい」という結果は矛盾している、そもそもNSAは政府から様々な圧力を受けており、 GDPなどで政府にとって受け入れやすい数字がでやすい等、様々な識者の意見を掲載し た。 (了) 4
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