展 望 - JA 全中

本年が、より良き農・食・地域の実現の年に ◆ Outlook by Shigeshi Oonishi
展 望
JAの進むべき道
本年が、より良き農・食・地域の実現の年に
平成28年(ひのえさる)
、地震や
取りまとめを経て、数値目標や年限
台風被害など波乱の年が終わった。
などは削除され、これまで議論を進
年初よりJAグループは、第27回J
めてきた改革に関することのみが盛
A全国大会決議の「農業者の所得増
り込まれた。政府は、この内容を含
大」
「農業生産の拡大」
「地域の活性
む農業競争力強化プログラムなど農
化」のためJAの営農経済を中心と
林水産業・地域の活力創造プランの
する創造的自己改革の実践が全国各
地で取り組まれた。 9 月には、これ
を後押しする政策等の確立を図るた
大西茂志
(JA全中常務理事)
改訂を行うに至った。
引き続き平成29年も、米国のトラ
ンプ新大統領就任など世界的な政
め産業政策のみならず地域政策を含む「JA
治・経済の不安定、わが国の経済も不透明、
グループの取り組みと提案」を決定し、10月、
加えてさまざまな自然災害も想定され、組合
政策シンポジウムの開催など認識の共有、運
員も国民も、食と農、暮らし等将来に大きな
動展開、さらなる具体化・拡充を進めてきた。
不安を抱えている。
一方、政府・与党は、参議院選挙後、農林水
こうした中で、すでに昨年、国連は食、
産業骨太方針、環太平洋連携協定(TPP)関
農、経済成長などの「持続可能な開発目標
連法案と関連対策の具体化、農林水産業・地
(SDGs)
」を採択し、その際、協同組合が担う
域の活力創造プランの見直しに着手した。こ
役割を明記した。まさに、JAグループが協
の一環として、政府の規制改革推進会議農業
同組合として組合員とともに力を発揮する時
ワーキング・グループは、11月にJA全農の
が来た。自己改革の具体化と加速に向け、そ
生産資材価格形成の仕組み、流通・加工構造
の成果を組合員、地域にしっかり発信すると
の改革、生乳の指定団体制度の見直し、その
ともに、国民、他の組織や企業・団体との関
他JAの信用事業の半数の代理店化、クミカ
係強化、自己改革を後押しする法整備、中山
ン廃止などの意見を提出した。JAグルー
間地や地域に関する骨太の農業政策の具体
プは、早速、政府・与党、マスメディアに
化・確立を進めていく。これらに加え、今年
自らの改革の考え方、現場実態をあらゆる機
は農協法 5 年後検討条項を踏まえ組合員のメ
会に対話、説明、働きかけを行い、11月21
ンバーシップ強化、組合員の自己評価の実施
日には「JA自己改革等に関する与党との緊
などもスケジュール化し実現を進めていくこ
急集会」と決議が行われた。その後、与党の
とが必要な年ともなる。
2017/01
月刊 JA
15