和訳 平和首長会議による公開書簡 世界がとうとう声を上げました。12 月 23 日、「現在の国際環境のもとでは、軍縮・ 不拡散問題への政治的関心を高め、多国間軍縮を促進し、核兵器のない世界を達成す ることがますます緊急の課題となっている」ことが認識され、「核兵器を禁止し、最 終的にはその廃絶につながるような法的措置に関する交渉を行う国連の会議を 2017 年 に開催する」ことが賛成多数で決定されました。 「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」と訴えてきた広島・長崎の被爆者の切 実な願いに対し、国際社会の多数派はこの決議をもってようやく応える形となりまし た。162 カ国・地域の 7,196 の都市が加盟する超党派組織である平和首長会議は、こ の歴史的な決議を心から歓迎し、全ての国に対し、2017 年の会議に積極的に参加し、 真摯な姿勢で議論に取り組むよう要請します。 現存する 15,000 発以上の核兵器のほとんどは広島・長崎に投下されたものとは桁違い の威力を持っており、アメリカとロシアがその 90%以上を保有しています。それらは 都市と人間に容認しがたい脅威をつきつけています。核保有国は、世界の紛争地域に おける直接的な軍事活動にかつてないほど近づいており、ウイリアム・ペリー元米国 国防長官が「核兵器による大惨事が起こる可能性は冷戦時よりも高い」と評する事態 になっているのです。 こうした危険な環境にありながら、世界の安全保障体制は、相互不信を背景に「核抑 止力」という核兵器使用の脅しとそれに伴う言語に絶する恐怖にいまだ大きく依存し ています。しかし、核抑止政策は、現在の安全保障の課題に対して有効な解決策を提 供することはできません。核兵器は、テロの防止や、テロへの対処の役には立たず、 むしろその存在により、新たな使用のリスクを日々高めています。 また、国際情勢が混迷を深め、不透明性を増す中で、経済・外交両面で保守的・排他 的な考え方が広がっています。そうした状況の中にあるからこそ、各国が違いを乗り 越えて共通価値を創り出す粘り強い対話と協力により問題を解決していくことが肝要 となります。核兵器廃絶をめぐる議論も例外ではありません。今回の決議では、ほと んどの核保有国と「核の傘」の下にある国々は決議に反対しましたが、国際社会の多 くの国々が抱く切実な危機感を軽視するべきではありません。核保有国を含めすべて の国が交渉に参加することによって信頼醸成と建設的関与の機会が生まれ、国際的な 緊張緩和へとつながるでしょう。核保有国及びその核の傘の下にある国々には新たな 発想と果断なリーダーシップに期待します。 和訳 我々は、2017 年 3 月 27 日~31 日と 6 月 15 日~7 月 7 日、ニューヨークの国連本部で 開催される会議の場において、各国代表が協力的な対話を積み重ね、政治的な立場や 意見の相違を克服することで、核兵器のない世界に大きく歩を進めることを要請しま す。 平和首長会議は、幅広い市民社会のパートナーと共に、核抑止という人類滅亡につな がる脅しではなく、対話や相互理解、協力に基づく新たな安全保障の枠組み作りに向 けた世界の為政者のイニシアティブを支援します。今こそ、国、地方自治体と市民社 会の多様な構成員が一体となって核兵器廃絶に向け核兵器の法的禁止を進める時なの です。 2016年12月24日 平和首長会議 会 長 広島市長(日本) 副会長 長崎市長(日本) 副会長 ハノーバー市長(ドイツ) 副会長 ボルゴグラード市長(ロシア) 副会長 マラコフ市長(フランス) 副会長 モンテンルパ市長(フィリピン) 副会長 マンチェスター市長(イギリス) 副会長 アクロン市長(アメリカ) 副会長 イーペル市長(ベルギー) 副会長 ビオグラード・ナ・モル市長(クロアチア) 副会長 グラノラーズ市長(スペイン) 副会長 ハラブジャ市長(イラク) 副会長 ブリュッセル市長(ベルギー) 副会長 フォンゴトンゴ市長(カメルーン) 副会長 メキシコシティ市長(メキシコ) 副会長 フロン市長(ノルウェー) 理 事 バンコク知事(タイ) 理 事 フリマントル市長(オーストラリア) 理 事 セメイ市長(カザフスタン) 理 事 サラエボ市長(ボスニア・ヘルツェゴビナ) 理 事 コーチ市長(インド) 理 事 モントリオール市長(カナダ) 理 事 ウェリントン市長(ニュージーランド) 理 事 サントス市長(ブラジル) 理 事 カルタゴ市長(コスタリカ) 理 事 ボゴタ市長(コロンビア) 理 事 デモイン市長(アメリカ)
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