- 不斉シアノ化触媒 Catalyst for Asymmetric Hydrocyanation Asymmetric Cyanosilylation 不斉シアノ化触媒 この度弊社では、北海道大学 大熊教授らが開発した“不斉シアノ化触媒”を新たに発売します。こ の不斉シアノ化触媒は空気に安定で取り扱いが容易です。この錯体は単独では触媒作用を示しませ んが、塩化リチウム、炭酸リチウム、リチウムフェノキシドなどのリチウム源を反応系に添加し、リチウ ムと複合錯体を形成することで、高い触媒活性と立体選択性を示します。この触媒によりアルデヒド やケトンばかりでなく、これまで効率的な反応が知られていなかったα,β-不飽和ケトンやアルジミン類 も反応し、高い光学純度のシアン化物を容易かつ高収率で得ることができます1)。錯体の回収・再利 用も可能です。 製品リスト 製品名 Bis[(S)-phenylglycinate][(S)-2,2’-bis(diphenylphosphino)1,1’-binaphthyl]ruthenium(II) 製品番号 容量 価格 (¥) 05802-68 100 mg 11,000 05802-65 500 mg 32,000 05803-68 100 mg 11,000 05803-65 500 mg 32,000 05804-68 100 mg 11,000 05804-65 500 mg 32,000 05805-68 100 mg 11,000 05805-65 500 mg 32,000 【Ru[(S)-phgly]2[(S)-binap]】 C60H48N2O4P2Ru F.W. : 1024.21 CAS:1047973-22-7 Bis[(R)-phenylglycinate][(R)-2,2’-bis(diphenylphosphino)1,1’-binaphthyl]ruthenium(II) 【Ru[(R)-phgly]2[(R)-binap]】 C60H48N2O4P2Ru F.W. : 1024.21 CAS:1355996-69-8 Bis[(S)-phenylglycinate][(S)-2,2’-bis(di-p-tolylphosphino)1,1’-binaphthyl]ruthenium(II) 【Ru[(S)-phgly]2[(S)-tolbinap]】 C64H58N2O4P2Ru F.W. : 1080.28 CAS:1313202-56-0 Bis[(R)-phenylglycinate][(R)-2,2’-bis(di-p-tolylphosphino)1,1’-binaphthyl]ruthenium(II) 【Ru[(R)-phgly]2[(R)-tolbinap]】 C64H58N2O4P2Ru F.W. : 1080.28 CAS:- * 本製品は北海道大学および日本曹達㈱より「特許第5266495号」のライセンスを受け販売しております。 価格にはライセンス料を含んでおりますので、追加でライセンス料は発生いたしません。 本製品はバルクにも対応可能です。 α,β-不飽和ケトン類の不斉共役ヒドロシアノ化反応 本不斉シアノ化触媒とリチウムフェノキシド(C6H5OLi)から調製される触媒は、α,β-不飽和ケトン類の共役ヒドロシ アノ化に優れた触媒活性とエナンチオ選択性を示します。4-methyl-1-phenyl-2-penten-1-one の不斉共役ヒドロシ アノ化では、基質触媒比(S/C) 500、0 oCの温和な条件下で反応が速やかに進行し、96% ee のβ-シアノケトンを定 量的に与えます。基質によって反応性は異なりますが、触媒量をさらに低減できる場合もあります。基質一般性も高 く、医薬品中間体として有用なβ-シアノカルボン酸誘導体の合成に効果を発揮します2),3)。 ケトン類のシアノシリル化反応 本不斉シアノ化触媒は、リチウム源としてリチウムフェノキシド (C6H5OLi) と組み合わせることで、極めて高い触媒 活性を示します。これにより単純ケトン、ケトエステル、α-アミノケトン、α,α-またはβ,β-ジアルコキシケトンなど様々なケ トン基質の不斉シアノシリル化が、高効率、高エナンチオ選択的に進行します4),5)。例えばα-ケトエステルの不斉シアノ シリル化反応では、99%という極めて高い鏡像体過剰率で4置換シアノヒドリンシリルエーテルを与えます。基質触媒 比(S/C)を10,000とした場合でも反応は円滑に進行し、対応する化合物が良好な収率で得られます。また、基質適応 範囲が広いことも特徴です。触媒のアミノ酸配位子を変えることで、より高い選択性が得られる場合がありますので、 必要がありましたら弊社担当までお知らせください。 N -置換アルジミン類のヒドロシアノ化反応 イミン類のシアノ化反応は、Strecker反応として知られており、アミノ酸合成に有用です。本不斉シアノ化触媒をリチ ウムフェノキシド (C6H5OLi) と組み合わせることで、N‐置換アルジミン類の不斉ヒドロシアノ化が効率的に進行し、高 エナンチオ選択的に生成物を与えます。触媒活性は非常に高く、基質触媒比(S/C)5,000の条件でも、反応は2時間 以内にほぼ完結します。なおシアン化水素はガスを使用せず、トリメチルシリルシアニド((CH3)3SiCN)とメタノール等 を混合して、系中で発生させて使用することが可能です。N-Benzyloxycarbonyl (Cbz) 保護アルジミンだけではなく、 Boc、Bzなどの保護基をもつアルジミンでも反応が進行する他、芳香環上に置換基をもつアルジミン類や含複素環基 質、脂肪族アルジミン類も効率的に反応が進行します6)。なお、反応性の高い基質には、ルテニウム錯体と塩化リチウ ム (LiCl) の組合せが有効です。 アルデヒドのヒドロシアノ化反応 アルデヒドに対するヒドロシアノ化反応も良好な反応性、エナンチオ選択性で対応する化合物を与えます7)。上記 反応例は、あらかじめ不斉シアノ化触媒と塩化リチウム(LiCl)を反応させ、複合錯体として単離した錯体を反応に使 用していますが、系中で複合錯体を調製して反応を行うことも可能です。シアン化水素はガスを使用せず、トリメチル シリルシアニド((CH3)3SiCN)とメタノールなどを混合して、系中で発生させて使用することが可能です。基質触媒比 (S/C)2,000以上でも反応は円滑に進行し、従来の触媒系と比べて格段に優れています。 アルデヒドのシアノシリル化反応 本不斉シアノ化触媒と炭酸リチウム(Li2CO3)を組み合わせることで、アルデヒドの不斉シアノシリル化反応も効率 的に進行します。ジエチルエーテルあるいはtert-ブチルメチルエーテル溶媒中、-70~-78 oCの温度条件下、基質触 媒比(S/C)10,000において、高い光学純度のシアノヒドリンシリルエーテルを定量的に与えます。基質適用範囲も広 く、芳香族、含複素環、脂肪族などの様々なアルデヒドを反応に用いることが出来ます8)。 関連試薬 製品名 製品番号 容量 価格 (¥) Trimethylsilylcyanide 40032-35 025 mL 08,500 Lithium carbonate 24121-30 25 g 01,400 Lithium phenoxide, 0.6 M solution in THF, AcroSeal® 38861-1A 100 mL 18,300 tert-Butyl methyl ether, dehydrated -Super- 04419-05 500 mL 06,500 Diethyl ether, dehydrated 14547-05 500 mL 07,000 Methanol, dehydrated -Super- 25506-05 500 mL 04,500 関連商品 ~シュレンクチューブ~ 空気中で不安定な化合物のハンドリングに! *写真はS字側管形状 製品番号 容量 側管形状 栓サイズ 価格 (¥) 96950-00 020 mL S字 TS 15/25 11,000 96950-01 050 mL S字 TS 15/25 11,000 96950-02 100 mL S字 TS 15/25 11,000 96950-10 020 mL ストレート TS 15/25 11,000 96950-11 050 mL ストレート TS 15/25 11,000 96950-12 100 mL ストレート TS 15/25 11,000 1-フェニル-2-ブテン-1-オンの 不斉共役ヒドロシアノ化反応の操作方法2) ガラス容器① (シュレンクチューブなど) ガラス容器② (シュレンクチューブなど) ※反応容器内を不活性ガスで置換する Ru[(S)-phgly]2[(S)-binap] (6.2 mg, 6.1 µmol) (CH3)3COCH3 (18 mL) 反応容器内を不活性ガスで置換する C6H5OLi (60 mM in THF, 100 µL, 6.0 µmol) 脱水MeOH (146 mg, 4.6 mmol) 撹拌 (0 oC) 溶液 A (CH3)3SiCN滴下* (445 mg, 4.5 mmol) 撹拌 (0 oC、15分間、HCN発生) 溶液 A 撹拌 (0 oC、30分間) 1-Phenyl-2-buten-1-one (447 mg, 3.1 mmol、5分間かけて滴下) 撹拌 (0 oC、5時間) 減圧下溶媒留去 精製 (シリカゲルカラムクロマトグラフィーなど) (S)-2-Methyl-4-oxo-4-phenylbutanenitrile (531 mg, 99% yield, 94% ee) * トリメチルシリルシアニドは 保存安定性があまり高くありません。 安定した結果を得るために、 蒸留精製して使用することをお勧めします。 ベンズアルデヒドのシアノシリル化反応の操作方法8) ガラス容器① (シュレンクチューブなど) ※あらかじめ反応容器内を不活性ガスで置換する ガラス容器② (シュレンクチューブなど) ※あらかじめ反応容器内を不活性ガスで置換する (CH3)3SiCN (1.19 g, 12.0 mmol)* (C2H5)2O (10 mL) 0.1 M Li2CO3水溶液 (10 µL, 1.0 µmol) Ru[(S)-phgly]2[(S)-binap] (20 mM in THF, 50 µL, 1.0 µmol) 撹拌 (25 oC、20分間) 溶液 A 溶液 A 撹拌 (25 oC、30分間 その後 -78 ℃に冷却) Benzaldehyde (1.05 g, 9.9 mmol) 撹拌 (-78 oC、12時間) 減圧下溶媒留去 (室温) 精製 [ショートパス(クーゲルロール)蒸留など] (R)-2-Phenyl-2-trimethylsilyloxyacetonitrile (1.99 g, 98% yield, 97% ee) * トリメチルシリルシアニドは 保存安定性があまり高くありません。 安定した結果を得るために、 蒸留精製して使用することをお勧めします。 参考文献 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) T. Ohkuma, N. Kurono, Synlett 2012, 23, 1865-1881 N. Kurono, N. Nii, Y. Sakaguchi, M. Uemura, T. Ohkuma, Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 5541–5544. Y.Sakaguchi, N. Kurono, K.Yamauchi, T. Ohkuma, Org. Lett. 2014, 14, 808-811. N. Kurono, M. Uemura, T. Ohkuma, Eur. J. Org. Chem. 2010, 47, 1455–1459. M. Uemura, N. Kurono, Y. Sakai, T. Ohkkuma, Adv. Synth. Catal. 2012, 354, 2023-2030. M. Uemura, N. Kurono, T. Ohkuma, Org. Lett. 2012, 14, 882–885. N. Kurono, T. Yoshikawa, M. Yamazaki, T. Ohkuma, Org. Lett. 2011, 13, 1254–1257. N. Kurono, K. Arai, M. Uemura, T. Ohkuma, Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 6643–6646. 関連製品 不斉触媒配位子 製品名 (R)-(+)-2,2’-Bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl 【(R)-(+)-BINAP】 (S)-(-)-2,2’-Bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl 【(S)-(-)-BINAP】 rac-2,2’-Bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl 【rac-BINAP】 (R)-(+)-2,2’-Bis(di-p-tolylphosphino)-1,1’-binaphthyl 【(R)-(+)-Tol-BINAP】 (S)-(-)-2,2’-Bis(di-p-tolylphosphino)-1,1’-binaphthyl 【(S)-(-)-Tol-BINAP】 (R)-1,1-Bis(p-methoxyphenyl)-2-isopropyl-1,2-ethanediamine 【(R)-DAIPEN】 (S)-1,1-Bis(p-methoxyphenyl)-2-isopropyl-1,2-ethanediamine 【(S)-DAIPEN】 (1R,2R)-(+)-1,2-Diphenyl-1,2-ethanediamine 【(R,R)-DPEN】 (1S,2S)-(-)-1,2-Diphenyl-1,2-ethanediamine 製品番号 包装 価格(¥) 04969-65 1g 8,000 04969-55 5g 27,000 04969-35 25 g 80,000 04970-65 1g 8,000 04970-55 5g 27,000 04970-35 25 g 80,000 05069-65 1g 7,500 05069-55 5g 20,000 05069-35 25 g 65,000 41105-65 1g 15,000 41105-55 5g 65,000 41106-65 1g 15,000 41106-55 5g 65,000 11407-95 200 mg 13,000 11407-65 1g 32,000 11406-95 200 mg 14,000 11406-65 1g 32,000 11444-65 1g 5,200 11444-55 5g 16,000 11444-35 25 g 36,000 11445-65 1g 4,800 11445-55 5g 16,000 11445-35 25 g 36,000 【(S,S)-DPEN】 関連製品 不斉水素化触媒 製品名 製品番号 包装 価格(¥) Dichloro[(R)-2,2’-bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl][(R,R)-1,2-diphenylethanediamine]ruthenium(II) 11404-95 200 mg 16,000 【RuCl2[(R)-binap][(R,R)-dpen]】 11404-65 1g 55,000 Dichloro[(S)-2,2’-bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl][(S,S)-1,2-diphenylethanediamine]ruthenium(II) 11403-95 200 mg 16,000 【RuCl2[(S)-binap][(S,S)-dpen]】 11403-65 1g 50,000 11408-95 200 mg 18,000 11408-65 1g 55,000 11409-95 200 mg 18,000 11409-65 1g 55,000 10532-68 100 mg 15,000 10532-95 500 mg 50,000 10533-68 100 mg 15,000 10533-95 500 mg 50,000 10534-68 100 mg 15,000 10534-95 500 mg 50,000 Dichloro[(R)-2,2’-bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl][(R)-1,1-bis(p-methoxyphenyl)-2-isopropyl-1,2-ethanediamine]ruthenium(II) 【RuCl2[(R)-binap][(R)-daipen]】 Dichloro[(S)-2,2’-bis(diphenylphosphino)-1,1’-binaphthyl][(S)-1,1-bis(p-methoxyphenyl)-2-isopropyl-1,2-ethanediamine]ruthenium(II) 【RuCl2[(S)-binap][(S)-daipen]】 Dichloro[(S)-binap][(R)-iphan]Ruthenium(II) 【RuCl2[(S)-binap][(R)-iphan]】 ※日本曹達㈱製 Dichloro[(R)-tolbinap][(S)-dmapen]Ruthenium(II) 【RuCl2[(R)-tolbinap][(S)-dmapen]】 ※日本曹達㈱製 Dichloro[(S)-tolbinap][(R)-dmapen]Ruthenium(II) 【RuCl2[(S)-tolbinap][(R)-dmapen]】 ※日本曹達㈱製 ●関連製品 弊社では、本リーフレットに記載した品目以外にも下記の不斉合成用試薬を扱っております。 カタログ、パンフレット等の資料もご用意しておりますので、ご請求下さい。 ◇ 高選択的不斉水素化触媒(野依触媒) ◇ 水素移動型不斉還元触媒(野依触媒) ◇ 不斉分子触媒(日本曹達㈱製) ◇ 不斉有機触媒(丸岡触媒TM) ◇ 不斉ホスフィン配位子 ◇ 光学活性アミノ酸 ◇ 光学活性化合物(キラルビルディングブロック) 等 OEA-06 (201609)
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