デ ュ ー デ リ ジ ェ ン ス を め ぐ る そ の 他 の 留 意 事 項

M&Aの成否を左右する
特集 デューデリジェンス
簿外債務の不存在や紛争に伴う債務
概 に 評 価 す る こ と が で き な い た め、
の損害を被る可能性があるのか、一
とが考えられるであろう。
争に関して特別補償の対象とするこ
に表明保証させるか、または当該紛
めておく 必 要がある点には留 意が必
が 生 じることのないよ う、 明 確に定
については、 後々に 当 事 者 間で 疑 義
⑶ その他の紛争
前記⑴および⑵以外の紛争につい
負担の可能性の不存在について売主
有 資 産 を 処 分 し た う えで 特 別 利 益
( たと え ば、 意 図 的に対 象 会 社の保
されな く なるおそれも 生じ得るため
されるよう、事 業 運 営が適 切に遂 行
に用いられる財 務 指 標の数 値が誘 導
る 場 合 等 には、アーン・アウト 条 項
営 者 として残ることが 想 定 されてい
ジング日以 降、 売 主が対 象 会 社の経
要である。 また、たと え ば、クロー
ては、最終的に対象会社がどの程度
M&A契約への反映で考えておきたい
デューデリジェンスをめぐる
その他の留意事項
(支払留保条項)
、②対象会社のク
渡対価の一部を後払いにする条項
とすることが多いが、実務上、①譲
譲渡株式を譲渡するという立てつけ
とと引換えに、売主は買主に対して
に対して譲渡対価の全額を支払うこ
ロージング日において、買主が売主
株式譲渡の場合、一般的には、ク
求の実効性を確保 することを目的と
額や支払留保期間については、補償請
保条項を 定める場 合、その支 払 留 保
ことが考 えられよう。 なお、支 払 留
請求の実効性を確保するために定める
いて、 買 主による売 主に対 す る補 償
性が相当程度見込まれる場合等にお
害
(ひいては買主に損害)
が生じる可能
当該義務違反があると対象会社に損
を売主に義務づけている場合であって、
としてクロージング後の積極的な行為
ロージング後の誓約事項
(売主の義務)
が相当程度見込まれる場合のほか、ク
となる財務指標として何を採用 する
アウト条 項 を 定める場 合、その基 準
に定めることが考 えられる。アーン・
いに 応 じて支 払 うこと としたいと き
定 期 間の対 象 会 社の業 績の達 成 度 合
額については、クロージング日以降の一
譲 渡 対 価の一部 は 支 払 う ものの、 残
合において、クロージング日において
で相 当 程 度のかい離 が 認められる場
の達 成 見 込みな どにつき、当 事 者 間
めに作 成された対 象 会 社の事 業 計 画
たとえば、対 象 会 社の価 値 評 価のた
広 く 利 用 さ れて お り、一般 的 に は、
少 数であるといえるが、 米 国 等では
的として、図表
に 売 主 )の 責 任 を 限 定 す る こ と を 目
る内容の補償条項に関し、当事者
(特
起因して生じた損害等の賠償を認め
方による表明保証違反や義務違反に
引に係る最終契約においては、相手
株式譲渡契約をはじめ、M&A取
および補償請求期間
補償額の上限・下限
が望ましい場 合 も あろう 。
方 針 等について も 合 意 してお くこと
ング日 以 降の対 象 会 社の事 業 運 営の
的に高めようとするなど)、クロージ
を 計 上 し、 当 期 純 利 益の数 値 を一時
ロージング日以降の一定期間の財務
した定めであることから、一般的には、
のか( 売 上 高、 営 業 利 益、 当 期 純 利
譲渡対価の
一部後払い
指標を基準としてその達成度に応じ
補償額の上限や補償請求期間を踏ま
のように、補償額
て追加的に譲渡対価を支払うことと
のよ う に 設 定 す るのか( 単 年 度でみ
とが実務上は多い。
)・ 下 限
( Floor
)お よ び
の 上 限( Cap
補償請求期間について定められるこ
益、EBITDA等 )、対 象 期 間 をど
アーン・アウト条 項は、日本のM&
るべきか、複 数 年 度でみるべきか)等
えて定められることになる。
)
する条項
(アーン・アウト
( Earnout
条項)
が定められることがある。
A実 務において 利 用 さ れている 例 は
11
支払留保条項は、売主の信用リスク
経理情報●2017.1.1(No.1467)
27
第4章
DDの検出事項にはこう対応する