平成 28 年度第 2 回残留ひずみ・応力解析研究会 微細構造解析プラットフォーム第 2 回放射光利用研究セミナー 主催:中性子産業利用推進協議会,茨城県中性子利用促進研究会 SPring-8 ユーザー協同体,JAEA 微細構造解析プラットフォーム QST 微細構造解析プラットフォーム,NIMS 微細構造解析プラットフォーム 協賛:(一財)総合科学研究機構中性子科学センター(CROSS 東海) J-PARC/MLF 利用者懇談会 日本材料学会 X 線材料強度部門委員会 開催日時:平成 29 年 3 月 8 日(水)10:00-17:00 場所:研究社英語センター大会議室 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂 1-2 TEL 03-3269-4331 http://www.kenkyusha.co.jp/modules/11_meetingroom/index.php?content_id=1 参加費:無料 ただし,資料代として 5,000 円いただきます.なお,中性子産業利用推進協議会の会員 の皆様と大学,研究機関の方は無料です.それ以外の方は事務局までご相談ください. 資料代は当日徴収させていただきます. テーマ名:輸送機器における残留応力評価 趣旨: 機械部品・構造物においては溶接部の残留応力が信頼性に及ぼす影響は大きい.今回の 研究会では,輸送機器である鉄道車両の接合に利用されている摩擦撹拌溶接(FSW)による 残留応力と,自動車部品における残留応力を取り上げ,残留応力測定技術と解析技術の輸 送機器への適用状況を紹介するとともに,放射光や中性子を利用した溶接残留応力の実測 例などを紹介する. プログラム: 10:00-10:05 開会挨拶 研究会主査 秋庭義明(横浜国大) 10:05-10:30 J-PARC MLF と中性子産業利用の現状 林 眞琴(CROSS) J-PARC MLF と茨城県 BL の現状,J-PARC MLF における産業利用の状況,2016B の課題採 択結果,ならびに,産業利用成果などを紹介する. <チュートリアル> 10:30-11:15 X線・粒子線回折法による材料分析 原田仁平(名古屋大学) 一般的に,残留応力を評価するには先ず残留ひずみを求めなければないが,用いる手法として はX線回折法と粒子線回折法がある.よく知られているように,これらの方法は,結晶材料を 構成している結晶の平均構造,すなわち,結晶格子の面間隔や単位格子内の原子配置,熱振動 を解析するのに用いられている.それだけでなく,少し離れた原子間の相関に関する情報も得 られ,かつ,結晶材料の結晶状態が分かる.具体的には,大小様々な沢山の結晶子の集まり方, すなわち,集合組織の状態を知ることができる.本講演ではこれらについて説明する. 11:15-12:00 アルミニウム合金摩擦撹拌接合部の残留応力が構造部材の終局強度と 疲労強度に及ぼす影響 大倉一郎(大阪大学) 最初に,アルミニウム橋で摩擦撹拌接合が使用された事例を紹介する.次に,摩擦撹拌接合お よび MIG 溶接によって製作された試験片から,切断法によって得られる残留応力を示し,両 者の接合法によって生じる残留応力の類似・相違点について述べる.さらに,残留応力は矩形 分布で近似できることを示し,この矩形分布と,実際の溶接桁および摩擦撹拌接合で製作され た板パネルに生じる残留応力とを比較する.最後に,残留応力は構造部材の終局強度(座屈強 度)にあまり影響しないが,その仕組みは,5000 系アルミニウム合金と 6000 系アルミニウム 合金とで異なること,残留応力が疲労強度に及ぼす影響は,摩擦撹拌接合と MIG 溶接とで異 なることを示す. 12:00~13:00 昼 食 <鉄道車両の構造信頼性> 13:00-13:25 FSW で接合したアルミ合金製の鉄道車両 川崎 健(日立製作所) 鉄道車両のうち強度を担う構体は,乗客の安全性や快適性などを確保する重要な溶接構造物で ある.日立製作所では,構体材料のアルミ合金製押出材に対し,溶かさずに接合可能な Friction Stir Welding(FSW:摩擦攪拌接合法)を適用した構体を 4000 両以上製作し,海外向け車両にも 採用している.本講演では,構体構造の変遷を紹介したうえで,FSW の適用や海外向け構体の 開発などについて紹介する. 13:25-13:50 アルミニウム合金 FSW 接合部の残留応力評価 川上洋司(大阪市立大学) 摩擦攪拌接合(FSW)は,工作物の融点以下で行われる固相接合である.FSW 中の接合部には大 きな塑性変形が生じるため,その金属組織は変化し,また,不均一な残留応力が FSW 接合部 に生じる.残留応力は接合部の疲労強度などに影響を及ぼすことが知られており,接合部の健 全性を評価するためのパラメータの一つである.このようなことを踏まえ,本講演では,FSW 接合を施すことによりアルミニウム合金に生じた残留応力の X 線回折法による測定結果につい て紹介する. <自動車・部品における残留応力> 13:50-14:15 自動車用ばねにおける残留応力 榊原隆之(中央発條) 機械要素としてのばねは,ほとんどすべての輸送機械や産業機械,電気機器に使用されている が,自動車用には1台あたり 4,000 個のばねが使われているといわれている.形状としては, らせん,板,棒があり,材質も強度が高い,加工性に優れる,熱処理しやすい等の必要条件に 応じて成分が選択され,疲労特性等の要求性能に応じて,それに適した熱処理や表面処理が施 されている.そうした熱処理や表面処理において,残留応力の評価は極めて重要である.本講 演では,懸架ばねや弁ばねにおけるX線回折による評価事例をトピックスを交えて紹介する. 14:50-15:15 自動車用ベアリングにおける残留応力 楼 黎明(ジェイテクト) 残留応力は自動車用軸受の疲労寿命や耐摩耗性に密接な関係がある.軸受の内外輪と鋼球には 熱処理やショットピーニングにより適度の残留応力を付与している.そのため,残留応力の絶 対値や深さ方向分布の管理が必要である.残留応力の測定に関しては,現在も X 線回折法が主 流である.しかし,X 線回折法はオフラインでの測定であり,測定時間が長いという欠点があ る.ジェイテクトでは,X 線回折法以外の方法の研究に取り組んでいる.本講演では,ジェイ テクト内における軸受内外輪と鋼球の残留応力の付与方法や残留応力の測定ニーズ,現状の残 留応力測定技術への取組み内容と課題について紹介する. 14:40-14:50 休憩 <X線・放射光・中性子による応力測定> 14:50-15:15 フェムト秒レーザピーニングによるアルミニウム合金の疲労特性向上 佐野智一(大阪大学) 発表者らは材料の疲労寿命を向上させる新しい手法であるフェムト秒レーザピーニング法を開 発した.ピーニング手法としては,ショットピーニングやナノ秒レーザによるレーザピーニン グ手法が既に実施工で用いられており,非常に有用な手法であるが,非接触で水などの犠牲層 を用いず,直接材料に応力を負荷することによってピーニング効果を付与させる手法はこれま で存在しなかった.発表者らが開発したフェムト秒レーザピーニング法は,これを可能とする ものである.本講演では,本手法によって得られる機械的特性の向上とその機構について紹介 する. 15:15-15:40 改良型深穴穿孔法による内部残留応力測定 河合真二(山本金属) 部材表面の圧縮残留応力はき裂の開口を抑える方向に作用するため、応力腐食割れの耐性や疲 労強度の向上に繋がり好ましい場合が多い。一方、部材表面の引張残留応力は、き裂の開口を 助長する方向に作用することから好ましくない。 これら表面の残留応力に対し、内部の残留応力は、その分布状態によってき裂の伝播進路や変 形に影響することが知られている。板厚内部の残留応力を実測する手法として、改良型深穴穿 孔法(以下、MIRS 法:Modified Internal Residual Stress)を開発した。各種材料への MIRS 法の適用事例を踏まえ、MIRS 法の特徴を紹介する。 15:40-16:05 缶用薄鋼板の曲げ加工に伴う板厚方向ひずみ分布の実測 須藤幹人(JFE スチール) 近年の環境負荷低減の観点から飲料缶等で用いられている缶用薄鋼板(板厚 0.3mm 以下)の薄肉 化が進行している.薄肉化に伴う缶体強度低下といった問題の他に,鋼板を円筒状に加工後, 端面溶接される 3 ピース缶では,円筒加工時のスプリングバックが顕在化し,その高精度予測 が求められている.缶用鋼板のスプリングバック量予測では,従来から曲げ加工時の材料内部 のひずみ・応力分布が一様に変化すると仮定して解析が行われてきた.しかし,従来の解析で は実測値を正確に再現しない例も報告されている.そこで,曲げ加工に伴う板厚方向のひずみ 分布を放射光によるひずみスキャニング法で実測し,従来から用いられてきた仮定の妥当性を 検証した. 16:05-16:30 表面除去法で測定した残留応力分布の有限要素法による補正 横幕俊典(コベルコ科研) 逐次表面除去法によって物体表面近傍の残留応力分布を測定する場合,測定された応力分布は, 表面除去による再配分を考慮して補正する必要がある.そのため,有限要素法により,異なる 線膨張率を有する多層体に均一温度変化を与えることにより物体内部に連続的な残留応力分布 を発生させ,その後,逐次表面除去を再現し応力補正行列を得た.本手法による全表面層除去 に対する補正応力分布は理論解によるそれと合致することを確認した.また,特定の残留応力 分布で得られた補正行列が,任意の応力分布に適用できることを明らかにした.さらに,局部 表面層除去に対する応力補正に対して,どの程度の深さまで全面除去解が適用可能であるかに ついて議論した. 16:30-16:55 浸炭歯車における表面層の残留応力分布 今村嘉秀(川崎重工業) 舶用減速装置には大型の浸炭歯車が使用されている.近年,高負荷化の動きにともない,従来 の表面起点型の損傷に加えて,内部起点型の損傷が生じるようになってきている.内部起点型 の損傷を抑制し,歯車の信頼性を向上させるためには,歯面接触時の面圧分布と残留応力分布 を考慮して強度評価を行う必要がある.本講演では,浸炭処理した歯形模擬試験体に対し,中 性子線を用いて残留応力を計測した結果を紹介する. 16:55-17:00 閉会挨拶 峯村哲郎(茨城県) 交流会:17:20~19:20 近くの地ビールダイニング「ラ・カシェット」で交流会を開催します.参加費は 2,000 円で す.施設側とユーザーのざっくばらんな意見の交換の場になります.是非ご参加ください. 詳細は文末をご参照ください.参加希望者は事前に登録してください.当日も受け付けま す.会費は当日徴収致します.なお,事前に登録されて当日キャンセルされた場合には会 費を申し受けます. <参加申込み先> 中性子産業利用推進協議会 事務局 大内 薫 E-mail: [email protected] (1)名前,(2)所属,(3)連絡先(電話番号,E-mail address) (4)交流会への参加の有無(領収書を発行します) をご記入の上,メールにてお申込みください. <会場へのアクセス> 研究社英語センター 所在地:〒162-0825 東京都新宿区神楽坂 1-2 TEL:03-3269-4331 JR総武線飯田橋駅西口徒歩約3分 東京メトロ南北線・有楽町線飯田橋駅 B2a,B3 出口徒歩約 7 分 <交流会場のご案内> 会費:2,000 円 時間:17:20~19:20 会場:神楽坂 ラ・カシェット ( http://la-cachette.co.jp/ ) 美味しい地ビールを楽しめるところです. 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂 1-10 三経第 22 ビル 3F TEL: 03-3513-0823
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