大 野 城 市 橋梁長寿命化修繕計画 大 野 城 市

大 野 城 市
橋梁長寿命化修繕計画
(御笠橋)
平成25年3月
大 野 城 市
(1)長寿命化修繕計画策定の目的
<背景>
○大野城市は、福岡市の南東隣に位置しており、同市のベッドタウンとなっている。市中央部には、
鹿児島本線および西鉄天神大牟田線が並行して貫いている。
○北部は幹線道路が通っており、事業所の立地が多い。南部は山がちな地形だが、新興住宅地が展
開している。南部の牛頸山にある牛頸ダムから流れる牛頸川は、下大利団地などの脇を流れる御
笠川と合流するまで市域を湾曲して流れている。
○牛頸川や御笠川を渡河する規模の大きな橋梁から支流を渡河する小規模な橋梁まで、多くの橋梁
を管理している。
○現在、大野城市は 124 橋の橋梁を管理している。このうち、建設後 50 年を経過する高齢化橋梁
は、現時点においては 0 橋であるが 20 年後の平成 44 年には全体の 69%に増加する。
○現在の維持管理方針は、橋に損傷が確認されたあと修繕を行う対症療法型の維持管理手法(事後
保全型)が主体であったが、供用年数が比較的短いので維持管理に要する費用は少なかった。
○今後、急速かつ集中的に高齢化橋梁が増加するため、限られた財源の中で従来の事後保全型の維
持管理を続けていくと、維持管理費の増加および集中に対応することが困難となり、安全・安心
な道路ネットワークを維持することができなくなる恐れがある。
<大野城市位置図>
大野城市
<目的>
○橋梁の利用者である市民に確かな「安全・安心」を提供しながら、橋梁を「健全に、より長く」
使い続けることが、喫緊の課題である。
○計画的な橋梁の維持管理を行い、限られた財源の中で効率的に橋梁を維持していくための取り組
みが不可欠である。
○維持管理費の低減および平準化を図るためには、維持管理方針を従来の事後保全型から「損傷が
大きくなる前に予防的な対策を行う」予防保全型へ転換し、橋梁の寿命を延ばす必要がある。
○これらの課題を解決し、
「道路交通の安全・安心の確保」
「維持管理費の低減および平準化」を図
るために、「橋梁長寿命化修繕計画」を策定する。
高齢化管理橋梁の推移
2012 年現在
20 年後(2032 年)
(2)長寿命化修繕計画の対象橋梁
計画対象橋梁は、
「市町村における橋梁長寿命化修繕計画策定の手引き(案)」に準じ、橋長 L≧2.0m
の橋(ボックスカルバートを含む)とする。下表に管理橋梁の内訳を示す。また、次頁に対象橋梁
の位置図を示す。
市道 1 級
全管理橋梁数
市道 2 級
その他
合計
19
9
102
130
19
9
96
124
うちこれまでの計画策定橋梁数
0
0
0
0
うち平成 24 年度計画策定橋梁数
19
9
96
124
うち計画の対象橋梁数
※管理橋梁に対し計画策定橋梁数が 6 橋少ないのは、暗渠等に構造変更となったものが、管理台帳から削除され
ていないためである。
(3)健全度の把握および日常的な維持管理に関する基本的な方針
①健全度の把握の基本的方針
定期点検(5 年に 1 回の目視点検)や日常的な維持管理を実施し、橋梁の損傷を早期に発見
するとともに健全度を把握する方針とする。
②日常的な維持管理に関する基本的な方針
橋を良好な状態に保つための日常的な維持管理としてパトロール車による巡回を実施し、走
行面の変状確認を随時行う方針とする。
(4)対象橋梁の長寿命化および修繕・架替えに係る費用の縮減に関する基本的な方針
大野城市が管理する橋梁のうち、建設後 50 年を経過する高齢化橋梁は現時点においては 0 橋で
あるが、20 年後の平成 44 年には全体の 69%となり、高齢化橋梁が急速に増加するため、近い将来
一斉に架替時期を迎えることが予想される。
したがって、維持管理方針を「事後保全型」から「計画的かつ予防的な修繕対策(予防保全型)」
へ転換し橋梁を長寿命化(100 年を目標)することにより、修繕および架替えに係る費用の縮減と
平準化を図る方針とする。
(5)長寿命化修繕計画による効果の確認方針
今回の長寿命化修繕計画での LCC を、従来の方式であった全橋対症療法型(事後保全型)管理
による LCC と比較してその差を明確にすることにより、長寿命化修繕計画の効果を示す。
(予防保全型管理と対症療法型管理との比較:50 年間の LCC 合計)
下図に示すように、今回策定した予防保全型管理による修繕計画に従った維持管理を行うこ
とにより、全橋を対象療法型管理(事後保全型管理)を行った場合に比べて約 28%、金額にして
約 33.3 億円の削減が可能となり、長寿命化修繕計画を策定することによる効果は明確である。
①事後保全型管理を適用した場合:4,657,868 千円
②予防保全型管理を適用した場合:1,324,729 千円
5,000
3,500
3,000
予防保全型
4,500
対症療法型
予防保全型(累積)
4,000
対症療法型(累積)
3,500
3,000
2,000
2,500
1,500
2,000
1,500
1,000
1,000
500
500
0
0
2013∼2022年
(今後10年間)
2023∼2032年
(今後20年間)
2033∼2042年
(今後30年間)
2043∼2052年
(今後40年間)
2053∼2062年
(今後50年間)
(6)計画策定担当部署及び意見聴取した学識経験者等の専門知識を有する者
1) 計画策定担当部署
福岡県大野城市建設部建設管理課
TEL:092-580-1882
2) 意見を聴取した学識経験者等の専門知識を有する者
福岡大学
工学部
社会デザイン工学科
准教授
坂田
力
氏
累積事業費(百万円)
事業費(百万円)
2,500