報道発表資料 東京消防庁 Tokyo Fire Department 平成28年12月26日 スプレー缶等に係わる火災にご注意を! ~ スプレー缶等の取扱いや廃棄方法に要注意 ~ 例年、スプレー缶等に係わる火災は暖房器具や簡易型ガスこんろを使用する冬季に多く 発生しています。また、廃棄のためスプレー缶等に穴を開けたことに起因する火災が多く 発生していることから、東京消防庁では注意を呼びかけています。 【スプレー缶等とは】 可燃性ガスを噴射剤とした整髪剤、消臭剤、パーツクリーナー等のスプレー缶と簡易型ガ スこんろの燃料として用いられるボンベを合わせていいます。 【スプレー缶等に起因する火災発生状況】 1 最近5年間(平成23年から平成27年)では635件の火災が発生し、死者 1 人、負 傷者277人と多くの方が受傷しています。 2 平成28年中は、11月末現在で 103 件の火災が発生し、66 人の負傷者が発生してい ます。 3 最近5年間の発生状況を月別にみると、12 月、1月、2月を合わせると 221 件の火災 が発生しており、冬季に多く発生しています。これらは、スプレー缶等の火災の3割以上 (34.8%)を占めています。 【こんなことで火災に】 1 簡易型ガスこんろに燃料ボンベを装着する際に、誤って装着したため出火した。 2 ガステーブルや暖房器具を使用中に、近くのスプレー缶等が破裂して出火した。 3 調理中のガステーブルの付近で、廃棄のためスプレー缶を穴あけしたところ、スプレー 缶から可燃性ガスが漏れ出火した。 【火災を防ぐために】 1 簡易型ガスこんろに燃料ボンベを取付ける際は、取扱説明書をよく読み、燃料ボンベ容 器ガイドの切り込み部分を本体容器受けガイドの突起部分に正しく合わせて取付けまし ょう。 2 スプレー缶等はガステーブルや暖房器具の上やそばなど、高温となる場所には置かな いようにしましょう。 3 スプレー缶等を廃棄する場合は、中身を使い切り、各区市町村が指定する廃棄方法に従 って捨てましょう。 ※ 実験映像と火災の事例写真を希望する社は、広報課報道係までご連絡ください。 問合せ先 東京消防庁 ㈹ 電話 3212-2111 予防部調査課 内線 5066 防災部防災安全課 内線 広報課報道係 内線 2345~2350 5068 4206 【別紙】 <最近5年間(平成 23~27 年)の主なスプレー缶等による火災の状況> 1 年別火災状況 表1 年別火災状況 火 年 災 合 件 建 小 全 半 部 数 車 物 船 合計 635 343 2 7 16 318 271 2 23 155 74 1 1 1 71 78 - 24 118 61 - 1 4 56 54 25 129 72 - 1 4 67 26 121 69 1 1 6 27 112 67 - 3 28 103 71 1 - 注1 2 2 機 他 ㎡ 面 積 ㎡ 傷 面 人 積 795 120 1 277 - 3 88 30 - 62 1 - 2 191 14 - 41 51 1 - 5 54 21 - 55 61 45 - - 7 263 53 1 60 1 63 43 - - 2 199 2 - 59 6 64 30 - - 2 198 61 - 66 スプレー缶等による月別火災の発生状況(最近5年間) (件) 100 87 80 80 63 54 59 50 51 49 43 35 40 32 32 20 0 1月 注 2月 3月 4月 者 19 平成 28 年の数値は 11 月 30 日までの速報値で、今後変更になる場合があります。 合計欄の数値は、平成 23 年から平成 27 年の合計値です。 60 人 者 ) 舶 表 負 ( 両 損 床 ) や 損 況 死 ( 焼 状 焼 ) 焼 害 焼 ( 焼 の ) 計 空 損 ( 計 そ ぼ 分 別 航 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 平成23年から平成27年までの累計値です。 図1 最近5年間のスプレー缶等による月別火災の発生状況 12月 3 火災発生の要因等 表2 火災発生要因別火災件数(最近5年間) 合 缶 の ス プ ヘ 火 災 発 生 要 因 殺 消 ア 汗 臭 ス ス ス プ プ レ レ ー ー 虫 レ 合 棄 平 成 注1 2 2 剤 ー パ ー ツ ク リ ー ナ ー 缶 塗 冷 そ 料 却 の ス ス 他 プ プ ・ レ レ 不 ー ー 明 燃 簡 易 料 型 ガ ボ ス こ ン ん ろ ベ 用 死 負 傷 者 者 635 89 81 47 25 24 13 8 127 221 1 277 計 435 84 34 45 22 6 8 5 104 127 - 129 清 掃 車 266 52 26 22 12 5 5 - 72 72 - 6 穴 あ け 133 30 8 21 10 1 1 3 17 42 - 116 そ の 他 36 2 - 2 - - 2 2 15 13 - 7 計 200 5 47 2 3 18 5 3 23 94 1 148 装着不良 33 - - - - - - - - 33 - 15 暖房器具 31 1 16 2 1 - 1 1 5 4 - 31 厨房器具 29 1 5 - - - 2 1 - 20 - 29 そ の 他 107 3 26 - 2 18 2 1 18 37 1 73 103 5 13 15 4 6 1 1 22 36 - 66 小 取扱不適 ー 類 計 小 廃 レ 制 プ 計 種 8 年 平成 23 年から平成 27 年までの累計値です。 平成 28 年の数値は 11 月 30 日までの速報値で、今後変更になる場合があります。 【火災事例】 事例1 「制汗スプレー缶の穴開け後に発生した火災」 出火場所 練馬区 出火時分 平成28年9月 用 途 共同住宅 被害状況 建物ぼや 概 6時ごろ 網戸1、カーテン2、吊戸棚若干等焼損 負傷者1人 要 この火災は、共同住宅の2階リビングキッチンから出火したものです。 出火原因は、居住者がガステーブルでお湯を沸かしながら、ガステーブル付近で穴開け 器具でスプレー缶に穴を開けガス抜きを行った際、スプレー缶内に残っていたガスが噴射 し、使用中のガステーブルのこんろの火がガスに引火し出火したものです。 居住者が、ガステーブルでお湯を沸かしながら、使用済みのスプレー缶に穴を開けガス 抜きを行っていたところ、突然炎が広がるとともに、ハンガーに掛かっているタオルが燃 えているのを発見しました。その後、近くにあった別のタオルを手に取り、燃えているタ オルを叩いて消火し、自宅の電話で119番通報しました。 写真 1-1 写真 1-3 出火した台所の状況 スプレー缶と使用した穴開け器具 写真 1-2 焼損したタオル等の状況 事例2 「燃料ボンベの誤装着により出火した火災」 出火場所 港区 出火時分 平成28年3月 用 複合用途(飲食店・遊技場・事務所) 途 被害状況 概 建物ぼや 18時ごろ 簡易型ガスこんろ1焼損 要 この火災は、複合用途建物の3階で営業中の飲食店から出火したものです。 出火原因は、飲食店の従業員が、簡易型ガスこんろの燃料ボンベを交換した際、正しく 装着されていない状態に気付かず客が使用したため、燃料ボンベのガスが漏洩し、点火つ まみを回した際の火花で引火し出火したものです。 従業員が、客席で簡易型ガスこんろに燃料ボンベを交換し客が点火したところ、簡易型 ガスこんろから炎が上がるのを発見し、店員の指示により避難しました。店長が客席の簡 易型ガスこんろから炎が上がっていたので、自分の携帯電話で 119 番通報し、従業員が粉 末消火器で消火しました。 写真 2-1 出火した客席の状況 写真 2-2 簡易型ガスこんろの焼損状況 事例3 「石油ファンヒータ付近に置いたスプレー缶が破裂して出火した火災」 出火場所 八王子市 出火時分 平成28年2月 用 途 共同住宅 被害状況 建物ぼや 概 0時ごろ 石油ファンヒータ1、カーテン1等焼損 負傷者1人 要 この火災は、共同住宅の2階居室から出火したものです。 出火原因は、居住者が居室内で石油ファンヒータを使用していたところ、エアゾール式 殺虫剤が温風吹出口付近に置いてあったため、時間の経過とともに過熱され スプレー缶の 内圧が高まり破裂し、石油ファンヒータの火が漏れたガスに引火して出火したものです。 居住者は、居室内で石油ファンヒータをつけたままうたた寝をしていると「ドン」とい う音で目が覚め、起きると石油ファンヒータの周囲から炎があがっているのを発見し、消 そうと思い布団を被せた後、台所から手鍋に水道水を汲み5回掛けて消火しました。 近隣の居住者は自宅でテレビを見ていると「ドン」という大きな音がし、「火事です火 事です」と住宅用火災警報器の合成音がしたので屋外に出ると、2階階段踊り場にいた隣 住居の居住者から通報するよう頼まれ、自分の携帯電話で 119 番通報しました。 写真 3-1 居室内の焼損状況 写真 3-2 破裂した殺虫剤 【スプレー缶等火災の実験映像】 1 簡易型ガスこんろのそばでスプレー缶等の穴あけをした場合の実験です。 ⑴ ガステーブルで調理中にスプレー缶に穴あけをしようとしている状況です。 ⑵ スプレー缶に穴あけを実施している状況です。(ガスこんろの炎は点火状態です) ⑶ スプレー缶内のガスが漏れ、引火した状況です。 2 簡易型ガスこんろに燃料ボンベを誤って装着して、点火した場合の実験です。 ⑴ 燃料ボンベを誤って装着し、器具栓つまみを回して点火した状況です。 ⑵ 点火時の火花で漏れたガスに引火した状況です。 ⑶簡易型ガスこんろ全体が炎に包まれました。 3 カステーブルを使用中にスプレー缶を使用した場合の実験です。 ⑴ こんろを使用中にスプレー缶を噴射 a 実験開始時の状況です。 b 噴射したガスに引火した状況です。 c 噴射を継続した状況です。 ⑵ グリルを使用中にスプレー缶を噴射 a 実験開始時の状況です。 b 噴射したガスに引火した状況です。 c 噴射を継続した状況です。
© Copyright 2024 ExpyDoc