2017年 - みずほ総合研究所

2017年
Q:2017 年に注目される政治
イベントを教えてください
A:わが国では、7月に東京都議会
議員選挙が行われます。2016 年の
都知事選挙で小池知事が選出され
て以降、豊洲新市場への移転の延
期や五輪会場の見直しなど、さまざ
まな新しい動きが出てきています。
このような中、知事と車の両輪をな
す都議会に関して、都民がどのよう
な判断を下すのか注目されます。
海外では、注目の政治イベントが
目白押しです。米国では1月にドナル
ド・トランプ氏が大統領に就任しま
す。米国の通商政策や移民政策な
どに大きな転換がある可能性もあ
り、留意が必要です。
また、欧州では英国の欧州連合
(EU)離脱に向けた交渉が開始され
ることが見込まれます。EU 単一市
場からの離脱の是非など、厳しい交
渉が行われることが想定され、その
動向が注目されます。
この他、
オラン
ダ、フランス及びドイツでは総選挙
が行われ、うちフランスでは大統領
選挙も行われます。EU に懐疑的な
姿勢を取る政党や候補者が躍進す
る可能性があり、
2017年はEUの行
方を左右する一年となりそうです。
Q:その他に注目すべきイベン
トや制度改正などはありま
すか
A:注目のイベントとしては、3 月に
開催される、ワールド・ベースボー
ル・クラシックが挙げられます。日本
代表は小久保監督の下、2009 年大
会以来の優勝を目指して戦うこと
になります。
主な制度改正としては、1月から
個人型確定拠出年金
(iDeCo)の加
入対象が大幅に拡大され、新たに
専業主婦や公務員なども加入が可
能になります。2016 年 5 月の改正
法成立以降、官民双方で制度に関
する広報を強化しており、今回の改
正が普及の起爆剤となることが期
待されています。
また、7月からはマイナンバーを利
用した国や地方の行政機関におけ
るオンラインでの情報連携の運用
が本格的に開始される予定です。こ
れに伴い、行政機関への提出書類
が削減されるなど、国民がマイナン
●2017年の主なスケジュール
1月 個人型確定拠出年金の加入対象拡大(1) 7月 G20ハンブルク・サミット(7〜8)
トランプ米国新大統領就任(20)
3月 ワールド・ベースボール・クラシック
(7〜22)
オランダ総選挙(-)
東京都議会議員選挙(-)
マイナンバーを利用した行政機関にお
ける情報連携が本格運用開始(-)
4月 フランス大統領選挙(第1回4/23、第2回 8月 年金の受給資格期間が10年に短縮(1)
5/7)
5月 G7シチリア・サミット(-)
9月 IOC 総会(2024 年夏季五輪開催地決定)
(13)
6月 フランス国民議会選挙(-)
未定 ドイツ連邦議会選挙(8月〜10月)
(注)カッコ内の数字は日付。
(-)は日付未定。
(資料)みずほ総合研究所
バー制度による利便性向上を実感
できるようになることが見込まれて
います。
Q:最後に 2017 年にまつわる
その他の話題があれば教え
てください
A:2017 年(平成 29 年)の干支は
「丁酉(ひのととり)」です。
「丁」は、
前年の干である
「丙」で盛んになっ
た陽気が続いているものの、その勢
いに陰りが見えつつある状態であ
ることを表します。また、
「 酉」は酒を
醸造する器をかたどった文字で
「成
る」、
「熟する」などを意味し、物事が
成熟した段階にある様子を表しま
す。これらに基づけば、2017 年は、
社会が高い次元で成熟していく中
ほう が
で、新たな動きの萌芽が現れ始めて
くる年になるでしょう。
日本経済が踊り場で足踏みを続
ける中、安倍政権は一億総活躍社
会の実現に向け、働き方改革や生
産性革命などに取り組んでいます。
2017年は、
こうした取り組みを通じ
て、わが国が人口減少社会における
新たなロールモデルを確立するた
めの正念場の年といえるでしょう。
一億総活躍社会を実現するために
は、従来の枠組みにとらわれず、あ
らゆる政策を動員していくことが求
められます。老若男女が暮らしやす
い成熟した国へわが国が転換を遂
げた年、と振り返られるような、実り
の多い年になることが期待されま
す。
みずほ総合研究所 金融調査部
主任研究員 月村拓央
[email protected]