スマホアプリ対応 OKIスマートバンキングソリューション 相良 雅宏 豊富な機能を持つスマートフォンは、今後もさまざ 持つスマートフォンの急速な普及により、これら端末 まな業種や用途での活用が広がると予想されている。 から快適に利用できるサービスが求められてきた。特 金融機関でも、利便性高いスマートフォンアプリを提 にスマートフォンは、アプリをインストールすること 供してお客様との接点拡大を図る動きが広がっている。 で機能拡張できるため、利用者は必要に応じてアプリ こうした中、金融機関システムの堅牢性や高度な可用 を導入しサービスを利用している。 性、セキュリティー強度を低下させることなく、容易 にスマートフォンアプリ対応することが求められてい (2)金融機関の動き る。OKIにはこの要求を満たしつつ、ブラウザー提供 対面サービスから非対面サービスへのシフトが進み、 サービスのアプリ対応を支援してきた実績がある。 対面サービスでのお客様接点が減るなか、非対面サー これら環境変化や金融機関の動きを踏まえ、OKIの ビスにおいてOne to Oneのお客様接点を作る取組みが 保有する技術から生み出されたソリューションが 広がろうとしている。 「 O K I ス マ ー ト バ ン キ ング ソ リ ュ ー ショ ン 」 で あ る 。 本稿では、OKIスマートバ ンキングソリューションに (3)OKI の実績 よる、インターネットバンキングのスマートフォンア OKIは、フィーチャー・フォン主流の時代からブラ プリ対応を紹介する。 ウザー提供サービスのアプリ対応を支援してきた実績 がある。スマートフォンでも、多くの金融機関のブラウ ザー提供サービスのアプリ対応を実現している(図 1)。 OKIスマートバンキング ソリューションの背景 OKIスマートバンキングソリューションとは (1)環境変化 これまでのインターネットサービスはPC向けが主流 (1)概要 であった。しかしながら、PC並みの高機能性とガラ O K I ス マ ー ト バ ン キ ング ソ リ ュ ー ショ ン は 、 イ ン ケー と呼ばれるフィーチャー・フォンの携帯性を併せ ターネットバンキングシステムなど金融機関の既存シス 䝦䝔䜨䝯䝔䝷䜱䝷䜴 㻃 䠃䠀 ṟ㧏↯ఌ㻃 䠄䠀 ථฝ㔘᪺⣵↯ఌ㻃 䠅䠀 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HTMLソースコードから残高情報を抽出する。 (2)仕組み 金 融 機 関 が イ ンタ ー ネッ ト バ ン キ ングのス マ ー ト ④SDBCは抽出した残高情報をスマートフォンアプリに フォンアプリ対応を図るためには、スマートフォンア 通知する。 プリを開発すると共に、インターネットバンキングシ ⑤通知された残高情報をスマートフォンアプリ上に視認 ステム と 接 続 する 必 要 が あ る 。 こ の た め に は 、 イ ン 性高く表示する。 ターネットバンキングシステムにアプリケーションプ OKIスマートバ ンキングソリューションでは、上記 ログラミングインターフェース(以下、API)とよばれ ②③と①④の処理を行う主要機能を開発するツールを るスマートフォンアプリを接続する仕組みを追加開発 整備し、効率的かつ信頼性の高いアプリケーション開 するのが一般的である。しかしながら、堅牢性や高度 発を実現している。 な可用性、セキュリティー強度を必要とするインター ネットバンキングシステムの追加開発は膨大な時間と ฺ⏕⩽❻ᮆ 䜽䝢䞀䝌䝙䜭䝷䜦䝛䝮 䜨䝷䝃䞀䝑䝇䝌㻃 䝔䝷䜱䝷䜴䜻䜽䝊䝤 㻶㻧㻥㻦㻃 㻃 㻃 コストを要する場合が多い。 OKIスマートバンキングソリューションでは、SDBC にAPIを開発することにより原則インターネットバンキ 䐚㻃 䐖㻃 䐗㻃 䐙㻃 䐘㻃 ングシステムの追加開発が不要になり、短期間、低コス トでスマートフォンアプリ対応を実現できる(図 2)。 SDBC䛒䛰䛊ሔྙ 図 3 SDBC の仕組み 䜨䝷䝃䞀䝑䝇䝌䝔䝷䜱䝷䜴 㻃 䜻䜽䝊䝤䛱API䜘㛜Ⓠ ฺ⏕⩽❻ᮆ㻃 㻃 䜨䝷䝃䞀䝑䝇䝌 䝔䝷䜱䝷䜴䜻䜽䝊䝤㻃 㻃 㻃 䜽䝢䞀䝌䝙䜭䝷䜦䝛䝮㻃 SDBC䜘䛌ሔྙ ฺ⏕⩽❻ᮆ㻃 㻃 SDBC㻃 䜽䝢䞀䝌䝙䜭䝷䜦䝛䝮㻃 SDBC䛱API䜘㛜Ⓠ ཋ์䜨䝷䝃䞀䝑䝇䝌䝔䝷䜱䝷䜴 䜻䜽䝊䝤䛾䛴㏛ຊ㛜Ⓠ䛒こ㻃 図 2 SDBC がある場合とない場合の比較 O K I テクニカルレビュー 2016 年 12 月/第 228 号 Vol.83 No.2 63 (3)基本機能 (4)応用例 OKIスマートバンキングソリューションの活用により、ス OKIスマートバ ンキングソリューションを応用して、 マートフォンアプリで主に以下のような機能を提供できる。 以下のようなサービスを提供できる。 ①簡易ログインによる残高や入出金明細の照会 ① SNS を使った照会サービス インターネットバンキングを利用する際にお客様が SNS事業者が提供するSNSアプリ上で、残高や入出 ブラウザーに入力するIDやパスワードなどをあらかじ 金明細を照会するサービスを提供できるる。 めスマートフォンアプリやSDBCに保存することで、以 SNS事業者は、SNS事業者システムに予め専用APIを 降はスマートフォンアプリ用の簡易なパスワードで残 定義している場合があり、SDBCがそれら専用APIに変 高や入出金明細を照会できる(図 4)。 換して接続することができる(図 6)。接続のみならず、 仮にSNS事業者システムからのアクセス集中が発生し ฺ⏕⩽❻ᮆ 䜽䝢䞀䝌䝙䜭䝷䜦䝛䝮㻃 䜨䝷䝃䞀䝑䝇䝌㻃 㻃 䝔䝷䜱䝷䜴䜻䜽䝊䝤 㻶㻧㻥㻦㻃 た場合は、SDBCがインターネットバンキングシステム に対する接続を制限することで、インターネットバン キングシステムに与える負荷を極小化できる。 䝋䞀䝃 䝝䞀䜽 䐖䜽䝢䞀䝌䝙䜭䝷䜦䝛䝮⏕㻃 䚭㻃⠾᪾䝕䜽䝳䞀䝍ථງ㻃 䐗䜨䝷䝃䞀䝑䝇䝌䝔䝷䜱䝷䜴䜹䞀䝗䜽⏕㻃 䚭㻃ฺ⏕⩽㻬㻧䛮䝕䜽䝳䞀䝍䛭䝱䜴䜨䝷㻃 ฺ⏕⩽❻ᮆ 䜽䝢䞀䝌䝙䜭䝷 SNS䜦䝛䝮 図 4 SDBC にインターネットバンキングサービスを利用する ID やパスワードを保存した場合のシステム構成例 SNSᴏ⩽ 䜻䜽䝊䝤 䜨䝷䝃䞀䝑䝇䝌 䝔䝷䜱䝷䜴 SDBC ṟ㧏↯ఌ䝿 ථฝ㔘᪺⣵ SNS㏻ᦘ ᶭ⬗ ᑍ⏕API ②過去の入出金明細の確認 インターネットバンキングに表示される入出金明細 図 6 SNS 向け専用 API 対応のシステム構成 は、表示できる明細の件数や期間の制限がある。明細 を定期的にスマートフォンアプリなどに保存すること で、インターネットバンキングに表示されなくなった ②電子マネー事業者と連携した口座チャージサービス 過去の入出金明細を確認できる。 電子マネー事業者が提供するバリュー発行システム と連携して銀行口座から電子マネーチャージするサー ③プッシュ通知による情報提供 ビスを提供できる。 A n d r o i d デ バ イ スで あ れ ば G C M( G o o g l e C l o u d イ ンタ ー ネッ ト バ ン キ ング システムで 出 金 し 、 バ Messaging)、iOSデバイスであればAPNs(Apple Push リュー発行システムに対して出金した分の電子マネー Notification service)といった各OSのプッシュ通知配信シ 発行リクエストを送信することで実現することができる ステムとSDBCを接続し、入出金明細に変動がある場合に (図 7)。 これらシステムを経由してプッシュ通知するなど、必要な ときに必要な情報を個別のお客様に提供できる(図 5)。 ฺ⏕⩽❻ᮆ 䜽䝢䝟䜦䝛䝮㻃 ฺ⏕⩽❻ᮆ㻃 䜽䝢䞀䝌䝙䜭䝷䜦䝛䝮㻃 䝛䝇䜻䝩㏳▩ 㻃 㒼ಘ䜻䜽䝊䝤㻃 SDBC㻃 䝛䝇䜻䝩 㻃 ▩㻃 ㏳▩ ⬗㻃 㻧㻥 ᶭ⬗㻃 iOS APNs 䟺Apple Push Notification Service䟻 図 5 プッシュ通知のシステム構成例 OKI テクニカルレビュー 2016 年 12 月/第 228 号 Vol.83 No.2 㻶㻧㻥㻦 㻃 䐖ฝ㔘ฌ⌦㻃 Android GCM 䟺Google Cloud Messaging䟻 64 䜨䝷䝃䞀䝑䝇䝌 䝔䝷䜱䝷䜴䜻䜽䝊䝤㻃 㞹Ꮔ䝢䝑䞀ᴏ⩽ 㻃 䝔䝮䝩䞀Ⓠ⾔䜻䜽䝊䝤㻃 䐗㞹Ꮔ䝢䝑䞀Ⓠ⾔ 䚭㻃䝮䜳䜬䜽䝌㻃 図 7 電子マネーチャージのシステム構成 OKIの取組み事例 今後の展望 OKIスマートバ ンキングソリューションを活用した 本稿では、OKIスマートバ ンキングソリューション 主な事例は、以下の通りである。 によるインターネットバンキングのスマートフォンア プリ対応について述べた。引き続き、多くの金融機関 (1)みずほ銀行 かんたん残高照会アプリ にOKIスマートバ ンキングソリューションを活用いた 株式会社みずほ銀行は、スマートフォンアプリ「かん だき、利便性の高いサービスを提供していただきたい。 たん残高照会アプリ」を提供している。簡単なログイン ま た 、 O K I ス マ ー ト バ ン キ ング ソ リ ュ ー ショ ン は 、 操作で残高や入出金明細を照会できると共に、指定した 金融機関以外の市場への適用もできると考えている。 曜日や日付に入出金明細をチェックして変動がある場合 他市場の各種既存システムと新チャネルを統合するハ はプッシュ通知する(図 8)。また、Apple Watch® に ブとしての活用が期待できる。たとえば顧客情報シス 対応しており、当該端末からも残高や入出金明細を照会 テムなどと連携してお客様の興味や行動履歴などを元に できる。 個別にOne to Oneの情報提供をするなど、各種既存シ *1) ステムと連携して多様なサービスを提供できる。さら (2)NTT データ 金融機関向けスマートフォンアプリ に、APIの提供によりスマートフォンアプリ以外にも、 将来登場する新チャネルに柔軟に対応できる。 ◆◆ 「アプリバンキング」 株式会社エヌ・ティ・ティ・データは、金融機関に 対 し 個 人 向 け イ ンタ ー ネッ ト バ ン キ ング 機 能 の 提 供 サービス「AnserParaSOL® *2)(アンサーパラソル)」を 提供している。簡単なログイン操作で残高や入出金明 相良雅宏:Masahiro Sagara. 情報通信事業本部 金融ソ 細を照会できる。また、入出金明細をチェックして変 リューション事業部 SE第二部 動がある場合はプッシュ通知する。 図 8 かんたん残高照会アプリ画面 (株式会社みずほ銀行のスマートフォンアプリ画面イメージ) *1)Apple Watch は米国及び他の国々で登録された Apple Inc. の商標です。 *2)AnserParaSOL は日本国内における株式会社 NTT データの登録商標です。 O K I テクニカルレビュー 2016 年 12 月/第 228 号 Vol.83 No.2 65
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