IOT時代の ユニバーサルデザイン入門

IOT時代の
ユニバーサルデザイン入門
2020年オリパラの後を見据えて
同志社大学
大学院
政策学部
総合政策科学研究科
ソーシャルイノベーションコース
教授
株式会社ユーディット会長兼シニアフェロー
関根
千佳
MARK WEISERの遺言
 ユビキタスコンピューティングの始祖が亡
くなる前に残した概念とは?
“Calm Technology”
 人々のニーズに
そっと寄り添う
さりげない技術
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⇒IoTは、限りなく
UDであるべき?
2
ICTで変わる多様なひとびと

1980年代後半のアメリカで出会った障害者たち
レストランには電動車いすで素敵なドレスの老婦人が
 大学の体育教師は車いすユーザー
 図書館で盲導犬ユーザーが情報検索


日本でも同じ技術を広めたい
93年に日本IBMでSNSセンター設立
 全盲の浅川智恵子氏と画面読上げソフトなどを開発
 95年支援技術DB「こころWeb」のウェブマスター


98年に一人で独立し株式会社ユーディットを創業
情報のユニバーサルデザイン研究所(UDIT)
 全員が在宅勤務で、当事者・介護離職者多数
 障害や高齢の技術者は、ダブルで価値がある

3
日本は高齢化で世界のトップランナー
100年間で子どもとシニア
世代の世界人口は逆転
•2015年が転換期
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2005年に日本は
•イタリアを抜いて世界一
の高齢国家に
•今後50年は独走予定
•産業構造・社会基盤・意
識に大きな変化
•ユニバーサルデザインを
必要とする巨大な市場が
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ユニバーサルデザイン(UD)とは
 年令、性別、能力、体格などにかかわらず、より
多くの人ができるだけ使えるよう、最初から考慮
して、まち、もの、情報、サービスなどを作ると
いう考え方と、それを作り出すプロセス

世界の高齢化に合わせた戦略
 ICT企業は、UDを重視
 パナソニック PDCAサイクルの中でUDを前提
 三菱電機 テレビの電子番組表を音声読み上げ
 オムロン 全製品をUDで


Google 自動車開発に全盲者参加
IBM ダイバーシティこそイノベーションの源泉
5
京都府UD推進指針

みんなでつくろう~笑顔あ
ふれる「あったか京都」








ひとづくり
社会参加
情報・サービス
まちづくり
ものづくり
避難所のUD
思いやり駐車場制度
おもてなしUD手帖
出典:京都府
6
http://www.pref.kyoto.jp/f-machi/documents/1257921899362.pdf
医療受付対話支援システムM3
(多文化共生センターきょうと)
医療スタッフとの会話支援で日本語・英語・中国語・ポ
ルトガル語・韓国語・スペイン語・ロシア語に対応
 外国人旅行者に好評

7
http://www.tabunkakyoto.org/医療支援アプリ/多言語問診システムm3-mobile/
京都をもっとUDにするためのICT活用
京都府庁 UDおもてなし手帖の最初に
「施設の寸法や段差を把握し情報提供をしよう!」
でも、実際、どうすればいいの??


地域の高齢者・障害者が、家からUD情報の取得を
指示

「ここの段差計って」「トイレのドアの幅は?」

舞鶴市や同志社の学生が観光地でデータ取得

データベースに記載してシェアする仕組み作成中
8
KDDI研究所
ARによるUD調査支援
9
Vista Finder
京大、同志社、京産大の
3校でUD調査に活用中
映像中継
そこを測っ
て
遠隔で測定箇所を指示
了解
現地で採寸
ICTのユニバーサルデザイン

ドコモらくらくホン
富士通デザイン開発
 弱視のデザイナー活躍
 2300万台以上出荷
 らくらくスマホも


セブン銀行のATM






NECデザイン開発
音声で案内可能
画面の見やすさに配慮
視覚障害者や高齢者に好評→銀行探すより楽!
4か国語に対応
全盲のデザイナーが貢献
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進化する「本」
Amazon Kindle Fire
 大学や高校で全ての教科書を電子化する試みも
 全盲、弱視など多様なユーザーに配慮
 米国ではユーザーの6割がシニア
 拡大、色変換など自在に
 美しいTTS(合成音声)が5カ国語で
 日本ではiPhone上のKindleアプリをVoiceoverで
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Copyright Amazon
放送のユニバーサルデザイン

欧米では、テレビ字幕は1990年頃から義務化
地方局やコマーシャルでもほぼ例外なし
 聴覚障害当事者や家族の「太陽作戦」
 音声解説(副音声)も
 インターネット上の映像も法律で義務付け

日本でもやっと増える
 IoTで新しい可能性も

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広報のUD
 Webサイト
 パンフレット
 テレビCM
 カタログ
 マニュアル

IPAのサイ
トはアクセシ
ブル?
13
UD入門書
「ユニバーサルデザインの
ちから」生産性出版(ISBN
978-4-8201-1935-7)
 新人柚衣さんの視点で、社
会のUDや仕事の意味を考
える物語も
 広報部長は盲導犬ユーザ


UDにかかわる法律や制度

今年の慶應環境情報学部の
入試問題に!
支援技術(ASSISTIVE TECHNOLOGY)のUD化




最初は高齢者・障害
者支援技術として開
発⇒今はUDで誰も
が普通に使っている
ものは何?
一般製品のバリアフ
リー化でないものを
補聴器、眼鏡以外で
誰のどんなニーズか
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ら?
「スローなユビキタスライフ」が示す未来
 誰もがUDな端末を持
つ小さな温泉町の物語
 今では製品化されたも
のを多く予測
 シニアがICTで地域に
必要とされる役割に
 2004年文理融合「やお
よろずプロジェクト」
(日立・東大・慶応・
UDIT)の成果を小説化
小説「スローなユビキタスライフ」より
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参考
日本生産性本部 情報化推進国民会議 少子高齢化とICT部会 資料17
リハビリテーション法508条
(86年制定 99年改正 01年に義務化)
政府のWebサイトや、連邦政府が新たに購入する
情報機器やソフトウェアなどは、それが過度の負
担とならない限り、電子・情報技術アクセシビリ
ティ基準を満たさなければならず、違反した場合
は提訴される。
性別・人種などに
続く「公民権法」
の一部として情報
アクセスは人権
非関税障壁にも?
https://www.section508.gov/
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GOOGLE GLASSは大人気
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GOOGLE GLASSの中のアプリ
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日本人ベンチャーの電動車いすも
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自動キャプション機能付き電話
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話し合ってみよう!

あなたが、明日、目が見えなくなったり、車いす
ユーザーになったら、どうやって就学や就労を継
続しますか?

そのとき、欲しいIoTはどのようなものです
か?

隣の方と話してみてください
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2020年を超えて
 オリンピック・パラリンピックは良い契機
98年長野ではWebのUDを実現
 シドニーではできず提訴されることに

 UDを「前提」に日本を再構築する

2025年2050年を見据えた政策・企業戦略を
 「顧客の大半は情報障害者」を前提の社会


高齢者4000万、外国人観光客4000万?!
世界が巨大なU市UDの市場であると自覚
 誰にとっても、明日は我が身
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24
CALM IOTを実現しよう

清水建設と日本IBMが開発中の公共空間の情報
保障


音声認識と案内
講義やテレビの音声データをマルチモーダル
に
字幕、やさしい日本語、手話、点字、多言語など
への変換
 Glassや空間への投影


Design for Eachを可能とするマスカスタマイズ
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ご清聴ありがとうございました
参考書籍・サイト
株式会社ユーディットのサイトhttp://www.udit.jp/
 「ユニバーサルデザインのちから」生産性出版
 「スローなユビキタスライフ」地湧社
 『「誰でも社会」へ
デジタル時代のユニバーサルデ
ザイン』 岩波書店
 「情報社会のユニバーサルデザイン」NHK出版
 「ソーシャルイノベーションが拓く世界」法律文化社
 「シニアよITを持って地域にもどろう」NTT出版
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 「スマート・エイジング入門」NTT出版
参考:放送大学の講座
①情報社会のユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは
 ユニバーサルデザインのまち・もの・サービス
 ユーザー理解(高齢者)
 ICTのアクセシビリティ
 高等教育におけるユニバーサルデザイン
 放送メディアのユニバーサルデザイン

などなど15週間のテレビ授業
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②アクティブシニアのICT活用生活
 放送大学講座(45分)
 高齢社会とICTの現状
 シニアSOHO普及サロン三鷹など地域に根差
したコミュニティビジネスや、ケーネット知楽
市などのソーシャルビジネスを紹介
 建設的な意見を出すためにICTを学ぼう
 それぞれの人生を、情報発信しよう
 丸善からDVD発売中
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