経営システム 日本のもの作り (第3章のアドバンスコース) ©2016-2018byMasaruFurukawa 1 学習のポイント • 問題とは何か • 日本のもの作り • 復活、日本の製造業 ©2016-2018byMasaruFurukawa 2 問題とはなにか 2つのアプローチ 問題解決法 ©2016-2018byMasaruFurukawa 3 QCストーリーのイメージ 問題の認識 調査・分析 解決策立案 解決策の実施 くちばしが届か どうして水が飲 水のほうから なくて水が飲め めないのか、 こっちにきても ない。 考えた。 らおう。 さあ、どうしよう。 ©2016-2018byMasaruFurukawa 石を入れて水 位を上げると 楽に飲めた。 4 問題解決の手順 基本ステップ • • • • • • デミング・サイクル 問題の認識 調査・分析 解決策の立案 解決策の実施 結果の評価 対策(見直し・調整) Plan Ac?on ©2016-2018byMasaruFurukawa Do Check 5 問題とは何か • 困っていること(不都合なこと) – 誰が、 – どんな場面で、 – どの程度、困っているのか? • 困っていること=問題 • 問題を解消する方法=問題解決法 ©2016-2018byMasaruFurukawa 6 問題の例 • 問題の定義(5W1H) • 誰が、何時、どこで、なぜ、何を、どの程度 • 例 • 誰が=日本の企業が、 • 何時=今も、これからも、 • どこで=世界市場で、 • なぜ=販売競争に勝てないので、 • 何を=製品が売れなくなり、 • どの程度=赤字になる(存続が困難になる) ©2016-2018byMasaruFurukawa 7 どの程度の問題か? • 問題 – 日本の企業が、今後、世界市場で、競争に勝て ないので、製品が売れなくなり、赤字になる • 因果関係=原因と結果 – その結果、日本の産業が衰退し、雇用が減少す る。 – その結果、若者の就職先が、減っていく。 – その結果、日本人の豊かな生活が、維持できなく なる(少子化、市場縮小、売上減少)。 ©2016-2018byMasaruFurukawa 8 なぜ問題が起こるのか • 問題 • 日本の企業が、今後、世界市場で、競争で勝てないの で、製品が売れなくなり、赤字になる • 原因=なぜ(理由) • コスト:価格競争で太刀打ちできない • 品質:日本で求められる機能と品質は、国外の現地の ニーズとマッチしない(過剰品質) • 顧客サービス:競争相手と日本企業とでは、要求品質 が異なる(日本は高級高機能指向) ©2016-2018byMasaruFurukawa 9 問題と解決策の関係 なぜ? 問題 なぜ? なぜ? 原因 原因 原因 原因 原因 解決策=原因を除去すれば、問題は発生しない ©2016-2018byMasaruFurukawa 10 ビジネスへの応用 原因 問題点 コスト:価格競争で太 誰が、 刀打ちできない どんな場面で、 品質:日本で求めら どれほど困っている れる機能と品質は、 のか 国外の現地のニーズ とマッチしない = 顧客サービス:競争 相手と日本企業とで 解決してほしい問題 は、サービスが異な (売れない、利益が る(日本の方が良い) 出ない、など) 結果 どれほど困っている のかèお金を払う? いくらなら払える? これを解決してほし い=「ニーズ」è 具体化されて「ウォン ツ」è これが集まって「デ マンド」èマーケット ©2016-2018byMasaruFurukawa 11 問題解決「2つのアプローチ」 トップダウン (設計的アプ ローチ ) ボトムアップ (分析的アプロ -チ) 改善 対策 目標 ギャップ =問題 対策 対策 現状 対策 改善 改善 現状 現状 改善 現状 現状 現状 ©2016-2018byMasaruFurukawa 現状 現状 12 『ものづくり』における世界市場での日本の地 位は、過去から現在まで、どの様に推移して きたのか。 現在の日本が持つ『ものづくりの技術水準』は、 欧米やアジア諸国と比較して、どうか(優劣)。 『日本のものづくり』は、今後、世界市場にお いて、どの様な役割を担っていくべきか。 日本の世界戦略を描いてみよう ©2016-2018byMasaruFurukawa 13 世界のテレビ市場におけるシェア ©2016-2018byMasaruFurukawa 14 デジタルカメラの世界シェア(2008) ©2016-2018byMasaruFurukawa 15 ボトムアップ・アプローチ 市 場 価 格 他社の追随で市場価格低下 つぎの製品を投入 重要なのは,スピード スピードに不可欠な力 ・開発技術 ・生産技術 経過時間 ©2016-2018byMasaruFurukawa 16 トップダウン・アプローチ Mission Vision 経営理念 (何時までに、どの程度) Goal 中期目標 方策・手順 Strategy 経営戦略 目的 (こうありたい) 目標 ©2016-2018byMasaruFurukawa (使命) (中期経営計画) 17 ©2016-2018byMasaruFurukawa 18 『ものづくり』における日本の地位 過去 現在 • 戦前: • 世界最高水準の品質 – 職人技 • 世界一高性能の零戦、一台ごとに手 作りで部品の互換性はない • 戦後: – 統計的品質管理(SQC)の導入 – 大量生産、ブルーカラーによる 現場の改善 – 全社的品質管理(TQC)の導入 – 海外移転 • コスト競争のため、中国やASEAN諸 国など,海外へ生産移転 • 国外生産で利益・技術とも流出 – 自動車や家電は、世界最高水準の 品質、生産技術 • 複合技術に強み – ハイブリッド・カーなど、技術と価格など、 高度な制約に強い • 生産拠点の一部国内回帰 – キャノンなどは海外の生産拠点を国 内に回帰 – 国内生産によって、国内で蓄積され てきた現場の世界最高水準の生産 技術 ©2016-2018byMasaruFurukawa 19 コスト(価格)競争力の推移 日本 欧米 中国 東南アジア 過去(戦後) 過去(直近) 現在 将来 低コスト 高コスト 高コスト 高コスト (優位、国内生産) (海外移転、現地生 産) (空洞化、一部国内 回帰) アメリカ、西 高コスト 欧は高コスト (EU統合、巨大市 場) 高コスト 高コスト (巨大市場) (イギリス離脱、保 護主義化、不透明) --- 低コスト 高コスト傾向 高コスト化 (沿岸部) (沿岸から内陸へ) --- 低コスト コスト上昇 (巨大市場) (巨大市場) --- 生産コストを下げるため、「人件費が安い」あるいは 「関税が撤廃された」国や地域へ生産拠点を移転 ©2016-2018byMasaruFurukawa 20 品質=技術力・開発力 • 過去(高度成長期) • 世界有数の技術力・開発力 • 自動車、家電製品での圧倒的強み • デファクト・スタンダード • 現在 • 世界有数の技術力・開発力 • デジタル化の浸透で日本の優位性消失 • 国際標準(ISO)の獲得競争において苦戦 ©2016-2018byMasaruFurukawa 21 スマイルカーブ 利益 部品生産 デザイン 試作品 開発 販売 モジュール 部品生産 組立 ©2016-2018byMasaruFurukawa アフター サービス 22 スピードへの対応 開発力 • 競争力のある試作品を、 短期間に開発 生産技術 • 素早い市場投入 • 試作品の迅速な量産化 • そのための開発力 • 全社横断型の プロジェクトチーム • そのための生産技術 • 優秀なブルーカラー(現場作業員) が,量産化スピードにおけ る国際的競争優位の基盤 ©2016-2018byMasaruFurukawa 23 技術競争力の比較 対 欧米 • 産業のコアとなる半導体 (CPUや携帯電話などの回路基盤)は、 欧米企業の後塵を拝す • 個々の技術では優位、 世界標準では劣位 – 開発した最高水準の技術が利用さ れないまま消滅する可能性 • 美的センス、核心的な機能 デザインで ?(疑問符) 対 アジア諸国 • 低価格競争で劣位、 開発力と性能では優位 • 品質では優位、 プラントやシステムの販売 (水ビジネスや太陽光発電など)で出遅れ – 機器などのコンポーネントや技術の 供給のみとなること(下請け化) を危惧 – 顧客がほしいのは最終製品 ©2016-2018byMasaruFurukawa 24 競争優位のまとめ 価格 品質・性能 顧客 サービス 欧米 日本 国際標準 高い やや高い 高い人件費 極めて高い 極めて高い 自動化で対抗 アジア 安い人件費 やや低い (中韓、台湾、 低価格 (追随) 東南アジア) ©2016-2018byMasaruFurukawa 低い 25 『日本のものづくり』は、今後、世界市場において、どの様な役割を担っ ていくべきと思うか。日本の戦略(目標達成のシナリオ)を描きなさい。 日本の戦略 ©2016-2018byMasaruFurukawa 26 日本の世界戦略 • 目的: • 現代日本の豊かな生活の維持・継続 • 目標: • 職人技の存続 • 『技術立国』『ものづくり大国』日本の復活! • 戦略: • 強みを前面に:高度な技術、複合技術 » 強み:高い制約条件下での製品開発 • 国際標準の獲得 » ISO(Interna?onalStandardizeOraganiza?on) • 東南アジア・韓国・中国と、Win-Winの関係を築く ©2016-2018byMasaruFurukawa 27 競争優位の課題 • 競争優位の源泉 • 価格、品質(機能)、顧客サービス • 日本の比較優位と世界戦略 • 高い制約条件下での複合技術の高度化 – 環境対応の自動車、野菜工場などの複合技術 – リチウムイオン電池(産業のピラミッド) – 世界標準獲得への挑戦 – ISOの認定獲得を迅速確実に – 対欧米だけでなくアジアもライバル èアジアとの協働・協業 ©2016-2018byMasaruFurukawa 28 推薦図書 • 『世界で勝つ! ビジネス戦略力 「スマートシティ」で復活する日本企 業』PHP研究所 • 『BOP 超巨大市場をどう攻略する か』日本経済新聞社 ©2016-2018byMasaruFurukawa 29 スマート・シティ 高速道路システム(ITS)、次世代自動車センター (オペレーションセンター)、蓄電システム、風力発電、 洋上風力発電、ソーラーパネル、スマートハウス、 EVカーシェアリング、マルチエネルギーステーション 環境配慮型設計ビル、地域EMS(コントロールセンター)、 地域EMSと連動したスマートビル群、メガソーラー、 スマートハウス、バイオマス燃料、EVカーシェアリング、 スマートハウス、電気バス、中小規模のスマートビ ル、マルチエネルギーステーション、 30
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