資料4-2 これまでの意見の概要 (PDF:230KB)

資料4-2
これまでの意見の概要
※下線は第3回懇談会における意見
<拠点に関する施策全体に関する意見>
(ビジョン・戦略の重要性)
○
20 年、30 年後の日本は、少なくとも地方は全て再生可能エネルギーに変えるべき
だと思っているが、例えば、そういうビジョンに向かってこれからどういう拠点を
作っていけば、そこに到達するか、そういう大きな観点で考える必要がある。内閣
府がすべきことかもしれないが、将来の日本が 30 年後にこうあるべきだという形が
文科省側からでもビジョンを提案できれば良いのではないか。大きなビジョンを持
って、こういう拠点形成も含め、日本のサイエンスを動かしていくべき。
○
まず、全体の総論があって、次に戦略があって、その中でどういうプログラムが
必要かを考えてこれからの 10 年間を見据えた計画的なプログラムを作っていただ
きたい。大学の機能というのは、教育、研究、産学連携を含む社会貢献の3つなの
で、それらをどうやってサポートしていくのかという大枠を決めて、その中に各プ
ログラムを位置づけ、相互補完するような政策が必要。
○
大学は、運営費交付金が減る中で、外部資金に頼らざるを得ない。大学の研究者
は様々な外部資金を獲得するため、相当な時間を割いており、疲弊している。これ
は、文部科学省が様々なプログラムをそれぞれの担当の考えで実施しているのだろ
うが、中には思いつきのように感じるプログラムもあり、全体を統一するような考
えはできていないのが一因ではないか。
○
具体のプログラムやプロジェクトを廃止するということではないが、事業の統合
による改善、新たな考えで進めるべきではないか、という提言もこの懇談会から出
せると良い。
(効率性の弊害と多様性、独自性の重要性)
○
日本の大学を、例えば、科研費などの外部資金の獲得状況について、シェアが高
い順にならべると、その割合が急激に下がっていく。他の指標でも同様。しかし、
アメリカやイギリスはその下がり方が緩やかであり、日本の大学の層の厚さが急速
に低下している状況だと思う。
○
ヨーロッパにおいても、中小規模の機関補助を競争的にやるという形が多く出て
きた。国際的な傾向だと思っている。これは、支援を集中した方が成果が効率化す
るという思い込みと、国際ランキングが政策に大きな影響を与えたのだと思うが、
今それが行き詰っていると感じている。
1
○
企業も昔は幅を広げて、その連関性でやった方がいいと言われていたのが、20 年
ぐらい前から選択と集中と効率化が求められた。今はダイバーシティみたいなこと
で幅の広さをと言っている。研究も同じで、いかに多様性を維持しながら世界に向
けて独自性を発揮していくかが大事ではないか。
(人材育成の視点の重要性)
○
大学という組織は極めて特異な組織であるということをもう少し理解すべき。つ
まり、大学という組織は、常に新しい学生が入ってきて、そして、割と短期間、長
くて 10 年以内ぐらいで出ていく、そういう循環を繰り返す組織であり、ほかに余り
ない組織である。なので、研究の強みというのは、常にそういう新しい学生の循環
が起こることによって生まれている可能性が強い。企業も、国研も、大学との連携
において一番望んでいるのは何かというと、大学の先生と付き合うことではなく、
学生というのが魅力となっている。そういう点で、大学は研究のアドバンテージを
持っているということを我々は考えるべき。
○
今一番問題なのは、大学院に進学する学生が明らかに減っているということ。こ
れは、経済的な支援がないからだという理由はもちろんあるが、それだけではない。
例えば文系の場合は、一番優秀な学生は学卒で企業に就職する。理工系の場合は、
ほぼ工学系は 6 年教育というのが常識なので、修士までは行くが、そこからは、や
はり優秀な学生は産業界に行く。したがって、博士課程に優秀な学生が残るという
モデルが非常に苦しくなっているのが現実で、その状況は既に 10 年ぐらい続いてい
る。研究力をどう定義されるかによるが、恐らく、今の状況が続けば、かなりガタ
ガタになるだろうと思う。
○
イノベーティブなアイデアを考えるのは人であり、ここに焦点を当てて欲しい。
国民全体が、
「今後の日本は、もう人しか財産はない」ということを納得してもらわ
ないと、総額は増えていかない。今後、成長を引っ張っていくような人材に対して
いかに配分していくかという国民的な納得を得て、総額を増やすということにも気
力を使っていかないと科学技術の発展は見込めないと思う。
○
トップの大学にいる若手研究者は、地方大学に行くと、もう研究はできないと思
っているため、研究者の循環がなくなってしまう。人の循環がないとアイデアも動
かない。この課題をどうするかが、これからの大学の研究力を強化する際に重要。
○
若いポスドクの研究者の多くが任期付になっている。テニュアトラックを 1 人公
募すると、そこに 100 人の応募がある。そういう状況を大学院生、学部の 4 年生は
見ており、大学に残って研究者になるには相当の覚悟がいる状況。また、研究者が
産業界に流れにくい状況もあり、最も強化すべき人材育成が脆弱化している。
○
博士課程(特に後期課程)の学生に対する経済的支援(奨学金等)の問題が非常
に大きい。実際に優秀な人材がアジアに流出しているのも非常に大きな問題。学生
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が博士課程にどんどん進みたくなるようにすることが重要。
<研究拠点の厚層化の在り方に関する意見>
○
拠点事業を実施して、論文数は上がっているし成果もでているとのことだが、全
体として、大学の世界ランキングは低下し、論文数も頭打ちになってきている。ど
こが間違っていたのかしっかり議論する必要がある。例えば、拠点の形成の仕方が
国立大学の旧帝大に偏っているし、旧帝大で論文数が伸びても、全体に与える論文
数や論文の質の差は、あまり変わらず、むしろ地方大学が落ちている可能性もある。
○
厚層化に関する施策を検討する際、RU11 に対する施策とその次の層に対する施
策は同じであってはいけない。RU11 クラスの大学では、Ph.D をとる学生が、質を
担保された状態で一定数輩出されるような仕組みを考える必要がある。それに対し、
J2 クラスの大学では、研究インフラの劣化に対する支援が重要。ターゲットを分け
て設定するべき。
(トップレベルの研究拠点)
○
トップレベル研究拠点としては、成果が出ている学術研究の大型プロジェクトを
どのように充実させるかが重要。本来であれば、毎年1件くらい新規に採択し、全
体の予算も増額すべきだが、そうなっておらず、成果がでている拠点が伸び悩んで
いる。
(トップに伍する潜在力を有する研究拠点)
○
日本の大学の論文数や研究費をべき乗則に当てはめて分析しグラフ化すると、日
本は米英独に比べて急峻なカーブとなる。これは、日本は米英独に比べて大学間の
格差が大きいことを示している。極端な集中は研究の発展を妨げると思う。比較し
た大学を日本のプロサッカーリーグになぞらえて J1、J2、J3 とすると、J2 への支
援が必要。
○
J2 にも鋭く光った研究がある。しかし J2 の部分を全面的に支援することが難し
いとなると、21 世紀COE的な大学の強みを生かすような拠点形成を支援すべき。
仮に、21 世紀COEのような拠点支援を行う場合には、例えば、RU11 を除くなど
して、J2 がメインの支援対象となるようにすべき。
○
J1 にお金を出すことはあまり効果的ではないという理由を考える必要がある。同
時に、J2 にどの程度支援すれば、どれくらいの効果が生まれるということについて
も、ある程度整理しておく必要があると思う。
○
J1 に支援しても効率的ではないということまで言う必要はないが、J2 に支援して
3
も J1 と遜色ない効果が出ているということが、データで示せると良いのではないか。
○
イノベーションの源泉は基礎にあるし、それは必ずしもトップの大学だけではな
い。
○
日本の大学の中間層を底上げしていかなければならない。全分野で底上げできれ
ば、それに越したことはないが、それが難しいのであれば、拠点形成事業のような
もので、ある程度、選択と集中を行い、それぞれの大学の強みを伸ばしてくような
方法になるのではないか。その際、上位層(RU11)を外すような制度設計が必要だ
が、競争的資金が競争力のあるところを外すという部分の理屈が難しいと思う。運
営費交付金の重点支援の枠組みで、全学で世界と戦う大学以外を対象とすることは
可能性としてあるのではないか。
○
大学を1層、2層、3層と分けて、あとは競争的資金で競争するというのは地方
大学にとっては厳しい。法人化した時点で国から受け継いだ資産に差があるため、
大学全体で一緒に競争しろと言われても地方大学に勝ち目はない。このため、地方
大学は、とにかく焦点を絞って、強みのあるところに集中投資して、そこで競争的
資金を獲得し、勝ちに行くしかないというのが現状。中堅層が弱いのを直すとすれ
ば競争的資金では無理であり、運営費交付金の配分を変えるしかないと思う。
○
全国の大学で競争させても旧帝大が勝つ。本来世界と競争しないといけないのに、
国内で競争しても仕方がない。旧帝大は旧帝大で競争し、地方大は地方大で競争す
べき。拠点形成については、少なくともそういう競争をすべきだと思う。
○
運営費交付金の配分を変えるというのは難しい点もあると思うので、少なくとも
今後の拠点形成では、トップレベルで競争するものとそうでないものをはっきりさ
せるべきだと思う。
○
競争させると旧帝大が勝つのは当たり前だというのは、各大学は実感として感じ
ているはず。旧帝大は旧帝大同士で競争してもらい、旧帝大を除く大学で競争する
というのはとても良い考え。大学の層の薄さが改善されて、日本全体の国際共著論
文は確実に上がると思う。
(厚層化による我が国の研究力強化への効果をどこまで求めるか)
(大学全体の研究力強化との関係)
○
研究力をどう定義するかは非常に難しい問題。数量的なデータによる研究力の評
価も一つの見方だと思うが、それだけで研究力は評価できない。近年、国際共著論
文数が非常に重大だという議論もあるが、全分野が国際共著論文を書けば、研究の
水準が上がるということはない。一律に政策展開して、何でもいいから国際共著論
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文を増やしましょうという政策はやめるべき。これまで研究力強化大学促進事業で
URA とか IR というのを充実させてきて、外形的な数字によるデータの分析に加えて、
研究の現場にいる URA が増えてきているので、そこからフィールドワークのような
形で研究分野のそれぞれの特性をきちんと聞き出すということができるようになっ
ている。そのデータを集めて、それと数量的データとを組み合わせるというような
ことをやる、良いタイミングだと思う。
<研究拠点のイメージに関する意見>
(研究拠点の機能)
○
何を目的とするか、アウトカムをどう見るか、フォローアップをどのようにして
いくかが重要。
○
単に拠点を作る、そこへ支援するということではなく、そこにはっきりとしたミ
ッションを掲げ、それをどうフォローアップしていくかが大事。WPI はそのことを
一つの実験として実施したので、学ぶべき点も多いと思う。
○
WPI のミッションとして、イノベーションにコネクションするというのは不可能。
大学の中に別組織を作って、そこでイノベーションに向けた取り組みを推進すべき。
それが結果的に大学全体に変革を及ぼす力になり得る。
○
J1、J2 という議論も重要だが、補助する対象(組織)の在り方がどうあるべきか
という議論も必要。
○
これまでの拠点支援では、大学の中の組織に渡す形態をとっているが、大規模大
学では、組織的な変化がほとんど起こっていないのではないかと思っている。支援
対象となる組織や人について、どこを狙って、どこを変えていくのかということが
非常に重要。
(組織・研究支援体制)
○
WPI は組織のリフォームをかなり重要なテーマとしている。拠点長がリーダーシ
ップを持ってやる、英語で事務を全部行うなど。
○
WPI では、内部で自由に議論できる場を作ろうということを常に心掛けていて、
毎週金曜日はポスターを発表するなどしている。
(国際性)
○
WPI では、組織のリフォームとともに、サイエンスと融合研究と国際化をミッシ
5
ョンとして掲げている
<研究拠点の支援の在り方に関する意見>
○
拠点の課題として、拠点継続の困難さが顕在化してきている、連携不足による教
育研究インフラの確保が困難となっている、有力大学に拠点が集中し多様性が収縮
してきていることがあげられる。今後の方向性としては、既存拠点の改変・強化、
資金規模の最適化、多様な中小規模の拠点形成を重視すべき。今後の方向性を踏ま
え、主なコンセプトとしては、拠点事業の体系化、拠点の再編促進、ネットワーク
の構築を考えている。[CRDS]
○
拠点事業の体系化については、大規模拠点は縮小し、大規模新規拠点形成はトッ
プダウンの分野特定型に限定する、中小規模の拠点形成を重視する、各大学の強み
を生かす多様な研究分野への支援を重視する、広範囲の教育研究拠点に対する支援
を充実することが必要。[CRDS]
○
大学の規模によっては、現場の教員が、研究拠点、教育拠点、イノベーション創
出拠点を同時に担当しているケースもあると思う。この3つをうまく組み合わせて、
各大学が特色を出せるようなやり方ができれば、現場も動きやすいし、論文の生産
性も高まるのではないか。
○
かつての全国共同利用施設で、現在、共同利用・共同研究拠点になり、うまくい
っているところがあるが、それは、担当課がそういう拠点を人材育成の観点も見な
がら長期間支援してきた部分が大きい。長い間実施している共同利用・共同研究拠
点、大学共同利用機関の良い点や弱点を検証し、新たな拠点づくりに生かしていく
必要があるのではないか。
(選定基準(どの程度の研究力を有することが必要か。))
○
必ずしも、TOP10%論文だけがイノベーションにかかわっているというものでも
ない。基礎的な研究を振興していく大学であれば、TOP10%論文の数にこだわる必
要はないのではないか。
○
現場の研究活動に基づいて自発的に拠点となっていくものに支援すべき。研究者
が研究しやすい環境が提供され、研究者の中で認められてこそ持続可能な拠点であ
るとすると、研究拠点にはお金も場所も大切ではあるが、研究活動という観点も考
えた方が良い。そうすると、人社系など研究の態様によって、拠点の在り方も変わ
ってくるのではないか。
○
伸びしろがある拠点はどこなのか、投資した場合に確実に伸びてくれる拠点はど
こなのか、全国を見渡してどこに支援すべきなのか、どういう支援をすべきなのか、
6
判断を誤ると全体の底上げにならなくなってしまう。その判断は非常に難しいが、
例えば、大学改革を本気で進めている大学、中規模の事業をとって人材育成も含め
て努力をしている大学、過去5~10 年を見て、伸びしろが大きいと判断できるとこ
ろ、などの観点を判断の材料とすることが重要だと思う。
(支援単位(例:附置研究所、センター等))
(支援形態)
○
トップレベルの大規模な共同利用施設に、そのトップに伍するようなところが共
同研究に加わる方法や全国にある中規模程度の施設をネットワークで結ぶ方法もあ
るのではないか。また、大型プロジェクトが上手くいっているなら、その連携型と
いうのもあると思う。
○
拠点形成においてネットワークを重視していくべき。その際、大規模な共同研究、
研究インフラの共有、URAや教員等の人材資源の育成・確保と流動化をバランス
よく実施していくことが重要。[CRDS]
○
拠点の再編促進については、拠点の新陳代謝を促すため、既存組織の縮小・改変
によって新たな拠点を創出するとともに、事業支援期間中に拠点内に承継教員のポ
ストを準備し、拠点の継続性を高めることも重要。[CRDS]
(支援内容)
○
自由な発想で研究をやっていただいて、その中で、世界に先駆けた独自性のもの
を拾おうとすると、不確実性が高くなるのでリスクテイクが必要。運営費交付金と
は別に、研究大学強化促進事業のような比較的使い勝手が良いものを、一定数の大
学に対して同額規模で行えば、独自性も生まれてくるのではないか。独自性の観点
から考えると研究者を信じて任せるしかないと思う。
○
運営費交付金に加えて、安定的で使い勝手の良い資金を増やしていく必要がある。
○
拠点、あるいは、大学全体の研究力までを含めて強化するためには、人に対する
投資がどうあるべきか。これまでの取組の反省も踏まえて議論すべき。
○
附置研究所にいたことがあるが、もし学生に対するサポートが必要であれば、先
生方が自らの身銭を切って、研究費から学生に出せば良い。出そうとしないだけで、
出そうと思えば出せる。しかし、出していても全員来るわけではないし、博士とい
うだけで学生は動かない。また、リーディングプログラムについては、先生が必ず
半分は身銭を切ってサポートする学生しかプログラムに入れないというような制度
にすべきであったと思う。どうすれば、一人でも多くの学生にサポートができるよ
うになるのかということを考えた制度設計が必要。
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(支援期間)
○
21 世紀 COE やグローバル COE の支援期間は 5 年であったが、次も支援される
かわからないこともあって、なかなか大学に効果が蓄積されなかったのではないか。
それでも、ある程度の効果は上がっているとは思う。韓国は、BK21 が 7 年ターム
で、現在、第 3 ラウンド目。大体 3 年目にパフォーマンスのベンチマークははっき
りさせておいて、それに達しなかったら中止となり、入れ替えるということをやっ
ている。一見 7 年のタームだが、長ければ 21 年続いていくという形で、かなりスト
ックされる仕組み。日本は、21 世紀 COE の採択件数がグローバル COE で半分に
なり、更にリーディングで半分になった。これでは、大学における効果の蓄積とい
う観点からは良くないのではないか。支援がなくなった部分を大学独自で維持しよ
うとしたら、運営費交付金は減っているという状況になっている。運営費交付金の
削減を止めるのが難しいのであれば、削減分は、21 世紀 COE とかグローバル COE
レベルの拠点支援という形で支援していくことが必要。
○
大規模拠点 10 億、中規模拠点 5 億、小規模拠点 2 億といったように、大学の希望
によって金額規模も柔軟に選択できるようにし、将来を見据え 10 年規模で投資して
拠点形成をするということが必要。
(選定方法)
○ 例えば、J1 の大学も含めて 70~80 の大学から拠点型の提案を1つ出してもらい、
その中から7~8割程度の大学を採択する、残った資金で追加の拠点を競争的に採
択する、ということも考えられる。
○
附置研究所では、外国人大学院生に頼っている状況で日本人大学院生はどんどん
減っている。日本の研究力を上げるには、優秀な日本人大学院生が博士号を取得し
ようという気にならないといけない。優秀な学生ほど修士でやめて企業にいってし
まう。人を育てるところに投資すべき。
○
J2 の層は 20~30 大学程度なのか、あるいは 40 大学以上を考えるのかという厚層
化の規模感を考える際に、アジアランキングは参考になるのではないか。
○
人材が多様であるということが発展には不可欠で、J3 といった層も研究力強化と
いう議論に入れて、日本の総力をあげるというのが大事。
○
日本の研究力全体を引き上げるために研究拠点を作っていくという施策において
は、ピークをより高くするのも大事だが、同時に、裾野を引き上げていく、中堅層
を厚くしていく、これも大事である。ピークを引き上げる方の施策が WPI だと思う
が、将来的に 20 拠点を目指すというのも妥当な数だと思う。一方、中間層を分厚く
するためには 100 拠点程度の規模が必要ではないか。
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(組織マネジメント)
○
システムの整備だけでなく、実際の運用とそれを柔軟にやるというマネジメント
がとても重要であり、論点に加えても良いと思う。
<研究分野に関する意見>
(人社系)
○
人社系では、データの共有ができていないのが一番の問題。全国の大学が同じよ
うにあるデータを電子化して共有できる基盤が必要。
○
人社系のように規模は小さくても継続的に研究、教育をすすめていくことが重要
な分野も多くある。
○
人社系の中でも、法学部や文学部では論文よりも著書が重要。アメリカでも著書
をトップパブリッシャーから出しているかが大事。
○
人社系は産学官が重要。官といった場合、国はあまり人社系を必要としていない
かもしれないが、自治体はかなり必要としている。自治体の施策形成などについて
は、国立大学を中心に、全国の地方大学はかなり自治体に貢献している。人社系は、
産学官、どれだけ社会に貢献しているかをベンチマークに入れていくべき。
<大学改革を踏まえた研究拠点の在り方に関する意見>
○
大学が各事業、施策を選ぶにあたって自主性を発揮することは重要であるが、各
事業・施策にどのような関連があり、大学にとってどのように対応すれば良いのか
ということについて一定の方向性がどこかに示されていることが重要。
○
ギロチンカットのような形の資金の断絶というのは、大学にとって大変厳しい。
これに類した政策がずっと続いており、現在はリーディング大学院で苦しんでいる。
目の前に卓越大学院構想がちらつき、指定国立大学という議論もある。これらをど
う強調させて大学の将来を考えるかというのは大変困難。
○
WPI自体がどういった効果を及ぼすかということだけではなく、むしろ、この
事業が大学にどういう影響を与えて、少し長い期間での変化を大学に与えるのかと
いうことが重要な観点。
○
WPIによって大学改革が進んでいるとは思えない。今後のWPIについて、何
を課せば本丸に手が届くかきちんと考えるべき。WPIによって大学がどう影響を
受けて、変わってきているか、を示していかないと論点がぼけてしまう。そういう
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ことを考えて WPI を作ってほしい。地方大学に支援すれば、改革が起こる可能性が
高い。
○
大学に拠点を形成する際には、大学におけるグランドデザインをもとに、大学内
でのスクラップ&ビルドが必要。
<関連する施策に関する意見>
(運営費交付金)
○
運営費交付金を 1%ずつ削減するというのは止めるべき。それが J2 だけでなく、
トップ大学でもかなり大きなひずみになっている。
(共同利用・共同研究拠点、大学共同利用機関)
○
ベンチマークをどう設けるかが重要。本来、大学共同利用機関や共同利用・共同
研究拠点は、大学や研究者に対してどう貢献するのか、が問われなければならない
が、研究力の方に力点が置かれると、大学や研究者にどのような貢献ができるのか
というところには熱心にはならず、自分の研究にだけ熱心になるという部分が、少
なからずあるのではないか。
○
大学共同利用機関について、第2期中期目標・中期計画期間は、各機構の中の各
研究所の融合が課題であったが、それはある程度達成できたと思っている。第3期
中期目標・中期計画の期間は、4つの機構の枠を超えて、一丸となって融合してや
るべきことは多くあると思っている。一緒にやれることを別々にやっているところ
があるのではないか。
○
J2 の大学の中にも、共同利用・共同研究拠点があるので、その中でうまく伸びて
きている大学、そうでない大学について、良い点、悪い点があるのかを検証する必
要があるのではないか。
(附置研究所)
○
国立大学附置研究所は研究費、運営費交付金が減っていて、基盤研究を維持する
のが難しい状況。WPIでは、中外製薬と包括契約を結んで 10 年で 100 億の支援
を受けている例があるが、こういうことはどこでもできるわけではない。
(21 世紀 COE、グローバル COE)
○
21 世紀 COE は、上手くいかなかったという方もいるが、地方大学はこれを大切
に育てて、これを生かして何かしようと努力をしていた。豊橋技術科学大学は 21 世
紀 COE、グローバル COE をとっていたが、今でも1つのセンターとして十分利用
されていた。上手くいっているところは、どのようにして大学が支援し伸ばしたか
を調査する必要があると思う。
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○
21 世紀 COE とグローバル COE は、大学の研究の下支えをしたことと、大学院
生に対する経済的支援ができたことの 2 つの点で重要だったと思っているが、その
効果が何だったのかについては、検証したほうが良いのではないか。効果について
は、単に論文数だけではなく、大学院生がどこへ就職したのか、社会にどれだけ有
能な人材を輩出できているのかが重要。
○
21 世紀 COE やグローバル COE において、人材をどう養成したかについて、拠
点を作って博士課程の学生がどれくらいいたか、Ph.D をどれくらい出しているか、
参考データがあれば出して欲しい。
○
21 世紀 COE は 274 拠点、グローバル COE では 140 拠点、リーディングプログ
ラムでは更に拠点数は減っている。これらの事業で学生への経済的支援をしていた
大学が多く、これが終了したので今まで雇っていた学生が雇えなくなってしまって
いる。この状況を見ている学生は博士課程にいくことに不安に感じ、博士に進学し
ないという悪循環が続いていると思う。
<産業界との連携方策の在り方に関する意見>
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