生活習慣病予防を目的とした 簡易血液粘度測定装置 登壇者: 産業医科大学・名誉教授 共同研究者: 九州工業大学・准教授 産業医科大学・特任教授 大野宏毅 坂本憲児 徳井教孝 ※未公開特許情報を含んだ発表ですので、当日の発表内容の一部を削除しています。 研究開発の背景:社会的ニーズ 1 生活習慣病の予防 脂質異常症の患者数推移 糖尿病の患者数推移 2 研究開発の背景:社会的ニーズ 2 脂質異常症、糖尿病は心臓病、脳卒中のリスク要因 脂質異常症、糖尿病 血液粘度が増加する生活習慣病 食後高脂血症 3 研究開発の背景:社会的ニーズ 3 現代社会の医療事情と健康政策 セルフメディケーションの効果 (1) 自己健康管理習慣の形成 (2) 医療や薬の知識の修得 (3) 医療機関受診の手間と 時間の節約 (4) 国民医療費の増加防止 4 研究開発の背景:まとめ 生活習慣病発症および重症化要因マーカー としての血液粘度を、簡便・迅速に測定する 技術の開発が望まれている。 5 粘度測定の従来技術 振動粘度計 株式会社 セコニック 前田信治 日生誌 vol.66 No.7-8 2004 p240 6 血液粘度測定:従来技術の問題点 従来技術(回転法、細管法、振動法など)の問題点として、 ① 測定に1mL以上の試料が必要 ② 多数の試料の迅速な測定が困難 であることが挙げられる。 7 新技術の特徴 • 本方法では、試料の電気伝導率および マイクロ流路内での流動速度を測定し て粘度を求める。微量の試料で迅速に 測定可能である。 • 測定対象は電気伝導性の液体に限られ るが、血液を代表例とするヒト体液は 例外なく電気伝導性である。 8 新技術の特徴:従来の測定法との比較 粘度測定法 測定に 必要な試料 測定の 迅速性 回転法 >5 mL × 細管法 >5 mL × 振動法 >1 mL × 本方法 <0.001 mL ○ 9 研究開発の内容:具体的目標 血液一滴(~1μL)の電気抵抗測定と流体 力学的測定から血液粘度を評価する。 (特願2016-159498) 10 粘度測定用マイクロ流体チップ(イメージ図) ・血液一滴で電気抵抗測定を行うチップ ・PDMSで作製した細線流路内に微量のサンプルを導入し、 電極(金電極)にて電極間のサンプルの電気抵抗測定を行う。 金電極 流路 材料:PDMS 貫通穴 (サンプル導入口) 材料:ガラス 材料:金 イメージ図 11 粘度測定用マイクロ流体チップ(諸元) 1μL規模試料の粘度評価 毛細管力による送液 貫通穴(サンプル導入口) 幅100µm深さ40µm流路 ・電極間距離 2.0 mm ・流路幅 ・流路高さ ・電極間容積 0.008 μL 40 μm 100 μm 12 測定系概略図 基準抵抗 電流電圧変換 電極 増幅検波 記録 交流電圧 測定例1:モデル試料(食塩水およびショ糖入り食塩水) 電流(相対スケール) 1.6 1.4 100mM NaCl 1.2 1 0.8 100mM NaCl 20Wt%sucrose 0.6 0.4 0.2 時間/ms 0 -5000 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 測定例2:ヒト血液(手の平から採血) 電流(相対スケール) 0.9 食後4時間 0.8 0.7 空腹時 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 時間/ms 0.1 -10000 0 10000 20000 30000 40000 50000 達成状況:まとめ 試作したマイクロ流体チップを用いて、 しし 微量(~μL)血液の粘度を迅速に測定する ことが可能となった。 想定される用途 ・食後高脂血症など、生活習慣病の状態評価 ・糖尿病、慢性腎臓病、無症候性脳梗塞など 生活習慣病発症および重症化要因のマーカー 17 実用化に向けた課題 ・廉価なマイクロ流体チップ(使い捨て)の大量生産 ・実用的な計測・記録システム(据え置き型および 携帯型)の開発 企業への期待 (1)実用型マイクロ流体チップの開発 (2)据え置き型血液粘度測定器の開発 (3)家庭用携帯型血液粘度測定器の開発 本技術に関する知的財産権 ※未公開特許 ・発明の名称:体液粘性測定装置 ・出願番号:特願2016-159498 ・出願人:九州工業大学・産業医科大学 ・発明者:坂本憲児・小林孝一朗 大野宏毅・徳井教孝 お問い合わせ先 産業医科大学 産学連携・知的財産本部 産学連携・知的財産担当教員 橋本 正浩 TEL FAX e-mail 093-603-1611 093-691-7518 [email protected]
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