米国(メリーランド州を中心に)における新生児聴力スクリーニングの現状と

小 児 耳V◎L20,No.2,1999
特
米 国(メ
別
報
告
リー ラ ン ド州 を中 心 に)に
お け る新 生 児
聴 力 ス ク リー ニ ング の 現 状 と法 制
清
水
弘
ジョンズホプキンス大学医学部耳鼻咽喉科-頭頸外科
講 演 は東 京 で1999年5月26日
高 度 先進 医療 研 究 会(岩 井 宏 方 会 長)付 置 の第2回
小 児 難 聴 研 究会(加 我 君 孝 会長,代 表 世 話 人 古 賀 慶 次 郎)に お い て行 わ れ た。
米 国 メ リー ラン ド州 で 現 在 州 法 と して 施 行 され て い る新 生 児聴 力 ス ク リー ニ ン
グ,Newborn
hearing screening(以
に お け る傾 向 とNHSに
下NHS)を
ご紹 介 し,私 の 知 る限 りの 米 国
か ん す る 私 見 を 申 しあ げ た い と 思 い ます 。 日本 とは 国 情
が ち が い ます か ら 米 国 で 行 な わ れ て い る こ とが 日本 で そ の ま ま応 用 で き る可 能 性
はないかもしれませんが,申しあげるインフォウメーションの中でお役にたつこ
とがあれば幸いです。
の 監 督 の も とで 生 理 学 的 反 応 の 測 定 を 最 初 の ス
歴 史的 背景
ク リー ニ ン グに い れ る こ と,診 断 的 検 査 を 生 後
新 生 児 の 聴 力 測 定 の試 み に関 して の報 告 は
1946年1)に さ か の ぼ り ます が,米
の 早 期 発 見 の 必 要 を 唱 え,新
国で 小 児難聴
生 児期 に難聴 を 発
六 カ 月 ま で に 行 な う こ とを 勧 め ま した3).リ
ス
ク因 子 の 拡 張 に は 胎 児 感 染 の な か にcytomega・
10virus,風
疹
ヘ ル ペ ス,ト
キ ソ プ ラ ス マ症,
見 す る 効 果 的 な ス ク リー ニ ソ グの 方 法 を 研 究 す
梅 毒 が 入 り,細 菌 性 髄 膜 炎,新
べ き で あ る と公 式 な 声 明 を だ した の は1970年
られ ま した 。 血 清 ビ リル ビ ン量 は20mg以
に 耳 鼻 咽 喉 科 学 会,小
言 わ ず 血 液 交 換 の 必 要 あ る レベ ル と改 め ら れ ま
児 科 学 会 そ して 言 語 聴 覚
生 児仮死 が加 え
上 と
学 会 の 代 表 が 造 っ たJointCommitteeonInfant
した 。 そ の 後 も委 員 会 は 米 国 オ ー ジ オ ロ ジ ー 学
Hearingで
す 。1973年
会 及 び 州 の 言 語 聴 覚 プ ロ グ ラ ム 主 任 の代 表 を 加
家 族 歴,母
親 が 妊 娠 早 期 三 カ 月 中 に風 疹 に か か
っ た 場 合,頭
20mg以
に そ の委 員 会 は 難 聴 の
顔 面 部 の 奇 形,血
上,そ
して1,500gm以
え て 会 員 の 構 成 を 拡 張 し,1990年
と1994年
に
清 ビ リル ビ ン
過 去 の 声 明文 を 改 変 した も の を 発 表 し ま し
下の出生時体
た姻 。 改 変 の な か で 目立 った も の は リス ク因
重 を 難 聴 に 関 す る リス ク と考 え,こ
れ ら の リス
子 が 新 生 児 へ の10因 子 と29日 一2才 の 乳 児 へ の
ク 因 子 を 持 った 乳 児 の 聴 力 を検 査 す べ き と推 薦
8因 子 に 分 け られ た こ と,ス
ク リー ニ ソ グ に 使
し ま した2)。 リス ク因 子 を 持 った 乳 児 を 対 象 に
わ れ る 聴 性 脳 幹 反 応(ABR)及
び耳音響放射
し た 理 由 は 難 聴 発 生 率 が 正 常 児 の 場 合0ユ ー
(OAE)へ
聴 児 とそ の 親
0、2%で す が,ハ
へ の 早 期 治 療 援 助 に 関 す る種 々 の 考 慮 の 強 調,
イ リス ク乳 児 で は2-5%と
言
われ て いた か らです。
1994年
1982年 に 委 員 会 の だ した 勧 告 声 明 文 で は リ
ス ク因 子 の 拡 張 を 述 べ,で
き れ ばaudiologist
一67一
の 考 慮 が 加 え られ,難
の 声 明 文 に リ ス ク因 子 の 確 認 の み で は
約50%の
難 聴 児 しか 発 見 で き な い こ と を 指 摘
して,全
新 生 児 聴 力 ス ク リー ニ ソ グの 開 発 の 必
小児耳V◎L20,N◎.2,1999
要 性 を 承 認 し た こ と で す 。 し か しdelayedonsethearinglossの
存 在 を 懸 念 し て リス ク 因
何 故NHSが
必 要 か2
子 確 認 を 継 続 す る 必 要 を 強 調 して い ます 。 改 変
難聴 は生命 を おか さないた め公衆が重要 視 し
あ る い は 加 え られ た リス ク因 子 は 耳 毒 性 薬 剤 使
な い 傾 向 が あ りま した 。 盲 目は 人 の 目に つ くの
用,ApgarscoreO-4(1分
は0-6(5分
で 人 の 同 情 を た だ ち に ひ き ます が,難 聴 は 目 に
間 以 上 継 続 のmechanicalventilation,
見 え ま せ ん 、 人 間 は 目 に見 え な い と認 識 しな い
後),5日
後)或
傾 向 が あ ります 。 難 聴 の あ る こ とが 分 か らな か
難 聴 を 伴 な う と知 られ て い る症 候 群 で す 。
っ た た め,あ
1993年 にNationalInstituteofHealth(NIH)
る い は難 聴 の発 見 が 遅 れ た た め,
で 行 な わ れ た 小 児 難 聴 の早 期 発 見 に 関 す るCon-
精 神 発 達 遅 滞 とか 注 意 欠 陥 を 持 った 小 児 と誤 解
sensusConference(合
され た 場 合 が 昔 よ くあ りま した 。 そ れ も難 聴 が
意 会 議?)で
salnewbornhearingscreening(全
ニ ソ グ 以 下UNHS)の
はUniver児 ス ク リー
必 要 が 合 意 され,最
近
発 表 され た 米 国 小 児 科 学 会 の 新 生 児 及 び 乳 児 難
聴 に 関 す る 対 策 委 員 会 の 声 明 文 に もUNHSを
ゴー ル に す べ き こ とを 強 調 して い ま す6)、
最 近 で はNHSへ
目に 見 え な い疾 患 で あ るか らで し ょ う。
我 々 は 言 語 に よ っ て 互 い に 意 志,思
考,感
情,惰 報 を交 換 す る こ とが で き ます 。 こ の ユ ニ
ー クな 送 信 受 信 の 信 号 的 機 能 が 我 々を ほ か の 乳
動 物 と 全 く違 っ た も の とす る 最 も 大 き な 点 で
の 関心 は難 聴 問題 に かか わ
す 。 で す か らそ の 能 力 を 持 た な い こ とは 人 間 に
る職 業 人 の み で な く,政 治 家 に も広 ま って き ま
と って 最 大 の 悲 劇 で あ り,高 度 の 難 聴 が 出 産 時
した 。 そ の 証 拠 と し て ク リ ソ ト ン 大 統 領 が
に 存 在,或
NHSの
発 展,難
聴 児 発 見 と事 後 措 置 との 関 連,
技 術 上 の援 助 等 に対 して 州 が 補 助 金 を 出せ る よ
う議 会 に400万
ドル の 割 り当 て を 要 求 し ま し
は言語 発達前 に起 こった子供達 は そ
の 悲 劇 を 背 負 は ね ば な り ま せ ん 。Wetalk
becausewehearandwetalkaswehear。
つま
り我 々 は 耳 が 聞 こ え る か ら話 せ る の で あ り,出
た 。 そ れ に 似 た 法 案 を ジ エ イ ム ス ウオ ル シ ュ と
生 以 来 聴 覚 を 通 じて 記 憶 した 語 音 を 再 現 し ま
言 う議 員 も今 年 の3月18日
す 。 した が って 聴 覚 と言 語 とを か け は なす こ と
に 提 出 して い ます 。
小 児 難 聴 の早 期 発 見 の 重 要 さ が 州 政 府 の な か
で も認 識 され 始 め,1971年
州 が 始 め て 以 来51州
NHSが
の な か で 何 等 か の形 で
州 法 と な っ て い る 州 が 現 在25あ
の う ち11州
UNHSが
に マ サ チ ュセ ッツ
がUNHSを
り,そ
の こ とで す7)。 他 の 州 の 大 半
で はHighriskregistry(HRR)が
そ の 両者 の密 接 な 関係
を 示 し ま す 。 言 葉 を は じめ あ ら ゆ る音 が 外 耳
道,中
耳 を 通 じて 内 耳 に 入 り,蝸 牛 内 の感 覚 細
胞 の 電 気 生 理 ・生 化 学 的 な 作 用 に よ っ て聴 神 経
施 行 して い ます 。
州 法 制 と し た 最 初 の 州 は ロ ー ドア イ
ラ ソ ド州 で1992年
は で き ま せ ん 。 図1は
法 制 化 され,
が 刺 激 され,中
枢 神 経 系 統 の複 雑 な過 程 を 通 じ
て 大 脳 中 枢 に達 した 聴 覚 イ ソ フ ォー メ イ シ ョ ソ
は 他 の 感 覚 と連 合 し言 語 発 達 が 起 ります 。 言 語
表 現 が 言 葉 と して 発 せ られ る 時 我 々は 自 分 の 耳
ハ イ リス ク新 生 児 のみ 検 査 で ス ク リー ニ ソ グす
を 通 じ て 中 枢 で 発 音,音
る か,UNHSを
し,修 正 し ます 。 聾 児 の 声 に み られ る様 に,高
す る か,ス
ク リー ニ ソ グを し
量 を 同時 に チ ェ ッ ク
な い か は 各 病 院 に 任 され て い る と思 い ます 。 私
度 の 難i聴は こ のautomatedfeedbacksystemを
の お りま す メ リ ー ラ ソ ド州 は そ の1つ
切 断 します か ら 自分 の 声,発
しか し 今 年 の3月
に 新 しいUNHSの
です 。
法案が州
音 を モ ニ ター し修
正 す る こ とが で き ませ ん 、
よ
中 等 度 か ら高 度 の 難 聴 が 子 供 の 言 語 発 達 及 び
り全 新 生 児 の 聴 力 ス ク リー ニ ソ グを 始 め る こ と
学 習 に 大 き な 影 響 を 与 え る こ とは よ く知 られ て
に な りま した 。
い ます が,2040dB程
の 議 会 を 通 り,メ
リ ー ラ ソ ド州 も来 年7月
一68一
度 の両 側 性 難 聴,片
側
耳 の み の 難 聴3000Hz以
上 の高 音 難 聴(低
音
か ら2000Hzま
も小 学 生 児 の学 習 に
で 正 常)で
小 児 耳VoL20,N◎.2,1999
図lAsimplifiedsystem◎faudition.(簡
単 化 し た 全 聴 能 系 統)
大 きな 影 響 を与 え る こ とが わ か っ て きま した8)。
け ま した 。 そ の 呼 び か け に 答 え て1983年
30dB程
院下 院 が厚 生精 神 衛生 局 に新生 児 の難聴 発 見方
が,言
度 の 難 聴 を よ く軽 度 難 聴 と言 わ れ ます
語 発 達,知
に上
的発 達 に とって重要 な年 齢期
法 と難 聴 児 あ る い は 難 聴 を 持 つ か も しれ な い 小
の 小 児 に は 決 して軽 度 難 聴 で は な い わ け で す 。
児 の フ ォローア ップシス テ ムの方 法を発 達 す る
この よ うに 聴 力 障 害 が 小 児 の発 育 に 及 ぼ す 影
よ う要 求 す る合 同 決 議 を だ しま した 。 そ の 決 議
響 は非 常 に 重 大 で す が,早
(補 聴 器 装 用,人
期 の適 切 な 事 後 措 置
工 内 耳,言
語 治 療)に
よ って
に 従 っ て 厚 生 精 神 衛 生 局 は オ ー ジ オ ロ ジ ス ト,
耳 鼻 咽 喉 科 医,小
児 科 医,特
別 教 育 関 係 者,聾
言 語 及 び 知 的 発 達 を 促 進 す る こ とが 可 能 で す 。
教 育 者,NICU(Neonatalintensivecareunit)
難 聴 確 認 及 び 事 後 措 置 が 生 後6ヵ
の 看 護 婦,難i聴
わ れ た 場 合,用
語 数,言
月前 に 行 な
語 理 解,発
語機能 が
児の 親か らな る対策 委 員会
(Taskforce)を
造 り,委 員 会 は2年
間毎 月 の
6-12ヵ 月 後 に 行 な わ れ た 場 合 よ り有 意 義 に 良
会 議 に 種 々 の 分 野 の エ キ ス パ ー トの 意 見 聴 取,
い デ ー タ が で て お り蜘),2才
文 献 検 討,Highriskques亘o㎜air(HRQ)作
前 に人工 内 耳装 入
を 受 け た 子 供 の 言 語 理 解 は2才
後 に 人工 内耳
ABR応
を 付 け た 子 供 よ り遥 か に 良 い 報 告 も 出 て い ま
発,親
す11)。
た 。1985年
以 上NHS必
点 で す 。1)聴
識,及
力 が 言 語 理 解,発
に な りま した 。
聴 に対す る事後 措 置 が乳 児期 の初 期
に行 な わ れ る ほ ど小 児 の 言 語 発 達 が 良 い 。
産 後2時
イ リス ク 因 子 を 持 っ た 新 生 児 の 聴 力 を3ヵ
ま で に,遅
くて も6ヵ
を 勧 め た1982年
に 従 って,州
医,小
月
月 ま で に 検査 す る こ と
の乳 児 聴 力 合 同 委 員 会 の 声 明
の オ ー ジ オ ロ ジ ス ト,耳 鼻咽 喉 科
児 科 医,教
育 関 係 者,難
聴 児の親 達が 州
政 府 に 合 同 委 員会 の 声 明 に 答 え る よ う圧 力 ウ か
一69一
法剃
に 提 案 した そ れ と少 し 異 な り,1)
間 或 は そ れ 以 上 入 院,2)頭
の 奇 形,3)5分
難 聴 早 期 発 見 を 目指 して 聴 力 障 害 に 関 す る ハ
中 心 に したNHSが
法 制 の 決 め た リス ク 因 子 はJointCommittee
が1982年
NICUに2日
メ リー ラ ン ド州 に於 け るNHS
案 作 製 に 努 力 しま し
に 対 策 委 員 会 の 提 出 した 法 案 が 州
議 会 を 通 過,HRRを
語 機 能,知
ォ ローア ップ シス テ ム開
へ の 小 冊 子 作 製,法
要 の 理 由 を 要 約 し ま す と次 の2
び 感 情 の 発 達 に 基 本 的 役 割 を 果 た して い
る 。2)難
用 の 検 討,フ
成
後 の ア プ ガ ー が0-3あ
間 以 上 低 緊 張 の 継 続,4)細
炎,殊
にHin且uenza,5)産
菌性髄膜
時 体 重1,500gmあ
る い は そ れ 以 下,6)CMV,ヘ
梅 毒,ト
ル ペ ス,風
疹,
キ ソ プ ラ ス マ症 を 含 め た 胎 中 或 は 産 児
期 感 染,7)難
聴 の 家 族 歴,8)血
液交換 必要
を 示 す 以 上 の 高 ビ リル ビ ン 血 症,の8因
す。
頚部
るい は
子で
小児耳Vo1.20,No.2,1999
は ス ク リー ニ ソ グに パ ス しな か っ た小 児 の フ ォ
法 制 の要 求 す る要 点 は
1.産
ロー ア ッ プの 実 施 は 小 児 科 医 の 理 解 と協 力 な し
科 の あ る 全 病 院 はHRQ施
行,親
全部
て は成 り立 ち ま せ ん 。 した が って 諮 問 委 員 会 は
へ の 正 常 の 言 語 発 達 を 示 す 小 冊 子 頒 布,リ
スク
メ リー ラ ン ド小 児 科 学 会 を 通 じてNHSに
因 子 の あ る新 生 児 の 親 へ の 聴 力 検 査 を 受 け る 手
る 資 料 配 布,協
続 き を 示 す 小 冊 子 配 布,ハ
た。
HRQの
結 果,及
が 行 な わ れ た 場 合,そ
に5日
イ リス ク新 生 児 の
び 検 査 に よ る ス ク リー ニ ソ グ
の結果 を厚 生精神 衛生 局
問 委 員 会(AdvisoryCounci1)の
3.NHSプ
力 呼 びか け に 努 力 をか け ま し
前 述 しま した よ うに 現 法 制 で はHRQを
とる
こ と のみ が 強 制 され て い て,検 査 に よる ス ク リ
ー ニ ソ グを す る か しな い か は 各 病 院 に ま か され
以 内 に報 告 を しな け れ ば な ら な い 。
2.諮
関す
設立
て い ます 。 しか し諮 問 委 員 会 は 機 会 が あ る ご と
ログ ラブの長官 任命。
に 生 理 学 的 反 応 に よ る ス ク リー ニ ソ グ を す す め
4.直
結電 話設立 。
て い ま した 。 メ リー ラ ソ ド州 に は 産 科 の あ る総
5.難
聴 児 の 親 或 は 保 護 者 との 連 絡 方 法 の 確
合 病 院 が37あ りま す が,現
立。
6.家
在ABRかOAE或
は 両 者 を使 っ て ス ク リー ニ ソ グを して い る 病 院
族,専
門 職 業 人 及 び 公 衆 の教 育 プPグ
が20あ り,そ の うち10病 院 で はUNHS(全
児
ス ク リー ニ ソ グ)を 行 な って い ます 。
ラム設立 。
諮 問 委 員 会 の 構 成 は 下 記 の ユ0人:
図2は
現 行 ス ク リー ニ ソ グの ス テ ップを し
医 師1人
め し ます 。 子 供 が 生 ま れ る と先 ず 聴 覚 反 応 と言
オ ー ジ=オロ ジ ス ト1人
語 の正 常 発 達 を 年 齢 毎 に 示 す 小 冊 子No.1が
教 育 関 係 老3人
に あ た え られ ます 。 も し子 供 が チ ャ ー トに 書 か
厚 生 精=神衛 生 局 の 代 表 者1人
れた発達 を示 さない ときには子 供 の小児科 医 に
精 神 衛 生 専 門 家1人
知 ら せ る よ う勧 め ます 。 次 に リス ク因 子 に 関 す
難i聴児 を 持 つ 親2人
る調 べ が あ り,そ の 結 果 の 記 入 され た 用 紙 が 厚
聾 協 会 代 表 者1人
生 精 神 衛 生 局 に お か れ たHNSプ
以 上 の 委 員 は 州 知 事 に よ っ て任 命 され ま す 。
に 送 られ,記
ログ ラム本部
され た 結 果 が トラ ッキ ン グシ ス テ
諮 問 委 員 会 の義 務 は プ ロ グ ラ ム運 営 の 監 督,調
ム に 入 り ます 。 も しABRかOAEに
査,再
ク リー ニ ソ グが 行 な わ れ た 場 合,そ
検 討,統
計,難
聴 児 に 関 す る文 献 の検 討
親
よ って ス
の 結 果 も用
及 び 厚 生 長 官 へ の 毎 年 の リポ ー ト提 出 で す 。 主
紙 に 記 入 され ま す 。 た だ し親 の承 諾 とサ イ ソが
な 行 事 と して 各 病 院 の 新 生 児 病 棟 に働 くネ オ ナ
な くて はHRQを
送 る こ とは で き ま せ ん 。 も し
ト ロ ジ ス ト及 び 看 護 婦 対 象 に 法 制,HRQ,
ABRス
ク リー ニ ソ グ関 して の説 明 会 を ひ ら き,
コ ソ ピ ュ ー タ に よ る トラ ッキ ソ グ シ ス テ ムを 設
立,各
病 院 新 生 児 病 棟 に 配 布 す るHRQの
用 紙 作 製,小
児 聴 力 検 査 を 行 な っ て い る ク リニ
ッ クの 名 簿 創 作,NHSを
ABRス
説 明 す る ビデ オ製 作,
ク リー ニ ソ グ の 指 針 を 作 製,そ
児 科 医,耳
記入
鼻 咽 喉 科 医,オ
して小
ー ジ オ ロジ ス ト,教
育 老 の た め の シ ン ポ ジ ウ ム を4回
開 きま した。
新 生 児 は 産 後 新 生 児 小 児科 医 の 手 に渡 り,退 院
して か ら も小 児 科 医 に よ って 続 け て 検 診 され ま
す か ら,NHSの
成 功 と ハ イ リス ク小 児 あ る い
一70-一
図2メ
リ 憶 ラ ソ ド州 に て 現 在 行 な わ れ て い る 新 生 児 聴
力 ス ク リー ニ ソ グプ ロ グラム
小 児 耳V◎L20,N◎.2,1999
リス ク因 子 の存 在 が わ か った 場 合 小 児科 医 或 は
はL9%で,そ
の 中 で13人 が そ の 後 の 診 断 的 聴
看 護 婦 が 親 に 精 神 的 な 打 撃 を 与 え な い よ う リス
力=検査 で 難 聴 の あ る こ と が 判 明 し ま し た が,
ク因 子 質 問 の 理 由 を 注 意 深 く説 明 し,リ ス ク因
13人 の 内7人
子 の 存 在 は 必 ず しも子 供 に 難 聴 の あ る こ とを 意
で した 。 も し ハ イ リス ク小 児 の み の 検 査 を して
味 しな い こ と を 強 調 し ます 。 検 査 に よ る ス ク リ
ー ニ ソ グ を す る場 合 も同 じ く検 査 と検 査 の理 由
お れ ば そ の7人
を 分 か りや す く説 明 し,検 査 に パ ス しな くて も
ソ ド州 もUNHSを
難 聴 とは 限 ら な い こ とを 強 調 す る こ とが 親 の 精
年 の 春 か ら 小 児 難 聴 に 関 す る各 分 野 の 専 門 家 を
神 衛 生 上 非 常 に 大 事 な こ と で す 、 し か し6カ
動 員 し て 合 同 委 員 会 を つ く り,約1年
月 以 内 に診 断 的 聴 力 検 査 を受 け る こ との 大 事 な
新 しい 法 案 の 作 製 に 努 力 し ま した 。 そ の 法 案 は
こ とを 説 明 した 小 冊 子No.2を
1999年 の1月
与 え ます。 この
小冊 子 には診断 的聴 力検査 を受 け る ことに関 し
て の 情 報 を 与 え て くれ る 各 郡(County)の
厚
生 科 の 電 話 番 号 が 載 せ られ て い ます が,大
抵の
場 合 小 児 の 小 児 科 医 が 適 切 な オ ー ジ オ ロジ ー ク
リニ ッ ク に 小 児 を送 る と思 わ れ ます 。
の 難 聴 発 見 が遅 れ る こ とに な
りま す 。 こ の よ うな 欠 点 を 除 くた め に メ リー ラ
法 制 化 す べ き と考 え,1998
に 州 議 会 に 提 出 さ れ,4月
かけ て
に議 会
を 通 過 し,州 知 事 の サ イ ンを 受 け て 法 制 とな り
ま し た 。 メ リ ー ラ ン ド州 は1994年
4,781,500の
間70,000を
の調べでは
人 口 が あ り,出 産 の 数 は こ こ 数 年
上 下 し て い ま す 。 した が っ て2000
年 の7月
よ り毎 年 約7万
人 の新 生 児 の 聴 力 ス
ク リー ニ ン グが 行 な わ れ る こ とに な ります 。 こ
診 断 的 聴 力 検 査 の 結 果 を確 認 す るた め に,プ
ロ グ ラ ム 長 官 は 小 児 が6ヵ
が リス ク 因 子 を も っ て い ま せ ん
月 に な る前 に そ の
小 児 科 医 に 質 問 書 を 送 るか 電 話 に て 連 絡 を と り
ます 。 も し診 断 的 検 査 を 受 け て い な い場 合 は 小
の 法 制 の 中 で 現 在 の そ れ と異 な る 主 な 点 を 列 記
しま す と:
1.UNHSの
結果が厚生 精神衛生 局で決 め
児 の 親 に 連 絡 を と り,な るべ く早 く子 供 の聴 力
られ た そ の 小 児 の 出 産 に 関 す る 資 料 報 告 書 の な
を 調 べ て も ら う よ う勧 め,検
か に 含 ま れ る。
査 を受 け る方 法 に
2.管
関 して 相 談 に もの ります 。
難 聴 が 確 認 さ れ た 直 後 の 事 後 措 置 に は1)耳
鼻 咽 喉 科 検 診,2)小
3)小
難 聴 ス ク リ ー ニ ソ グの 請 求 額 を 支 払 う。
3.産
児 科 に よ る続 け て の検 診,
児 の 住 む 郡 の 乳 児 教 育 プ ロ グ ラ ムへ の 紹
介,4)補
聴 器 着 用 に 関 して の オ ー ジ オ ロ ジ ス
トに よ る 検 査 判 定 が 含 まれ て い ます 。
一
しか し こ の 現 行 の シ ス テ ム は2000年
理 健 康 保険 機 関が 退 院前 に行 なわれ た
の7月
科 の あ る各 病 院 は 全 新 生 児 退 院 前 に 行
な う聴 力 ス ク リー ニ ソ グ の プ ロ グ ラ ム を 設 立
し,そ
の 結 果 を 厚 生 局 内 本 部 に 送 る。
4。 全 新 生 児 の 聴 力 ス ク リ ー ニ ソ グは 退 院 前
にABR,OAE或
に 改 正 され る こ と に な りま した 。 そ の 理 由 は 前
述 し ま した よ うに リス ク因 子 の あ る 小 児 の み を
は諮 問委 員 会 の 推 薦 した他 の
方 法 に よ っ て 行 う。
新 生 児 の 定 義 は 産 後29日
まで の 子 供 とな っ
検 査 して お れ ぽ 難 聴 児 の 半 分 近 くを 見 逃 す お そ
て い ます 。 諮 問 委 員 会 の 義 務 は ほ とん ど 同 じで
れ が あ る た め 諮 問 委 員 会 がUNHSの
す が,委
必 要 を感
員 の 数 が ア レキ サ ン ダ ー グ ラハ ム ベ ル
じた か らで す 。 先 天 性 難 聴 の 中 に も原 因 不 明 が
聾 協 会 の 代 表 者 を 入 れ た た め10人 よ り11人 に
30-40%あ
ふ え ま した 。 対 策 委 員 会 は 準 備 対 策 と し て,各
ります12)。 原 因 不 明 と言 う こ とは 難
聴 に た いす る リス ク因 子 が 見 つ か らな い こ とで
病 院 へ のUNHSに
す 。 メ リー ラ ン ド州 に あ る ホ ー リー ク ロス 病 院
た め の 早 期 事 後 措 置,ス
で は!997年
保 険 カ バ ー そ の 他 の 資 金 対 策,UNHSに
の2月23日
1998年2月22日
よ りUNHSを
ま で の1年
始 め,
間5,875人 の 新 生 児
る 公 衆 教 育 の4項
の 聴 力 ス ク リー ニ ソ グを 退 院 前 に 行 な い ま し
図2に
た 穏 ス ク リー ニ ソ グ に パ ス しな か った 乳 児 の 率
3)◎
一71一
対 す る指 針 作 製,難
聴 児の
ク リー ニ ン グ費 の 医 療
関す
目に 関 す る委 員 会 を つ く り,
代 わ る薪 しい モ デ ル を 提 案 し ま した(図
小児耳VoL20,No.2,1999
最 初 の ス ク リー ニ ン グに パ ス して も リス ク因
ス ク り一 ニ ン グ 方 法 の 選 択
子 が 存 在 す る 場 合 は 現 行 の シ ス テ ム(図2)に
従 い ます か ら,図3は
メ リー ラ ン ド州 の 新 しい 法 制 が ス ク リー ニ ソ
最 初 の ス ク リー ニ ン グ
に パ ス しな か った 場 合 の シ ス テ ムを 示 して い ま
グ の 方 法 と してABRとOAEを
す 。 こ の モ デ ル で は 生 理 学 的 ス ク リー ニ ン グ に
る よ うに そ の 両 者 が 最 も効 果 的 な方 法 と認 め ら
パ ス し な か っ た 場 合 退 院 前 に も う一度 ス ク リー
れ て い ます 。 しか し ど ち ら の方 法 も長 所
ニ ン グを 繰 り返 す こ とを 提 案 して い ま す が ,新
が あ り,そ の 選 択 は ス ク リー ニ ン グ しな け れ ぽ
生 児 の 病 院 滞 在 期 間,検
な らな い 新 生 児 の 数,検
査 時 期,検
査 の種類 に
よ っ て 変 更 さ れ る で し ょ う。 例 え ぽNICUに
短所
査 す る ス タ ッ フの 数,
予 算 等 に よ っ て 大 き く影 響 され ます 。
入 院 した 新 生 児 は 長 期 滞 在 します か ら,退 院 時
に は 中 耳 内 滲 出 液,外
と りあ げ て い
耳道 内の胎 脂等 が消失 或
ABRス
ク リー ニ ソ グ:
ABRは
臨 床 に 使 用 され 始 め て 以 来30年 近 く
は 減 少 して い て 退 院 直 前 の ス ク リー ニ ソ グ の み
に な りま す か ら,そ
で よい か も しれ ま せ ん 。 図3に
咽 喉 科 医,神
示 され て い る
の現象 及び 臨床応 用 は耳鼻
経 科 医,脳
外 科 医,小
児科医 に と
数 段 階 の ス ク リー ニ ソ グ は 診 断 的 検 査 を 必 要 と
って は 目新 しい もの で は あ りませ ん が,ハ
イテ
す る乳 児 の数 を で きる だ け減 らす の が 目的 で す。
ク ノ ロジ ーの 応 用 に よ る測 定 機 の 進 歩,小
型化
2度 目或 は3度
に は 目覚 ま しい も のが あ りま す 。 小 型 化 に よ り
目の ス ク リー ニ ソ グ に パ ス して
も リス ク 因 子 を 持 つ 乳 児 は 同 じ く生 後6ヵ
月
i携帯 し易 くな り,新 生 児 か ら他 の新 生 児 へ,病
に 聴 力 検 査 に よ っ て 難 聴 の有 無 を 確 認 す る の は
棟 か ら病 棟 へ の移 動 が 容 易 に な りま した 。 これ
現 行 法 制 の 意 図 に も とず い て い ます 。
は 多 くの 新 生 児 を 抱 え た 病 院 で はcostef艶c・
図32000年7月
よ り施 行 さ れ る メ リ ー ラ ソ ド州 の 全 新 生 児 聴 力 ス ク リ ー 議 ソ グ プ ロ グ ラ ム の 一 部 。 ス ク リー
ニ ソ グ に パ ス し な か っ た 場 合 の み を しめ す 、
一72・
一
小 児 耳VoL20,N◎.2,1999
tiveneSS(費
用 効 率)の
め られ ま せ ん で し た 。 と こ ろ が1978年
に英国
の
の ケ ン プが 蝸 牛 か ら の 音 の 放 出 を 外 耳 道 で 測 定
示 さ れ た よ うに 反 応 の 判 断 が 自動 化 さ
す る こ と に成 功 し,嘗 て ゴ ー・ル ドの 言 った よ う
す 。 も う1つ
Algoに
向 上 に 大 き く貢 献 し ま
の 目覚 ま しい 進 歩 はNatus社
れ た こ と で す(automatedABR:AABR)。
反
に 蝸 牛 に は ア クチ ヴな 機 能 の あ る こ と を 証 明 し
応 の 波 形 を 判 断 す る に は か な りの 経 験 を 必 要 と
ま した 。 そ れ 以 来 この 現 象 がOtoacousticemis-
し,た
sion(OAE)と
とえ 経 験 の あ る検 者 間 で も波 形 に よ っ て
意 見 の 合 わ な い こ と が あ りま す 。AABRの
場
合,測 定 器 が 判 断 して くれ ます か ら経 験 の あ る
ABRの
専 門 家 に 頼 る必 要 が な く,短 時 間 の 訓
呼 ば れ て 多 くの 基 礎 科 学 者 及 び
臨 床 に 携 わ る専 門 家 の 注 目を 引 く よ うに な りま
した。
OAEに
はSpontaneousOAE(SOAE),Tran-
ォラソチ
sientevokedOAE(TEOAE),StimulusFre-
ア が ス ク リ ー ニ ン グを 施 行 す る こ とが で き ま
quencyOAE(SFOAE),DistortionProduct
す 。 これ も マ ス ス ク リー ニ ン グ の 費 用 上 能 率 を
OAE(DPOAE)の4種
上 げ るた め の 重 要 な要 素 の1つ
上 使 用
さ れ
DPOAEで
す 。TEOAEは
練 に よ っ て テ ク ニ シア ソ,ナ ー ス,ヴ
ABRス
です。
ク リー ニ ン グ の 刺 激 音 は 殆 ど の 場 合
ク リ ッ クで,3040dBnHLが
パ ス,非
パ スの
で,難
誘 発 す るの に 効 果 的 な 音 で,大
NHSに
常 耳 で は10dBnHLの
熟 児 の正
レベ ル ま で 反 応 の と れ
る の は 珍 し くあ りませ ん 。 た だ2000Hz以
上の
て い るOAEはTEOAEと
ク リ ッ クを 与 え る と
聴 が30dB以
上 あ る と記 録 で き な い の で
応 用 さ れ 始 め ま した 。 米 国 で は1993年
頃 よ り使 用 され て い ます 。 蝸 牛 の 基 底 膜 の 非 直
線 的 な 機 能 の た め に 周 波 数 の 異 な っ た2つ
高 音 域 値 の聴 力 の み を 推 定 し ます 。 しか し先 天
純 音 を 与 え る と 第3の
性 感 音 難 聴 で 低 音 域 の み に 難 聴 の あ る形 は 非 常
す 、 これ を 歪 成 分 耳 音 響 放 射(DPOAE)と
に ま れ な の で,30-40dBnHLの
い,最
ク リ ッ クに 反
床
エ コ ー の よ うに 内 耳 か ら跳 ね 返 って く る放 射 音
レベ ル に 使 わ れ て い ます 。 ク リ ッ クはABRを
人,成
類 が あ ります が,臨
近NHSに
の
周 波 数 の音 が 出 て きま
言
使 用 され は じめ ま した。
応 の あ った 場 合 聴 力 障 害 が な い と考 え て よい で
DPOAEは,2つ
し ょ う。1983年
よ って オ ー ジ オ グ ラ ム の 様 に 異 な っ た 周 波 数 に
に ジ3ソ
ズホ プキ ンス病 院 の
の 周 波 数 を 変 え て い くこ と に
NICU入
院 児 の 聴 力 ス ク リー ニ ソ グ をABRで
お け る情 報 を 得 る こ とが で き ま す 。 た だ し40-
始 め,最
初 の2年
50dBの
間 に ス ク リー ニ ソ グ した 子
聴 力 障 害 が あ っ て もOAEが
供 が3-4才 に な る ま で フ ォ ロ ー ア ッ プ した デ
ー タで はABRス
ク リー ニ ソ グ のsensitivityは ・
す 。OAEス
100%で,偽
AABRと
陰 性 は0%,す
な わ ち ス ク リー ニ
出 て きま
ク リ ー ニ ン グ用 の 測 定 器 も非 常 に
小 型 化 さ れ,手
掌 に の る も の もあ る上 に
同 じ く判 定 が 自動 化 され た の で テ ク
ン グに パ ス して 難 聴 の あ った 子 供 は あ りま せ ん
ニ シ ア ン に よ って ス ク リー ニ ソ グ す る こ とが で
で した13).
ぎます。
OAEス
ク リー ニ ソ グ:
1996年 に カ ー ル ポ ア イ ト と3人
ベ ケ ッ シ ー の 学 説 に 従 っ て ,1970年
以前 は
蝸 牛 は 受 動 的 な 受 体 器 と考 え られ て い ま した 。
者15)が 調 査 した 米 国 に 於 い てUNHSを
TEOAE48
マ ス ゴ ー ル ドは べ ケ ッシ ーの 説 は 死 体 の 蝸 牛 に
DPOAE8
も とず い て い て,生
AABR54
線 的 で,音
に 対 す るtuning(整
調)も
もっと
せ ま く,エ ネ ル ギ ー を 放 出 し,活 動 的 な 機 能 を
TEOAE十ABR5
TEOAE十AABR2
持 って い る と考 え ま した14)、 彼 の 仮 説 は 現 在 考
DPOAE十ABRl
ABR2
え られ て い る説 に 近 か った わ け で す が,当
Total120
時認
一一・73一
行な っ
て い る120施 設 で の ス ク リー ニ ソ グ方 法 は:
しか し1948年 に 災 国 の 物 理 学 者 で あ っ た トー
きて い る蝸 牛 の機 能 は 非 直
の共 同研 究
小児耳V◎1.20,N◎.2,1999
上 記 の 表 の な か でABRは
自動 化 さ れ て い な
が,前
述 の ホ ー リー ク ロス 病 院 の 如 く出 産 数 が
い 測 定 器 を 使 っ て の ス ク リー ニ ソ グを 意 味 し ま
1年 に6,000近 い 施 設 で は 短 時 間 で 出 来 るOAE
す 。OAEが
が 有 利 に な り ます 。 事 実UNHSを
使 用 さ れ 始 め て ま だ3年
程 しか た
施 行 して い
っ て い な い 時 期 の 結 果 で す か ら 現 在 で はOAE
る 当 病 院 で はOAEに
を 使 用 す る施 設 の 方 が 多 くな っ て い る可 能 性 が
度 行 な い パ ス しな か った 僅 か の新 生 児 の み 退 院
あ ります 。
前 にAABRで
同 じ調 査 で 誰 が ス ク リー ニ ソ グ を して い るか
を 調 べ た 結 果 に よ る と,ABRを
の プ ロ グ ラ ム で は,テ
ー ジ オ ロ ジ ス ト:14%
ラ ソ チ ア:23%,そ
ク ニ シ ア ソ:21%,オ
を 基 本 と し た64施 設 で は,テ
ォ
あ り,OAE
ー ジ オ ロ ジ ス ト:41%,看
34%,ヴ
ォ ラ ソ チ ア:2%,そ
ク ニ シ ア ソで 行 な は れ る 場 合 が 増 加 して
い る と思 わ れ ます 。
AABRを
れ て も偽 陽 性 の こ とが
多 くな りま す 。 静 か に 寝 て い る時 を ね ら うた め
な
っ て い ま す 。 現 在 で は オ ー ジ オ ロ ジ ス トが 減
り,テ
い て い た り,動 きが は げ しい
と記 録 が とれ な い か,と
護 婦:
の 他:8%に
査結 果 の記録 等に費 や
新生 児 の状態 の なか で影響 の あ るものは子供
の 運 動 状 態 で,泣
ク ニ シ ア ソ:
42%,オ
へ の 説 明,検
す 時 間 も計 上 しな け れ ば な りませ ん 。
,看 護 婦:56%,ヴ
の 他:11%で
ス ク リ ー ニ ソ グ を して い ま す.
しか し実 際 に か か る時 間 の な か に は 準 備 に か か
る 時 間,親
基 本 と した56
よ る ス ク リー・ニ ソ グ を2
に 授 乳 の 後 で 行 な うこ とが よ く勧 め られ ます 。
OAEは
蝸 牛 よ りの 反 射 で す か らABRと
異な
り聴 神 経 の状 態 或 は 中 枢 神 経 の成 熟 度 に 影 響 さ
れ ま せ ん 。 ス ク リー ニ ソ グを 行 な う部 屋 の 騒 音
選 ぶ かOAEを
選 ぶ か は 表1に
示
レベ ル も 当 然 考 慮 に 入 れ ね ば な りま せ ん が,
した 両 者 の 長 所 短 所 の 慎 重 な 吟 味 を 必 要 と し,
OAEの
出 生 の 数,ス
を 要 し ます 。
ク リー ニ ソ グを す る ス タ ッ フの 人
方 が 影 響 を 受 け や す く,50dBA以
下
算 に影 響 され ます。 両方法 に共 通 な点 は
ス ク リー ニ ソ グ に パ ス しな くて も,そ の 中 で
検 査 す る 際 に 痛 み を 与 え る よ うな 処 置 を 必 要 と
難 聴 の あ る乳 児 の数 は 僅 か で す か ら,親 の 精 神
し な い こ と(non-invasive)と,前
衛 生 上 及 び 高 価 な診 断 的 検 査 の 件 数 を 下 げ る た
数,予
述 し ま した
よ うに 結 果 の 判 定 が 自動 化 され て い る の で 検 査
め に 異 常 率(表1に
の 容 易 な こ と で す 。AABR器
げ る こ と は 非 常 に 重 要 な こ と で す 。 表1に
具 の 中 で最 も よ
く使 用 さ れ て い るALGOは
使 用 の 容 易 さ,デ
ー タ の 処 理 ,結 果 の 正 確 さ 等 の 点 で 優 れ た 検 査
AABRよ
装 置 で す が,装
そ の 理 由 の1つ
がOAE装
置 と検 査 毎 に 捨 て る部 品 コ ス ト
置 に 比 較 し て遥 か に 高 伽 で あ る こ と
が 不 利 な 点 で し ょ う.米
OAE器
国 で は 自動 化 され た
の あ る も の の 値 段 はALGOの
約1/3に
於 け るreferralrate)を
さ れ て い る 様 にOAEス
下
示
ク リー ニ ソ グ の 方 が
り異 常 率 が 多 く報 告 され て い ま す 。
は米 国 では 正 常 新 生 児 の 病 院
滞 在 時 間 が 僅 か24時 間,所
に よ っ て48時 間 で
す か ら ス ク リー ニ ソ グを す る時 に は ま だ 中 耳 に
羊 水 が 溜 ま っ て い た り,外 耳 道 に 胎 脂 が 累 積 し
な っ て い ます 。
て い た り してOAEの
ス ク リ ー ニ ソ グは 多 くの 被 験 者 を 対 象 に し ま
記 録 が 障 害 され る か らで
す 。 前 述 し ま した 様 にOAEの
測 定に は外耳 及
す か ら,検 査 時 間 も装 置 選 択 に重 要 な要 素 で す 。
び 中耳 の 正 常 状 態 が 必 要 で す 。 した が って
AABRス
験 者 の準 備
OAEを
動 化 され た
を 翌 日繰 り返 す かOAEに
ク リー ニ ソ グ の 場 合,被
を 含 め て15-30分
か か りま す が,自
使 用 して い る 施 設 で は ス ク リー ニ ソ グ
の みAABRで
ス ク リー ニ ソ グす る2段
最 近 の 小 型 のOAE器
使 用 者 は 両 耳 の ス ク リー
ニ ソ グ を4-5分
で 終 え られ る と報 告 し て い ま
が 多 い で す 。 表1に
す 。 出 産 数 が 少 な く,ス
階 方 法 で の 非 パ ス 率 が3%よ
ク リー ニ ソ グ しな け れ
ぽ な ら な い 新 生 児 の 数 が1日
れ ぽ 非 パ ス 率 の 少 な いAARBが
に 僅 か1-3で
あ
有利で しょう
一74一
パ ス しな か った 乳 児
階方 法
示 さ れ て い る よ うに2段
り少 な くな る と報
告 され て い ま す 、 も し漸 生 児 の病 院 滞 在 期 間 が
李5日
であれ ぽ退 院前 には 中耳外耳道 の影響 が
小 児 耳V◎L20,N◎.2,1999
表1自
動 脳 幹 反 応 ス ク リー ニ ソ グ(AABR)と
少 な くな り,OAEの
み の ス ク リー ニ ングで非
常 に 少 な い 非 パ ス率 を 得 る 可 能 性 が あ る か も し
耳 音 響 放 射(OAE)ス
ジ ス トの 存 在 が 貢 献 して い る こ とを 指 摘 して 私
の話 の結 び と し ます 。 有 難 う ご ざ い ま した 。
れ ませ ん。 何 れ に して も 各 測 定 器 の特 徴 を 十 分
文
吟 味 し,各 施 設 の 事 情 に あ った 最 もcostef艶ctiveな 方 法 を 注 意 深 く選 択 す べ き で す 。
む
す
NHSの
1)
び
目的 は 小 児 の 難 聴 を で き る だ け 早 く
発 見 す る こ と に よ って 早 期 の 医 学 上 教 育 上 処 置
介 入 及 び 親 の 教 育 と援 助 を 与 え る こ とが で き,
そ の 小 児 の 言 語,知
的 発 育 を 促 進 し,子 供 が 将
来 社 会 人 と して 活 躍 す る こ とが で き,幸 福 な 人
生 を お くる こ とが で ぎ る よ うに す る こ と で す 。
で す か ら如 何 に 優 れ たNHSの
て も,NHSに
施行 が行 なわれ
パ ス しな か っ た 子 供 の フ ォ ロー
ア ッ プ の シス テ ム と難 聴 を 確 認 され た 場 合 の 子
供 へ の 直 ち の 教 育 そ の 他 必 要 な 事 後 措 置 シス テ
ムが 確 立 され て い な け れ ば,そ
のNHSは
不完
全 で有 意 義 で は あ りま せ ん 、 法 制 の 設 立 は そ れ
を 強 制 し,促 進 し ます 。NHSの
運 営監督 は難聴
児 に 関 係 す る各 分 野 の 専 門 家 の グル ー プ に よ っ
て お こ なわ れ る べ ぎ で し ょ う。こ の 目的 はteam
approachを
絶 対 必 要 と し ます 。米 国 で のNHS
の 発 展 に は 聴 力 障 害 の 研 究,臨
床 活 動,難
聴者
の リ ハ ビ リテ ー シ ョ ン を 職 業 と す る 約1万5
千 人の修 士号或 は博士 号 を保持す るオ ージ オ ロ
一75一
ク リー ニ ン グの比 較
献
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筆 者 へ の 別 刷 希 望,連
HiroshiShimizu
1200thoridgeRdLutherville,
MD21093U.S.A.
FAX:OO1-1--410-296-4654
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