医療ICT NEWS FILE 20161210 vol.027

診療報酬・薬価から臨床・創薬まで 高度情報化医療の明日を伝える
医療
NEWS FILE
vol.
2016.12.10
株式会社じほう 〒101-8421 東京都千代田区猿楽町1-5-15 猿楽町SSビル TEL 03-3233-6351
2
連載
医療 I CT最前線
027
禁無断複写
地域医療情報連携の現場から
[ 第5回]島根県・しまね医療情報ネットワーク
「まめネット」
全県カバー、ベンダーフリーの
県主導型ネットワーク
8
ICT 情報基盤
「より良い医療の提供と効率化に貢献」
森田氏
9
厚労省・佐々木参事官 総合確保基金904億円の1割が地域医療情報連携に
15
日医・今村副会長 死亡診断書の電子化を検討、作成支援ソフト開発も
INFRASTRUCTURE
9
10
11
12
12
13
13
13
14
14
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17
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18
19
19
20
費用対効果評価、
「薬価引き上げ含めた価格設定」を検討へ
薬価調査手法「ICT 時代、いろいろあり得る」 塩崎厚労相
地域医療構想、将来の「あるべき姿の共有が大前提」 厚労省・迫井医療課長
地域医療連携推進法人制度で厚労省と意見交換 四病協・医業税制委
「労働時間の基準設定」や「ICT 活用への報酬付け」を 働き方ビジョン検討会
MID-NET、
「長所」と「限界」の双方把握を PMDA・宇山氏
経産省の糖尿病行動変容事業、参加者 1000 人超え 7 日に中間報告
AI 活用した「統合的がん医療システム」開発へ 国がんなど
市販後調査に MID-NET、利用料は「フラットプラン」 厚労省 WG
MID-NET の情報連携「将来は診療所にまで」 厚労省・武田医薬局長
SERVICE
完全非公開 SNS で情報共有、在宅・介護の連携推進 京都府医「京あんしんネット」
医療情報連携システム構築、
「国の動き見ながら検討」 京都府
ビッグデータ、
「臨床現場で価値ある情報を」 医療情報学大会で慶応大・宮田教授
医療情報の連携、マイナンバーが費用面で有利か 医療情報学大会で森田氏
健診支払い専用プリペイドカード、ドラッグストアで販売 凸版印刷
リアルワールドデータ重視の時代へ 日本薬剤疫学会 「観察」と「介入」、評価逆転も
在宅医療・介護の連携、ケアマネの 4 割「推進されていない」 SMS 調査
EVENT & SEMINAR
21
〔案内〕2 月に医療介護連携でシンポ 医療関連サービス振興会
連載
第5回
医療 I CT最前線
地域医療情報連携の現場から
島根県・しまね医療情報ネットワーク「まめネット」
全県カバー
ベンダーフリーの県主導型ネットワーク
しまね医療情報ネットワーク「まめネット」は、もともとは 2002 年から展開してきた「医療ネットしま
ね」をベースに構築された全県展開による医療情報連携ネットワークだ。島根県の支援の下、ベンダーフ
リーのシステム構成により独自のネット事業を展開してきた「まめネット」は、システム更新への対応、機
能の充実、他県連携といった新たな局面を迎えている。
全国規模のネットワーク基盤にも使える
システム
で、ネットワーク基盤のインターフェースを公開す
ることによって、アプリケーションを提供するベン
ダーが自由に参加できるベンダーフリーのシステム
「厚生労働省や日
になっている。
本医師会が提案して
児玉氏は、全国版ネットワーク構想である医療等
いる全国をカバーす
分野専用ネットワークの考え方は、ネットワーク基
る医療等分野専用
盤の構築という点で、
「まめネット」の基本方針と一
ネットワークに、わ
致していると指摘。
「基盤がばらばらでは全国を
れわれのネットワー
ネットワーク化できない。共通の情報基盤が必要で
ク基盤を使えたら理
あり、
「まめネット」のシステムは全国どこでも使え
想 的 だ 」―。
「まめ
る」と語る。
ネット」を運営する
児玉氏の言葉からは、
「まめネット」にかける期待
NPO 法 人 し ま ね 医
と自負が伝わってくるが、
「まめネット」の最大の特
療情報ネットワーク
徴は島根県の重点施策として明確に位置付けられ、補
協会副理事長で島根
助金の交付をはじ
県医師会常任理事の
めとした島根県の
児玉和夫氏は、
「まめネット」が全国版ネットワーク
全面的なバック
構築にもつながる取り組みであることを強調する。
アップがあること
「まめネット」は、島根県全域をカバーする全県型
だ。県が支える以
医療情報ネットワークで、医療機関などを結ぶネッ
上、全県をカバー
トワークの管理(施設、利用者 ID、患者)と紹介状
することは必須で
サービスなどの基本サービスを提供する基盤システ
あり、特定のベン
ムの上で各種連携アプリケーションサービス(連携
ダーに依存しない
カルテ、診療予約、ネット健診など)が稼働する(図
ベンダーフリーの
1)。基盤システム=ネットワーク基盤にさまざまな
システム構築も条
サービスアプリケーションを組み合わせる仕組み
件になった。
NPO法人しまね医療情報ネットワー
ク協会副理事長(島根県医師会常任
理事)児玉和夫氏
医療 ICT
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2016.12.10
2
まめネット事務局外観
連 載
医療 ICT 最前線 ―地域医療情報連携の現場から―
全県型ネットワーク基盤の構築とアプリケーショ
統合情報システム稼働にさかのぼる。その後、島根
ンサービスをベンダーフリーの環境で実現する「ま
県は隠岐の島町の遠隔医療システムをはじめとした
めネット」のシステムは、島根県が積極的に整備、運
国の実証実験への参加を経て、02 年に出雲地域を中
営に関与する中で必然の結果であった。
核とする地域医療情報連携ネットワーク「医療ネッ
トしまね」の本格運用を開始。この「医療ネットしま
出雲発祥の医療情報連携ネットワーク
ね」の 10 年を超える実績をベースに、ネットワーク
サーバーの更新と地域医療再生基金交付のタイミン
<設立の経緯と運営体制>
グが一致したこともあって、県主導によって全県域
「まめネット」がスタートしたのは 13 年 1 月だが、
を対象に医療情報の共有を目指す「「まめネット」」
島根県における医療情報連携ネットワーク構築の取
が誕生した。
り組みは、1999 年の島根県立中央病院(出雲市)の
「まめネット」の運営は、過去の実証実験時に発足
したコンソーシアム(出雲医師会、出雲
市、島根県立中央病院、島根大医学部)
まめネットのサービス構成
図1
を 元に 設 立され た「しまね 医 療 情 報
ネットワーク協会(理事長=秦正島根
その他
サービス
感染症デイリー
サーベイランス
調剤情報
管理
在宅ケア支援
ネット健診
予約
診療・検査
画像中継
画像診断
連携カルテ
連携アプリケーションサービス
医療施設 診療・検 健康診断 医療機関・ 調剤結果 感染症発 ・地域
間で検査 査の予約
の
介護事業
の
生状況の 連携パス
画像等を
データ 所間の多 情報共有 入力に ・BCP
やりとり
管理
職種連携
よる情報
管理
複数の医
療機関で
診療情報
を共有
利用者が運用費用
を負担
県医師会副会長)」が担当する(図 2)。
地域課題に対応し
たサービスを提
供。参加機関が利
用したいサービス
を選択。
<運営費用・収支状況>
「まめネット」の運営費用は年間約
6000 万円。島根県の予算措置(ネット
島根県が運用費用
を 負 担(利 用 者 が
基本利用料として
一部負担あり)
基本サービス
①掲示板 ②紹介状サービス ③共有ファイルサービス
(HPKI 電子署名)
島根県内全域の医
療機関等を結ぶ
ネットワークの管
理基盤を構築。
まめネット加入者
全てが利用可能な
基本サービスを提
供。
ネットワーク基盤
IP-VPN、Ipsec-IKE
施設管理・利用者 ID 管理・患者管理
インターフェースの公開
ワーク基盤と基本サービス運用費)と
利用料負担(連携アプリケーション
サービス運用費)で折半する形だ。同
県では、来年度以降も「まめネット」の
整備・運営に必要な予算措置を継続す
る方針だ。
参加施設の基本サービスに係る月額
利用料は、診療所・薬局・訪問看護など
まめネット事業推進体制
図2
実働組織
検討・調製組織
医療連携 IT 推進にかかる協議会
(島根県地域医療支援会議)
報告
付託
NPO 法人
しまね医療情報
ネットワーク協会
医療連携 IT システム
構築支援事業の
全体計画協議
医療 IT 専門部会
医療 IT 専門部会構成員
(医師、薬剤師 等)
ネットワーク基盤、
基本システムの
構築・運営協議
(運営主体・ルール等)
連携
ネットワーク基盤、
基本システム構築・運営
ネットワーク推進
調製
益田
圏域における協議会
連携アプリケーションの検討
浜田
医療 ICT
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出雲
<参加施設、患者登録状況>
内全病院に占める参加率は 84%に上
島根県医師会
感染症サーベイランス
事業運営
大田
2016.12.10
加算される。
指導・監査
連携アプリケーション
整備費補助
雲南
松江
ション利用料などが利用状況に応じて
県 全 体 の 登 録 施 設 は 771 施 設(16
調製・支援
隠岐
万 2312 円で、これに連携アプリケー
ネットワーク基盤・
基本システム整備・
運営費補助
事務局
島根県
が 1080 円、病院などは 5940 円から 1
年 9 月末時点)で、病院が 43 施設と県
る(表 1)。医科診療所は 274 施設で参
加率は 46%、歯科診療所は 9 施設で参
加率は 3%、薬局は 69 施設で参加率は
22%といった状況だ。全国の医療情報
連携ネットワークに比べると、病院、
3
連 載
医療 ICT 最前線 ―地域医療情報連携の現場から―
まめネットの状況(2016 年 9 月末時点) ※( )は前月からの増減
表1
施設登録数
圏域
松江
雲南
出雲
大田
浜田
益田
隠岐
県外
771施設
市町村
接続数
松江市
安来市
雲南市
奥出雲町
飯南町
出雲市
大田市
川本町
美郷町
邑南町
浜田市
江津市
益田市
津和野町
吉賀町
隠岐の島町
海士町
西ノ島町
知夫村
県外
計
103
55
42
25
10
381
33
2
2
4
69
15
8
3
4
8
2
3
1
1
771
(県内総数)
参加率
項 目
連携カルテ
サービス参加
施設数
(調剤情報出力含)
計
病院
66
9
13
6
4
13
3
5
5
5
3
2
2
102
22
1
2
0
30
7
2
2
2
6
2
1
1
1
1
28
2
14
3
1
35
19
11
9
216
4
1
1
1
7
1
1
4
1
1
0
1
18
4
0
0
1
5
2
3
1
1
1
1
274
(596)
46%
1
32,094枚
薬局
1
1
検査
機関他
5
1
1 (▲ 1)
11 (+1)
4
(+1)
1
9
(279)
3%
情報提供施設
32 施設
58 施設
67 施設
0 施設
0 施設
157 施設
病院
診療所
薬局
訪問看護
介護施設
まめネットカード発行枚数
介護
施設
歯科
診療所
9
4
2
1
1
9
1
1
43
(51)
84%
訪問
看護
医科
診療所
69
(310)
22%
0
0
35
318
(73) (3,225)
48%
10%
閲覧のみ
3 施設
53 施設
0 施設
27 施設
3 施設
86 施設
1
23 (+1)
計
35 施設
111 施設
67 施設
27 施設
3 施設
243 施設
(+1,114)
診療所は高い参加率となっている。ただ、全県展開
が契約相手先になっている。基本サービスのうち、
ということから地域間のばらつきは否めない。出雲
紹介状サービスは富士通の関連会社テクノプロジェ
地域、松江地域など医療資源が整っている地域とそ
クト、共有ファイルについては富士通とそれぞれシ
の他の地域では、参加状況にも明らかに格差がある。
ステム構築と保守(5 年)契約を結んでいる。この基
「まめネット」への参加に同意した住民に発行した
盤の上に、連携カルテ、画像中継、診療・検査予約
カード発行枚数は 3 万 2094 枚で、県内人口の 4.6%
などの連携アプリケーションサービスが提供され
程度となっている。
る。基盤システムを契約している富士通、テクノプ
ロジェクト以外のベンダーに基盤サービス連携用の
<ネットワークの構成とサービス>
インターフェースを公開することで、「まめネット」
「まめネット」を支える基盤システムには富士通
へのアプリケーションサービスの参入が可能なベン
の HumanBridge のモジュールを採用し、富士通を
ダーフリーのシステムとしている。
代表に県内企業 6 社を加えた「i しまね共同企業体」
現状のベンダー各社との契約内容を見ると、連携
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連 載
図3
医療 ICT 最前線 ―地域医療情報連携の現場から―
は喫緊の課題になっている。
ベンダー各社との契約内容
基本サービス
連携アプリケーションサービス
① 紹介状サービス
(HPKI電子署名)
契約:㈱テクノプロジェクト
[SOAPインターフェースの
公開]
② 共有ファイル
契約:富士通㈱
① 連携カルテサービス
契約:富士通㈱
[連携用SS-MIXインターフェースの公開]
② 画像中継サービス
契約:㈱テクノプロジェクト
[画像中継票インターフェースの公開]
③ 診療・検査予約サービス 契約:㈱テクノプロジェクト
[SOAPインターフェースの公開]
④ ネット健診サービス
契約:㈱テクノプロジェクト
⑤ 在宅情報管理サービス
契約:㈱テクノプロジェクト
⑥ 調剤情報管理サービス
契約:㈱テクノプロジェクト
⑦ 感染症デイリーサーベイランス 契約:島根県医師会
⑧ 地域連携パスサービス
契約:富士通㈱
⑨ 非常時バックアップサービス 契約:富士通㈱
※契約内容はシステム
構築と保守(5 年)
標準技術の採用と推進
○ SS-MIX2 の採用
○ DICOM規約の順守 など
更新費用の捻出につながる
医療機関、介護事業施設の参
加拡大も継続的課題だ。事務
局は、16 年度診療報酬改定で
「診療情報提供書等の文書の
電子的な送受に関する記載の
明確化」として盛り込まれた
「 検 査・画 像 情 報 提 供 加 算 」
「電子的診療情報評価料」の
算定支援などにより、参加拡
大を図りたいとしている。こ
れら点 数 に関 する 16 年 9 月
時点での施設基準届け出状況
は 38 機 関( 病 院 11、診 療 所
ベンダーフリーとは >>
各サービスにおいて、連携用のインターフェース
を提供することにより、契約ベンダー以外のベン
ダーがまめネットに参入可能。
27)となっている。訪問看護
1. 基盤サービスのインターフェースを利用して誰でも
アプリケーションサービスを提供することができる。
電子証明書付き文書の送受も
2. 連携カルテサービス等、契約会社以外のベン
ダーとの連携(情報出力)が可能
17 年度中に実施予定で、サー
ネットワーク基盤サービス
ポータルサイト(掲示板)
・施設管理・利用者ID管理・患者管理
契約:iしまね共同企業体(代表富士通、県内企業 6 社)
指示書や主治医意見書などの
ビス内容の充実による利便性
向上に取り組む計画だ。
さらに「従来の特定健診に
加えて、学校健診や生涯にわ
たる健診情報を共有するシス
アプリケーションサービスの契約会社も富士通とテ
テムを 17 年には稼働させる予定で、これにより健康
クノプロジェクトがほとんど。契約内容や電子カル
な方も「まめネット」に大勢参加することになり、合
テの導入実態から見ると富士通、テクノプロジェク
わせて健診機関の参加も増えてくるとみている」
トが実質的に支えるシステムとみることもできる
(児玉氏)として、健診情報管理サービス導入による
(図 3)。
参加者数の拡大を期待している。
この点について「まめネット」事務局では、「ベン
他県連携については、鳥取県の「おしどりネット」
ダーフリーのシステムであり、特定の企業に依存す
と接続し、
「まめネット」に参加している医療機関が
る も の で は な い。 画 面 の 見 え 方 が 富 士 通 の
HumanBridge になっているが、基盤として使って
いるだけで、どの電子カルテとも連携でき、連携ア
プリケーションへのベンダーの参入はオープンに
なっている」と説明する。
更新経費の捻出と運営費用の低減が課題
ネットワーク運営の当面の課題は、まず収支状況
の安定化。システムの更新時期が来年、再来年に迫っ
ており、更新経費の捻出とランニングコストの低減
医療 ICT
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2016.12.10
取材に応える事務局関係者
5
連 載
医療 ICT 最前線 ―地域医療情報連携の現場から―
おしどりネットで公開されている情報を閲覧できる
診療所が何のために情報を送るのかが見えなくなっ
環境が構築されている。今後、広島県や岡山県の医
ている」とも語る。
療ネットワークとの接続についても積極的に対応す
小竹原氏の指摘は、
「まめネット」固有の問題点と
る構えだ。
いうより、電子化に関わる法整備など国内の医療
ICT 推進をめぐる課題が山積している現状に根差し
「現状は未完成」 課題指摘する現場の声
ている。当面は紹介状の電子的送受信をスムーズに
実現できる環境を整えて、県民、医療現場当事者な
事務局が挙げる当面の課題とは別に、現場の視点
どの理解を得ながら患者・家族のメリットを第一に
で医療情報連携構築の今後のあるべき方向について
据えたネットワーク構築をじっくりと進めていくべ
指摘する声もある。
きだ、というのが小竹原氏のスタンスだ。
松江市で開業する小
一方、
「しまね医療情報ネットワーク協会」の理事
竹原良雄氏は、日医・
でもあるサンメディカル薬局の吉国敏夫氏は、県内
医 療 IT 委 員 会 の 委 員
約 300 薬 局 の う ち 参
であり島根県医師会の
加 が 69 薬 局 に と ど
情 報 委 員 も 務 め る。
まっている現状につい
「ネットワーク構築で
て「半分程度の参加を
大事なことは患者、家
族のメリットが何かを
考えること。その意味
期待していたが、参加
「大事な事は患者、家族のメリッ
ト」と語る小竹原良雄氏
数は伸びていない。薬
局の参加は、処方箋を
でネットワーク化の最大の目的は、診療所と病院間
受け入れている医療機
の(電子的な)紹介状のやりとりだと考えている。こ
サンメディカル薬局の吉国敏夫氏
れにより、患者・家族がわざわざ紹介状を再度取り
参加しているかどうかに左右されるという事情も
に行く手間が減少する。患者・家族にとって紹介状
ある」と語る。他の薬局の調剤情報を閲覧できるこ
の電子的送信は最大の恩恵になる」と語る。タイム
とをメリットの一つと想定していたが、実際には
スタンプ、医師認証の電子署名といった法的根拠を
「よその薬局が入らなければ意味がないということ
関が「まめネット」に
伴った紹介状の送受を可能にすることが、ネット利
で、結局参加に至らないという状況になっている」
用の最大のメリットとの指摘だ。
という。
小竹原氏は、紹介状に画像・検査データを添付し
日本全体の 10 年先を行くシステム
て送受信するためには安定したネットワークが必要
であることから、
「まめネット」の存在意義を認めた
上で、「今は医療情報ネットワークの骨格を作って
島根県の全面的なバックアップにより構築された
いるところで未完成。医療を必要とする県民、医療
「まめネット」は、全県をカバーする大掛かりな医療
通信・デジタル化の整備費用など、コスト面での納
情報ネットワークとして国内屈指の存在だ。とりわ
税者、医療を提供する開業医などお互いの理解を深
け 2000 年以降に実施された政府の実証事業を含め
めていくことが先決」として、参加機関や患者の同
て、他地域の医療情報ネットワークに比べて巨額な
意取得拡大を最優先にする考え方には違和感を示
予算が投入されるなど、資金不足に苦しむ他のネッ
す。また、連携アプリケーションサービスの目玉の
トワーク関係者からは羨望の眼差しが向けられて
一つである「連携カルテ」についても、「地域での連
いる。
携カルテのように、紹介状以外の日々の診療情報は
小竹原氏による現場からの厳しい指摘も、医療情
ほとんど要らない情報の累積でしかないと思える」
報連携に対する消極的な批判や無関心というより
と率直な感想を漏らす。
「医療側(病院)が情報を吸
は、むしろ現場の実態に根差した医療ネットワーク
い上げることが優先され、患者が何を求めているか、
構築にかける問題意識の高さによるもので、「まめ
医療 ICT
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2016.12.10
6
連 載
医療 ICT 最前線 ―地域医療情報連携の現場から―
ネット」の懐の深さとみることもできる。
で「達者、元気」という意味であるのもうなずける。
「まめネット」協会副理事長の児玉氏は「島根県で
「まめネット」は、日本全体の 10 年先を行くシス
医療連携が進展してきた背景には医師不足、医師の
テムという自負とともに、システム更新や参加施設・
偏在に加えて全国平均よりも 10 年進んでいる高齢
参加者の拡大、アプリケーションサービスの充実、
化(31.8%)がある。複数の医療機関を受診する高齢
さらに県外ネットワークとの接続など、県民への利
者の増加に対応するためには、どうしても医療情報
益還元を最優先に当面の課題に取り組む。
の共有が必要だった」と語る。愛称の「まめ」が方言
2016 年 11月28日【MEDIFAX】
医療 ICT
NEWS FILE
2016.12.10
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医療
<<<
INFRASTRUCTURE
ICT 情報基盤
「より良い医療の提供と効率化に貢献」
森田氏
厚生労働省の「保健医療分野における ICT 活用推進懇談会」が
先月取りまとめた提言について、座長を務める国立社会保障・人
口問題研究所の森田朗所長が本紙の取材に応じた。森田氏は、
ICT 情報基盤の整備により国民の健康・医療情報を複数の医療機
関で共有するメリットとして、患者がどこにいても適切な医療を
受けられる環境整備と、医療の効率化推進を挙げた。解決すべき
課題には、情報規格やデータベースの互換性向上を指摘した。
取材に応じた森田所長
同懇談会は、複数の医療機関や保険者などに
品の安全対策や研究開発に使うこともできる。
散在する、国民の健常時から疾病・介護段階ま
これにより、▽革新的創薬▽より高い安全性▽
での健康・医療情報を、医療等 ID(仮称)など
医療の質向上▽疾患の原因究明―などの成果が
でつなげる全国規模のネットワーク基盤(=
生まれることが期待できる。
PeOPLe)の創設を提言している。
森田氏は、PeOPLe が各地で運用が始まって
課題はデータの互換性
「NW 開発企業間で協調を」
いる既存の地域医療ネットワーク(NW)の基
礎として機能することを想定。患者への直接的
なメリットとして、仮に患者が NW をまたいで
ただ、森田氏は利活用に向けて「データの標
移動しても、PeOPLe を通じて健康・医療情報
準化が課題」と指摘する。本来なら、PeOPLe の
が適切に引き継がれ、「重複投薬や禁忌などの
ような全国規模のインフラには一律の規格が望
リスクを回避できる」と強調した。
ましいが、現行の地域医療 NW はインフラ構築
また、山間部や離島などで担当医(総合診療
に IT 企業が携わってきた背景から、それぞれ情
医など)が専門医と患者情報を共有し、専門分
報の仕様に独自性がある。森田氏は「既存の
野の情報を照会したり、知見を仰いだりするこ
NW の取り組みを無駄にすべきでない」と指
とにより、医師の移動の手間が省けるだけでな
摘。一方、
「PeOPLe に接続する上では、標準規
く、専門医のいる遠隔地に足を運んでいた患者
格に対応できる互換性が必要だ」と述べ、NW
の移動時間も節約できると指摘。医療資源の有
開発企業間がデータの互換性を担保するために
効活用や患者負担の低減につながるとした。
協調すべきとした。また、医薬品などの国際展
こうした直接的なメリットにとどまらず、
開を見据え、情報の国際的な互換性も念頭に置
PeOPLe の情報をビッグデータとして蓄積すれ
くべきだと強調した。
ば、国が医療費の適正化や、より適切な医療の
提供に向けた政策に生かせるほか、企業が医薬
医療 ICT
NEWS FILE
2016.12.10
2016 年 11月22日【MEDIFAX】
8
事 業
<<<
INFRASTRUCTURE
総合確保基金 904 億円の1割が地域医療情報連携に
厚労省・佐々木参事官
厚生労働省の佐々木裕介参事官(情報化担当)は 11 月 23 日、横浜市で開かれた第 36 回医療
情報学連合大会の医師会大会企画「医療情報連携の基盤構築の今後と課題」で講演し、ICT(情
報通信技術)を活用した地域医療情報連携ネットワークへの予算措置の現状について、「地域
医療介護総合確保基金(医療分)の予算 904 億円のうち 1 割程度が地域医療情報連携ネット
ワークの初期整備費に使われているのではないか」との認識を示した。佐々木氏は同基金が消
費税を充当する恒久財源によって措置されるという安定した財政基盤に基づいていることか
ら、今後の全国的な地域ネットワーク普及に積極的に活用していく必要性を指摘した。
2016 年 11月24日【MEDIFAX】
事 業
佐々木氏は講演で、地域医療情報ネットワークの
では市区町村への提出義務付けの検討、さらに健康・
相互接続の推進に関する調査研究事業を今秋から開
医療・介護を連結したデータベースを 20 年にリリー
始したことにも触れ、「机上の検討を進め今年度末
スするための検討を進めている状況を報告した。講
までに成果を上げたい」として、来年度以降には各
演は厚労省の医療 ICT への取り組みの現状と今後
ネットワーク間の相互接続に関するフィールド実証
の計画について、政府の未来投資会議などに厚労省
試験に入り、2020 年には全国規模のネットワーク
が提出している資料(10 月 20 日・厚労省提出、11 月
構築を目指す方針を示した。また、医療介護分野の
10 日・塩崎恭久厚生労働相提出)に沿って解説され
データベースの構築と活用について、DPC データは
る形となった。
来年度以降第三者提供を開始、介護レセプトデータ
費用対効果評価、
「薬価引き上げ含めた価格設定」を検討へ
【中医協】
2016 年 11月30日【日刊薬業】 規制・GL
中医協の費用対効果評価専門部会は 11 月 30 日、
間議員は「医薬品等の保険収載の判断や薬価算定、薬
費用対効果評価の在り方について、「上市後の薬価
価改定において、費用対効果評価を本格的に導入す
引き上げを含めた価格設定」の本格導入に向けた検
べき」と表明。また、流通価格を適切に反映する仕組
討を進める方針を決めた。塩崎恭久厚生労働相が臨
みの構築に関する内容として「医薬開発は費用対効
時議員として出席した 25 日の経済財政諮問会議で、
果に応じた報酬とし、また、流通価格をより迅速かつ
薬価制度の見直しに関する「検討の方向性」として
適切に反映する仕組みとすべき」とも指摘した。
示した内容や、民間議員の指摘なども踏まえる考え。
試行 7 品目の比較対照技術公表
25 日の諮問会議で塩崎厚労相は、
「費用対効果評
価による価値に基づき、上市後の薬価引き上げを含
めた価格設定を本格導入(費用対効果評価の本格導
同日の会合では、厚労省が費用対効果評価の試行
入の加速化)」を検討の方向性として提示。一方、民
的導入で対象にしている医薬品 7 品目(抗がん剤 2
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INFRASTRUCTURE
品目、C 肝治療薬 4 件 5 品目)の比較対照技術を公表
較対照は「ラパチニブとカペシタビンの併用等」。
した。
試行的導入の対象となっている C 肝治療薬は、▽
小野薬品工業の「オプジーボ」
(一般名=ニボルマ
ブリストル・マイヤーズ スクイブの「ダクルインザ」
ブ)は、
「根治切除不能な悪性黒色腫」
「切除不能な進
(ダクラタスビル)と「スンベプラ」
(アスナプレビ
行・再発の非小細胞肺がん」
「根治切除不能か転移性
ル )の 併 用 ▽ ギ リ アド・サ イ エ ン シ ズ の「 ハ ー ボ
の腎細胞がん」と 3 つの対象疾患ごとに比較対照技
ニー」
(レジパスビル / ソホスブビル)▽アッヴィの
術がある。具体的には、悪性黒色腫がダカルバジン、
「ヴィキラックス」
(オムビタスビル / パリタプレビ
肺がんはドセタキセル、腎細胞がんはエベロリムス。
ル / リトナビル)▽ギリアドの「ソバルディ」
(ソホス
同じく抗がん剤で対象になっている中外製薬の
ブビル)。比較対照は、1 世代前の標準治療だが、開
「カドサイラ」
(トラスツズマブ エムタンシン)は、対
発間隔が短かった場合は 2 世代前までを含むため、
象疾患が「HER2 陽性の手術不能か再発乳がん」で比
ヴィキラックスはハーボニーとも比較する。
【表】
C 型肝炎治療薬の比較対照技術
品目(一般名)
〈企業名〉
対象疾患等
比較対照技術
ダクルインザ/スンベプラ
(ダクラタスビル/アスナプレビル)
ペグインターフェロン+リバビリン+シメプレビル
〈ブリストル・マイヤーズ〉
ハーボニー
ペグインターフェロン+リバビリン+シメプレビル
(レジパスビル+ソホスブビル)
C 型慢性肝炎・肝硬変
〈ギリアド・サイエンシズ〉
(ジェノタイプ 1 型)
ヴィキラックス
ダクルインザ/スンベプラ
(ダクラタスビル+アスナプレビル)
ダクルインザ/スンベプラ
(オムビタスビル+パリタプレビル
(ダクラタスビル+アスナプレビル)
+リトナビル)
ハーボニー(レジパスビル+ソホスブビル)
〈アッヴィ〉
ソバルディ
C 型慢性肝炎・肝硬変
(ソホスブビル)
〈ギリアド・サイエンシズ〉
(ジェノタイプ 2 型)
ペグインターフェロン+リバビリン+テラプレビル
※中医協資料より
薬価調査手法「ICT 時代、いろいろあり得る」
塩崎厚労相
2016 年 11月29日【日刊薬業】 規制・GL
塩崎恭久厚生労働相は 11 月 29 日の閣議後会見
は、薬価差が生じているかどうかを、少なくとも年
で、薬価と市場実勢価格の乖離を捉えるための調査
1 回は把握する必要がある。そのためには従来通り
手法について「ICT の時代だから、いろいろなこと
の手法で薬価調査をするとは限らないとの認識を示
があり得る」と述べ、どのような薬価調査の手法が
したことになる。
あるのかを含めて議論する考えを示した。
また効能追加などで患者数が急増することへの対
塩崎厚労相は 25 日の経済財政諮問会議で「市場
策にも言及し、
「今までのように 2 年に 1 回の改定で
環境の変化により一定以上の薬価差が生じた品目
はない。一つの考え方として、年 4 回実施する新薬
(後発医薬品を含む)について、少なくとも年 1 回、
薬価収載の機会を捉えて見直すことを示した」と述
これまでの改定時期に限らず薬価を見直し」という
べ、
「『オプジーボ』で示した通り、今のルールでも薬
改革案を示している。この改革案を実施するために
価を変えることがあり得る」と説明した。塩崎厚労
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INFRASTRUCTURE
相は 25 日の諮問会議で「収載後の状況の変化に対
「患者に本来以上の負担をしていただくことをどう
応できるよう、効能追加等に伴う一定規模以上の市
考えるのか」という双方の視点を踏まえ、
「イノベー
場拡大について、新薬収載の機会(年 4 回)を最大限
ションの推進と国民皆保険制度の持続性の両立を目
活用して、柔軟に薬価を見直し」という改革案を示
指し、薬価制度を抜本改革したい」と述べた。さら
している。
に安倍晋三首相から「諮問会議で年内に基本方針を
塩崎厚労相は閣議後会見で「イノベーションの推
取りまとめるように」と指示を受けたことにも触
進は国民の健康のためであり、産業発展のためでも
れ、
「民間議員の提案も踏まえ、この 2 点の両立を実
あり、経済活性化のためでもある」ということと、
現すべく議論していく」と述べた。
地域医療構想、将来の「あるべき姿の共有が大前提」
厚労省・迫井医療課長
2016 年 11月28日【MEDIFAX】 規制・GL
厚生労働省保険局の
した。
迫井正深医療課長(前
さらに医療・介護分野以外の他産業は、人口動向
医政局地域医療計画課
の変化や円高などに直面しながらも見通しを立てて
長、元老健局老人保健
事業を行ってきたと指摘。
「他産業の人たちは『医療
課長)は 26 日、大阪市
と介護もそういうことが求められているのですよ』
内で開かれた全国医師
という目で見ている。
『厳しい中で地域医療構想を
会勤務医部会連絡協議
どう考えていくのか』という話なのだと思う」と述
会で私見を交えながら
べた。
講演し、地域医療構想
また病床機能報告制度について説明する中で、特
の策定と実現について
定入院料等別の病床機能報告割合をまとめたデータ
「
(医療需要予測を踏ま
などを示しながら「誤解してほしくないのは、診療
えた地域医療の)ある
報酬とリンクしてというよりは、診療報酬の施設基
べき姿を共有することが大前提になる」と強調した。
準を提出していただくに当たってさまざまなデータ
将来的に国内人口と年齢別人口構成の変化が見込
が出ているので、例えば救命救急入院料を算定する
まれる中、地域の医療需要の変化を見据えて施設整
ような病棟は、ある意味で当たり前の話として高度
備の在り方を検討していくことが求められる。迫井
急性期的な診療内容になっている」と説明した。
課長はこうした時代の変化に触れつつ、地域医療構
地域包括ケアシステム構築に向けた課題にも言及
想の必要性を説明。
「今までは法人ごと、病院ごとに
し「特に医療について(いかにして)生活者の視点を
(施設整備を)考えてきたが、地域ニーズはある程度
入れていくのかが重要になる」と強調。課題として
見通しが立つようになってきた。そうすると地域の
▽多職種連携の推進と人材育成(医療の視点と生活
ニーズの変化に呼応して、ある意味、撤退部分、進
の視点)▽生活ニーズ・生活環境への配慮(例えば外
出部分も含めて最適化することが求められてくる。
来・入院時点からの退院支援、生活機能を意識した
つまり『法人運営最適化と地域資源活用最適化を両
医療の提供)―を資料で例示し、「2018 年度診療報
立させてください』という極めて難しいオペレー
酬・介護報酬同時改定に向け、医療と介護でレビュー
ションをお願いしていることになる。これが時代認
をして、それぞれの視点でしっかり解決していこう
識であり地域医療構想の最も重要なパートだ」と話
という議論になる」と述べた。
私見を交えながら講演する迫井課
長=26日、大阪市内
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地域医療連携推進法人制度で厚労省と意見交換
四病協・医業税制委
2016 年 11月24日【MEDIFAX】 規制・GL
四病院団体協議会の医業経営・税制委員会は 11 月
た政省令・通知の発出が待たれるとした。
24 日、来年 4 月施行の地域医療連携推進法人制度に
一方、12 月に決定される来年度の税制改正大綱へ
関する政省令などについて厚生労働省から説明を受
の対応については、同日の委員会では具体的な議論
けるとともに、意見交換を行った。伊藤伸一委員長
はされなかった。伊藤委員長は控除対象外消費税問
(日本医療法人協会長代行)が本紙の取材に応えた。
題に関し「これまでも理解を得ようと医療界が一本
伊藤委員長は「連携推進法人制度の政省令などの
になって活動している。課税へのハードルが極めて
趣旨や内容は、30 日の四病協・総合部会に報告する」
厳しい中で、それと同程度の実効性が確保できる手
とした。さらに「この制度は、法人にとって生き残
法も検討してきた。現行の非課税の上で税制措置を
りを懸けた重要な戦略になる。今回の医療法人制度
お願いしている」とし、非課税還付方式の導入を一
改革で施行されたガバナンスの強化と経営の透明化
歩でも前に進めたい考えだ。
も重要なポイントになる」とも述べ、施行を見据え
「労働時間の基準設定」や「ICT 活用への報酬付け」を
働き方ビジョン検討会
2016 年 11月24日【MEDIFAX】 規制・GL
厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医
整備▽技術的環境の充実▽働く場所の改革―の 4 項
師・看護師等の働き方ビジョン検討会」
(座長=澁谷
目を柱とし、現場や経営の視点から提言した。施策
健司・東京大大学院教授)は 11 月 24 日、構成員から
では、医療者の労働時間の基準設定や、ナースプラ
のプレゼンテーションを行った。
「専門性の追求と
クティショナー(NP)らの活用による医療の担い手
人生の選択の両立」
「生産性と質の向上」
「経済活力
の見直しなどを提案。働き方優良病院の表彰と認定
(イノベ・国際化)への貢献」をテーマに構成員が施
なども打ち出した。
策を提案した。次回はこれまでのプレゼンテーショ
「生産性と質の向上」と「経済活力(イノベ・国際
ンを踏まえ、中間的なまとめに向けて論点を整理す
化)への貢献」のテーマは、宮田裕章構成員(慶応大
る方針。会合は非公開。
教授)らのグループがプレゼンテーションを行った。
「専門性の追求と人生の選択の両立」のテーマは
遠隔診療の充実に向けた体制整備や ICT を活用した
裵英洙構成員(ハイズ代表取締役社長)らのグルー
かかりつけ機能の充実強化への評価、ICT を活用し
プが発表した。▽本人意思の明確化▽制度的環境の
た医療と介護の連携による効率化などを提言した。
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INFRASTRUCTURE
MID-NET、
「長所」と「限界」の双方把握を
PMDA・宇山氏
2016 年 12 月5日【日刊薬業】 事 業
医薬品医療機器総合機構の宇山佳明医療情報活用
などが利用可能▽ほぼリアルタイムで情報が利用可
推進室長は11月5日、東京都内で開かれた医薬品医療
能―と説明。一方、来院前・転院後の情報などが得
機器レギュラトリーサイエンス財団の医療データベー
られないことや、特定の医療機関を対象にしている
ス研究に関する研修会で講演し、
2018年度の本格運用
ために全国民を必ずしも代表した内容ではないと
を予定する「医療情報データベースシステム」
(MID-
いった限界にも触れ、それらを把握した上で利活用
NET)について、
システムの長所と限界の双方を把握し
することが大事であると解説した。
た上で利活用することが求められると説明した。
また、電子診療情報の 2 次利用に基づく調査の留
宇山氏は MID-NET に関して、海外の規制当局に
意点にも言及。データベース自体の信頼性を所有者
後れることなくデータベースを用いた医薬品安全性
らにあらかじめ確認することや、より適切な評価を
評価が可能になるといった利活用例を解説した上
行うために原則として対照群を設定した上で実施す
で、長所として▽診療情報や請求情報などの多様な
ること、適切な対象期間と時期を選択することなど
情報源に由来する医療情報が存在する▽検査データ
をアドバイスした。
経産省の糖尿病行動変容事業、参加者 1000 人超え
7日に中間報告
2016 年 12 月2日【MEDIFAX】 事 業
経済産業省は 11 月 7 日、2015 年度の補正予算事
を示している。
業「IoT 推進のための新産業モデル創出基盤整備事
同事業では、糖尿病の重症化予防や健康改善に向
業(企業保険者等が有する個人の健康・医療情報を
け、参加者から▽体重▽血糖値▽歩数▽脈拍▽血圧
活用した行動変容促進事業)」の中間報告会を開催
―などのデータを、ウエアラブル端末も駆使して日
する。事務局の商務情報政策局ヘルスケア産業課
常的に収集。データを基に医師らが継続的な指導を
は、同事業の参加人数が軽症者と予備群を合わせ
行うことで、健康状態が改善するかを実証的に調べ
1000 人を超えたと説明。
「中間報告会では、データ
ている。7 日は同事業に協力した企業や学校などか
や効果などある程度具体的に示されれば」と期待感
ら、進捗状況の報告を受ける。
AI 活用した「統合的がん医療システム」開発へ
国がんなど
2016 年 11月29日【MEDIFAX】 事 業
国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー とPreferred Networks
床情報などを、AI 技術を利用して統合的に解析し、
(PFN)、産業技術総合研究所(産総研)は 11月 29 日、
がん罹患者一人一人に最適化された医療の提供を目
人工知能(AI)技術を活用した統合的ながん医療シ
指す。
ステムの開発プロジェクトを開始すると発表した。
コンピューターの深層学習技術の研究開発や産業
科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業
化を進めている PFN と、AI 技術の開発をしている
(CREST)の「イノベーション創発に資する人工知
産総研が、共同で臨床データや疫学データを統合的
能基盤技術の創出と統合化」研究領域に採択され
に解析する AI 技術を開発する。5 年後をめどに実用
た。同センターに蓄積されている罹患者の詳細な臨
化を目指している。
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INFRASTRUCTURE
市販後調査に MID-NET、利用料は「フラットプラン」
厚労省 WG
2016 年 11月29日【日刊薬業】 事 業
厚生労働省の「医療情報データベース運営の経費
続的にデータを利用する市販後調査と、単発の利用
等 に 関 す る ワ ー キ ン グ グ ル ー プ 」は 11 月 29 日、
が想定できる疫学調査などの「それ以外」に分ける
2018 年度の本格運用を予定する「医療情報データ
と説明。利用料の具体的な試算金額も示し、構成員
ベースシステム」
(MID-NET)を製薬企業が「製造
から異論は出なかったという。利用料の金額につい
販売後調査」
(市販後調査)に用いる場合の利用料に
て同課は「規模感も含め現時点では非公表」と述べ
ついて、品目ごとに支払う包括的な “ フラットプラ
るにとどめた。
ン ” とする方向でおおむね合意した。データ集計表
来月に予定する次回会合で MID-NET の運営経費
を作成する回数など、データを利用する頻度やデー
について意見の取りまとめを目指す。報告書を作成
タの保管期間などは細かく利用料に反映させない考
し、親会議の「医療情報データベースの運営等に関
え。非公開の会合後に厚労省医薬・生活衛生局安全
する検討会」
(座長=永井良三・自治医科大学長)へ
対策課が説明した。
提出する見込み。
同日の会合では、厚労省が料金体系について、継
MID-NET の情報連携「将来は診療所にまで」
厚労省・武田医薬局長
2016 年 11月22日【日刊薬業】 事 業
厚生労働省医薬・生活衛生局の武田俊彦局長は 22
の安全対策で製薬企業が利用するほか、
「公益性の高
日、データの民間利用などを含め 2018 年度に本格
い調査・研究」にも利活用できるとの期待がある。
運用を始める予定の「医療情報データベースシステ
武田局長は、MID-NET について「いまの 10 拠点
ム」
(MID-NET)について、「将来的には情報連携を
23 病院をベースに、本格的な運用を始める」と説明
診療所にまで広げたい」と述べた。日本医療情報学
した上で、情報連携の範囲について「ぜひ広げたい」
会が横浜市内で開いた医療情報学連合大会で講演
と述べた。
した。
がんなどに関する診療情報は大病院中心に集まる
MID-NET は現在、東京大医学部付属病院などの大
一方、生活習慣病などの診療情報は中小の医療機関
学病院や徳洲会グループなど全国 10 拠点 23 病院が
にも集まることを踏まえ、「クリニックレベルの
保有する電子カルテの情報などを標準化して統合
データはぜひもらいたい。今後の医療の動向を考え
データソースとして集積し、協力医療機関がデータ
ると、病院中心から地域へ転換する。入院や外来で
を利活用できる仕組み。18 年度の本格運用に向けて
診療を受けながら地域で生活していくことを考える
は、市販後安全監視やリスク・ベネフィット評価など
と是が非でも広げなければならない」と述べた。
医療 ICT
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SERVICE
死亡診断書の電子化を検討、作成支援ソフト開発も
日医・今村副会長
日本医師会の今村聡副会長は、多死社会における死因究明を進めるため死亡診断書(死体検
案書)の在り方を抜本的に見直すための検討を進めていることを明らかにした。本紙の取材に
応えた。死亡診断書の作成を書面から電子化に移行させる構想で、死因究明に関連する膨大な
データを蓄積、活用できる環境を整えたい意向だ。また、電子化の実現には、死亡診断書(死
体検案書)の作成者が医師であることを証明するための資格認証カードの活用が必須になる
としている。
2016 年 11月21日【MEDIFAX】 医療・介護
今村副会長は、自ら
亡診断書における必須項目とは別に付加すべき項目
が研究代表者を務める
が何か、医師が必ず書くべき項目と、そうではない
厚生労働科学特別研究
項目を決めることが必要。それにより医師の負担軽
事業で死亡診断書の在
減にもつながる」とした。
り方をテーマに 2014
ORCAとの連携
医師資格証の活用方法など今後のテーマに
年度から検討を進めて
いることを説明。その
上で、現在の死亡診断
書について「死亡時画
像診断の実施の有無
研究班ではこれまでに、死亡診断書の作成支援ソ
フトの開発も進めている。試作を終えた死亡診断書・
死亡診断書について語る今村副会長
や、解剖の種類を明記
死体検案書作成支援ソフト「橙(DiedAi)」は、誤記
する欄もない。かつて社会保障審議会・統計分科会
や傷病名のミスを防ぐ機能を備えており、正確な死
で、死体検案書の発行件数を質問したが明確な回答
亡診断書の作成をサポートできるという。将来的に
は得られなかった。そのような管理体制の中で死亡
は在宅患者宅などでの死亡診断書を作成する際、ク
診断書はそもそもどうあるべきなのか」と問題意識
ラウドネットワークを介して患者情報の参照や作成
を示した。
医師の認証などを可能にすることで、場所や時間を
また「われわれが紙ベースで書いているものを役
問わずにスムーズな手続きができるシステムとして
所が部分的に電子化していると聞いているが、そう
稼働させたい考えだ。
であれば最初から電子化をすればいい。電子化が実
研究班の 3 年目は、日医の標準レセプトソフト
現すれば、例えば直接的な死因が誤嚥性肺炎である
「ORCA」と死亡診断書・死体検案書作成支援ソフト
場合、その原因となる医学的因果関係のある傷病名
の連携のほか、電子化した際の医師資格証を活用し
を的確に選択できる作成支援ソフトを開発できれば
た認証方法などもテーマに据える予定。来年 3 月末ま
いい。適正なデータが蓄積されれば精度の高い死因
でに、死亡診断書(死体検案書)の抜本的見直しに向
統計データの収集が可能になる」と指摘。さらに「死
けた研究班としての考え方を取りまとめる計画だ。
医療 ICT
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SERVICE
完全非公開 SNS で情報共有、在宅・介護の連携推進
京都府医「京あんしんネット」
2016 年 11月29日【MEDIFAX】 医療・介護
京都府医師会は、
宅や介護での多職種連携が喫緊の課題となっている
医療・介護に関わる
ことから、まず現場で必要度の高いコミュニケー
多職種連携をさらに
ション情報の共有に特化したシステムを導入した。
進めるため、完全非
システムは、SNS の「LINE」のように使いやすくコ
公 開 型 SNS を 活 用
ストフリーで、かつ医療 ・ 介護専用の完全非公開型
したコミュニケー
のためセキュリティーが一定程度担保されるとし
ション情報の連携シ
て、MCS を採用した。
ステムをスタートさ
運用ポリシー定め、適正利用を確保
せ た。 日 本 エ ン ブ
レースが提供する医
療 介 護 専 用 SNS の
全国的にも MCS の利用は拡大しているが、京あ
「メディカルケアス
んしんネットの特徴は、連携情報の保持・管理や IT
テーション」
(MCS)を「京あんしんネット」として
機 器 の セ キ ュ リ テ ィ ー 対 策 に 関 し て「 運 用 ポ リ
採用し、厳格な運用ポリシーを定めた上で、在宅医
シー」
(同ネットのホームページ参照:http://www.
療・介護の多職種連携のツールとして活用してもら
う取り組み。今年度は府内各地で関係職種向けの説
明会を開催し、周知に力を注ぐ方針だ。
今回の取り組みは、京都府の「医療情報共有化京都
モデル整備事業」
(京都府医に委託)から生まれた。府
医では、府や関係団体と 2014 年度からICT を活用し
た情報連携システムについて検討を重ねてきたが、
病病・病診間の医療情報連携システムの導入はコス
トや継続性などに課題があり「インフラがまだ整っ
ていない」
(松井道宣副会長)として別建てで検討す
ることとなった。一方で、地域包括ケアに向けて在
京都府医の松井副会長(左)と松田理事
京あんしんネット 運用ポリシー内名称について
連携元事業所
京あんしんネット 利用に至るまでの手続き
クリニック・診療所
(かかりつけ医)
協力事業所
医療機関
連携元事業所
❸京あんしんネット
利用に係る
連携守秘誓約書
(事業所から
京都府医師会へ)
患者
薬局
❶
❶在宅医療における
個人情報使用同意書
(患者から医療機関へ)
クリニック・診療所
(かかりつけ医)
医療機関
❸
❷
❸
❷業務情報保持に
関する誓約書
(従業者から事業所へ)
事業所管理者
薬局
居宅介護
支援
事業所
訪問看護
ST
❷
NEWS FILE
京都府医師会
❸
❷
従事者
医療 ICT
❸
訪問看護ステーション
居宅介護支援事業所
2016.12.10
16
❸
❷
<<<
SERVICE
kyo-anshin.net/)を定めていること。適正使用を図
ンブレース取締役の小倉佳浩氏が、すでに MCS は
るため「医師会が積極的に関わった方が、後々のト
全国 180 以上の医師会、2 万以上の医療・介護施設
ラブル発生などを未然に防げるのではないかと考
で利用されていると説明。各地で成功事例が出てい
え、ポリシーを定めて厳格に管理していこう」
(松田
るとして、医療・介護職種にとって効果的な情報共
義和理事)というのが府医の考え方だ。
有ツールになると強調した。
同ネットでは、在宅医療を受ける患者のかかりつ
府医では来年 3 月まで府内各地で計 30 回程度の
け医がいる医療機関を「連携元事業所」、連携するそ
説明会を開く予定だ。松井副会長は「みなさん大変
の他の医療・介護事業所を「協力事業所」とし、連携
意識が高く、興味を持っていただいている。使い方
元事業所が患者情報や多職種連携参加メンバーの管
も地域によって個性が出てくると思うし、より良い
理を行う(利用の手続きなど図参照)。
使い方を共有して発展させていけるのではないか」
このほど奈良市内で開かれた説明会では、日本エ
と今後の展開に期待を寄せている。
医療情報連携システム構築、
「国の動き見ながら検討」
京都府
2016 年 11月29日【MEDIFAX】 医療・介護
京都府では「医療情報共有化京都モデル整備事
継続しながら、国の動きを見つつ検討を続けていき
業」
(京都府医師会に委託)を基に、在宅医療・介護情
たいとしている。
報連携システムとしてコミュニケーションの情報共
京あんしんネットについては、府では 2025 年に
有に特化した「京あんしんネット」を打ち出す一方
約 2 万人の在宅患者の需要増が予想されていること
で、電子カルテなどを基にした病病・病診の医療情
もあり、ICT 活用による効果的、効率的な医療・介
報連携システムの構築については、府も府医も「ま
護の提供につながることに期待。多職種によるコ
だ環境が整っていない」
「時期尚早の部分がある」な
ミュニケーションの円滑化などで「いろんな活用例
どとして継続的な検討課題としている。
が出てくればありがたいし、府としても成果が出る
京都モデル整備事業を担当する京都府健康福祉部
ようにがんばっていきたい」とした。
医療課の井尻訓生課長は、本紙の取材に対し、医療
国の動きが具体化した段階で、府で医療情報連携
情報連携システムの構築については、全国的な情報
システムを構築することになった場合は、府内の既
共有の仕組み構築に向けて国が動き出しつつあるも
存のネットワーク(京都大医学部付属病院の「まい
のの、まだ仕様や汎用性が見通せないため「将来、二
こネット」など)も統合したかたちで構築が進むの
重投資になったり、乗り換えたりすることで混乱に
ではないかとしている。
つながる可能性がある」と指摘。来年度も同事業を
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SERVICE
ビッグデータ、
「臨床現場で価値ある情報を」
医療情報学大会で慶応大・宮田教授
2016 年 11月22日【MEDIFAX】 医療・介護
臨床での利活用促進が重要
国がん・石川氏
慶応大医学部教授の宮田
裕章氏は 11 月 22 日、横浜
市内で開催中の医療情報学
連合大会で医療ビッグデー
国立がん研究センターの「社会と健康研究セン
タに関して講演し、「臨床
ター」臨床経済研究室・石川ベンジャミン光一室長
現場と一緒に価値のある情
も同じ講演に登壇。質疑応答で「われわれ(研究者)
報をつくることが大事」と
述べ、研究にとどまらず、
も探索的な研究を行った上で、臨床の方々とシェア
質疑応答に応じる宮田教授
しながら進めなければならない」と述べ、臨床現場
臨床現場への効果を念頭に置くべきだとの見解を示
での利活用を促進することの重要性を強調した。
した。その上で、外科手術や治療のデータベースで
また、カルテのフォーマットに関連し、
「カルテに
ある「NCD」
(ナショナル・クリニカル・データベー
本来何を書くべきか、どのようなデータがあれば
ス)などの分析で「患者の健康にも良く、コスト上も
ビッグデータとつなげて分析できるのか、考えてい
メリットのある(効率的な)在院日数が分かってき
きたい」と今後の展望を説明。ビッグデータを臨床
た」と指摘。
「病院が医療の質を担保しながらコスト
でどう活用するかを考察するだけでなく、活用する
改善を図った場合、その努力が報われる形で診療報
ためのデータの在り方について検討することの必要
酬をつけることが望ましい」と提言した。
性を訴えた。
医療情報の連携、マイナンバーが費用面で有利か
医療情報学大会で森田氏
2016 年 11月22日【MEDIFAX】 医療・介護
国立社会保障・人口
どに基づく番号を付与し、効率的な医療や行政サー
問題研究所の森田朗所
ビスを提供している現状を紹介した。
長は 11 月 22 日、横浜
日本政府はマイナンバーを活用した医療保険のオ
市内で開催中の医療情
ンライン資格確認システムと、同システム基盤によ
報学連合大会で医療等
る医療等分野への ID(医療等 ID)の運用を目指して
ID(仮称)を含めた国
いる。森田氏は医療等 ID について「かなり複雑な仕
民番号制度について講
組みになる」と予想。エストニアの効果的な国民番
演 し た。 森 田 氏 は セ
号の運用状況を念頭に、セキュリティー上の問題が
キュリティー上の問題
なければ医療等 ID ではなくマイナンバーで運用す
がクリアできれば、情報連携に医療等 ID ではなくマ
る方が、
「(制度構築・維持にかかる)巨額な費用を考
イナンバーを用いる方が、制度設計や維持にかかる
えると、良いのかなという気がする」と述べた。
費用が節約できるのではないかとの見解を示した。
また、災害でネットワークが遮断するなど、非常
森田氏は、医療の質向上や効率化、地域包括ケア
事態が発生した場合、医療等 ID による運用では患者
の推進のため、番号制度の運用が必要と強調。その
情報の照合に手間がかかりすぎるのではないかとの
上で、エストニアが国民に対して性別や生年月日な
懸念を示した。
講演する森田所長=22日、横浜市内
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SERVICE
健診支払い専用プリペイドカード、ドラッグストアで販売
凸版印刷
2016 年 11月22日【PHARMACY NEWSBREAK】 薬局・医薬品
凸版印刷は、健康診断の支払い専用のプリペイド
カードの販売は同じく 1 都 2 府 8 県のココカラ
カードの販売をドラッグストアのココカラファイン
ファインヘルスケアと富士薬品グループの店頭で開
ヘルスケアと富士薬品グループで開始した。ギフト
始。今後、段階的に提携販売先を拡大していく計画。
カードとして活用してもらうことで、健康診断の受
販売価格は 1 万 700 円(額面 1 万円)と 3 万 1500 円
診率向上につながるとみている。
(3 万円)の 2 種類。
カードの名称は「からだ健診ギフトカード」。契約
厚生労働省の 2014 年「国民健康・栄養調査」によ
施設で受診したがん検診や人間ドック健診の支払い
ると、過去 1 年間の健康診断未受診者の割合は男性
ができる。利用できるのは関東(東京都、神奈川県、
27.8%、女性 37.1%。専業主婦や会社に属していな
埼玉県、千葉県、静岡県の伊豆地方)、関西(滋賀県、
い女性などは健康診断が義務付けられていないた
京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)の 1 都
め、受診率が低いと考えられている。このため、カー
2 府 8 県の日本人間ドック健診協会の会員施設と協
ドを受診のきっかけとして利用してもらう考え。
力会員施設で、地域を限定して運用を開始する。
リアルワールドデータ重視の時代へ
日本薬剤疫学会 「観察」と「介入」、評価逆転も
2016 年 11月21日【日刊薬業】 薬局・医薬品
ランダム化比較試験など介入研究の価値が相対的
や実態を表す程度と見られていたが、数千万~数億
に下がり、医療現場の各種情報が重視される時代に
規模のデータが集積されることで、「いままで 1 軍
─。
「医療リアルワールドデータ時代における疫学」
だった介入研究と 2 軍だった観察研究の入れ替わり
をテーマに、18 ~ 20 日に京都市で開かれた日本薬
が必要ではないかという議論まで始まっている」と
剤疫学会学術総会で、会長の川上浩司京都大大学院
述べた。
教授は、エビデンスレベルの評価が変化する傾向に
薬剤疫学で使用できる資料には、各学会による疾
あると指摘し、既存の診療情報を活用する観察研究
患登録(レジストリ)系と、レセプト情報や DPC
が介入研究に劣るとされた考え方は「もはや適用さ
データベースなどのリアルワールドデータ系があ
れない」と強調した。
る。川上氏は双方に強みや課題があるとして、
「それ
論文化されたデータだけを統合して解析するメタ
ぞれの特徴を理解し、今後の薬剤疫学研究を実施し
アナリシスは、効果が認められなかった研究結果を
ていくべきだ」と訴えた。
反映しないため、薬剤の効果の過大評価になるとい
企業も学ぶ必要性 厚労省・森審議官
う。川上氏は、臨床試験は被験者数や対象患者の範
囲が限定されていることに加え、GCP 外で実施され
る市販後臨床試験では品質の担保が困難だとも指摘
新薬開発のインフラ整備について講演した厚生労
した。
働省の森和彦大臣官房審議官は、臨床研究の変革の
うねりを世界のアカデミアが認識しつつある現状を
1軍と2 軍、入れ替え?
説明。米 FDA(食品医薬品局)がそうした流れに薬
観察研究は従来、症例報告など 1 病院だけの特性
床試験の方法論を学ぶ必要があると強調した。
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2016.12.10
事規制を対応させていくため、製薬企業も新たな臨
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在宅医療・介護の連携、ケアマネの 4 割「推進されていない」
SMS 調査
2016 年 11月24日【MEDIFAX】 統 計
介護や医療の情報サービスを提供しているエス・
ケアマネが最も連携を取りやすい相手は、「ソー
エム・エス(SMS)は 11 月 24 日、ケアマネジャーを
シャル・ワーカー」との回答が 79%だった。一方、最
対象に実施した「在宅医療・介護の連携推進に関す
も連携を取りにくい相手に「医師」を挙げた人は
る実態調査」の結果を公表した。全体でケアマネの
76%に上った。理由として「忙しすぎて連絡が取れ
41%が「連携は推進されていないと感じる」と答え
ない」や「介護保険の理解が得られていない」などの
たほか、「行政からのバックアップを感じていない」
課題が挙げられた。
との回答が 83%に上った。
行政に期待するバックアップとしては▽医療・介
「推進を感じている」と回答したのは、利用者が入
護関係者の情報共有の支援▽切れ目のない在宅医療
院した際に「要請の有無に関わらず」在宅での生活
と在宅介護の提供体制の構築推進▽地域の医療・介
やケアプランなどの情報を医療機関に提供している
護の資源の把握▽連携に関する相談支援―が上位に
ケアマネでは 54%、「要請があった場合のみ」情報
挙がった(複数回答可)。
を提供しているケアマネでは 34%だった。同社は
調査は、ケアマネ向けコミュニティーサイト「ケ
「『推進を感じている』ケアマネは、医療機関の要請
アマネドットコム」上で実施し、604 人からの回答
をまとめた。
に左右されることなく自ら進んで連携に取り組む傾
向がある」と考察した。
http://www.jiho.co.jp/
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2016.12.10
〒101-8421 東京都千代田区猿楽町 1-5-15 猿楽町 SS ビル
TEL:03-3233-6333 FAX:0120-657-769
〒541-0044 大阪市中央区伏見町 2-1-1 三井住友銀行高麗橋ビル TEL:06-6231-7061 FAX:0120-189-015
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案内
EVENT & SEMINAR
2 月に医療介護連携でシンポ
医療関連サービス振興会
2016 年 11月29日【MEDIFAX】
医療関連サービス振興会は来年 2 月 17 日(金)午
りの在り方を考える。
後 1 時から 5 時まで、東京都新宿区の新宿明治安田
基調講演には田中滋氏(慶応大名誉教授)が登壇
生命ホールで「地域包括ケアシステムの中軸として
する。パネルディスカッションでは鈴木邦彦氏(日
の医療介護連携と医療関連サービス」と題するシン
本医師会常任理事)などが参加予定。参加費は一般
ポジウムを開催する。効率的な医療と介護の総合確
6000 円、医療関連サービスマーク認定事業者と後
保体制を構築することを目的に、地域医療構想の策
援 団 体 会 員 は 5000 円。 詳 細 は 同 振 興 会 事 務 局
定が進められている中、今後医療機関が直面する課
(TEL:03-3238-1863)へ。
題や、医療・介護連携と医療関連サービスとの関わ
http://www.jiho.co.jp/
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