顧問と学生コーチの選手に対する指導成果の違いについて

顧問と学生コーチの選手に対する指導成果の違いについて
田中
康貴
(生涯スポーツ学科 学校スポーツコース)
指導教員 柴田 俊和
キーワード:顧問,学生コーチ,指導成果,リーダーシップ,コーチング
1.緒言
本学の学生の7割は部活動に所属し様々な
活動に取り組んでいる.各部は目標に向かっ
て練習に励んでいるが,そこには目標に向か
って指導を行う立場の者がいる.筆者は男子
バスケットボールに所属しているが,この部
では部員と同じ学生が指導者を務めている.
このような体制の部は本学にはいくつか存在
しており,当然ながら本学の教員が顧問を務
め毎日学生に指導している部もある.
学生がコーチとして選手を指導するという
のは,はたして競技力向上に影響が出るのだ
ろうか.影響が出たとして,それは顧問によ
る指導の影響と違いがあるのだろうか.
筆者は学生が顧問や学生コーチそれぞれに
何を求めているのかを明らかにし,それらが
指導成果にどう影響しているのかを知りたい
と考えた.
そこで本研究では,バスケットボールのコ
ーチングにおいて,学生が指導者に求めてい
ることに関する基礎的資料を収集し,今後の
指導改善に生かすための資料を得ることを目
的とした.
2.研究方法
本学のバスケットボール部男子 30 名,女子
24 名,計 54 名を対象として,選択式質問紙
調査を実施した.大問 1 では主に指導者がど
のような指導を行っているかについての質問
が 14 問,大問 2 では指導者の指導によって得
られる成果についての質問が 5 問あり,計 19
問,評価は 5 段階で回答する書式にした.
3.結果と考察
1)女子部員の結果と考察
調査の結果,女子バスケットボール部の指
導者は,学生の自主性を重んじており,言葉
遣いも丁寧で,穏やかな指導を行っているこ
とが受け取られている.競技力が向上したか
という質問に対しての結果は図 1 のようにな
った.
2)男子部員の結果と考察
調査の結果,男子バスケットボール部の指
導者は,どの質問にも指導者に対して好印象
を持っている回答が多くみられた.学生に積
極的に関わり,自身のやる気をアピール出来
ていることもその理由ではないかと考える.
競技力が向上したかという質問に対しての結
果は図 2 のようになった.
図 1:指導者の指導により競技力が向上した(女子)
図 2:指導者の指導により競技力が向上した(男子)
4.まとめ
調査の結果,全体的に学生のニーズに沿っ
た指導を行っている男子バスケットボール部
は満足度が高く,成果が出たという結果だっ
た.また,今回の調査では,学生は指導者と
の積極的な会話によって,指導者が練習や指
導に対してやる気を持っていると感じること
が明らかになった.
引用・参考文献
1.鈴木義行ら(2009)「コーチングの基本」,
日本実業出版,pp.29-30.
2.武田健(2007)「コーチングの心理学」,創
元社出版,pp.121-122.