文 理 融 合 - 大学ジャーナルオンライン

ススメ ! 理系Ⅱ
人工知能はどこまで、
何が、できるようになったか
で、
法政大学 情報科学部ディジタルメディア学科
教授 藤田悟先生
大学の使命は教育、研究と社会貢献であり、教
とができます。近年は、卒業時の質保証の観点から、
教育の重要性が強調されていますが、私は教育と研
の 長 期 ビジョンを「 先 端
目 指 すことを 決 断 し、そ
《世界的な研究拠点》を
見 方 も あ り ま す が、
「た
回った に す ぎ な い な ど の
作 り 同 様、日 本は後 手に
偏っている、 他 の ル ー ル
「地球的諸課題を解決す
こ と を 大 学 全 体 の レ ベル
研 究、 文 理 融 合 研 究 で
《世界最高水準の教育研
る ために 先 導 的 役 割 を 担
アッ プ の 励 み に し よ う と
か が、ラ ン キ ン グ、 さ れ
究拠点》
《特定分野で世
う 人 材 」 を 輩 出 す る とし
輝く卓越研究大学」の
界・全国 的な教 育 研 究 拠
生と教員とのインタラクションはこれまで以上に重要
インターネッ
トの普及によって、学生同士、また学
ますが、教科書的な内容を教えるだけなら、インター
になってきました。大学の存在意義にもかかわってき
ネッ
トで学ぶのとそれほど変わらない。大事なのは、教
員が教科書に書かれていないことをどれだけ語れる
神戸大学の設立の経緯
言葉だからです。しかし、
あ る 意 味 で 言い古 さ れ た
のには勇気が必要でした。
る《 文 理 融 合 》 を掲 げる
キ ー ワ ー ド の一つで あ
位を目標としたのです。
せんから、あえて 100
で は イ ン パク ト が あ り ま
位。200 位、300 位
の修羅場を潜り抜けていなければきちんとした教育は
ンキングで 国 内 5 位、世
の点は改 革 します。神 戸
積 極 的に 受 け 入れ、不 足
指 標 として 妥 当 な ものは
学に比べて、社 会 科 学 系
た旧 帝 国 大 学 系の総 合 大
時 か ら 理 系 を 重 視 して き
学 とな り ましたが、設 立
系 分 野 を充 実させ総 合 大
神 戸 大 学 は 戦 後、 理
のも事実です。
ほ ど 容 易 な こ とで は ない
野 間の垣 根 が 高 く、それ
に お いて は 学 部 や 学 問 分
ただ、伝 統 的な総 合 大 学
も 過 言 で は あ り ま せ ん。
求 め ら れ る も の と いっ て
今 や す べて の 総 合 大 学 に
ら れ る 中、 文 理 融 合 は、
術 イ ノ ベ ー シ ョン が 求 め
ル ギ ー 開 発 な どの 科 学 技
るい は 原 発 に 替 わ るエ ネ
の地 球 的 課 題の解 決、あ
の解 決、途 上国 支 援 など
地 球 環 境の改 善、紛 争
言することにしたのです。
や、 培って き た 特 色・ 強
ま す から、順 位 を上げる
点》
《地域に貢献する中
できないと考えています。
み を も う一度 学 内 外に 宣
究は分けて考えることはできない、
さらに言えば、研究
考えたのです。もちろん、
の三 類 型の中 か ら、次 年
界 100 位 以 内 と い う
あ わせて、 各 種 大 学 ラ
度 以 降 の 進 むべき 道 を 選
大学は現在およそ 400
択しました。
目 標 も 掲 げ ま し た。 世
核 的 な 教 育・ 研 究 拠 点 》
ました。
国 立 大 学 改 革の一環 と
ては、指 標 が 欧 米 中 心に
界 大 学 ラ ン キ ン グ に つい
育、
研究は知識の継承と知識の創造と言い換えるこ
して、各国立大学は昨年、
そ の 中 で 神 戸 大 学 は、
サービス経済に起こる現象を分析
一人の知性より、多人数の集団として
の知性を求めたい
どランキング 」で も あ り
05 人工知能のアプローチで、
キャッチフレーズにこめ、
文理融合、
学際融合が
これからの
キーワード
私の考える教育、教育改革とは
昭和52年3月東京大学大学院理学系研究科物理学専門課程博士課程単位修得退
学。︵昭和53年3月 同上 修了︶、昭和52年4月日本学術振興会奨励研究員、昭和53年
1月東京大学理学部附属素粒子物理学国際協力施設助手、昭和59年4月同大 理学
昭和61年5月同
部助手、
昭和59年4月同大 理学部附属素粒子物理国際センター助手、
大 理学部附属素粒子物理国際センター助教授、平成元年4月神戸大学理学部教授、
平成10年10月神戸大学総合情報処理センター長 ︵ ~12.9︶、平成15年4月同大 理学
部長、バイオシグナル研究センター長 ︵ ~19.3︶、平成16年4月国立大学法人神戸大学
平成19年4月同大 附属図書
理学部教授、
平成19年4月同大 大学院理学研究科教授、
館長、
平成21年4月同大 理事。平成27年4月から現職。愛媛県立八幡浜高等学校卒。
http://univ-journal.jp
H i g h l i g h t
03 進路のヒント
名古屋大学大学院工学研究科電子情報システ
ム専攻教授 佐藤理史先生
04「見る」
機械を目指して
早稲田大学 基幹理工学部情報理工学科
教授 石川博先生
「ヒッグス粒子を発見した欧州原子核研究機構
(CERN)のアトラス測定器」
(©CERNアトラ
ス実験グループ)
地球的課題の解決を
第6回京大高校生フォーラム in TOKYO
武田 廣 先生
けですが、そのためには講義で話すことの10倍の話
を用意する必要がある。
そしてその源泉となるものは
日々の研究にほかならないのです。
このことは、大学
が今後、不断の教育改革を行っていくには、授業の
やり方を工夫することも含め、研究者自身が変わって
いかなければならないことも意味しています。
分 野 と、事 業 創 造に焦
先端 IT、先端医療学の
ク シ ョ ン、 先 端 膜 工 学、
強 み を 持 つバ イ オ プ ロ ダ
た。これ まで 神 戸 大 学 が
ン研究科を開設しまし
る 科 学 技 術 イ ノ ベー シ ョ
融 合 型の 独 立 大 学 院 で あ
に は、日 本 で 最 初の 文 理
力 を 入 れていま す。 今 春
合 に 加 えて 学 際 融 合 に も
組 織 を 作るなど、文 理 融
研 究 府 といった学 際 融 合
年には、社 会 科 学 系 教 育
め ま し た。 ま た 2012
理 融 合 型の 組 織 作 り を 始
端 融 合研 究 環 を開 設、文
し て、2007 年 に は 先
この よ う な 特 色 を 活 か
があります。
互いに 連 携 し や す い 土 壌
一括りの組織だったので、
が 自 然 科 学 研 究 科 とい う
私の赴 任 時には、大 学 院
す。理系学部においても、
の 垣 根 が 低 いの も 特 徴 で
に 比べて 学 部 間、分 野 間
ある旧 帝 国 大 学 系の大 学
た 総 合 大 学 として 歴 史の
を 蓄 積 してき ました。ま
れるよ う な 実 践 的 な 取 組
調 和 」 とい う 理 念 で 語 ら
お い て、
「学理と実際の
学 問、特 に 経 済、経 営 に
か、です。
ここに英語で授業することの難しさもあるわ
4
フィールズ賞受賞者の森重文先生が、
「数樂の道しるべ」
で講演
10
神戸大学学長
12月号
第21巻5号・通巻123号
発行所 :くらむぽん出版 〒531-0071 大阪市北区中津1-14-2
123
vol.
TEL06(6372)5372 FAX06(6372)5374
文理融合
大 学トッ プ か ら の メッ セ ー ジ 神 戸 大 学
目指すのはコンピュータと
意思疎通できる「言語」
人工知能小説執筆で自然言語処理
(日本語)
の最前線に迫る
※1 1902年、
神戸高等商業学校として誕生 ※2 CERN 欧州原子核研究機構 神戸大学チームはミュー粒子の検出器を
作製。
E-mail [email protected]
「先端研究、文理融合研究で輝く卓越研究大
学」をキャッチフレーズに掲げ≪世界的な研究
拠点≫を目指す神戸大学。社会科学系の高等
教育機関としての出自※1と、医学、工学、理学、
農学など8つの理系研究科を擁する総合大学
の潜在力を結びつけ、文理融合を全面に押し
出した新しいタイプの大学を目指しています。
昨年から学長を務められるのは、ヒッグス粒子
の発見などホットな話題を集めるセルン※2で、
国際チームのリーダーを務められたこともあ
る武田廣先生。神戸大学の改革について、来
年度に開設を控えた25年ぶりの新学部、国際
人間科学部などついてお聞きするとともに、高
校生へのメッセージもいただきしました。
大学ジャーナル
2016年(平成28年)12月7日
vol.123
1
分野から
目の一部 も 学 べる よ う に
セミ ナ ー」 で は、 専 門 科
遣先も含めて 100 以上
事 後の学 習 からな り、派
開 設、ハン ガ リ ー のエル
テ 大 学( Eötvös Loránd
Tudományegyetem,
旧 ブ タペスト 大
ELTE
学 ) との 連 携 も 始 め ま し
聞く」と前置きし、
「日本において科学と社会が遠
ンを共催し、CEOのラッシュ・D・ホルト(Rush D.
くなっている原因は、学問の行き過ぎた専門分化
Holt)とともに、福島、熊本で震災を経験した高
と、過度の競争の中で研究者の心にゆとりがなく
校生と震災復興5年を科学の観点から振り返った。
なったことが原因ではないか」と現状を分析。その
科学・技術に対する市民の信頼が著しく揺るが
中でJSTとしては、
「社会に近いところで活躍する
されるきっかけとなった東日本大震災から5年。復
中間的な科学・技術者に対して手厚くファンディン
最後にホルトCEOは、
「科学には未知なところ
口理事長は、
「教科書ではグレーゾーンとでもいう
極的に知るための努力をすべき」
(遠藤瞭さん・
と力を入れる必要があると答えた。またホルトCEO
人々に恩恵を与えるものであることを強く意識しなけ
セッションではまず、ホルト
福島県立ふたば未来学園高校1年)
、
「私たちの
からの、
震災によって将来に対する考え方が変わっ
ればならないし、市民もその恩恵を蒙るには積極的
CEOが、震災以降、市民は
日常は常に地震と隣りあわせ。科学者には予知
たかの質問に対して高校生たちは、
「原子力工学
に科学者に働きかける必要がある」と結んだ。濵
科学・技術をどのように受け
技術をさらに高めてほしい一方、市民も日頃から危
を学び、町民の人たちの早期帰郷に貢献したい」
などによる災害からの復旧と科学者の役割につい
わかりやすく科学・技術を説明する機会をもっと増
と、ホルトCEOは、科学・技術が社会からもっと
がいい面しか語らないと、科学に必要な冒険・挑
て、また海外から見た日本の震災復興について意
やしてほしい。加えて自分も含め一般の人も、積
信頼されるには、社会科学や歴史の研究にももっ
戦の重要性は伝わらない」
、
「科学者は、科学が
見を求めた。
べき予測、予知のできない世界もあることをあまり
機意識を高めておくことが大事では」
(東北、熊
質問。それに対して高校生た
本で二つの地震を経験した中武聖さん・熊本県
い」
「医師になり、地域医療に携わりたい」など
教えてこなかったが、それをどう伝えるかはとても難し
立宇土高校2年)などと応じた。
と力強く答えた。
くもあり、極めて大事なことでもある。そのためにも、
これからの科学者は、ある種の倫理について学ぶ
解 を 通 じて 考 え る 学 部 と
し て ス タ ー ト し ま し た。
作 り な どに 活 か す 発 達コ
濵口理事長は、
「アメリカで
プットも仕上げます。
ミュニティー学科、フィー
た。 東 ヨーロッパは 日 本
の 大 学 に とって は い ま だ
古い大 学 も 多 く、今 後 さ
空 白 地 帯です が、歴 史の
らに、協 定 校 を 増やして
いきたいと考えています。
また 2015 年には法
学、 経 済 学、 経 営 学 の3
研 究 科 合 同 に よ る グ ロー
バルマス タ ー プ ロ グ ラ ム
が開設されました。グロー
バル ビ ジ ネ ス リ ー ダ ー 育
成 が 目 的 で、す べて 英 語
に よる 講 義 で 修 士 号 が 取
トの養成が急務とされていると
点 を 当 て たアントレ プレ
ぞれの良さを残しながら、
の プログ ラ ム を 用 意 し て
教 養 教 育 改 革 で は、 す
果に責任を持つことが大事なのです。
込 ま れ ていて、日 本 にい
歳以
を練るアクタブルサイエンティス
会(AAAS:American Association for the
ナ ー シッ プ の
グ ロ ー バル 社 会 の 中 で 現
ルドワークや 実 験 を 通 じ
いま す。 新 学 部の1 学 年
られる時があります。
そこで何を選んだにしても、その結
れます。海 外 実 習 も 組み
ながら世 界 標 準の講 義 が
受 け ら れ ま す。 ま た、 学
生の 海 外 留 学 だ け で な く
教 員の海 外 派 遣 も 大 学の
グ ロ ー バル 化 に は 不 可 欠
人、
と い う こ と で、2008
年から毎 年
下 の 若 手 教 員 を 海 外へ派
を発行することでも知られるアメリカ科学振興協
学 部 内に文 系・理 系 を合
わ せ 持 つ とい う 点 で も 共
化 に つい て の 理 解 と I C
学部と経済学部が全学部
代 的 課 題の 解 決 に 立 ち 向
て環 境に関 する 多 様 な問
こ ま での 規 模 で 海 外へ学
の定員は 370 名で、こ
ほしいのは自分に適したものがどこかにあるはずだとい
の社会において大学しかないと考えています。
遣 し てい ま す。 今 後、グ
や研究室を出て被災地で対策
開設、
国際人間科学部
国 際 都 市 神 戸の大 学 と
用 する情 報 分 析・発 信 力
T( 情 報 通 信 技 術 )を 活
の3、4回 生及 び 修 士1
かい、かつ他 者 との 協 働
境 共 生 学 科、グローバル
題の 解 決 策 を 探 求 す る 環
う意識。人には正しいかどうかはわからなくても選択を迫
のきっかけとなったのは、おそらく大学時代の経験にあっ
ロ ー バル 化 を 推 し 進 め る
は災害復旧の経験から、大学
しました。
学 部 と 大 学 院の 連 携の
通しています。
し て、 国 際 化、 グ ロー バ
年 を 対 象 に、 特 別 講 義、
を重視する「協働型グロー
生 を 出 す プ ロ グ ラ ム は、
の4年間では、何かにのめり込む、
あるいはそのきっかけ
中から出てくることが少なくありません。
そしてそんな研究
な って い く の で は な い か
国立研究開発法人科学技術振興機構)で
は、世界的に権威のある科学誌『サイエンス』
な り、お 互いに 融 合 を 図
ることで、科 学 技 術 イノ
さらなるグローバル
学 科 構 成。
感の中 で 学 生 が 創 造 性 や
強化は、
「先端研究の臨場
識に基づいて問題発見力、
ル 化 は 神 戸 大 学 の も う一
具 体 的 に は、グローバル
新学部は
きる理 系 人 材 を 輩 出 する
ベーションを 自 ら 創 出 で
化へ向けて
分 析 力、 実 践 力 を 培 う 」
を 基に、文 化 摩 擦 等の課
オープンイノベーショ
バル 人 材 」 の 育 成 を 目 指
社 会 の 諸 課 題 に つい て の
国 立 大 学ではおそ ら く 初
をつかむことができれば成功だと言っています。捨てて
な研究や時流から外れたテーマをひたすら追い求める
にあたって有 力な柱に
距離をどう埋めるべきだと考えるかの質問が出た
が、まず高校生たちは、
「もっと科学者と地域住
主 体 性 を深 め、幅 広い学
のが 狙いで す。 研 究の 最
つの 伝 統 で す。その 集 大
題 解 決 を 追 求 す る グ ロー
べて の 学 部 に 共 通 す る 卒
と金融ビジネスの最前
ン ワ ー ク シ ッ プ「
幅 広い見 識 を 基 盤 に 子 ど
身 も ド イツ とス イスで
めて だ と 思いま す。 私 自
頭 の 柔 ら かい 大 学 生の 間
が最適だと思います。
グローバル化への対
年に2番
応ということではこの
他、
目の 研 究 府 として日 欧 連
携教育府を開設するな
ど、ヨーロッパの 大 学 と
の 交 流 を 深 め て い ま す。
最 近 で は、 ブ リュッセル
に 続 いて ポ ー ラ ン ド の ク
ラ ク フ( マ ウ ォ ポ ル ス カ
学を社会へ伝えることをミッションとするホルトCEO
に、その際、一番大事だと考えていることを尋ねる
世 界 的 な研 究 拠 点 を目 指
教養教育、
前 線で活 躍 する教 員 から
成とでもいうべきものが、
業 時 に 身 につ け る べ き 能
し ま す。キーワード は 他
もの 教 育 を 推 進 す る 能 力
し た が、 若い時 に 海 外へ
こうした状況で最も大事なのは、
自分が夢中になれる
ことも必要だ」と締めくくった。
校3年)
、
「科学・技術のことを知らずに故郷の未
来について考えられない状況だから、一般の人に
します。
学部教育の改革
多 くのこ と を 吸 収 して も
タームも活用し、留学型、
部の伝 統である 生 涯にわ
バル文 化 学 科、発 達 科 学
実 践 型、研 修 型の三つの
来 年 度に開 設 する国 際 人
た る 発 達 の プロセス 探 求
コースと、付随する事前、
間科学部です。
国 際 文 化 学 部 と発 達人
を、活 力 ある高 齢 化 社 会
今春の科学技術イノ
ベー シ ョン 研 究 科 の 開 設
間 科 学 部 を 統 合し、それ
らいたいと考えています。
月 に は、理
教 育 改 革では、教 養 教
連 携 を促 す 抜 本 的 改 革に
に 加 えて、
育 と 専 門 教 育の 有 機 的 な
取 り 組 むとともに、学 部
力 を「 複 眼 的 に 思 考 す る
線 」 を 開 講 し ま す。 民
者 理 解、社 会 を体 験 する
を養 成 する子 ども教 育 学
と 大 学 院の 連 携 を 強 化 し
能力」
「多様性と地球的課
間 のシンク タンク とのコ
数 対 話 型の授 業です。前
こと、主 体 性 を 育 む 少 人
ます。
題を理解する能力」
「協働
グデータの取り扱いな
ラ ボ レ ー ションで、 ビッ
出ることは 外の世 界 を 見
年 間の研 究 生 活 を 送 り ま
カ リ キ ュラ ム の 中 で 最
る だけ でな く、外 か ら日
科の4学科です。
して 実 践 す る 能 力 」の3
ど、実 際のビジネス事 例
旧教 養 部 と教 育 学 部 を 改
も 特 徴 的 な の が、 全 員
身となる両学部はともに、
つ と し、 そ れ を「 神 戸 ス
タンダード」としました。
と金融
に 必 修 の グ ロー バル・ス
を 用 い て、
組して 1992 年という
具 体 的 に は1、2 年 次
早い時期に、今日のグロー
意 味 で と て も 大 事 で す。
ビ ジ ネ スのつな が り の 濃
ものをできるだけ早く見つけることです。私はよく、大学
その後、参加した記者からは、科学と市民との
続いて遠藤さんが、
『サイエンス』等を通じて科
今もって課題」
(大浦葉子さん・福島県立福島高
さ を 体 験しても らい、あ
もわれわれの頃のように、
こうすればこうなる、
といったよ
ノーベル賞に限らず大きな成果は、誰もしたがらないよう
と期待しています。
止めているかを高校生たちに
ちは「市民と科学・技術との距離をどう埋めるかは
教 養 科 目 を、3、4 年 次
うな明確な方程式もありません。
「災害の救助現場で活躍する医療人を目指した
社会においては表舞台とはされていないところから、とて
では 基 礎 教 養 科 目 と 総 合
憧れたのは、少しでもいい環境で研究するには海外へ
科学に対する興味や興奮があるのだが、科学者
に、ホルトCEOにはアメリカでの竜巻やハリケーン
つもなく大きな研究成果が出てくることがままあります。
本 を 見 る 目 も 養 う とい う
出るしかなかったからです。今はすべてがその逆で、しか
があるということに立脚しなければならない。そこに
した高校生とが、それぞれの立場から語りあうととも
今日の大学において、厳正なカリキュラムや世界標
では 高 度 教 養 科 目 といっ
ん。私たちの高校時代は、スマホもパソコンもゲーム機
グできないか目下議論している」と語った。
興の進捗状況やその間の科学・技術の貢献につ
準の授業を目指すことはもちろん大切です。一方、現実
県 の 県 都 )に も 事 務 所 を
Advancement of Science)
とメディア向けセッショ
科学への信頼、科学と社会の
相互理解は深められたか
いて、復興支援を続けてきたJSTと被災地で成長
4
(
わせて
バリゼーションを見越し、 タディーズ ・プログラム
Project
)を通じ
その中で生きる人 間の豊 (GSP)です。今春から
Based Learning
もなく、できることは限られていました。
また海外留学に
と説明会へ参加すべき」
(遠藤さん)などと応じた。
海外から見た日本の震災復興5年と被災地の若者が描く未来社会
(Japan Science and Technology Agency
たよ う に、4 年 間 を 通 じ
もっとも私たちの時代に比べて、選択肢が多すぎる
民との対話の機会を」
(大浦さん)
、
「当事者ももっ
恒例のサイエンスアゴラ(11月3日~6日、於:
私の考える大学とは
2
0
1
3
サイエンスアゴラ2016メディアセッション
日本科学未来館)開催に先立ち、主催者のJST
私は身近にノーベル賞受賞者を何人か見てきましたが、
11
I
T
というのが、みなさんにとっては不幸なことかもしれませ
若いほ ど 良い、で き れ ば
の人生で大いに役立っています。
し か も そ れは、若 け れ ば
しっかり学びましたが、人格形成をはじめ、どれもその後
制 か ら 生 ま れ る ギ ャッ プ
避けてほしいと思います。様々なことを学ぶことが将来
うな感性とでも言うべきものを身につけてもらうのは、こ
45
12
I
T
P
B
L
の選択肢を広げてくれます。私自身、
高校では全教科を
スタ ー ト し た クォー タ ー
受験科目に絞り込んで勉強するような効率主義も
達 を、他 者 理 解、人 間 理
と理系を捨てていてはとてももったいないと思います。
か さ、そ こでの 健 全 な 発
に満ちた高校時代。
たとえば、数学が苦手、嫌いだから
ビジネスに 耐 えるアウト
と思います。頭が柔軟で、吸収力もあり、様々な可能性
て チ ー ム ワ ー ク を 学 び、
思います。得意、
不得手の意識は多少あるかもしれませ
たのではないか、
と私は思っています。逆に言うと、
そのよ
15
5
んが、
高校時代ではまだそれほど決定的なものではない
さらに 初 年 次の「 初 年 次
文系、理系に偏らない勉強をしておくことが大事だと
て 教 養 科 目 を 学 び ま す。
高校生へのメッセージ
2
vol.123
2016年(平成28年)12月7日
大学ジャーナル
スス メ ! 理 系
人工知能はどこまで、
何が、
できるようになったか
どとプログラムしま
す。昨年の応募作品で
成する「生成系」の二
を伝えるテキストを生
系」と、何らかの情報
情報を取り出す「解析
テキストから何らかの
自 然 言 語 処 理 に は、
品 を た く さ ん 作 っ て、
した。その上で交換部
くさんの部品に分けま
れぞれを細分化してた
要素に分け、さらにそ
それを起承転結などの
ル と な る 物 語 を 書 き、
は、あらかじめサンプ
つの研究があります
元のサンプルをいわば
コンピュータに
文章を書かせるには
が、生成系では、コン
に、 文 を 作 る こ と と、
に文章を作らせるため
部品の組み合わせに
することにしました。
て利用して文章を生成
とし
テンプレート
文と文を整合させなが
ついては、例えば基本
※
ピ ュ ー タ( 以 下 機 械 )
ら繋ぐことが必要に
まりにしたもの
※ 文の表層化とは、文の抽象
的な表現を表層文字列に変換する
処 理 の こ と。英 語 で は こ の た め の
プログラムが存在する。
※ 日本語の文法は研究者の数
だけあるといわれるように、標準
文法がないことも日本語での自然
言 語 処 理 を む ず か し く し て い る。
佐藤先生は益岡隆志・田窪行則が
提案する文法体系に依っている。
あり、機械が真の意味
研究結果に対して自分
しているのが、機械と
械に理解させることは
情報をやり取りできる
不可能です。しかしあ
の研究が優れているこ
目下、私が力を入れ
るサブセット(全体の
で小説を書くことがで
ていることは、実用的
一部)なら、機械もそ
日本語を設計すること
はあまりにも漠然とし
なシステムを社会に提
れなりに理解できます
とを示す必要がありま
て い ま す。 い や む し
示する方向です。実際、
し、その範囲であれば、
きると主張するための
ろ、何が問題なのかが
文章作成をビジネスに
それなりの文章も生成
です。日本語という括
明確になっていないと
する広告業界や報道関
できます。機械と情報
りが仮に存在したとし
言った方がいいかもし
係者の中には、文章の
の や り 取 り が で き る、
すが、評価が難しい生
れません。そのためア
自動生成機に関心を示
話すことができる日本
成の研究は、敬遠され
私たちの抱えている
プローチの方法も定か
す人々も少なくありま
語を作ること。それは、
も の で は あ り ま せ ん。
このような問題は、プ
ではなく、具体的なリ
せ ん。 研 究 と し て も、
現在、文章生成の研究
ログラミング技術の問
サーチプランを構築す
広告や報道といった目
ても、そのすべてを機
題というよりも、自然
る段階にも至っていな
がちです。
言語に由来する問題で
いのです。
が、直面している問題
す。日本語とはどのよ
自然言語処理が
目指す究極
うな言語か、言語とは
ルールを書くのが大変
い て、 そ れ を 動 か す
想です。しかし、具体
を生成できることが理
現から意味の通る文章
がその何らかの抽象表
ん。そういう意味から、
んどわかっていませ
らについてはまだほと
りしているのか、それ
理解したり紡ぎ出した
人はどのように文章を
るには、過去の論文や
研究の世界で評価され
も問題です。今の学問・
者が非常に少ないこと
研究に関しては、研究
日本語の文章生成の
やすいのです。
を生成するよりはやり
な曖昧模糊とした文章
する方が、小説のよう
的が明確な文章を生成
最終目標は、そこにあ
かせるプロジェクトの
械に自動的に文章を書
チャレンジですが、機
気の遠くなるような
何 か、 さ ら に 言 え ば、
でした。
的に何を文章から抽出
言語はまさに科学の
囲碁や将棋との大きな
もう一つは文法の問
したらいいのか、反対
※
が全くないことも問
ラリと呼ばれるもの
ためのツール、ライブ
さらに、文章を作る
ちがいです。
題です。日本語学で研
に何を機械に入力して
ファイナルフロンティ
上、
しっかり身につけてきてほしいものです。
ります。
究 さ れ て い る 文 法 は、
アであり、言語を解明
言ではありませんから、情報学に限らず大学で学ぶ以
その上で、私が目指
どちらかというと読ん
文章を生成すればいい
することは知能を解明
ルライティングの力はプログラミングの力にもつながり
の設定が「風が強い日」
ただ、ここで問題な
だり聞いたりするため
のかがまだ十分にわ
することとほぼ同義だ
ます。母国語運用能力は、知能そのものと言っても過
だとしたら、風の強い
う に し ま す。 つ ま り、
のは、できあがったテ
題 で し た。 そ の た め、
のもので、文を機械的
つの系が繋がってい
かっていない、つまり
いていない。
もう少し具体的に言えば、感想文ではな
まず文を作るため
天候にあわせて修飾句
キストが意味の通じる
すべてをゼロから作る
に生成できるほど厳密
く説明文の書き方が訓練されていない。
このテクニカ
なってきます。
だ、これだけでは意味
を設定するといったよ
文章となっているのか
必要がありました。例
ではありません。その
相手にわかるようにきちんと伝える言語技術が身につ
日にわざわざ窓を開け
が通じるかどうかわか
うにプログラムするわ
どうかを機械的に評価
え ば、「 て に を は 」 の
生の日本語の力が落ちていること。伝えるべきことを
に、 規 則 と な る 文 法、
りませんから、意味の
けです。このように話
する方法がないことで
ような助詞や「活用形」
ないのです。東ロボの
私たち工学者のひと
今、私がもっとも危機感を感じているのは、最近、学
た り は し ま せ ん か ら、
通じる文しか出力しな
の 大 ま か な 流 れ、 プ
す。そのため、機械学
ため、文法をより厳密
プロジェクトで作って
つの役割は、これまで
と思っています。
の決定など、いわゆる
化することも必要でし
になかったものを作っ
り理解しておけば問題ありません。
つまり正しい文とはど
いよう、具体的な条件
ロットをテンプレート
習が使えない。これは、
文の表層化に必要なソ
いる文章理解のシステ
。
ムと、今回作成した小
※
機械に自然言語を理
てみせることです。今
る必要はないし、やりたければやるくらいの感覚でもか
屋などの表現が続くよ
を一つずつ緻密にプロ
で定め、制約に従って
私 た ち 人 間 が、「 文 章
佐藤先生の近著 「コンピュータが小説を書く日」 日本経済新聞出版社刊
た
説生成システムは、い
回の取り組みも、文章
。昨年応募した
解させたり生成させた
まのところ、完全に独
を自動生成するプログ
※
りするには、解析系が
立です。
まわないと思います。数学も高校までの範囲をしっか
「窓を締め切った」部
グ ラ ム し ま す。「 こ の
部品を取り替えること
の意味が通じるとはど
P r o f i l e
フトウェアも作りまし
作品は、おそらくこれ
文章から何らかの抽象
た
まで機械が作った小説
表現を取り出してその
入ってからで間に合いますから、小学校から全員がや
ういうものであるかを
語のあとにはこの語は
で、100 万 種 類 以
ういうことか」を一般
の中ではもっとも長い
ラムが作れるというこ
ものでしたから、必要
とを示す一つの事例で
入れてほしいということです。プログラミングは大学に
プログラムします。た
来てよいが、この語は
上のテキストを作れる
人工知能小説執筆で
自然言語処理(日本語)
の最前線に迫る
※ 汎用性の高い複数のプログ
ラムを再利用可能な形にひとまと
大学で情報学を学ぼうと考えている高校生のみ
コンピュータに
言語をわからせる
のは難しい
来てはいけない」とい
ようにしました。
きていないことを意味
論として十分に理解で
うように緻密な《制約》
※
template
鋳 型 な ど の 意。
データ作成時のひな型
解答システムの構築にも関わっています。
1983年京都大学工学部電気工学
第二卒業。
1988年京都大学大学院
工学研究科電気工学第二博士課程
単位取得満期退学。
1988年京都大
学工学部助手。
1992年北陸先端科
学技術大学院大学情報科学研究科
助教授。
2000年京都大学情報学研
究科助教授。
2005年名古屋大学工
学研究科教授。北海道立札幌南高
等学校出身。
なさんにお伝えしたいのは、もっと国語の勉強に力を
短い小説)の自動作成を目指す「きまぐれ人工知能プロジェクト 佐藤 理史先生
しっかりした母国語運用能力を
身につけてきてほしい
新一賞の協力団体で、コンピュータによるショートショート(非常に
名古屋大学
大学院工学研究科
電子情報システム専攻教授
高校生へのメッセージ
書いた小説》の一本が一次審査を通過したと話題になりました。星
します。ここが、勝ち
られ、センター試験の国語、数学、化学、東大二次試験の世界史の
意味を理解し、生成系
2
一段と高まる中、昨年の第3回日経星新一賞では《コンピュータの
負けの観点から着手の
4
5
Ⅱ
主催するプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」にも加わってお
ついてお聞きしました。なお佐藤先生は、国立情報学研究所(NII)が
な部品をすべて手で書
5
機械学習やディープラーニングによって人工知能(AI)への注目が
良し悪しを判定できる
される先生に、コンピュータによる自然言語処理の限界と可能性に
4
作家ですのよ」
による作品ですが、そのメンバーで、作者でもある
「小
のが、自然言語処理※1がご専門の名古屋大学の佐藤理史先生。
説生成はあくまでも自然言語処理の一つのアプリケーション」と話
3
2
を課すのです。
文章についても文と
同様、意味が通じるよ
が来
のあとは文
ではなく文
2
目指すのはコンピュータと
意思疎通できる「言語」
3
うに「文
なくてはならない」な
A’
A
※1 人間が日常使う言語の意。
自然言語処理はそれをコンピュータで処理する技術
進路の
ヒント
B
大学ジャーナル
2016年(平成28年)12月7日
vol.123
3
史料により親しみや
を 色 鮮 や か に 甦 ら せ、
な写真データベース
タ ー に 与 え ま し た。
万組ほどコンピュー
の と の ペ ア を 230
を白黒画像にしたも
屋 構 造 推 定、 ま た 画
の球面画像からの部
の 三 次 元 復 元、 一 枚
画像の処理や小惑星
「見る」機械を目指して
Ⅱ
いのです。
るのは極めてむずかし
のことを機械で実現す
われわれには当たり前
ススメ! 理 系
コンピューターに
とって視覚
(ビジョン)
とは何か?
年ほどの間
ターにプログラムす
ここ
に、 人 型 ロ ボ ッ ト の、
るには手順を記述で
ま ず、 コ ン ピ ュ ー
歩行や作業能力は格段
すくすることができ
自由に研究をしても
学生にはできるだけ
研究室に入ってきた
進 め て い ま す。 私 は、
でも目指していこう
デルの構築をあくま
いう現象の数学的モ
によって認識すると
私自身としては、視覚
のではないでしょうか。
き な い と い け ま せ ん。
と考えています。
して行くような姿勢が、学問以外の場面でも求められる
に進歩しました。にも
らおうと考えていま
す。
その前に受験勉強で力尽きてしまうのではなく、大学
で一から学べるように余力を残しておいてほしいのです。
かかわらず、一般家庭
すから、今後も学生一
ち、自分の好きなことが見つかったら、それをとことん追求
像 認 識・ 物 体 検 出 の
※ 飯塚 里志、シモセラ エドガー、石
きていくためには、視野を広げ、様々なことに好奇心を持
入ってから新しく学ばなければならないことはたくさんありま
人ひとりのアイデア
世界を見渡せば状況は日々ダイナミックに変動していて、
分野では、ファッショ
ン画像の分類や紙幣
川 博( S I G G R A P H 2 0 1 6 )。
てしまうほどに、高校で勉強を頑張らないこと。大学に
を 活 か し て、 多 様 な
の若い人が多いのはやむをえないかもしれません。
しかし
でもいうようにです。
もちろんコンピュー
に描かれた肖像画の
今安定しているものに乗ればいつまでも安定を維持でき
るとも限りません。
どんな時代、状況に置かれても逞しく生
研究成果を花開かせ
そこで、高校生のみなさんに伝えておきたいことが二つ
あります。一つは、
「大学に入ったらのんびりしよう」
と思っ
ていってほしいと期
それを試験されるから、できるだけ何も教えないで欲しいと
ターにとってはどち
ディープラーニン
らも数字のかたまり
検 出 と い っ た よ う に、
長年、右肩下がりの時代が続いたせいか、安定志向
ます。
で し か あ り ま せ ん が、
視覚に関わる様々な
うことです。
抵抗を示す人が多いのです。
あたかも、何か教えられると
(JSTの 戦 略 的 創 造 研 究 推 進 事
業CREST「 現 代 の 数 理 科 学 と
連 携 するモデリング手 法の構 築 」
領 域、
“認識の数理モデルと高階
多層確率場による高次元実データ
解析”プロジェクトによる)
る。
そして大学であらためてその重要性を説くと、心理的
見るとは何をするこ
グとは、生物の脳細胞
その膨大な問題と答
18歳なりの常識というものを身につけてほしい。言い換え
待 し て い ま す。 た だ、
までの「受験勉強」とうまくつながっていないという印象を
となのか。形式的・数
を模したアルゴリズ
えのデータの組み合
応用研究を並行して
見るでもいいですから、受験に必要な知識だけではなく、
で、掃除や皿洗いなど
ムで、学習させること
わせと、まったく同じ
た原理的な部分を学ばなければならないのに、
それがこれ
学的に、正確に定義で
で複雑な認識を可能
ものでなくても類似
驚くほど多い。本を読む、新聞に目を通す、TVニュースを
家事を手伝えるロボッ
にする、という方法で
性を与える仕組みか
翻って入学してきた学生たちを見ると、大学ではそうし
きないことは機械に
す。 発 想 自 体 は 以 前
ら答えを導く能力を
世間一般の常識と考えられていたことを知らない学生が
トはいまだに登場して
か ら あ る も の で す が、
身につけていき、最終
です。
いません。
こ こ 5、 6 年 で、 い
的には白黒写真を自
視野をできるだけ広げておくことです。最近は、かつては
は で き な い の で す が、
また、画像というも
くつかの細かい技術
動でカラーに変換す
どを行っています。
す。視覚を正確に定義することへのこだわりもその一つ
視覚のように直感的
のも我々が思ってい
が 改 善 さ れ た こ と で、
ることが可能となっ
近年のビッグデー
学科で求められる知識に限定せず、様々な知識を学び
理由の一つには、ロ
しいことが挙げられま
るほど一筋縄ではい
ようやく実用化のラ
これまでのように何
タを活用しようとい
の人たちと少し違って、技術以上に原理に興味がありま
なことほどこれが難
す。中でも視覚、例え
かない。左図は、ある
インを超えてきまし
らかの目的を達成す
う動きの中で、ディー
もう一つは、
自分が進もうと考える大学、
学部、
あるいは
ボットに環境を認識さ
ば「机の上にコーヒー
白黒の画像の各点の
」を受
別 賞「 Culture
賞 し た、「 白 黒 写 真 の
るために人間が一か
プラーニングを使っ
ものは捨てるようなメンタリティーを持たないでほしいとい
P r o f i l e
私は、大学時代に理学部で数学を学んだせいか、周り
しいのです。
カップを置く」ために
明るさをグラフに表
自動色付け技術」は
ら仕掛けを設計する
た試みは私たちの分
れば、進路を狭く絞り込み、そこで求められるもの以外の
方はできても、
自分で考える力、疑問を持つ力に欠けてい
石川 博先生
たのです。
そ の 一 例 で す ※( 右 写
の で は な く、 大 量 に
野以外でもますます
京 都 大 学 理 学 部( 数 学 教 室 )
卒 業 。京 都 大 学 大 学 院 理 学
研究科数学専攻博士前期課
程 修 了 。ニューヨーク大 学クー
ラン 数 理 科 学 研 究 所 計 算 機
科 学 博 士 課 程 修 了( P h . D . i n
Computer Science)。Harold
Grad Memorial Prize (ニュー
ヨーク大学 クーラン数理科学研
究所)、MIRU2006 優秀論文賞、
IEEE Computer Society Japan
Chapter Young Author Award
2006、MIRU2009 MIRU長尾賞
(最優秀論文賞)等受賞。名古屋
市立大学大学院システム自然科
学研究科教授などを経て現職。主
な著書・論文は
『コンピュータビジョ
ン 最先端ガイド1 - CVIMチュー
トリアルシリーズ -』
( 共著、
アドコ
ムメディア刊)
など。愛知県立半田
高校出身。
受けています。受験の問題を解くような、
特定の頭の使い
早稲田大学 基幹理工学部
情報理工学科 教授
た。 現 在、 あ る 種 の
年も前に
データを与えること
活発になっていくと
せることがきわめて難
は、 ま ず ど こ に「 机 」
わ し た も の で す。 何
があるか、しかもアー
ムを下ろす高さを認識
さは分かりにくいの
このような画像編
断できるアルゴリズ
ブームの様相を呈し
が映っているのかす
という新しい手法が
しなければなりませ
で す。 反 対 に 言 え ば、
集・生成の分野におい
ムを開発するという
て、私たちのプロジェ
ことなのです。この写
ていますが、私はけし
ぐ に わ か り ま せ ん が、
て一過性のものでは
ロボットに画像を認
なっています。
使えるようになった
ん。しかし、この「何
だからこそ研究する
最近は、期待も大きく
がどこにあるのかが一
真、実はゴリラを写し
こ の 秋、 経 済 産 業
ク ト で は 他 に、 ラ フ
識させるということ
価 値 が あ る。 私 が コ
なく、新しいテクニッ
目 で わ か る 」 と い う、
ンピュータービジョ
スケッチの自動線画
たものですが、われわ
化、物体表面のテクス
白黒で撮られた写真
によってコンピュー
考えられます。
チャ変化を伴う画像
を、ディープラーニン
ター自身に学ばせる
私の研究室ではこ
の経年変化の再現な
グを使って違和感な
ことができることに
の 他、CT、MRI
省 の I n n o v a t i v e とみています。
ディープラーニン
Technologies 2016特
グ の 最 大 の 特 徴 は、
くカラー写真に自動
あ り ま す。「 白 黒 写 真
使わずに、いかに機械
とは言え近年、コン
変換するもので、この
の自動色付け技術」で
言っても過言ではあ
ピューターによる視
技術を確立したこと
などで得られる医用
りません。
覚をめざす画像認識
で、 大 学 や 図 書 館 に
は、カラー写真とそれ
にゴリラを認識させ
の技術は大きく進歩
保存されている貴重
真)
しています。なかでも
1
0
0
困 難 な こ と で あ る か、 ディー プ ラ ーニン グ
を 使って 白 黒 写 真の
われわれには当たり
自動色づけに成功
るか、それがどんなに
クが定着しつつある
は、この数字のかたま
ンに興味をもったの
付け技術」を中心にお聞きするとともに、人工知能(AI)が飛躍的に発展すると言
れが備える、画像を画
われる時代を生きる高校生へのメッセージをうかがいました。
像として見る能力を
がご専門の先生に、話題のディープラーニングを使った取組、
「白黒写真の自動色
りが何であるかを判
田大学情報理工学科教授の石川博先生。コンピュータービジョンとパターン解析
進路 の
ヒント
は、この難しさゆえと
機械に人間のような視覚を持たせる、こんな夢のような課題に取り組むのは早稲
前 す ぎ て、 そ の 難 し
石川先生がディープラーニン
グに使っているコンピューター
大隈重信と来訪者(大隈邸温室内)、1910年代
早稲田大学大学史資料センター写真データベース所蔵写真B03-01を本手法によって彩色加工したもの
ディープラーニング
高校生へのメッセージ
20
4
vol.123
2016年(平成28年)12月7日
大学ジャーナル
理工学部
デザイン工学部
世界のどこでも活躍できる
新しい文化を構築する
はどんな新しいサービスが生ま
イ大学で共同研究する許可をい
システムデザイン学科
れるのかをシミュレーションし
くサービスを重視するような考
た だ き ま し た。 現 在 は 文 系 視 点
都市環境デザイン工学科
経営システム工学科/創生科学科
人工知能はどこまで、何が、できるようになったのか
ま す。 こ う す る 中 か ら、 サ ー ビ
え方は経済学や経営学にも現わ
の「 得 意 な サ ー ビ ス 」 と「 不 得
の 研 究 が 中 心 で す が、 私 は 情 報
http://nyushi.hosei.ac.jp/
スというものの本質が見えてく
今や先進国に限ったことではな
れ て き て い ま す。 そ の 一 つ が、
すサービス・ドミナント・ロジッ
手なサービス」の価値判断を行
科学の立場から、マルチエージェ
一般入試は2017年1月5日(木)より出願受付を開始します。
るのではないかと私は考えるの
です。
い に も か か わ ら ず、 こ の サ ー ビ
従来のようにモノだけではな
ス が ど の よ う に 生 み 出 さ れ、 利
ハワイ大学教授でサービスサ
と い う こ と も あ り ま す。 こ れ は
用 さ れ、 ど の よ う な 価 値 を 生 み
イエンスを研究するスティーブ
ク で す。 先 生 の 理 念 に 共 感 し た
い、 他 者 と サ ー ビ ス を 交 換 し ま
ントシミュレーションを使って
※市ケ谷キャンパス
社会はミクロ的視点で
箇所に集中して動けなくなるよ
出 し て い る の か、 そ の 成 り 立 ち
し、 サ ー ビ ス と 価 値 を 中 心 に し
※4が 提 唱
ン・ エ ル・ バ ー ゴ 先 生
※3が、 ま
を 分 析 し、 そ の 性 質 を 科 学 的 に
解明しようという学問
サービス社会のシミュレー
私 は、 バ ー ゴ 先 生 と コ ン タ ク ト
た新しい経済理論の確立を目指
シ ョ ン で は、 全 て を セ ル フ サ ー
だまだ不足しているのです。
ビスで行うエージェントを集め
を 取 り、 来 春 か ら
年 間、 ハ ワ
た 環 境 を 設 定 し、 そ の 上 で 自 分
す。そしてその数を 1000 人、
サ ー ビ ス の モ デ ル 化 と、 価 値 の
2017年度入試より、
「インターネット出願」へ全面移行します。
観察すると面白い 渋谷のスクランブル交差点を
眺 め て い る と、 前 か ら 来 る 人 を
私 は、 こ の マ ル チ エ ー ジ ェ ン
き っ か け は、 私 た ち の 生 き る
1万人などと増やしていきます。
流通を分析し、解明することで、
検索
法政 入試
う な 事 態 の 原 因 究 明 や、 そ れ を
トシミュレーションを使ったい
現代社会がじつに多様なサービ
サ ー ビ ス を 受 け る た め に は、 移
建築学科
機械工学科
(機械工学専修・航空操縦学専修)
マルチエージェント
によって起こる全体の変化を
く つ か の 研 究 を、 卒 業 研 究 を 行
トとしてコンピュータ上に大量
スの分業で成り立っていること
動 コ ス ト も か か る の で、 サ ー ビ
先生の研究に貢献していきたい
「総合デザイン力」
を追究 マルチな理工系人材を育成
避 け な が ら、 同 じ 方 向 に 歩 く 人
シミュレーション
未然に防ぐためのシミュレー
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン し、 社 会 現
う学生や修士の学生と一緒に
ションも行っています。
象 の 分 析 を 行 う 研 究 が、 マ ル チ
に 作 成 し、 個 々 に 異 な る 知 的 ア
に 気 づ い た こ と に あ り ま す。 私
人流という大きく複雑な振舞を持
ス を 提 供 す る 側 も、 受 け る 側 も
と考えています。
環境応用化学科
個別エージェントの相互作用
エージェントシミュレーション
行 っ て い ま す が、 そ の 中 で も っ
ルゴリズムで一挙に計算すれば、
は、 自 分 で は 野 菜 も 果 物 も 作 れ
つ知能を作り出しているのです。
コンピュータ技術が大きく進展
自 ら の 位 置 を 変 え て い き ま す。
ま た、 サ ー ビ ス を 受 け た 時 の 価
値を評判情報として交換し合い
ます。
社 会 の 状 況 が 変 化 す れ ば、 移
動コストも情報伝達コストも変
生命機能学科
ディジタルメディア学科
の後ろに連なって列をなす人な
(MAS)です。
社会現象や将来予測ができます。
ま せ ん。 し か し、 教 員 と し て、
し た 今、 コ ン ピ ュ ー タ の 能 力 が
で描けるようにもなります。
じつは私たちが求めてい
コンピュータ科学科
ど、 人 の 流 れ が 刻 々 と い く つ
ものパターンを形作っています。
マクロ
全 体 に 見 れ ば、 交 差
(
)
)
に
点を通過する人の群れとしか見
(
冒頭で紹介した人の流れを分析
学生が将来必要な知識や技術を
展開を進めたら、解に近づけるかをじっくり考えるこ
基づく最新生命科学を探究
表現することにより、
新たな価値を創造
個別
し、 予 想 す る の も こ の 手 法 で、
身につける手助けをするという
とです。
そうすれば、次第に数学的モデルを頭の中
生命科学部
情報科学部
え ま せ ん が、 ミ ク ロ
群衆シミュレーションと呼ばれ
サ ー ビ ス を 提 供 し て お り、 こ れ
と も 力 を 入 れ て い る の が、 現 代
ます。この分野では産総研
が 巡 り 巡 っ て、 野 菜 や 果 物 を 育
様々なことを対象にできます
公 平 で、 そ し て、 余 計 な 深 読 み
明 石 歩 道 橋 事 故 を 教 訓 に、 群 衆
てる農家のサービスと交換され
本的な公式に立ち返り、
そこから、
どのような論理的
「生命」
「植物」
「物質」
の3領域に
アイディアを情報技術で
見ると、
様々な考えを持った個々
人 が、 周 り の 人 と ぶ つ か ら な
をして希望を出す必要のない
が大きくなることで突発事故が
て い る と い っ た 具 合 で す。 こ の
の問題には歯が立ちません。大事なのは、常に基
電気電子工学科/応用情報工学科
T O P I C S
のサービス社会そのもののシ
う 授 業 が あ り、 学 生 の 人 気 を 集
『戦略的操作不可能』と呼びま
(
起きないようにするにはどうし
ことだけで対応しようとすると、公式の使えない未知
法政大学の理系4学部
研究設備の充実した小金井キャンパス
ミュレーションです。
め て い ま す。 し か し、 希 望 者 が
す
選 択 ル ー ル を 考 え る の も、
)
た ら よ い か、 あ る い は 誘 導 員 を
法を暗記し、それを使って問題を解くことで満足しな
URL
詳しくは本学入試情報サイトをご覧下さい。
%が第2次産業である
が身についていくと思います。
が、 た と え ば、 い ろ い ろ な 判 断
高 ま り、 大 き な 社 会 現 象 を 小
偏 る と、 あ る 特 定 の 先 生 に 多 数
マルチエージェントの研究領域
こ と に 加 え て、 日 本 で は GDP
注目されると、今すぐにでも、人間の全ての知的
1
的に正しい道筋で、長い文章を書く訓練をしておけ
基準を持った個人をエージェン
さな知能の集まりとしてコン
の 学 生 が 集 ま っ て し ま い、 十 分
の 一 つ で す。 情 報 科 学 部 で は、
置いてどの方向へ人の流れを導
いということです。物理も同じですが、公式を覚える
このように、複数の知能を持っ
基本に戻って、考えながら問題を解く姿勢の重要さ
※2 国立研究開発法人産業技術
総合研究所
※ 3 2004年、IBMが 提 唱
したこれからのサービス産業を支
え る た め の 学 問。サ ー ビ ス の 性 質
を分析し、その改善方法や新しい
ものを生む仕組みを研究する。
:ハワイ
※4 Stephen L. Vargo
大学 Shidler College of Business
ば、
人工知能にも負けない人間だけにできる思考力
20
10
業、 約
です。
たとえば数学の演習を例にとるなら、様々な解
化 し ま す。 そ の 時 に、 サ ー ビ ス
長い文章で表現することを苦手にしています。論理
いための小さな努力をしていて、
ピュータ上に再現することはも
な 指 導 が で き な く な り ま す。 そ
実 際 に、 こ の 研 究 成 果 に 基 づ い
の約
このような状況の中で、高校生に伝えたいのは、
の 流 れ が ど う 変 わ る か、 あ る い
年の学生は、コンピュータを用いて、短いメッセージ
それが積み重なったものとして、
はや不可能ではなくなりつつあ
こ で、「 第 一 志 望 を 最 優 先 し、
けば事故が起きずにすむかを研
工知能ブームを迎えていることに不思議な縁を感じ
究 し て い ま す。 ま た、 東 日 本 大
た未解決な問題の探求を進めていく研究分野であ
製 造 業 で、 残 り は す べ て 第 3 次
り、
まだまだ、多くの課題が残されています。
震 災 の 直 後、 首 都 圏 で 起 き た よ
工知能の研究は人間の知能の中から解決できそう
産業であるサービス産業である
な部分を独立した研究分野に分化させつつ、残っ
うな緊急避難した人の流れが一
をやり取りすることに慣れてしまい、まとまった考えを
全体の流れが作り出されているのが
ります。
定員が溢れて抽選にはずれた学
た ル ー ル を 用 い て、 プ ロ ジ ェ
ています。
分かります。
小さな知能の集まりが、
た 主 体 が、 相 互 作 用 を 及 ぼ し 合
生 は、 定 員 に 満 た な い 先 生 の 授
クトの選択手順を運用していま
過ごしましたが、今また大学の教員として第三次人
※2
が、
う 現 象 に つ い て 研 究 す る 領 域 を、
業を受けてもらいます」という
す。
確実な第二希望の先生の授業を
私は第二次人工知能ブームの時に学生時代を
%が農業などの第1次産
マルチエージェントの研究と呼
ル ー ル を 決 め た ら、 ど う で し ょ
受けよう」と思って希望を提出
文章を書く訓練もしてきてほしいと思います。近
藤田 悟先生
う。
個 別 の 知 能 が、 協 調 し た り、 競
す る 学 生 も 多 い で し ょ う。 し か
持った人材が必要とされるのです。
P r o f i l e
び ま す。 人 間 社 会 は、 多 数 の 人
争 し た り、 あ る い は、 競 合 し た
任されていきます。
そんな時代だからこそ、常に課題
法政大学 情報科学部
ディジタルメディア学科
教授
間という知的主体から成り立つ
り し な が ら、 社 会 全 体 と し て は、
し、 結 果 を 見 る と、 本 当 に 受 け
覚される方も多くいるようです。
しかし、そもそも、人
「 人 気 の あ る 先 生 は 諦 め て、
ある方向に向かって進んでいく
てみたかった先生の授業が定員
な活動をシステムに置き換えることができるように錯
複 雑 な シ ス テ ム に な っ て い ま す。
現象を分析する科学であると言
先生の授業が定員を溢れてしま
割 れ し た り、 逆 に、 第 二 希 望 の
少し別の問題も考えてみま
えます。
い、 希 望 順 位 の よ り 低 か っ た 先
を見つけ、それを解決する方法を考え続ける姿勢を
※1 法政大学情報科学部は2000年、大学創立120年に合わせ開設された。
斬新なカリキュラムや柔軟な学科編成の下、開設当初か
らキャリア教育やプロジェクト形式の実践教育にも力を入れるなど、
随所に未来志向の学びを取り入れ、
企業からも高い評価を得ている。
し ょ う。 法 政 大 学 の 情 報 科 学 部
問題を解くような単純作業は、次々にコンピュータに
てうかがいました。
生の授業を受けることになって
分ける仕事であれば、ディープラーニングによってコ
生。学際融合の進む今、数理科学や情報科学に軸足を置いた挑戦的な試みについ
に は、 一 年 生 の 秋 学 期 か ら 好 き
ンピュータが扱えるようになりました。解法に従って
「自由な研究をしたい」と大学へ転身された法政大学情報科学部※1の藤田悟先
意 欲 を な く す な ど、 様 々 な 弊 害
たくさんの写真の中から、
ネコやイヌの写真を振り
き明かすようなソフトウェアを作ってみたい――こう語るのは、8年前、民間から、
が 起 き ま す。 こ ん な 時 に、 皆 が
人材なのです。
まったが、もっとたくさんの知能を相互作用させて、現代社会の経済の仕組みを解
な先生のところで演習できる
が刻々と変わる世の中に対応できるのもそのような
ディープラーニング(深層学習)が注目され、人工知能技術への期待が一気に高
『情報科学プロジェクト』とい
これからの時代に求められるもの
東京大学工学部電子工学科
卒業 、
同大学院工学系研究
科電気工学専攻博士課程
修了 工学博士(東京大学)
、
1989年4月から2008年3月
日本電気株式会社、
2008年
法政大学情報科学部教授、
現在に至る。
研究分野:知覚
情報処理、
知能情報学、
サー
ビス科学。
静岡県立静岡高等
学校出身。
るのもそのような学生です。答えのない社会、常識
人工知能のアプローチで、
サービス経済に起こる現象を分析
一人の知性より、多人数の
集団としての知性を求めたい
v
高校生へのメッセージ
大学ジャーナル
2016年(平成28年)12月7日
vol.123
5
応用植物科学科
大学ジャーナル
連載
その9
2016年(平成28年)12月7日
vol.123
6
P r o f i l e
哲子の
相談室
異分野から工学の世界に入り、感情・表情・脳と癒しをテーマに北岡オリジナル癒し工学
を提唱。工学、医学、芸術、心理学、環境学、社会学、宗教人類学の新学際研究に従
事している。08年12月に日本機械学会計算力学部門に「癒し工学研究会」を設立。
09年、東京工業大学において博士(工学)
を取得。
日本機械学会、日本感性工学会、
日本早期認知症学会、日本脳電位学会会員。2011年日本機械学会 「癒し工学研究
分科会」 主査。東京工業大学大学院助教を経て、2015年4月より現職。他に自動車
事故対策機構 自動車アセスメント等技術検討ワーキンググループ「予防安全技術検
討ワーキンググループ」委員。著書は『癒しは科学で手に入る』
(幻冬舎ルネッサンス新
書)
。2015年春からは、日経テクノロジーオンラインで『スポーツをテクノロジーする』
を、
電気新聞で「癒し工学の散歩道」
を連載中。青山学院高等部出身。
日本文理大学 特任教授
北岡 哲子
高校3年女子の母です。我が娘ながら誰に似たのだろ
きく変身できる機会を与えるのでしょう。彼女以外にも、大学では
人の心は、時と共に流れ、決して一ヶ所にとどまっておりませ
う。田舎に暮らしておりますが、主人は地元で高校の校
無責任、利己主義、消極的だったのに、積極的で人のために動け
ん。変化する環境から独力で学びとったことを糧とし、進化して生
長、私は民生委員をつとめております。娘は勉強だけは常に学年
る子に変身し帰国してきた女学生を、多々知っています。数か月で
きていくものです。それでも長く生きている者がアドバイスできると
も変化は現れます
(もちろん、
良い方向だけとは限りませんが)
。
したら、実際の経験を多々伝えることであり、
それも失敗事例を正
相
談
トップですが、友人が一人もいない。必要ないと申します。学校で
誰とも話さず授業が馬鹿らしくて途中で帰宅したり。ただ成績がよ
その後の彼女の人生にも触れておきます。子供ができ仕事を
直に話して聞かせることだと思います。自慢話は、誰も聞きたくあり
いので黙認されており、
このままでは人間としての将来が心配でた
辞め、
40歳の時に、
なんでもいいから働きたいと、清掃業のアル
ません。 まりません。
バイトに応募します。
しかし受け入れ先が履歴をみて人事課に配
体験話により、
あなたとは違う多様な生き方、環境、価値観が
属しました。やる気のある人なので置かれた場所でがんばり、労務
あることを何気なく示唆する。
「こうせよ、
あーせよ」は逆効果。特
回
答
驚きました ! なんと私の友人がお嬢さんと同じ価値観を
持つ高校生だったからです。
もう30年以上前ですが。同
士の資格もとり職務に専念していました。が、
ある日ネイルが大好
に力がある子には、理屈を唱えるより先に体を動かす、読書など
じ人間ですので、昔話でも1つの参考になると思いますのでご紹
きな彼女が、
たまたま知り合いのおばあちゃまにマニュキアを塗っ
の知的作業よりも活動させることが重要。大人になっても続けら
介します。
てあげたところ、認知能力が低下し表情も消えていたその人が、
れる運動や、老人ホーム、障害児等の施設での、
サポートされる
彼女も地方の名士の娘、美人で学業優秀。
「優秀なのは自分
嬉しそうににっこりほほ笑んで喜んでくれました。
「これだ!わたしの
人々の反応のみえるボランティアをお薦めします。
そして法を犯す
だけ。話す価値もない友人なんか一人もいらない。
この私がくだら
残りの人生でやるべきことは ! 」
と、現在、
ネイリストの資格をとる
ような間違った方向にだけは進まないように見守ること。
ない話に合わせ他人に笑顔をみせるなんて、冗談でしょ?」。そん
ために、研鑽の毎日です。
そしてボランティアとして、各老人ホーム
不遜かもしれませんが、私は校長先生でも学長先生でも無条
な彼女に転機が訪れたのは、高校2年生で、交換留学生としてア
をまわり、
おばあちゃんの笑顔に会うために、爪を塗る作業に奮闘
件に偉いと思ったことはありません。ただ、
自分が教員になって初
メリカにいったことでした。人とつきあうことがどんなに大事で楽し
しています。人嫌いの高校生が世の中のために、一生懸命努力
めて、知りうる限りの先生が、学生のことを何よりも考えていること
いかを学んだそうです。日本に戻った彼女は周りの生徒に笑みを
している姿は感動的で美しい。
を知りました。学生の疑問にはどこまでもむきあい、
プライベートの
振りまくようになり、
それが学校で大きな話題になったそうです。 先日、
「 老後は友人と教養が財産」
と聞いた筆者が、仕事で忙
時間に戻っても、彼らのことが頭から離れないということを。
これは
その後彼女は、世界は素敵だ!だから海外を飛ぶCAになると決
しく、誘われてもなかなか友人の集まり等に出席できず、
ましてや
他の職業にはあまり見られない、
すばらしさだと思います。お嬢さん
意、CAを一番多く輩出している都内有名私大の英文科を調べ、
教養には縁遠いため、
「 孤独な老後かな」
とぼやいていたところ、
も父親の後ろ姿をきちんとみて育っている。他人のために努力し
元々才色兼備ですから計画どおり進学、CAになりました。喜々と
彼女は
「周りは理解しているし、志をもって進んでいる道がある限
ている親の姿を。わたしはそこが信じられる肝だと思います。
して人生、仕事を謳歌し、人付き合いも勿論得意。なにせ接客業
り、
たとえ付き合いが悪いと嫌われても、
まっすぐ迷わず進むべき」
近い将来、親御さんより広い世界に飛び出し、人生を愛する生
についたわけですから。
と励ましてくれました。
その時、素晴らしい友人だと心から誇りに思
き方ができる大人なってほしいと、切に願っております
(続く)
。
異国の文化に触れることは、
カルチャーショックを引き起こし、大
いました。
このコーナーでは読者からの相談を受け付けています。お気軽に下記のアドレスへご連絡下さい。[email protected]
雑賀恵子の
書評
雑賀 恵子
京都薬科大学を経て、京都大学文学部卒業、京都大学大学院農学研究科博士課程修了。大阪産業大学他非常勤講師。著書に『空腹について』
(青土社)
、
『エコ・ロゴス 存在と食について』
(人文書院)
、
『 快楽の効用』
(ちくま新書)
。大阪教育大学附属高等学校天王寺学舎出身。
のだ。寄生バチは蛾の幼虫に卵を産み付ける。
ウイルスは
生きている
時期が来ると幼虫は操られるように、本来活動し
ない日中に土中から木の葉に移動し、寄生バチ
の幼虫たちが体を破って出てくるのを暴れること
もなく待つ。脱出した寄生バチの幼虫は葉の上
中屋敷均
講談社現代新書
サピエンス全史
文明の構造と
人類の幸福
上・下
で繭を作り蛹となるが、死にかけの寄主(宿主)
ユヴァル・
ノア・ハラリ
幼虫は力を振り絞って葉から落下し、死骸が繭を
出書房新社
のが寄生バチに感染したウイルスである。一方、
き、いまや生命工学や人工知能などの技術を持
つに至った人間の未来を探ろうとするもので、世
界的に売れている。
もっとも、あらゆる分野におけ
る考古学や人類学、心理学、生理学、進化生物
学といったさまざまな学的領域の知見を総合して
人類史を語る、というのは、実は今となってはさほ
ど目新しいものではない。本書の特徴は、7万年
汚染しないようにする。寄主(宿主)を操っている
DNAないしはRNAがカプセルに包まれたよう
日の産業社会を築き上げるまでに発展したかを描
約40億年ほど前、地球に誕生した生命体の
前に人類が獲得した想像力(認知革命)が人類
な形態で、自分では代謝できずに他のものを利
寄生バチに寄生される側をみると、防御機能とし
火は、何度も大絶滅期をくぐり抜けながらも途切
を特異なものとして飛躍的に発展させる駆動力と
用して自己複製するウイルスは、生物か、無生物
て寄生バチの幼虫を生育させない毒素を持つア
れることなく、絡み合い、混合し、競争し、協働し、
なり、お互い見知らぬ大多数の人間が共有でき
か。他の生物とは全く異なる構造を持ち、細胞の
ブラムシなどというのもいる。こちらは共生してい
食い合いながら、生命進化の炎として燃え盛っ
る神話や伝説、ひいては企業、法制度、国家、人
中に入り込むため、病原体であるウイルスだけを
る細菌が、感染するウイルスの持つ遺伝子が毒
た。人類もまた、
遺伝子が担う進化の過程でヒトと
権、平等や自由といったものを生み出したというス
破壊する薬剤の開発は今のところ極めて難しい
素を産生するのを防ぐという。
また、普通の植物で
して現象した生物種である。
が、
しかし、我々人類
トーリー、言い換えれば全ては虚構世界だという
とされている。自律した人工知能を備えたアンド
は生息できないような高温状態でも生きるイネ科
は、他の生物種とは突出して異なり、生命系の歴
ケレン味にあるだろう。
ロイドが外壁(細胞膜)
の門扉の鍵を開けて工場
のある植物は、共生するウイルス・真菌と関わるこ
史時間から見れば、超短期に急速な変貌を遂げ
認知革命により人類は、客観的な現実世界だ
(核)
に侵入して、工場の部品を勝手に使い自分
とで特異な性質を獲得した。
さらに、共生する宿
生命系の営みを離脱した文明を築き上げた。こ
けではなく、共同主観的な想像世界でも暮らせる
と同じアンドロイドをたくさん複製する。こうして製
主の遺伝子をウイルスのゲノムに取り込み、宿主
の特異性をもたらしたものは何か。
ヒトは、どのよう
ようになり、生物限界を超えて協働できる大きな
造されたアンドロイド群が工場を破壊して外に出
とは別の独自の変化を遂げているものもいる。そ
にして人間になったのか。
社会を作り出した。約1万年前の農業革命によっ
て行き、それぞれ別の工場を襲撃して大群となっ
もそも人間でさえ常在菌、細胞内共生物がおり、
学校教育の中で習う世界史とは、ほとんどが
て、定住し統合への道を歩み始めるが、その動き
て辺り一帯をめちゃくちゃにする。
このようなアンド
ゲノムDNAの半分は元はウイルスや転移因子か
石器時代をさらっと通過して農業革命から古代
を早めたのが貨幣と帝国と宗教(イデオロギー)
ロイドのイメージでウイルスの活動を私が想像す
らなるというので(これ自体、驚きだ)
、無数の生物
文明を経てようやく、2千数百年ばかり前、ギリシ
という三つの普遍的秩序である。約五百年前よ
るのは、福岡伸一『生物と無生物のあいだ』
(講
が共生した多細胞生物とも言える。
ア文明などが出てきてくらいよりようやく思い浮か
り始まった科学革命は、人類が自らの無知を認
談社現代新書)
の影響が大きい。だが、
ことはそう
本書は、様々なウイルスのゲノムがどのように
べるところの歴史記述らしくなってくるだろう。つま
め、超越的な神に運命を預けるのをやめたことに
簡単にはいかないようだ。
ミトコンドリアや葉緑体
複製や転移といった動きをするかを解き明かしな
り、政治や経済や社会や文化やらというので成り
よる。
その結果、人類は自ら進歩の道を切り開き、
が元はそれ自体で独立した生物が細胞内の一器
がら、生命の不思議に迫ったものである。話は相
立った、要するに人間の文明社会の歴史だ。
ジャ
驚異的な発展を遂げた。科学の進歩は、資本主
官になってしまったという説(細胞内共生説)
のよ
当ややこしい。だがーー40億年ほど前の複製と
レド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』
は、環境与件と
義と手を取り合い、物質的に豊かな社会が実現
うに、生物という分類自体、あるいは自己と他者を
変異が可能な分子の成立から始まった情報の保
しての地理と人類、モノの流れを軸に1万数千年
した。だが、我々は幸福だろうか。
分ける個体というものの切り出しも難しい。
ウイル
存と変革を繰り返す生命は大きな輪のような現
の人類史というものを描き出した。日本では十五
繰り返すが、本書で展開されることは決して目
スとはなにものなのだろう。
象であり、ウイルスはその輪の中にあって時に融
年ほど前に翻訳され、大きな反響を呼んだのは、
新しい知見や思考というわけではない。それでも
ウイルスにもまるで生物の一器官のような役割
合し、助け合い、対立しながら生命の鼓動を奏で
学校教育の世界史とは全く違う歴史記述だった
なお、覚え込まされた知識や世界の見方というも
を持つものもいる。本書にあげられている寄生バ
てきたという著者の主張に、眩暈のするような壮
からだろう。本書も、アフリカ大陸にいた人類種の
のをひっくり返し、違う眼差しで現代社会を見る姿
チが持つウイルスは、いわば分子兵器のようなも
大で美しい生命の響きを聴きとることだろう。
一つに過ぎないホモ・サピエンスがいかにして今
勢を支えてくれるに違いない。
7
vol.123
16歳から
の
大学論
大学ジャーナル
2016年(平成28年)12月7日
第8回
「大学は学問をするところ」について
その4
京都大学 学際融合教育研究推進センター
准教授
宮野 公樹 先生
P r o f i l e
1973年石川県生まれ。
2010 ~14年に文部科学省研究振興局
学術調査官も兼任。
2011~2014年総長学事補佐。専門は学問
論、大学論、政策科学。南部陽一郎研究奨励賞、
日本金属学会論
文賞他。著書に「研究を深める5つの問い」講談社など。
前々回、《学問》とは、興味関心を突き詰めることや課題解
意識から論文や資料を読みこみ、仮説を立て、実験や調査を行っ
決をすることとは違うとはっきり述べました。この意見は、社会的
たり思索を巡らせたりしてそれを検証し、最終的に何らかのオリジ
いは
「よく死ぬため」に必要なのです。学問とは、生きるとは何か、
有用性、有益性が重視されるような今日的な学問観、大学観か
ナリティーある提案としてまとめます。この一連の作業、すなわ
死とは何か、そのような生死という時間があるのはなぜか、幸せ
らするととても異様に聞こえるでしょう。しかし、古典的な学問論、
ち学術的営みが訓練となり、論文の読み込み方、先行研究の
とは何か、美しいとは何か、正しいとは何か、いままさに思考し
大学論の観点からは、どうしてもこのように言わざるを得ないので
調査方法、実験スキルやテクニカルライティング、プレゼンテー
ているこの言葉とは何か、そもそもこの世とは何か、この世を認
す。そして、前回の研究面に続き、今回は大学が担う教育面
ションの技法などを習得します。それは社会で働く際に役に立た
識している自分、自分の生とは何か・・・ このような根源的で
について述べていきます。
ないことはありません。 資料の読み込みやプレゼンなどはその典
純粋な問いが在ると知り、終わりなきこの問いを問い続けること
現在、大学教育については大筋のところ、大学卒業後にお
いて「社会で活躍する人材」を育成することが重要であるとされ
ています。入学後、年次ごとに専門性が増していくカリキュラム
を通じて、単位満了や卒業研究を経て学士課程を修了します。
学問は「社会で働くため」と言うより「よく生きるため」、ある
型的な例といえます。しかし、それらは学術的研究活動を通じて
です。学問とは「問い学ぶ」こととよく言われますが、これは正
しか修得できないわけでありません。
しくありません。
ではいったいなぜ、社会で働くために研究者になる訓練をうけ、
私は、学問とは「問いを学ぶ」としたい。
研究者としての資格である学位(学部卒業者は「学士」、大
かつての偉人たちが自分の精神、心血を注いで考え続けた
「問
育成すべき修了後の人材像としては、社会のリーダーだったり、
学院卒業者は「修士」等)が必要なのでしょうか。もちろん、
い」。 時代は違えども自分と同じ人間が生涯かけて徹底的に考
世界のどんなところに行っても上手にコミュニケーションをとって
そのような厳しい(?)訓練を経た人材は、ある一定の能力を身
え抜いたその「問い」を学び、そこに人として生きる、あるいは
課題を解決できる人材だったり、あるいは地域に密着し様々なコ
につけているという前提もあるでしょう。しかしそれでもなお、その
人として死ぬという普遍的な意味を求めるのです。どんな仕事に
ミュニティーをつくったりつないだりする人材だったりしますが、い
訓練が「学術的活動」でなければいけない理由は何一つありま
つこうとも、誰のために働こうとも、何をして稼ごうとも、これらの
ずれも実践的に役立つ人材の育成を重視していると言えるでしょ
せん。
う。
「問い」は人の根っこにあるものですから、この部分がしっかり
実は、この「問い」への答えは、これまでの連載の中で随
これらは現状では当たり前とされていますが、改めて考えてみ
るなら、一つの素朴な問いが浮かんできます。それは、なぜ社
時述べてきたことでもあります。
していれば迷うことはありません。いや、正しく言うなら、迷うこと
を正面から受け止めることができ、その迷いを愛しながら生きてい
大学は資格をとるための機関ではありません。まして、その大
けるということであり、だからこそ、人には学問が必要なのです。
会で働くために学術的研究を遂行するトレーニングを受けなけれ
学を修了したという資格がないと社会で働けないということでもあ
ばならないのか、という問いです。
りません。いうまでもなく、大学は学問をするところです。ではな
では、今の大学はどのようにして設立されたのか? 次回は、近
ぜ学問が社会で働くために必要なのか? 実は、そもそもこの問
代の大学が誕生する背景について近世のドイツの話をしたいと
いが間違っているのです。
思います。(続く)
言うまでもなく大学のミッションの一つは研究であり、同時に、
研究者を育成する機関です。研究においては、自分なりの問題
シリーズ もちろん、学問は大学でなければできないものではありません。
大学が地域の核になる—京都文教大学の挑戦
地域と教員がタッグを組み、子育て支援の協働研究に取組む
京都文教大学では、小学校教諭を目指す学生による学習支援の実践を通して、
大学・地域による子育て支援の協働研究が行われている。
地域課題に応えると同時に、学生への教育の一環として取り組まれているその模様を紹介する。
京都文教大学では、地域における教育、研
の「Reos槇島」においても、子ども食堂事業
究、社会貢献活動を一体化し、その成果を教
に新たに取り組むなど、更に地域ニーズを汲
育活動や地域の発展に還元、寄与することを
み取った活動が生まれてきている。本研究は
目的に、2014年度から新たに『ともいき研究』
地域における子どもや保護者の支援だけでな
く、地域と大学が共に育ち合う環境を共につく
(「地域志向協働研究」「地域志向教育研
りあげている。
究 ともいき研究助成事業(住民参画型 /産
官学協働型)
」)
助成制度を設け、学内・学外
京都文教大学では、学生が地域という身近
から募集している。2016年度は、計20もの
な社会で様々な実践を通して学ぶことを重要
共同研究プロジェクトが採択された。
視している。この研究に携わっている教育福
この研究制度の大きな特徴として、京都文
祉心理学科(小学校養成課程)
の学生(4年
教大学総合社会学部と臨床心理学部の専
次生)
は、
今年度の教員採用試験に全国平均
門性を地域課題解決に活かし、大学教員と自
を上回る学生たちが合格した。学校におけるイ
ンターンシップや演習など、本研究を含め学生
治体職員、団体・企業、地域住民等が研究分
究を推進している。
て支援について、理解を深め深化させていくこ
時から現場に関わることも要因のひとつと思
そのひとつに、京都文教大学臨床心理学
発足のきっかけは、
「Reos槇島」
から子ども
とが本研究の目的としている。
われる。
部教育福祉心理学科の教員ならびに学生に
の居場所・学習支援について、相談を受けた
主な研究活動としては、月に2回、
「Reos槇
2016年12月10日(土)10:00 ~ 16:00
よる研究プロジェクト「『まきしま絆の会、宇治
ことがきっかけとなっている。昨今、子どもを取
島」にて小学生を対象とした学習支援に取り
京都文教大学にて、
「京都文教大学創立20
市、京都文教大学が紡ぐ地域連携の創造』
り巻く環境において、安全で安心して活動でき
組んでいる。今では中学生も参加し、毎回約
周年記念事業 ともいき(共生)フェスティバ
―地域と結びつく親と子の絆づくり、子どもへ
る場が脅かされることも少なくない。とりわけ、
15名前後の子どもたちが参加している。学習
ル2016」が開催される。
このイベントは大学を
の学習支援―」
を紹介する。
保護者は、放課後や学校休業日の安全・安心
支援の取組は、1回90分を基本とし、前半は
地域に開放し、地域住民が主役となり、様々な
この研究は、2014年度から取り組まれ、
な居場所を心より願っている。保護者が、子ど
大学生たちが子どもたちへ宿題のサポートを
文化的な発表等を行うものである。当日、本研
今年で3年目を迎える。教育福祉心理学科に
もの学校外での活動を不安に思い、子どもを
行い、後半は様々な教材を用いた学習やゲー
究に携わる教員や学生たちも参加し、小学生
は、小学校養成課程・保育士養成課程・精神
家庭内にとどめようとすることで、子ども同士の
ム、読み聞かせ等を大学生たちが自ら内容を
向けのワークショップや学びブースを行う予定
保健福祉士(PSW)
養成課程があり、主に小
かかわりあう機会を奪うことにもなりかねない。
考え先生さながら実践している。教員や「Reos
である
(当日10:30 ~ 12:30開催・事前申込
学校養成課程の教員と学生、
そして本学近郊
そのような背景を受けて、地域の中で安全・
槇島」
スタッフらは、大学生と子どもたちの関わ
不要)
。
こちらに参加して、学生たちの活動を
に位置するコミュニティレストラン
「Reos槇島」
安心な居場所を提供するとともに子どもへの
りから大学生への指導・フィードバックや、保護
ぜひ見ていただくとともに、参加される親子の
と「一般社団法人マキシマネットワーク」、「特
学習支援を行ったり、
子育ての相談に応じたり
者へのサポートに取り組んでいる。
温もりを感じ取っていただければ幸いである。
定非営利活動法人まきしま絆の会」とで本研
するなど、今地域の中で必要とされている子育
こうした研究を続けていく中で、研究分担者
担者となり共に研究に取り組む点にある。
ダンスチーム「glit
の ラ ン チ メ ニュ ー を 考
つ
体 と し て は 以 前、 ウ シ
ters」
の活動拠点
案した。
の架橋剤のみで、製造
血清アルブミン、市販
ン、遺伝子組換えイヌ
れていた。
多 くの副 作 用 が 報 告 さ
欲不振、発熱といった
する「HUB & DIN
グ」
の実現をサポート
ル ビ ジ ネ ス・ラ ー ニ ン
ト ソ ー ス を メ イ ン に、
じ き と 焼 き 野 菜 の トマ
のコラボランチ」。めか
キャベツと人参の千
え イヌ 血 清 アル ブミン
、
ING Bureau」
同 研 究 グ ル ー プ は、
遺伝子工学的に組換
ステッ プ と 少
工程も
切 り ス ー プ、 副 菜 に 里
千葉商科大学に
プが利用できる「Uni
クト活動を行うグルー
トが考案したオリジナ
として学生プロジェク
産 学 連 携 の「 商 う 」場
料 で 出 願 で き る 制 度。
れば
学科分の検定
ク内の学部の併願であ
パックとし、そのパッ
だはっきりしない学
ややりたいことがま
ことで、学びたいこと
大まかな志向別に
学部をパックにする
淑徳大学、三芳町と
なっている。
‚0 00 円 と
も 各10
検定料は前期・中期と
ら 揚 げ 丼 を メ イ ン に、
ン酢をかけた鶏のか
丼 ラ ン チ 」。お ろ し ポ
な く、 簡 単 に 合 成 で き
「The Unive
versity SOH
ル商品の販売や、全国
例 え ば【 社 会 科 教 員 養
生や、自分の将来のビ
連携し地産地消のラ
血液由来のイヌ血清
rsity HUB」
えた新たな学びが生ま
O」
が置かれ、
学部を越
の高校生が開発した商
成パック】を受験する
ジョンを実現するた
研究開発員らの研究
芋グラタン。 つ目は、
遺 伝 子 組 換 え イヌ 血
清 ア ル ブ ミンは そ れ 自
がスタート
オー プン、学 生 利用
れる場を用意した。
文化
品の委託販売が行われ
育学科教科専門社会
場 合、 パッ ク 内 の「 教
部 位 へ の 酸 素 供 給 液、
で き る 空 間「The
てアイデアを創造
きる「TATAMI R
er」
や茶道に活用で
たビジネスの実践教育
ともに、企業と連携し
科」
「経済学科」の
学
コース」
「人間社会学
たちが選択しやすく
のか迷っている学生
めにどの学部が良い
表した。
た。
さらに、ウシヘモグ
体外循環回路の補填
つ 目 は「 パ プ リ カ の
ご の ヨ ー グ ル ト 和 え。
噌 汁、 副 菜 に 柿 と り ん
かぶときのこのお味
「鶏&野菜のから揚げ
体 が人工血 漿 増 量 剤 と
的な活動のために、 階
が生まれる場となると
る 予 定 だ。新 し い 発 想
す学生や各種プロジェ
質タンパク質結晶生
して 使 用 す ることがで
には小劇場「Unive
る。
成 技 術(Hyper︲
rsity Theat
る こ と を 解 明 し た。ま
Qpro)
」を適用した
き る。ヘ モ ア ク ト ︲C
千 葉 商 科 大 学 は、
学生や教員がディ
アルブミンと同一であ
X線 結 晶 構 造 解 析 に
は、赤血球代替物のほ
スカッションを通し
ナ ー を 準 備 して 輸 血 液
ロ ビン を 遺 伝 子 組 換 え
た、JAXAの「 高 品
日本にはペット用の
血 液 バン ク が 存 在 し な
よって、遺伝子組換え
吸 不 全 な どに よる 虚 血
か、
心不全・脳梗塞・呼
解析に成功したと発
い。そ の た め 輸 血 療 法
立 体 構 造 を 明 らかにし
イ ヌ 血 清 ア ル ブ ミ ンの
を 確 保 し ているの が 現
料は
肉詰め カラフルラ
ンチ」。パプリカの肉詰
完成したメニュー
は、2016年 月 の
め を メ イ ン に、 さ つ ま
い も ス ー プ、 副 菜 に ブ
の場としても活用して
ロッ コ リ ー と ひ じ き の
いく。
淑徳大学は、連携協
力 し ている 埼 玉 県 三 芳
OOM」
も備えられて
町 の 野 菜 を 使 った 地 産
University
な り、 入 学 後 に ミ ス
HUB」をオープン。
マッチを起こさない
液、 癌 治 療 用 増 感 剤 な
学 科 分で 済 む。
ど と し ての 応 用 も 期 待
科を併願しても検定
包 み 込 ん だ 構 造 の「 ヘ
イ ヌ 血 清 ア ル ブ ミンで
いる。
状 だ。深 刻 な 輸 血 液 確
カッテ ー ジ チ ー ズ 和 え
保の問 題 を 抱 える 獣 医
日から学生の利
した。
ニューは、 月中、三芳
町 役 場に隣 接 する福 祉
地 消 の ラ ン チ メ ニュ ー
さ れ て い る。研 究 チ ー
験 生 向 け に、
【社会科
パ ッ ク は 全 種 類。
教員を目指したい受
明星大学 複数学部
の併 願 制 度「目的別
年 間 減 免 し、
こ の ほ か、 明 星 大
学 で は、 学 費 を 原 則
効果も期待している。
モアクト︲C」を合成、
用が開始された。
月
療の現場にとって、人
ム で は 現 在、 共 立 製 薬
地下 階の「Co︲
に
works Lab」
教員養成パック】のほ
喫 茶 ハ ー モニ ー で 提 供
を添えた。
その 構 造 と 酸 素 結 合 能
と同 製 剤の 実 用 化 に 向
まとめ割」を導入
年
を 開 発。完 成 し た メ
工血 液 、
特に“赤血球の
を解明した。
け た 展 開 を 進 める とと
代 替 物 となる人工酸 素
「The Unive
は、
学 生、
教員、
企業が
は、 創造力を刺激し合え
rsity HUB」
運 搬 体 ”の 需 要 は き わ
も に、 ヒ ト 用 に 向 け た
るミーティング室「R
埼玉県地産地消月間
に合わせて、 日間、三
学科分の検定料で出
種類、学
科・デザイン学科・心理
ン グ パ ッ ク( 経 営 学
し、
全学部学科(学系・
期または中期を受験
験利用入学試験の前
大学入試センター試
ニ ュ ー づ く り で は、 淑
て 行 わ れ た も の。メ
推 進 」事 業 の一環 と し
よし野菜ブランド化
の取り組みは、今後、次
使 っ た ラ ン チ メ ニュ ー
こ の「 み よ し 野 菜 」を
芳 町 のHPで も 公 開。
芳 町 役 場に隣 接 する福
e & Live Stu
願できる新しい併願
学 科)
】
など
問系統で選びたい受
徳大学看護栄養学部栄
期
で )ま で。ス カ ラ シ ッ
摂 取 量 増 加、 食 育 推 進
健 康 意 識 の 増 加、 野 菜
定という。
2017年度も行う予
コース)で成績順に合
年 生 が、 三
験 生 向 けに【 社 会 学 系
養 学 科の
芳 町 の 野 菜 を 使 っ て、
名
計
名ま
プ制度にかかる入学
まで、中期上位
名(前期上位
パック(人間社会学科・
種類が用意されて
福祉実践学科)
】な ど
4
4
3
め て 高 い。ペ ッ ト 用 の
大学の正門横にある瑞
間の合計納入金額が
研究も進めている。
か、
【数学科教員養成
ヘモアクト︲Cの表
面 電 荷 はマ イ ナ ス に 帯
立大学より安くなる
34.26万 円 と 国 公
人工血 液 が 動 物 病 院 内
専門数学コース・情報
OOM」、
看 板や 展 示
パック( 教 育 学 科 教 科
穂会館を改修した施
祉 喫 茶 ハ ー モニ ー で 提
明星大学は、2017
年度の一般入学試験・
イヌ用人工酸素運搬
この取り組みは、淑
徳大学と三芳町が連
供した。また、メニュー
品などを制作できる
電しているため、血管
スカラシップ制度も
携 し、
「みよし野菜」の
に 配 布 さ れ た ほ か、 三
のレシピは、町内全戸
学科・総合理工学科)
】
設 け て い る。対 象 と な
拡 大 を 目 的 と し た「 み
イ メ ー ジ ア ッ プ、 消 費
d i o 」で は 、学 生 が
割引制度「目的別まと
わせて共通点のある学
「 目 的 別 ま と め 割 」
は、将来の「目的」
にあ
いる。
25
15
40
年 生 に 引 継 が れ、
め割」を導入する。
5
運営も行うという。
2016年 月には
1階に「Universi
部(学科・コース)
を
もオー
ty Store」
12
ダンススクールの企画
種類、つくる人
制 度 を 志 願 す る 者 で、
るのは、スカラシップ
大学入試センター試
別に分類された複数
けに【企画・マーケティ
「KOSAKU ROO
の学科を、まとめて
になりたい受験生向
など
で いつ で も 供 給 で き る
11
験を併願する際、目的
を使える環境も整って
11
11
1
M」
があり、 時間PC
いる。また「Danc
24
6
4
4
1
プンが予定されている。
3
11
3
1
3
1
1
14
ンチメニューを開発
が 必 要 な 重 症 動 物 につ
グループがイヌ用人
階は学生起業をめざ
を 産 生 し、 そ の 物 性 が
考案されたメニュー
の一つ目は、
「魚と野菜
考 え た地 産 地 消の
ヘモ グ ロ ビ ン の 重 合 体
となる「Dance &
を 図 る 栄 養 バラ ンス を
こ と は な い。そ の た め
が 貧 血 犬の 治 療 薬 とし
Live Studio」
設。地下 階に大学チア
輸 血の 手 技 は 大 幅 に 簡
血 圧 上 昇 な どの 副 作 用
て米 国および英 国で製
や「Co︲works
内 皮 細 胞から漏 出する
研 究 開 発 機 構、イヌ
略 化 さ れ る。さ ら に 保
はないという。また、血
造・販売されたことが
体 制 が 確 立 さ れ れ ば、
用 人工血液の合 成に
存 安 定 性に優れた製 剤
あ る が、 皮 膚 / 粘 膜 /
中央大学と宇宙航空
成功
中 半 減 期 はア ル ブ ミン
Lab」、 階に「リア
よ り も 長いと 考 え ら れ
尿の変色、黒色糞便、食
応も万全となる。
る。
原料は、ヘモグロビ
であれば、緊急時の対
XA)は2016 年
日、中央大学理工
学 部 の 小 松 晃 之 教 授、
月
3
い て は、 獣 医 が 自 ら ド
工血液の合成と構造
JAXAの 木 平 清 人
1
5
2
11
中央大学と宇宙航空
研 究 開 発 機 構( J A
1
4
2
11
8
vol.123
2016年(平成28年)12月7日
大学ジャーナル
が人工知能技
金 沢工業 大 学 と日本
成果から学習したりでき
し、相関関係を立てたり、
教育コース」と、既存の
専攻」
は、新設の「国際
こ と と な る「 国 際 教 育
る 際の 協 定 大 学 にかか
て 認 定 さ れ る。留 学 す
の2014年 度 大 学 教
る。
さらに、文部科学省
教 員への 連 絡 方 法 ま で 受
こ と で、 各 講 義 内 容 か ら
業の大まかな学習計画の
会の中で、今後さらに
ロ ー バル 化 す る 現 代 社
「国際教育コース」はグ
等 学 校 は も とより 国 際
内の小学校・中学校・高
これ らの 科 目 や 留 学
制度を通じて、日本国
む141の 課 外 教 育 プ
ロ グ ラ ム を 連 携 さ せ、
るシステム
「日本語教育コース」に
金沢工業 大 学 と日 本
IBM(東京、ポール与
育 再 生 加 速 プログラム
講に 必 要 な 情 報 を すべて
る学費は免除となる。
年 間 約300日 の 学 習
※
那 嶺 社 長 )は、IBM
に 採 択 さ れ、 授 業 で 学
協 力 機 構(JICA)
シラバス 講義や授
支 援 体 制 を 構 築 してい
のコグニテ ィ ブ・コン
盛り込んだメモや電子記
や、 世 界 各 地 の 日 本 人
学 校 な どで 活 躍 で き る
増 加 が予 想 される 多 国
できる国 際 理 解 力 を備
籍 児 童に も 柔 軟に 対 応
)
)
録を指すこともある
ピューティング(※
るeシ ラ バ ス( ※
成 長 支 援 システ ムの 構
の 運 用 を2016年 度
交 換 留 学 制 度を活用し
め、海外協定大学との
人材の育成をめざす。
築 で 協 力 す る。個 々 の
グ ロ ー バル 人 材 の 育
課程、大学院で学ぶ人
成 をめざし「国 際教
う。な お 個 人 情 報 保 護
学 習 結 果 を ビッ グ デ ー
ンザ罹 患 者 数やワクチ
か ら 本 格 的 に 始 め た。
honeアプリケー
学 習 結 果 をIBMの ワ
名 古 屋 キ ャ ン パス に
て 開 講 さ れ て い る「 日
トソンを 含 む 人 工 知 能
た カ リ キ ュラ ム を 特 徴
が 対 象。利 息 の な い 無
タ として 蓄 積 していく
に配慮して位置情報は
技 術 で 評 価 し、 一 人 ひ
ン の 効 果、 イ ン フ ル エ
育専攻」新設 東京
シ ョ ン「 イ ン フ ル レ
福祉大学
本語教育コース」
は、日
中 で、 こ れ ま で の 評 価
としている。
と り に 合った 新 た な 学
療 や 健 康に関 す る研 究
利子奨学金と利息が付
主 な 目 的 と し、 留 学 生
用に設計したオープン
ポート」を開発した。
こ
に 囲 まれ た 学 習 環 境の
ソースソフトウェアフ
また、収集データは
アプリ内で即座に分析
3. 5以 上の基 準 が 設
いた有利子奨学金があ
東 京 福 祉 大 学 は、
主 な 新 設 科 目 として
2017年 月より教 「 日 本 語 教 育 の 理 論 と
もとで異文化を理解
レームワーク「Rese
し、利用者に地域ごと
学生支援 機構の無 利
学生支援機構は政府
けられていたが、日本
郵便番号として収集
方法」
「国際理解実習」
育 を 通 じて 国 際 貢 献 が
し、 国 内 外 で 日 本 語 教
archKit®(リ
のインフルエンザ発生
帯の基準全廃
子 奨 学 金、低 所 得 世
し、研究結果発表など
「国際社会理解入門」
サーチキット)
」
を採用。
状況をフィードバック
どの 科 学 的 解 明 を 試 み
育 学 部 教 育 学 科 に「 国
「 人 間 環 境 学 入 門 」な
できる人 材の育 成 をめ
多数の収集データによ
す る。こ の よ う な 発 生
ンザ 罹 患の危 険 因 子 な
際 教 育 専 攻 」を 開 設 す
ざ す。こ ち ら も 交 換 留
り医学研究の飛躍的進
れにはAppleが医
さ せ、 学 習 の 質 を 高 め
システムを さ らに 進 化
る と 発 表 し た。教 育 現
ど を 予 定 し て お り、 小
学 が 可 能 で あ り、 留 学
位に変換する追加処置
を行うという。
が
月に閣議決定した
高等課程の成績に平均
このうち、無利子奨
学金は高校や専修学校
る。
場 に お いて よ り 国 際 的
学 校 教 諭 一 種 免 許 状、
先 での 日 本 語 教 育 実 習
では、さらに市町村単
た。
に 貢 献できる人 材の 育
校 一 種 免 許 状( 英 語 )
または中学校・高等学
状況は利用者データか
る。
材を育てる。
構築される自己成
長 支 援 シ ス テ ム は、 ス
成を目的として、従来
ることが 求 め ら れてい
金沢工業大学によ
ると、大 学の学 生や教
マー ト フォン や パソコ
の 教 員 養 成 課 程 を「 学
シ ョン を 創 出 で き る 人
職員が学んだ履歴を
き、
正課・課外における
ンから学生が利用で
歩への貢献が期待され
校 教 育 専 攻 」と し て
(単位認定)を計画中と
学 生の 意 思 決 定 を 支 援
ほかの資格取得がで
けた意思決定を支援
ら推測するため、一般
か れ、 そ れ ぞ れ の カ リ
な どの 追 加アンケート
きには、症状や処方薬
ンフルエンザ罹患時の
の記録機能もあり、イ
確 認 で き る。ま た 体 温
が狙いで、現在の高校
押しをいっそう図るの
せざるを得ない人の後
を受ける予定の約
層のうち有利子奨学金
松野博一文部科学相
は記者会見で低所得者
「 未 来への 投 資 を 実 現
る。
のこと。
え、無利子奨学金に含
する経 済 対 策」を踏ま
き る。ま た 希 望 者 は 中
希望者に対する低所得
日本学生支援機構
は、無利子奨学金受給
まれていた成績基準の
専 攻 体 制 を と り、 学 生
的なインフルエンザ流
世帯の成績基準を実質
撤廃を決めた。
す るシステムとなる 予
行 情 報 と は 異 な る が、
的 に 全 廃 し た。成 績 基
し、 能 動 的 な 学 習 を 人
「 イ ンフルレ ポ ー ト 」
の利用 者には、まずワ
気になる地域を登録す
準の全廃は経済的な理
国・韓国・台湾・ベトナ
れば、勤務先や子ども
由により、進学を断念
ム・カンボジア・モンゴ
ク チンの 接 種 状 況 な ど
の通学先など比較的狭
後 にい ず れ か を 選 択 で
簡 単 なアンケート 調 査
いエリアの発生状況を
の 希 望 に 合 わ せて 入 学
従来の教員養成課
程 を 引 き 継 ぐ「 学 校 教
を行 う 。
その後、インフ
定 だ。
ルの 同 学 海 外 協 定 大 学
育専攻」
では、入学後に
ルエン ザ に か かった と
工知 能 が 促 す 仕 組み。
へ半 年 間 交 換 留 学 が で
つの 専 修 に わ
取 得 し たい 教 員 免 許 状
キ ュラ ム を 履 修 す る こ
体調管理の一助となる
万
調 査( 症 状 が 落 ち 着 い
年生が大学進学後に
てからの回答が可能)
況やワクチン接 種 状 況
容・回答データの取扱
アプリ利用者には参
加時に、調査研究の内
工夫をしている。
集に入っている。
採用について、追加募
利用する奨学金の予約
り軽減されると見込ま
度から導入される新所
か に し た。2017年
象者となることを明ら
人が無利子奨学金の対
な ど を 確 認 す る。回 答
いなどを項目別にわ
文部科学省による
と、日本学生支援機構
れている。
順天堂大学が開発
イ ンフ ルエン ザ 罹 患 状
日本初のインフ
かりやすく説明した後
学、短期大学、高等専門
の貸与型奨学金は大
用で返還時の負担がよ
得連動変換型制度の適
ルエンザ調査用
結 果 や イ ンフ ルエン ザ
で同意署名をもらうな
アプリ、
に 罹 患 し た 場 所 での 気
ど、十分なインフォー
学校、専修学校の専門
温・湿度や歩行速度な
日毎に
2
ど複合的な情報をも
を 行 う ほ か、
格をめざす。
ごとに
き、 帰 国 後 に 単 位 と し
きる形をとる。
新たに設置される
金沢工業大学は教育
課 程 に 基 づ く 正 課 と、
※
コ グ ニ テ ィ ブ・ コ
ンピューティング 経 験
を通じてシステムが学習
学 生が自主的に取り 組
1
8
ムドコンセントを行
3
とに、今後、インフルエ
順 天 堂 大 学 は 、イ ン
フルエンザ調査用iP
30
とで 教 員 採 用 試 験 の 合
5
2
積 し、 個 々 の 成 長 に 向
4
IBMの シ ス テ ム に 蓄
本 語 教 師 に なることを
習 機 会 を 提 供 す る もの
2
を 利 用 し た 学 生の 自 己
1
で、次 世 代のイノベー
えた教 員 を 養 成 するた
グ ラ ムの 関 連 を 明 示 す
術活用で協力
I
B
M
ぶ 内 容 と 課 外 教 育 プロ
分 か れ る こ と に な る。
2
i
P
h
o
n
e
大学ジャーナル
2016年(平成28年)12月7日
vol.123
9
大学ジャーナル
数樂の道しるべ
2016年(平成28年)12月7日
vol.123
10
京都大学高校生フォーラム in TOKYO
第6回
フィールズ賞受賞者の森重文先生が講演
学びについて、高校生も積極的にディスカッション
写真①
写真②
京都大学と東京都教育委員会との共催による
しい」と後輩たちを激励した。
さらに「大学は自由だ
ピュータをどう使うかを決めるのが数学だと説明され
セスを繰り返す中で、自分の世界が広がっていくの
「第6回京都大学高校生フォーラム in TOKYO」
が、その分あっという間に時間が過ぎていく。大学へ
た。
を感じること》
などとした上で、冨士田さんも交えて学
が、さる10月29日、東京都教職員研修センター視
入ったらやりたいこと、チャレンジしたいことをまず見
《役に立っている数学》としては、MRIに使われ
びの楽しさとゲームの楽しさの違いなどについて議
聴覚ホールで行われた。今年の講演者は、数学の
つけ、
それに打ち込むことが大事」
とアドバイスを贈っ
ることで知られるフーリエ変換や、アインシュタインの
論を深めていった。森先生は、小さな成功をうまく褒
ノーベル賞ともいわれるフィールズ賞を日本人として
た。
三番目に受賞した京都大学高等研究院長で特別
「楽しい数学、役に立つ数学」と題して
教授の森重文先生。東京都立高校等から、
高1、
高
森重文先生(写真①)が講演
2生を中心に約400名が参加。後半には、都立生
相対性理論を記述する言語となったリーマン幾何
められたことが積み重なり自信につながっていったの
学、コンピュータに欠かせない有限体の代数幾何
ではないかと自らの経験を振り返り、学びには興味を
学などを紹介。
また特殊な例として、本人の意図とは
持つこと、
楽しむことが重要だとまとめられた。
関係なくウォール街の代名詞ともいうべき金融工学
「学問の楽しさをどう創造につなげるか」
では、
パネ
4名も加わり学びをテーマにしたパネルディスカッショ
“楽しい数学”
では、数学好きになる伏線とも思え
を成り立たせることになった伊藤清博士の功績(伊
リストの《学びの楽しさと創造は切り離せない》《創
ンも行われた。
※1から、中学・高校で
る小学校での「ケーキ事件」
並べ替え
藤解析)※2を紹介。応用数学の例としては、
造には疑問を持つ能力が不可欠》などの意見を受
の学びや進路選択、自主ゼミのおかげで高校から
(ソート)
したものを検索(サーチ)するのに不可欠な
けて、
「創造は主体的に行うことから生まれるものだ
大学へのギャップを感じずに済んだ大学での学び、
さ
アルゴリズムや、コンピュータの基盤の配線の設計
から、
それは学びの楽しさにもつながるのではないか」
京都大学から首都圏の高校生にメッセージ
2011年に始まるこのフォーラムは、京都大学が
らには4回生での専門の選択や、大学院進学にあ
に巡回セールスマン問題の研究が使われることなど
と冨士田さん。森先生は「学びよりも創造の方が面
首都圏の高校生にも、講演などを通じて京都大学
たって悩んだことまでを、先生の存在の大きさにも触
を紹介した。
白い」、またフィールズ賞受賞の対象となった『三次
の最先端の研究に触れてもらい、大学進学への意
れながら回想。高校時代、数学にのめり込んでいく
一方、すぐに役に立たないのも数学の数学たる
元代数多様体の極小モデルの存在定理』
の基とな
識を高めてもらおうと、京都大学と東京都教育委員
きっかけになった『大学への数学』(月刊誌:東京出
ゆえんであるとして、数学ではいろんな理論をきちん
る結果の証明を試みた際、解けたと思ったのに解け
会の共催の下に、例年この時期に年1回開催され
版)の毎月の学力コンテストについても、
七畳間問題
と整備しておくことが大切。
それは木を育てることに
ていなかったというような非日常的な事態に出会っ
てきた。講演は第1回がiPS細胞でノーベル賞を受
などを例に解説。問題を解かねばならないと考えるの
譬えることができるが、その木になる実が応用だと考
たが、
それにくじけず、不思議に感じることを自然体で
賞した山中伸弥先生、第2回はチンパンジーのアイ
ではなく、図形を楽しむなど数学に親しんできたこと、
えるのが、数学に対する正しい態度だと締めくくられ
突き詰めていったことが成功(創造)に結びついたと
に言葉を教えるアイ・プロジェクトで有名な松沢哲郎
そして小さな成功を大事なところで上手に褒められ
た。
付け加えられた。
先生。第3回は「人類の100年後を考えよう
!」
と題し
たことがいい刺激になったと振り返られた。
また大学
て前総長の松本紘先生が、第4回は、ナノテクノロ
進学以降、必ずしも順風満帆な道のりではなかった
※1 ある算数の時間に森先生は、正解者はロールケーキがもらえる
という問題に一人で正解して、
それを1本丸ごと手に入れた。
※2 伊藤清博士には第1回ガウス賞が贈られている。
ガウス賞は、
社会の技術的発展と日常生活に応用されて大きなインパクトを与えた
数学的業績を上げた研究者に贈られるもので、4年に1度の国際数
学者会議(ICM)の開会式において授与される。
ジーハブ拠点長の平尾一之先生が「自然に学ぶナ
が、それを乗り切ってこられたのは、高校時代に好き
ノテクノロジー~蛍の光を模倣した水素燃料電池
なこと、数学という目標を見つけることができたからだ
によるLED発光」を、昨年の第5回にはゴリラ研究
と思う。
どちらに進めば有利かなどと考えていたら、こ
の世界的研究者でもある山極壽一京都大学総長が
こぞという時に踏ん張りがきかなかったのではないか
とも付け加えられた。
「京都大学の探検と冒険―ゴリラのフィールドワー
クから―」と題して講演した。
この間、京都大学は、
パート2の
“数学は役に立つか、今なぜ数学か”
で
この後、
「学び」について会場からも意見が求め
られた。
「これからの日本の学びに必要なことは」の
質問に対して、パネリストが能動的、主体的学びと
答えると、冨士田さんは、その際には面倒なルートで
答えを見つけようとすることも必要と補足。森先生
学びについて積極的な議論が
は、
「日本人は創造性に欠けると言われることがある
休憩を挟んで行われたパネルディスカッション
が、
自分はそうは思わない。
ただ各学問・分野間のつ
(テーマ:
「学び」)
には、小山台、西、立川、立川中
ながりが弱いのは確かだから、今は、数学を中心にそ
2014年7月に東京都教育委員会と高大接続・高
は、まず、あらゆるものが数字(デジタル)
に書き換え
等の高1、高2の都立生4名と冨士田さん、森先生
れを深める取り組みも始まっている。
その上で、一芸
大連携に関する協定を締結、一昨年からは連携事
られる現代、数学の扱うことのできる対象は格段に
が登壇。教育庁指導部高等学校教育指導課の小
に秀でる人材(個性)
が求められる昨今、日本人の
業の一環として位置付けられている。
広がったため、得意、不得意にかかわらず、すべての
林正人先生の司会で、
「学びの楽しさ」
「学問の楽し
謙虚さ・協調性を損なわない範囲で、
もう少し個性を
東京都教育庁の伊東哲教育監による開会の挨
人に数学に興味を持ち数学的な考え方に親しむこ
さをどう創造につなげるか」
について議論された。
尊重することも必要ではないか」、と創造性を高める
拶に続いて、京都大学農学部2回生で都立武蔵
とが求められるのではないかと前置き。
その上で、社
「学びの楽しさ」
について各パネリストは、
《疑問を
ための教育についても言及された。
その後、会場か
高校出身の冨士田裕さん(写真②)が、京都大学
会が数学や数学者について抱く疑問に答える形で
もって深く考えること》《学びが人生を豊かにするこ
らは、
「そもそも人はなぜ創造するのか」
などの質問も
へ進学した動機や、日々の時間割、課外活動、サー
話を進められた。
とを実感すること》
《「知りたい」が「納得した」
「すっ
出て、
ディスカッションは大いに盛り上がった。
クル活動、アルバイトや家事、寮生活などを紹介。
さ
数学の研究や研究者については、受験数学のよ
きりした」になること》
《学びを通して新たな知識を獲
最後に都立戸山高校2年生が、全員を代表して
らに、
『受験生である前に高校生である』
という高校
うに既に解かれたものは解かないこと、また数学者
得すると視野が広がり、思考が深まるが、そのことに
森先生、冨士田さんに謝辞を述べ、3時間45分に
で習った先生の言葉を引き、
「受験勉強の中にも楽
は他人と同じでは評価されないと紹介。
コンピュータ
よって新たな疑問も生まれ、それを解決するのにまた
及ぶフォーラムは幕を閉じた。
しみを見つけるなど、高校時代を存分に楽しんでほ
による計算と数学との関係については、そもそもコン
学ぶ必要が出てくる。学びの楽しさとは、
こうしたプロ
どうして
数学 を学ぶの ?
第51回
規格紙の話
みなさん、こんにちは。今日は、最近学校の数学教科書でも採り
上げられることの多い、
「規格紙」について考えてみたいと思います。
ここでいう、
規格紙とは、
A4判(以下A4等)
とかB4判(以下B4等)
などと呼ばれるサイズの決められた用紙のことです。
御園 真史
島根大学教育学部数理基礎教育講座准教授、
博士(学術)
研究室公式ホームページ http://misono-lab.info/
ツイッター ID miso_net
理想的には2分の1倍していくこととされています。高校では数学Bで
ば、すべてのA〇の紙は相似になりますので、コピー機で拡大・縮
学習する数列を使って表現できそうですね。
小したときに、形がゆがまないようにコピーすることができるわけです。
面積は、半分ずつになっていきますが、縦の長さや横の長さはど
うでしょうか。下の表をみて何か気づくことはありませんか。例えば、
ちなみに、
B0、
B1、
B2、
…のB〇にも、
A〇と同様な関係があります。
下の表で、辺の比などを確かめてみてください。では、B〇とA〇は
さて、みなさんがよく使う規格紙のサイズはA4でしょうか。学校の
用紙を横長になるようにおいたとき、A4の横の長さ297㎜は、A5の
何が違うのか。それは元になるA0、B0の面積です。A0は理想的
プリントもA4で配られることが多くなりました。小学校のランドセルもA4
横の長さ210㎜の約1.414倍になっています。また、A3の1つの辺
には、面積が1㎡でしたが、B0は面積が1.5㎡です。1030㎜×1456
が入るクリアファイルがきちんと入れられるように設計されるようになって
の長さ420㎜も、A4の1つの辺の長さ297㎜の約1.414倍になってい
㎜=1,499,680㎟で、約1.5㎡になっているのがわかると思います。
きました。
ます。この1.414という数値、どこかで見覚えはありませんか? そう、
このA4のサイズは、210㎜×297㎜です。A4を2枚並べた紙の大
√2の近似値です。実は、理想的に(整数値に変換する際の誤
きさがA3で、297㎜×420㎜になっています。このようにA〇では数
差などを除いて)考えれば、すべてのA〇の紙は相似になります。
字が小さくなっていくのにしたがって、紙のサイズは大きくなっていき、
中学校3年生で、相似比と面積比の関係を学びますが、サイズが
最大はA0です。A0のサイズは、841㎜×1189㎜です。面積を計算
A4からA3になれば、面積が2倍になりますから、面積比は1:2です。
してみると、999,949㎟です。つまり、約1㎡です。この1㎡の紙の大
相似比は、それぞれ、平方根になりますから √1:√2(= 1:√2)
きさの紙を順次半分に切っていくという発想で、A1、A2、A3、…
ですね。また、A3の横の長さが、A4の横の長さの約1.414倍です
と定義できます。ただし、規格紙は㎜単位の整数値で大きさを定義
ので、A4からA3に拡大コピーするときには、比率を141%に設定す
していますので、誤差が生じ、厳密に半分とはなりません。しかし、
るわけです。逆に言えば、A〇のサイズをこのような規格にしておけ
表 規格紙のサイズ
(単位:㎜)
A0
841×1189
B0
1030×1456
A1
594×841
B1
728×1030
A2
420×594
B2
515×728
A3
297×420
B3
364×515
A4
210×297
B4
257×364
A5
148×210
B5
182×257
A6
105×148
B6
128×182
11
vol.123
2016年(平成28年)12月7日
大学ジャーナル
大学ジャーナル
2016年(平成28年)12月7日
vol.123
12