神奈川県の事業概要 ~神奈川県立こども医療センター~ 【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課名 :神奈川県 県民局 次世代育成部 子ども家庭課 ・児童数(0歳~18歳未満) :1,406,209人(H27.1.1現在) ・児童精神科系医師数 : 不明 ・児童精神科のある医療機関数,入院病床・病棟数 :児童思春期精神科入院算定病床は 5病院・計136床 その他受け入れ対応病院は8病院 児童精神科のあるクリニック等までは未把握 【2】拠点病院・機関概要 ・拠点病院機関名:神奈川県立こども医療センター(329病床 うち、こころの診療病棟40床。別に90床の障害児入所施設を有する小児専門病院) ・事業実施科名 :児童思春期精神科及び臨床心理室 ・事業開始年 :平成20年度のモデル事業から実施、平成23年度から当事業が始まるとともに本格実施する。 ・子どもの心の診療機関マップ 実施有無と登録施設数: マップ実施済み。 69診療機関が登録。 ・事業協力施設(連携病院など)の数: 神奈川県域児童青年期精神科入院医療連携を考える会に13病院が参加 【3】事業実施への経緯 ・元々県立の小児専門病院として、地域医療機関等での研修会や事例検討などの連携を、児童思春期精神科を中心に独自で実施していた 経過があった。事業開始の情報を得て、事業参加を病院側から県へ打診し実施するに至った。 神奈川県の事業概要~神奈川県立こども医療センター~ 【4】事業図 (情報提供・普及啓発) セミナー・公開講座 地域の関係者・一般県民 (技術支援・専門家派遣・情報提供) 連携会議・コンサルテーション・合同研修会 患 者 紹 介 連 携 診 療 支 援 児童相談所 連携 保健センター 療育施設 学 校 養護施設 自立支援施設 司法機関 発達障害者 支援センター 警 察 など 地域の医療機関 教育委員会 地域の関係機関 神奈川の事業概要~神奈川県立こども医療センター~ 【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業 *地域の医療機関等からの患者紹介を受けて、診療支援を実施している。 *児童精神科入院医療を行う医療機関の連携会議を開催している。 *摂食障害治療を行う医療機関のネットワークを構築している。 *児童相談所、教育機関等と連携会議を実施し、福祉・教育と医療とのネットワーク化を目指している。 *福祉施設等に出向いてコンサルテーションを実施し、支援困難な子どもの受け皿に対する医療支援を行い連携を図っている。 ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 *研修医のみならず、児童精神科専門医を育成している。 *小児科医を中心とした子どもに関わる専門職に対してセミナーを開催し、児童精神科医療に関する専門知識の普及や医療情報の 提供を図っている。 *地域の養護教諭を中心とした教育関係者に対して、児童精神科医療情報の提供、病棟見学を実施している。 ③普及啓発・情報提供事業 *公開講座を開催し、子育て中の親を中心とした一般県民に対して、子どもの心の問題や診療に関する情報の普及啓発を行っている。 *事業のホームページを立ち上げ、子どもの心の診療に関する情報を提供している。また病院のホームページ内では過去のセミナーの 抄録なども閲覧できるようにしてある。 ④その他 *事業報告を年度ごとに作成し、関係機関に配布することで事業の周知を図り連携を深める一助としている。 【6】特徴や特に力を入れている事業内容 *上記事業のうち特にアウトリーチ型支援として、児童養護施設コンサルテーション、地域コンサルテーションを実施している。地域に足を運んで、 支援困難な被虐待児や発達障害児の支援についての医学的な診立てや援助方法の助言・情報交換をすることで、子どもに関わる職員の役割 分担の明確化やエンパワメントにつながり、ひいては子どもを取り巻く環境の安定をもたらすとともに、相互の連携が円滑化されることを目標として力 を入れている。 神奈川県の事業概要~神奈川県立こども医療センター~ 【7】事業による効果と思われるもの ・セミナーや公開講座の開催によって、子どもの心の問題に関する地域の関心や危機感が高まった。 ・コンサルテーションでの医学的診立てが、その後の受診や入院に繋がることもあり、児童精神科医療に対する敷居を低くする役割を果たしてい る。また困難事例をかかえる現場職員に対して問題の具体的な解決や負担の軽減に結びつく糸口を提供できている。 ・連携会議を通じて関係機関相互の役割分担を明確にしたり、課題を共有することでお互いの実際の状況や、できることできないことなどを再 確認し、一歩進んだ対応について問題意識が持てるようになった。 ・子どもの摂食障害患者についての医療連携システムが確立し、依頼患者にもれなく対応可能な医療機関の紹介ができるようになった。 ・精神科入院を要する子どもへの対応が迅速かつスムーズに行えるようになった。 【8】目指す方向性について (今後の予定事業や展望、目標など) ・被虐待児や発達障害児への支援に関しては、環境調整が大きなウエイトを占める。そのため取り巻く周囲の人々の理解や支援が必要であり、 今後ともセミナーや公開講座を通して普及啓発に力を入れて行く必要がある。 ・アウトリーチ型のコンサルテーションについては、実施のたびに相手方の満足度も高く、継続希望の関係機関が殆どであるが、医師が職場を空けて 出張する必要があるため予算に大きく左右される事業である。継続のためには安定的な予算の確保が望まれる。 ・支援が必要な新規開設施設(情短施設、養護施設)、児童相談所等に対する医療的なサポートとネットワーク作りが今後の課題として挙げ られる。 ・小児総合病院という長所を生かし、今後は母子保健推進室、地域医療連携室、虐待症例部会等の当センター内の横の連携も強化し事業 実施の広がりや、窓口の集約を図りたい。
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